「大作RPGをがっつり遊びたい」
そう願うゲーマーは多いだろう。昨今、ナンバリングタイトルを除けば大作RPGが少なく、大勢が冒険に飢えている。できれば家庭用ゲーム機やスマホで気軽に遊びたいところ。
そこで『黒い砂漠』である。
『黒い砂漠』はPearl Abyss(パールアビス)が提供するオープンワールドタイプのMMORPG(※)だ。その歴史はPC版からスタートし、現在はプレイステーション4とXbox One、ならびにモバイルでもサービス中。
※日本での運営はPearl Abyss JP(パールアビスジャパン)。
大作MMORPGとしてはアップデートのスピードは速め。イベントも頻繁に開催され、ふつうにプレイしているだけでも経験値やアイテムが大量に手に入る。飽きずに長くがっつりと遊びたいというプレイヤーの想いに、しっかり応えてくれるタイトルだ。
PS4版は2021年8月23日に2周年を迎えた。家庭用機ならではの始めやすさと、コントローラーひとつで遊べる気軽さがPS4版の魅力と言える。
ただし、1点だけ注意しておきたい。
『黒い砂漠』はプレイヤーを甘やかさない。
昨今は「どうすれば簡単に気持ちよさを味わってもらえるか」といったおもてなしに注力したゲームが多い。一方、『黒い砂漠』は何から何までプレイヤーを甘やかし、口までごちそうを運んでくれるようなタイトルとは少々異なる。
ゲームを始めると、すぐに直感的で爽快な戦闘を楽しめる。スピーディーに敵を倒すのは気持ちいいが、それは『黒い砂漠』にとって当たり前のこと。本作の魅力と奥深さはそれを越えた先にある。
一見、時代に逆行しているようなスパルタな部分もある。それだけの骨太さを持った文字通りの“大作RPG”だからこそ、もっと遊びたくなる。そして、この世界に浸りたくなる。
今回の記事では、2周年を迎えたPS4版『黒い砂漠』の不思議な魅力を整理しようと思う。冒険や探求を求めている人は『黒い砂漠』の世界に旅立ってみてほしい。
MMORPGなのに自分のペースで遊べる、リアルな世界
『黒い砂漠』は2段階の顔を見せる。最初は重厚な物語に没入できるソロRPGとしてプレイヤーを受け入れ、いつしかコンテンツが豊富でマルチプレイや交流を楽しめるMMORPGに変貌しているのだ。
冒険の舞台となるのは、シームレスで広がる広大なファンタジー世界。とはいえ、万能の魔法や伝説の武器があるわけではない。大国間の戦争や魔物の跳梁により、やや荒廃した大地が広がっている。
この世界で、プレイヤー=主人公は記憶を失った状態から旅を始める。「契約を果たせ」と、不穏な方向へと導く“闇の精霊”との冒険を通じて、主人公は自分の記憶やこの世界で暗躍する者について、少しずつ知っていく。
オンラインゲームではあるが、序盤~中盤(遊びかた次第では最高レベル帯になっても)はソロRPGのように自分のペースで物語を進行できる。このバランスは本作の特徴のひとつだ。
マルチプレイやインスタンスダンジョンでのアイテム収集、他者との交流を強要されることなく物語を読み進めていく。世界の真相にある程度近づいた頃にはキャラクターが育ち、各種アイテムや資金も貯まっているだろう。
マイペースにひとりで進められるからこそ、世界観にどっぷりと浸かれる。そうしてソロプレイ的な楽しみを続けるうちに、行ける場所が広がっていき、遊びの選択肢も増加。ここがコンテンツの豊富なMMORPGとしてのスタート地点だ。
とはいえ、農業を始めとする生活コンテンツ、貿易やパーティーでのマルチプレイといった他者との関わりが重要な要素は、早い段階から開放される。MMORPG慣れしている人はすぐに飛びついて問題なし。ソロRPG好きもMMORPG好きも満足できる構造と言える。
世界に没入できる本作のグラフィックは、幻想的というよりは写実的だ。現実感を体感できる描写が、「ゲームの世界で生活する」というMMORPGの定番謳い文句を体現。採集や生産、販売など、リアルに即した遊びかたがよく似合う。
世界を自分で描いていくのではなく、自分が世界の一部となって溶け込んでいくような感覚は何ともユニークだ。
『黒い砂漠』の魅力とオススメの遊びかた
続いて、筆者がPS4版を通じて改めて感じた『黒い砂漠』の魅力を並べてみる。筆者はPC版をマウス&キーボードでプレイしており、コントローラーで本作を遊んだのは今回が初めてだ。
そんなPCゲーマーから見ても、PS4版『黒い砂漠』の遊びやすさはさすがのひと言。
まずは何といっても、アクション性の高さが際立つ。本作の操作はノンターゲット型の3人称視点によるアクション形式。昨今の3Dゲームとしてはおなじみのスタイルだ。
ふたつまでのボタンやレバーの組み合わせという簡単な操作で、さまざまなスキルが発動。広範囲攻撃や移動を伴う技が用意されており、数多くのモンスターのあいだを高速で跳び回って一気になぎ倒す爽快なアクションが楽しめる。
プレイヤーが選択できるキャラクター(クラス)も非常に豊富。2021年8月現在で23種類も用意されている。
さらに各クラスごとに、高レベルになると“伝承”と“覚醒”のふたつの成長ルートを選択可能。どちらを選んだかで、大きく異なるプレイ感覚を味わえるわけだ。
2~3ヵ月に1回くらいのハイペースで新クラスが追加されるのも魅力的。ここ1年以内には、ハサシン、ガーディアン、ノヴァ、セージ、コルセアの5クラスが実装されている。
戦闘やストーリーだけでなく、本作では遊びのコンテンツが非常に多い。どれだけコンテンツがあるかというと、エンドコンテンツを除いて列挙するだけでも以下の通り。
- ハウジング
- 採集
- 家庭菜園
- 労働者の管理
- 加工業
- 料理
- 錬金
- 釣り
- 貿易
- 騎乗動物の調教
- 狩猟
- ワールドボス討伐
- 海洋冒険
このひとつひとつがまるでサンドボックスゲームのようにボリュームたっぷり。しかもキャラクター強化や金策に結び付くのでやりがいもある。
多くの生活コンテンツはそれぞれが密接に関連している。料理には家庭菜園や釣りで入手した食材が必要だし、大量に入手するためには労働者を雇ったほうがいい。妙なリアリティが、もうひとつの世界での生活を実感させてくれる。
たまには「戦闘に疲れたから今日は畑を耕して、加工品を作って市場に流そう」などと、そのときの気分で遊びかたを変えるのもいい。充実した時間と心地よい疲れを体感できるかと思う。
このように選択肢が多い本作では、さまざまな遊びかたが楽しめる。実際にプレイしてみた筆者から提唱したい、オススメの遊びかたは以下の通りだ。
ストーリーをひたすら楽しむ!
基本中の基本だ。まずはここから始めてほしい。メインストーリーのクエストを消化していくだけで、家庭用機のパッケージ版大作RPGのような壮大な冒険を味わえ、レベリングや装備集めも同時に進む。
生産コンテンツを楽しむのもよし
本作の生産コンテンツは先述のとおり非常に豊富で、これをいくつか進めるだけでも数時間は余裕で遊べる。かなりの額の金策にもなるので、お金稼ぎが好きな人にはとくにオススメしたい。
金策は無理にしなくても大丈夫
最初のうちはとくに金策を意識しなくてもオーケー。メインストーリー進行と戦闘だけでも必要な分は貯まる。生活コンテンツでしか手に入らないようなアイテムは、貯めたお金で購入すればいい。
逆に、生活コンテンツばかりをプレイしていても大丈夫。本作には装備のレベル制限がないため、他プレイヤーが“取引所”に出品した強力な装備を稼いだお金で入手することで、レベル不足を補うことができる。
そして何より、金策自体が楽しく、気持ちいい。相場などをしっかり調べて挑んでみると、驚くくらい稼げるだろう。
マルチプレイを強要されない気楽さ
MMORPGとして深く楽しむなら、他プレイヤーといっしょワールドボスやPvPコンテンツなどに挑むという手もある。
ワールドボスは1発でも攻撃を入れれば参加報酬が得られる仕様だ。パーティーを組む必要はなく、レベルが低い段階からでも挑戦できる。複雑な連携も不要なので、コミュニケーションを強要されないのがポイント。
積極的にコミュニケーションを図らなくても、街や狩り場ですれ違うときに他者の気配は感じられる。もちろん、コミュニケーションを楽しみたいという人には、ギルドなどの楽しみかたも用意されている。
これから始める人向け、PS4版スタートガイド
ここからはPS4で『黒い砂漠』を楽しむための、スターティングならびにゲーム序盤のガイドをお伝えしよう。
手軽に始められるダウンロード版パッケージを購入
PSストアでダウンロード版のパッケージを購入してゲームスタート。パッケージは3種類あり、価格に応じて育成や強化などに役立つさまざまなアイテムが同梱されている。
本作はパッケージ買い切り。ゲーム自体に直接的な月額料金は発生せず、PS Plusの利用料金のみでプレイ可能だ。ふだんからPS Plusのフリープレイタイトルなどを楽しんでいる人からすると、『黒い砂漠』の月額料金は実質無料と言える。
何はなくともカバンを拡張
どのような遊びかたをするにも、重要なのがカバンの容量だ。本作ではメインストーリーを進めるときでも、生産を進めるときでも、とにかくアイテムがつぎつぎと手に入ってカバンの枠が埋まっていく。
メインストーリーを進めると、闇の精霊からカバン拡張アイテムがプレゼントされる。それに加えてカバン、拡張アイテムがもらえるサブクエストもこなしておけば安心だ。
不要なアイテムやいらなくなった装備は、倉庫NPCに預けるか、商人NPCに販売してカバンから取り除いでおくといい。
倉庫NPCや商人NPCがいる大きな街や村に立ち寄る機会は多いので、ひと休みついでにカバンを空けよう。
できるときに拠点を活性化
名前が付いている村や街、関所などには“拠点管理人”NPCが配置されている。これらのNPCに話しかけて拠点を活性化させることが、拠点間のルートを結ぶ第一歩。拠点間を接続すると、貿易や採集といった生活コンテンツの効率がアップするのだ。
拠点の活性化や拠点同士のルート接続には、デイリークエストなどをこなして手に入れる“貢献度”と、時間とともに回復する“行動力”が必要。広範囲を接続するのはなかなかたいへんなので、できるときに必要な分だけの活性化を心がけよう。
貢献度と行動力は生産コンテンツに手を出さない場合、ほかにはあまり使い道がないリソースだ。所持量には上限があるので、腐らせないように何日こつこつ使っておくのがオススメだ。
生活コンテンツなどを通じてさらに深く本作を楽しみたい人には、下記のより詳しいガイド記事もご参照いただきたい。PC版の記事だが、ベースが同じなので基本的な知識は流用可能なのだ。
PS4版2周年を記念してメールインタビュー。8月25日には無料DLCも用意
せっかくなので、PS4版『黒い砂漠』の運営の2年を振り返り、メールインタビューを実施することにした。運営チームの方々にお願いするつもりだったが、何とご回答いただいたのは、代表取締役社長のイ・ドンギョ氏。やはり並々ならぬ思いがあるらしい。その内容をお届けしよう。
――改めて『黒い砂漠』の魅力を教えてください。
『黒い砂漠』は美麗な世界がシームレスで広がる言葉通りのオープンワールドゲームです。その世界を魅力あふれる様々なキャラクターで冒険することができるオンラインゲームです。
――2年間運営してきて率直な感想をお願いいたします。
コンシューマー版の『黒い砂漠』ローンチは、すでにPC版のサービス開始から4年くらい経ったタイミングでした。コンシューマー版でプレイしていただける方がいるのかなと不安だったんですが、PC版でプレイされてない方もたくさんプレイしていただけて、とてもうれしかったです。
コンシューマー版はアジアサーバーで韓国のユーザーとも触れ合うことができます。国境を越えて同じ場所でプレイしていただけており、今後も盛り上げていきたいと思います。
――これまでの2年間で印象に残っている出来事はありますか?
個人的には、占領戦で日韓戦が起きたことがすごくおもしろかったです。アジアサーバーでいっしょにプレイできるコンシューマー版だからこそあり得る、印象深い出来事でした。
――キャラクターの使用分布を教えてください。
すべてを公開することはできませんが、“ウィッチ”、“ダークナイト”、“シャイ”などの女性キャラクターが人気あります。
――公開できる範囲で今後のアップデート内容を教えてください。
アトラクシオンの2番目の新規ダンジョン“シカラキア”が控えているほか、8月25日には無料DLCパッケージを配信する予定です。
――コンシューマー版の今後の展開を教えてください。
アップデートはいままで通り、PC版を追っていく形になりますが、新規クラスなどはできるだけ同じタイミングに実装してプレイしていただけるように努めます。
また、コンシューマー版だけのイベントもグローバルで準備していますので、楽しみにお待ちいただければと思います。
8月25日発売、黒い砂漠Console無料スペシャルプレゼント付きDLC
記事制作協力:DENPA IS CRAZY(ライター)