イギリスの片田舎で暮らし借金返済しながら町の謎に迫るオープンワールドアドベンチャーゲーム『The Good Life』がプレイステーション4/Xbox Series X|S/Xbox One/Nintendo Switchで配信開始。なおPC版はSteamで日本時間の10月15日午後4時ごろの配信となる。
本作は『デッドリープリモニション』(レッドシーズプロファイル)シリーズや『D4: Dark Dreams Don't Die』など、変わった作風で海外にファンの多いSWERY氏による新作。KickStarterでのクラウドファンディングを経て、いよいよ発売という形になる。今回、本誌ではひと足先にPC製品版をプレイしたので、その内容をご紹介しよう。
奇妙な住人たちが住むイギリスの片田舎“レイニー・ウッズ”で暮らそう
本作の主人公ナオミは、ニューヨークからやってきたカメラマン。巨額の借金を抱えた彼女は、クライアントの依頼により“世界一幸福な町”を自称するイギリスの片田舎の町“レイニー・ウッズ”で暮らしつつ、その謎に迫っていくことになる。
ゲームとしてはオープンワールド形式の3Dアドベンチャーとなっていて、要素的には大きく分けて“1. レイニー・ウッズの謎に迫りつつ借金を返していくアドベンチャー部分”、そして“2. カメラマンとして稼ぎながら暮らしていく生活部分”のふたつで構成。一日の中で両者の要素を行ったり来たりしながら進めていく形になる。
レイニー・ウッズの愛すべきヘンな人々
SWERY作品の特徴である、エキセントリックな人物描写は本作でも健在。それぞれ癖が強いが妙な愛おしさのある、ヘンな人々がナオミを出迎えてくれる。
新月と満月の時期に犬猫に変身してしまうなど、さまざまな秘密を抱える彼らとクエストを通じて関わり合い、その背景を知っていくのは本作の何とも楽しい部分のひとつだ。
極貧生活から脱出する方法
さて生活パートの部分だが、個人の生活資金は借金返済とは別に確保されているからいいものの、コレがいろいろと生活費がかかるもので、うまくプレイしないとなかなか極貧生活から抜け出せなくなる。
というか記者は実際、「なんかコレおっかしいな」と思いながらド貧乏生活を続けるハメになった。そこでプレイ要素を紹介しつつ、皆さんが同じ失敗を繰り返さないように極貧生活脱出テクを紹介しよう。
1. 時は金なり。移動術を心得よ(ダッシュ/犬猫モード/羊/祠ワープ)
レイニーウッズの町の中心部自体はすぐに歩き回れるサイズなのだが、田舎は無闇矢鱈に広く、周囲には牧草地や自然が延々と広がっている。
そしてこのゲーム、時が進むのが早い。なのでちょっと遠出でもすればそれだけで時間が過ぎ去り、気がつけば夜になっている。いかに効率的に移動を行って時間を有効に使うかが大事だ。
移動の高速化でまず大事なのが、Xboxコントローラーの場合RBで行えるダッシュ。最初ダッシュの存在に気付いていなかった時はちょっとのタイムロスで時間制限付きのミッションに普通に失敗し「アレ、おっかしぃなぁ」と思っていたのだが、絶対に読者諸氏は同じ失敗を繰り返さないで欲しい。
そして、犬や猫に変身可能になってからは犬猫モードも移動術のカギとなる。特に猫はスピードが速いだけでなく、低い柵を飛び越えられたりするのでショートカットが可能だ。ちなみに犬猫状態からダッシュを使ってさらにスピードを上げることもできる。
西部劇ゲームで馬が出てくるように、牧草地を舞台にしたゲームで羊に乗れるのは必然! ……かどうかは知らないが、メインクエストのひとつで羊牧場に行くと羊に乗れるようになる。
そしてこの羊が最速手段だ。またマイ羊はいつでも呼び出せるので、“羊で一気に移動→途中で猫になって柵を飛び越えてショートカット→柵の反対側で羊を呼び出して目的地まで爆走”といったムーブもできる。
また、各地に点在している“犬猫の祠”に1ポンド寄付すると、祠間のワープを行えるようになる。いちいち最寄りの祠まで行かないといけないし、1回10ポンドかかるので無闇矢鱈には使えないが、ここぞという時には非常に便利なので、見かけたらアンロックすべし(それが目的のクエストもある)。
2. 機材は命。カメラは整備しとけ(カメラ機材の購入・修理/写真での稼ぎ方)
クエスト報酬などでお金をもらえることもあるが、借金返済以外の個人的収入は基本的にカメラマンとしての各種稼ぎがメインとなる。
しかし問題はカメラだ。ナオミがゲーム開始時点から持っている“思い出カメラ”は、“白黒でズームなし”という正直骨董品級の代物。そして序盤のクエストで中古の一眼レフカメラをゲットできるのだが、中古のカメラやレンズは使っていると壊れる。
かといって新品を買おうにもクッソ高くて買えないので、中古カメラをメインにだましだまし使っていくことになる。毎度の修理費がなかなかバカにならないのだが仕方がない。
というのも、収入手段のひとつとして“フラミンゴというゲーム内SNSに投稿した写真の反応に応じて稼ぐ”というものがあるのだが、収入の算出基準となる“エモいね”(いいねのようなもの)は基本的にカラーで撮った方が伸びやすい。なので中古の一眼が壊れたら、できるだけ直しておいた方がいい。
一方でミッションで依頼された撮影など、単に記録のために撮るのが主目的でフラミンゴでのエモいね数があまり重要ではない場合は白黒で撮るのもアリ。プロとしての納品クオリティ? 知らんね! アタシは中古カメラを長持ちさせたいんだ。
3. 悪いこた言わねぇ、市場のニーズに応えて犬猫と流行りもん撮っとけ(犬猫写真/ホットワード)
さて、フラミンゴのエモいねをベースに収入を得られることはすでに書いたが、そのエモいねを稼ぐ最強の方法は……犬猫写真だ。
そしてレイニーウッズでは新月と満月の前後2日間、深夜(午後11時以降)に住人たちが犬猫になって出歩く。つまりこれは最高のシャッターチャンスであり稼ぎ時なのだ。愛でるのは後にしてまずは撮れ! どうせその犬の中身は昼に会ったオッサンとかだから!
記者は無駄にアングルに凝ったりしながらカメラマンライフを楽しんでいたのだが、市場ってヤツは芸術性を理解しちゃくれないのである。道理で異常に貧乏暮らしが続いてたわけだよ! 極貧生活を抜け出したかったら犬猫写真の異常な引きと、定期的に犬猫撮り放題になるレイニーウッズの長所を利用し尽くそう。
しかし、先に書いたように住人たちの夜の変身が起こる時期は決まっている。それ以外の期間もある程度稼ぐには、定期的に更新されるトレンド“ホットワード”に沿った写真を投稿するのが大事だ。ホットワードが含まれていると“バズ”扱いになってエモいねが伸びやすくなる。
“現在のホットワードに沿った写真を撮りに行く”というのが基本的なやり方になるが、保存できる写真の枚数には限りがあるものの「これは」というものがあったら撮っておくと、その写真に含まれる属性がホットワードとして後日やってくることもある。
ちなみに、広角気味に多くのものを巻き込むように撮っておくと思わぬホットワードのコンボが発生したり、背景の看板なども含めた多くの属性を巻き込んで評価が伸びることがあるのでオススメ。とはいえ犬猫写真で稼げてるなら割と誤差のレベルだし、アングルにこだわって撮影するのも楽しいのでそこはおまかせという感じだ。
4. フリーランスは体が資本。そして医食同源だ(体調不良/食事のおすすめメニュー/治療方法)
本作には体調に関するさまざまなパラメーターがあり、あんまり寝ずにずっと外を出歩いていると体調を崩すこともある。
体調不良には風邪・頭痛・虫歯などがあり、それぞれ各種パラメーターの最大値が下がることもあるし、治療費はクソ高い。なので予防的に暮らした方がいい。
特に序盤見過ごしがちなのが“健康度”のパラメーター。食事や睡眠で各種パラメーターが回復するので、あまり気にせずに過ごしても体力や満腹度はなんだかんだ維持できるが、健康度は意識的に回復しないと落ちていきがち。
そこでオススメしたいのが、町の料理屋で頼める各種スープ。スープは健康度を回復する手っ取り早い手段になっていて、店で頼んでも比較的安いし、何度か飲んでいるうちにレシピを覚えたら後は割と入手しやすい食材で作れる。
それ以外には、たまには酒を飲んだりお茶を淹れたりしてストレス値も下げるといい。
それでも体調不良になってしまった場合だが、動物病院での治療は確実に治るものの100ポンドかかって非常に辛い。なので動物病院か魔女の森にいる婆さんの所で買える治療薬を使うと比較的安く完治できる可能性がある。
5. レイニー・ウッズでの生活を楽しめ!
と、マジで遠回りしてプレイしてしまったトラウマがゆえに「攻略記事かよ」ってレベルで書きまくってしまったが、ある程度効率的に間違いのないようにプレイした方がいいものの、せっかく天然のリゾート地のような場所にいるんだから、気分まで切り詰めて生活しても仕方がない。
本作は一直線に攻略プレイしても、一番コクのある部分を味わえないゲームだ。いや本当に、クリアーには必要のない要素やエリアがやたらと用意されている。
たとえば料理なら料理屋で食べるだけでも意外となんとかなると思うが、家庭菜園に種をまいたり、犬猫になって狩りをして食材を入手して自炊していると、さらなる節約になるし途端に生活感が出てくる(まぁ記者の場合は毎日スープだけ飲みまくりの限界生活だったわけだけど)。
あるいは適当にでかけて地方の祠をアンロックしたり、住人からの依頼のサイドミッションのついでにヘンな場所の写真を撮ってみたり、普段行かない場所の行商人や商店から変わった食材を入手してみたり。微妙な部分や変な部分も含めて、レイニー・ウッズでの暮らしを楽しんだモノ勝ちだ。
“最新”でも“最高級”でもない、唯一無二の何とも言えない魅力のある生活ゲーム
メインクエストを中心にプレイした場合のクリアータイムは、おおよそ15時間程度。それなりにボリュームがあり、さらにメインクエストクリアー後もサイドクエストや生活プレイを続けられる形態になっている。
またオープンワールドのマップもかなり広いのだが、ここで勘違いして欲しくないのが、本作は超大作オープンワールドのようなゴージャスなゲームではないこと。キャラのモーションなどが妙にチープな作りの部分もあるし、郊外のエリアにはほとんど何もない丘陵地帯がほとんどだし、グラフィックなども最先端とは言えない作りだ。
『デッドリープリモニション』シリーズなどをプレイした人はなんとなく想像がつくと思うが、本作もまた、そういう“最新”とか“最高級”ではない部分に魅力のあるゲームとなっている。記者はメインクエストクリアー後の町に戻り、やり残したサイドクエストをこなしながら生活を続けていくつもりだ。レイニー・ウッズは本当に、世界で最も裕福だったり美麗なのではなく、ヘンで愛すべき“世界一幸福な町”なのだ。