連載最終回で引用された過去コラムをご紹介!

 『大乱闘スマッシュブラザーズ』や『星のカービィ』など、数多くのヒット作を生み出してきた稀代のゲームデザイナー桜井政博氏が、週刊ファミ通にて連載を続けてきた人気コラム「桜井政博のゲームについて思うこと」。2003年以来、なんと18年7ヵ月にわたって綴られてきたこのコラムが、いよいよ今週、最終回を迎え、長い歴史に幕を下ろします。

 最終回が掲載される週刊ファミ通2021年11月18日号(2021年11月4日発売)は、特集も桜井さん、表紙も桜井さんの、桜井さん特大号としてお届け!

ファミ通11月18日発売号表紙
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 そしてファミ通.comでも、最終回に向けたカウントダウン企画として、本誌が発売される2021年11月4日までの4日間、過去に掲載されたコラムの中から、最終回のコラム内で引用されている回を毎日2本ずつ公開していきます。2021年11月4日発売の週刊ファミ通に掲載されるコラム最終回と合わせてご覧ください!

 第1回の本日は、単行本第3巻『桜井政博のゲームについて思うことDX』、単行本第4巻『桜井政博のゲームについて思うことX』からそれぞれ1本ずつご紹介します。単行本はKindleでいつでも購入できるので、もっと読みたいと思った方は、ぜひ購入をご検討ください。

桜井さん単行本(3)
桜井さん単行本(4)
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※以下、単行本より引用して紹介します。

VOL.242 上は下なり、下は上なり

(週刊ファミ通2008年7月11日号掲載)
※単行本『桜井政博のゲームについて思うこと X』収録。
※掲載当時の内容に、一部ファミ通編集部が編集を加えたうえで掲載しています。

 ディレクター、つまり監督は、作品を制作するといううえではもっとも重要な役割。ゲームに限らず、その人のアイデアや方向性、指示によって作品が作り上げられていくのだから、その人なくして作品はなしというわけです。
 が、わたしの個人的な考えのひとつで、制作チームのスタッフやディレクター自身にも聞いてみてほしいことがあります。
 ディレクターは、人に何かをお願いする役割の仕事であるだけで、決して周囲の人よりエラいわけではありません。というよりも、少なくともディレクター自身が“エラくない”という腹づもりを持つ必要があるのだろうと思います。
 何かをやろうという提案を最初にする人は、人の協力がなければ進行できません。作業指示というのは一見、“上から下”に行われるように見えるけれど、実際は“下から上”なのです。人にお願いすることでやっと実現することを、つねに忘れてはなりません。
 これはお客さんとメーカーの関係を考えれば、連想しやすいと思います。メーカーがお客さんに対して「作ったから買って」ではなく、お客さんがメーカーに対して「買ってあげる」。“王様”はメーカーではなく、お客さんです。流通としてはお客さんは下流だけど、選択権や対価という意味では上流にあたります。
 だからといってお客さんが何をしてもいいというわけではありませんよね。お金を払っているからと横柄にする人は、お店から文句こそ言われないだろうけれど、器の小ささを露呈しているようなもの。けっきょくは人から軽蔑されたりして、自分に返ってくるものでしょう。
 企画者こそ、お願いを最初に作る人。卑屈になる必要はないけれど、みずから尊大に振る舞うのは控えたほうがよいでしょう。逆に、受注側だからと言って、スタッフがふんぞり返るのも間違っています。これは横柄なお客さんと同じ。そもそもディレクターの言うことを聞かないチームは決してまとまらず、機能しません。ましてや仕事なのだし、まっとうに仕事するべき。
 たまに、「うちの会社じゃ企画やアイデア、提案が通らない」というグチを聞きます。これは開発だけに限らず。どこの会社、組織にもあることでしょう。だけど、話が通らなかったことは「説得できなかった自分が悪いから、つぎはがんばろう」と収めておくのがよいと思います。決して、「課長や部長は見る目がない!!」と、相手のせいにしてはいけません。耳を傾けているということは、相手にとってよいプレゼンができれば、アイデアが通る可能性はあるのだから。提案する側は、採用する側より弱い立場になりがちです。
 しかし何より必要なのは、お互いのことを尊重しながら制作に協力し合う姿勢にほかならない!
 多くの仕事量とストレスにさらされる開発者たちは、すべて“仲間”です。たまには争うこともあるけれど、敵ではないでしょう。“鶴のひと声”のように、議論をまとめるために必要な上下関係もありますが、お互いそればかりに頼るのは、現場の空気をよくしません。
 わたしの場合は基本的に同じ組織でなければたとえ年下でも経験が浅くても、名前には“さん”づけ。立場の違いからエラそうに見えるディレクターってイヤですもの。一方で、対外的なメールで“様”を使うこともあまりないですが。そういう意味ではただ礼儀知らずなだけかも?
 いずれにせよ、ジャマになる価値観はポイッと捨ててしまったほうがいいでしょう。作っているものがよくなることを最優先にして、協力しつつがんばりましょう!! 

桜井さんコラム
初代『星のカービィ』を作ったときは、指示する相手はほとんど先輩でした。

VOL.136 年の初めにふりかえり

週刊ファミ通2006年1月20日号掲載
単行本『桜井政博のゲームについて思うこと DX』収録。
※掲載当時の内容に、一部ファミ通編集部が編集を加えたうえで掲載しています。

 新年おめ。2005年は忙しかったので、例年よりゲームをしなかった感じです。イカンですな。もっとしっかり見ていかなければ。
 「桜井さんはゲームをどれだけ遊ぶの?」。……よく聞かれます。で、昨年遊んだ家庭用ゲームソフトをざっと調べてみました。10分しか触っていないようなものは省きます。
 『デジモンワールドX』、『ゴールデンアイ ダーク・エージェント』、『キャッチ!タッチ!ヨッシー!』、『バイオハザード4』、『ラジアータ ストーリーズ』、『デス バイ ディグリーズ 鉄拳:ニーナ ウイリアムズ』、『アウトラン2』、『獣王記-PROJECT ALTERED BEAST-』、『Another Century's Episode』、『ドラゴンボールZ3』、『デビル メイ クライ3』、『ランブルローズ』、『スター・ウォーズ リパブリックコマンド』、『アナザーコード 2つの記憶』、『ツキヨニサラバ』、『スターフォックス アサルト』、『真・三國無双4』、『パックピクス』、『メテオス』、『ドンキーコンガ3 食べ放題!春もぎたて50曲』、『フェイブル』、『エッグモンスターHERO』、『シャイニング・フォース ネオ』、『鉄拳5』、『エレクトロプランクトン』、『聖闘士星矢 聖域十二宮編』、『機動戦士ガンダム 一年戦争』、『ワイプアウト ピュア』、『リモートコントロールダンディSF』、『ファイアーエムブレム 蒼炎の軌跡』、『nintendogs』、『ロマンシング サガ -ミンストレルソング-』、『マーセナリーズ』、『スペースインベーダー ポケット』、『フロントミッション オンライン』、『東北大学未来科学技術共同研究センター川島隆太教授監修 脳を鍛える大人のDSトレーニング』、『メトロイドプライム2 ダークエコーズ』、『半熟英雄4 ~7人の半熟英雄~』、『ナムコ クロス カプコン』、『レッド・デッド・リボルバー』、『Killer7』、『DS楽引辞典』、『ドラッグオンドラグーン2-封印の紅、背徳の黒-』、『カプコン ファイティング ジャム』、『ファミコンウォーズDS』、『甲虫王者ムシキング』、『ちびロボ!』、『がんばれゴエモン 東海道中大江戸天狗り返しの巻』、『やわらかあたま塾』、『ホームランド』、『ガンダム トゥルーオデッセイ』、『GENJI』、『影牢II -Dark illusion-』、『レゴ スター・ウォーズ』、『武蔵伝II ブレイドマスター』、『サクラ大戦V ~さらば愛しき人よ~』、『みんな大好き塊魂』、『スター・ウォーズ エピソード3 シスの復讐』、『サルゲッチュ3』、『ザ・キング・オブ・ファイターズ NEO WAVE』、『戦国BASARA』、『押忍!闘え!応援団』、『新・ボクらの太陽 逆襲のサバタ』、『タイトーメモリーズ上・下巻』、『3年B組金八先生 伝説の教壇に立て!完全版』、『第3次スーパーロボット大戦α』、『プロ野球チームをつくろう!3』、『SIMPLE 2000 シリーズ Vol.81 THE 地球防衛軍2』、『グランディアIII』、『ジャンプスーパースターズ』、『ソニックジェムズコレクション』、『悪魔城ドラキュラ 蒼月の十字架』、『ファイトナイト ラウンド2』、『ヘビーメタルサンダー』、『ドクターマリオ&パネルでポン』、『スクリューブレイカー 轟振どりるれろ』、『ビューティフル ジョー バトルカーニバル』、『アーバンレイン』、『ガンスタースーパーヒーローズ』、『コード・エイジ コマンダーズ ~継ぐ者 継がれる者~』、『赤ちゃんはどこからくるの?』、『スーパープリンセスピーチ』、『ポケモントローゼ』、『キルゾーン』、『ワンダと巨像』、『ウルトラマン Fighting Evolution Rebirth』、『ポケモン不思議のダンジョン 赤の救助隊・青の救助隊』、『餓狼伝 ブレイクブロウ』、『TALKMAN』、『ゴッド・オブ・ウォー』、『ソニック ラッシュ』、『ソウルキャリバーIII』、『モンスターハンターポータブル』、『おいでよ どうぶつの森』、『戦神 -いくさがみ-』、『スライムもりもりドラゴンクエスト2大戦車としっぽ団』、『龍が如く』、『ローグギャラクシー』、『メタルギア アシッド2』、『パーフェクトダーク ゼロ』、『メタルギア ソリッド 3 サブシスタンス』、『キングダム ハーツII』……。
 もう誌面が足りないから! 数えてみたら100本強。やっぱり少ない?

桜井さんコラム
ゴメンナサイ。じつは書きもらしがあります。思い出すだけでもちとタイヘン。

※引用ここまで

カウントダウン第2回は明日(2021年11月2日(火))公開。お楽しみに!

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