ファミ通.comの編集者&ライターが2021年夏のおすすめゲームを語る連載企画。第9回で取り扱う作品は、爆発しまくりレースゲーム『BlazeRush』(ブレイズラッシュ)です。

【こういう人におすすめ】

  • プラットフォーム:PC(Steam)※家庭用機版は海外向けのみ発売
  • 発売日:2014年10月29日
  • 発売元:Targem Games
  • 価格:980円[税込]
  • パッケージ版:なし
  • ダウンロード版:あり

Blaze Rush - Teaser Trailer

『BlazeRush』ストアページ(Steam)

アイテムで盛り上がるハチャメチャレース!

 暑いですね(2021年8月現在)。こんな暑い日が続くと、脳がとろけて知能指数が下がります。そんなときに難しいゲームなんて遊んだら、たいへんなことになります。

 そんな「頭を使いたくないけどゲームは楽しみたい」というときにこそおすすめしたいのが、今回紹介する『BlazeRush』です。

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レースの模様のムービーがバックで流れるタイトル画面から、どんなゲームかはだいたい予想がつくと思います。

 本作はクォータービュー視点で展開する、サーキットを周回していく対戦レースゲーム……なのですが。

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 見ての通り、コースにはガトリングガンやミサイルが飛び交います。楽しい。

 本作はいわゆる『マリオカート』のような、アイテムありの対戦レースゲーム。レース中にコースにつぎつぎとアイテムが放り込まれてきます。

 アイテムの種類は大きく分けると、武器とスピードアップのふたつ。それぞれを装備すると、対応するボタンを押すだけで即使用できます。

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レースゲームですがアクセルやブレーキを踏むような感覚はなく、前方向入力で加速しつつ、左右入力で進行方向を調整します。挙動が素直で、操作はかなり簡単です。

 アイテムの種類はとてもシンプル。武器アイテムはガトリングや誘導ミサイルなどといった射撃武器に加え、相手をドロドロにしてスピードを下げるゲル弾や、相手を大きくスピンさせるディスク弾、周囲の全員を吹き飛ばす衝撃波などが用意されています。

 先ほど“『マリオカート』のような”と形容しましたが、ゲル状の弾で相手をドロドロヌメヌメにする『マリオカート』があったらすごく嫌ですね。

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車に耐久力の概念がないので、銃撃されようがミサイルが直撃しようが、吹き飛ぶだけで壊れはしません。

 武器の真骨頂は、相手を吹き飛ばしたりバランスを崩すことで遅らせたりコース外に落としたりなど、妨害にあります。

 本作のコースにはガードレールが設けられていますが、絶妙な“歯抜け”状態。そこから転落すると車が爆散してしまうのです。

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爆散してもすぐに復活できますが、大きく出遅れることになります。きれいな花火ですね。

 スピードアイテムについてはさらにシンプルで、以下の3種類が用意されています。

  • 加速度は低いが効果時間が長いもの
  • 加速度、効果時間ともに平均的なもの
  • 加速度は高いが、衝撃を受けると壊れてしまうもの
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スピードアイテムで一気にごぼう抜き!

 『マリオカート』などを遊んだことがある人には、ランダムアイテム要素があるレースゲームがどのような展開になるか想像できると思います。本作はそれらのゲームのなかでも、とくにテンポがいいタイトルだと思います。

 アイテムがほぼ常時コース上にあり、アイテムを惜しまず連続使用できる気持ちよさに加え、それらのアイテムによる逆転につぐ逆転が本作最大の魅力。

 さらにド派手な爆発もあっちこっちで巻き起こるので、気持ちよさがさらに加速していきます。爆発せずとも車体がきりもみ回転しながら空中爆発したりするのも日常茶飯事。これだけでもゲラゲラ笑えてすっきりするのです。

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アイテムはコース上に絶え間なく出現するので、ガンガン使って問題ありません。

地獄だけど楽しいDeath Raceモード!

 ゲームモードはCPUキャラと対戦するひとり用の“Career”と、他プレイヤーと対戦する“Party”のふたつ。それぞれのステージには勝利条件が異なるルールが用意されており、Partyモードではホストプレイヤーがさまざまに設定を変更可能です。

 ルールは以下の3種類。

  • Race:コースをいちばん早く3周した人が勝利
  • King of the Hill:先頭にいた時間の合計数が一定値になった瞬間にその人の勝利
  • Death Race:コースアウトなどで車体が爆散。最後まで生き残った人に多くポイントが与えられ、合計値で競い合う

 RaceとKing of the Hillはわかりやすいルールなので、説明するまでもないでしょう。本作最大の魅力はDeath Race。Partyモードではほぼこれしか選ばれないという人気のルールです。

 Death Raceでは後ろから物騒なロードローラーが迫ってきます。接触すれば、もちろん即爆散です。

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 つまりこのモードでは、

  • スピードアイテムを駆使してとにかく前に出る。
  • 武器でほかの車をひるませる。

 このふたつが基本。さらに応用で、

  • 武器で吹き飛ばしてほかの車をコースアウトさせる。
  • 遅らせた相手をロードローラーに潰させる。

 こうして敵を蹴落としてなるべく長く生き残り、ポイントを稼いでいくわけです。

 Death Raceでは生き残りがひとりになるたびに、各プレイヤーに生き残った順に応じたポイントが配布され、全員復活してからの仕切り直しとなります。このくり返しで、ポイントが最初に一定値まで溜まったプレイヤーが勝利となるのです。

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仕切り直しの際には、直前の生き残った順番に応じてスタート時の配置が決定します。早めにやられてしまった人ほど前のほうに配置され、逆転のチャンスが与えられます。

 アイテム連発によるカオスさと相まって、このDeath Raceがとにかくおもしろい。CPU戦でも十分ですが、とくに楽しいのがPartyでの対人戦でしょう。

 仕切り直しが頻繁に起こるため、レースゲームでよくある“うまい人が独走してしまってつまらなくなる”といった状況も起こりません。

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レースゲームでは大差をつけられるとモチベーションが下がりがち。Death Raceではそんな状況がそもそも起こらないのです。地味にすごい。

 筆者は本作を友人たちとプレイするときには、Discordなどの通話ツールで話しながら対戦します。つぎつぎと爆散する車、めまぐるしく入れ替わるポイント総計の順位などでテンションは上がりっぱなし。腹を抱えてゲラゲラ笑いながら、下記のような叫び声を飛ばし合うのが常です。

「あいつがトップだ! 集中攻撃しろ!
「下位同士、紳士協定を結ばないか?」
「撃つなぁぁぁぁ! 覚えてろよぉぉぉ!

 迫りくるロードローラーの前では、レースの純粋なテクニックを競い合うどころじゃありません。ロードローラーに追いつかれないようにスピードアイテムを使ったら、狙ったかのようにガードレールがないカーブに突っ込んだりするのも当たり前の光景です。

 笑いどころしかないこのハチャメチャレース、頭を使わずに楽しむには最高と言えましょう。

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最大8人での対戦が可能で、空いた枠にはCPUキャラを入れることもできます。筆者は7名でプレイしたことがありますが、めちゃくちゃ楽しかったですよ。

意外とちゃんとしたところもあるんです。

 アイテム乱射とDeath Raceがとにかく魅力的な本作ですが、じつはレースゲームとしての基盤もしっかりしています。選べる車にはそれぞれ特徴が設定されており、さらに四輪車、キャタピラ車、二輪車、ホバー車など、足回りの種類によって挙動がかなり異なるのです。

 ひとり用のCareerモードでポイントを稼ぐと、より個性的な車がアンロックされていきます。UFOみたいな外見のホバー車や、タイヤがひとつしかない構造のモノレーサー車など、近未来が舞台の本作ならではの個性派車両が目白押しです。

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ホバータイプは速いけど吹き飛びやすいなど、各車ともに特徴がしっかりと分けられています。キャラの見た目もとても個性的。
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Careerモードで選べるステージには、それぞれ異なるルールと目標が設定されています。目標達成に適した車を探し、攻略していく楽しさも味わえます。

 武器やスピードアイテムの使いどころを見極めたり、各コースの特徴を把握して“仕掛けどころ”を探してみたりといった、頭脳プレイで遊ぶこともできます。

 何も考えず遊ぶのが楽しいのはもちろん、考えて遊ぶのもまた楽しいという、懐が広いゲームなわけです。

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武器とスピードアイテムは、それぞれひとつずつしか保持できません。どういったアイテムかは見た目で判断できるので、拾わない選択肢も出てきます。

 あとは高等テクニックとして、走っているあいだに後ろ方向の入力をすることで、自らスピンすることができます。武器は車体正面にしか発射できませんが、スピンすれば後続の対戦相手のほうを向き、アイテムで狙い撃つこともできるのです。

 この辺も難しそうに見えて、慣れてくれば簡単です。勝率アップに加えて、カオスなレースをさらにカオスにできること請け合い!

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意外と重要なスピンテクニック。華麗に決めれば、対戦がさらに盛り上がること必至です。

 ……などとテクニックについても語ってみましたが、実際にプレイしてみると、そんな細かいことは気にせず頭をからっぽにして遊ぶのが楽しいタイトルであると、すぐにわかってもらえることでしょう。

 レースゲームなのにあちこちで大爆発が起き、絶え間なく武器攻撃が飛び交い、スピードアイテムでの抜きつ抜かれつが起きる本作のレース。「息をつくヒマもない」とはまさにこのこと!

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4人までしか同時に遊べないマルチプレイのゲームをやろうと思ったら、5人以上のメンバーが集まってしまった……なんてときにも活躍します!
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