Devolver Digitalが2021年秋に配信予定のアクションRPG『Weird West』の最新プレゼンテーションを受けたので、その内容をご紹介しよう。
なお本作は日本語対応でプレイステーション4/Xbox One/PCで発売予定となっている。
西部劇 × オカルトなダークファンタジー
本作は、西部開拓時代を舞台にしたアクションRPG。しかも『Weird West』というタイトル(※)の通り、ロックスター・ゲームスの往年の名作『レッド・デッド・リデンプション・アンデッド・ナイトメア』 のような、普通に魔法や怪物が存在するオカルト混じりの設定になっているのがポイントだ。
(※直訳すると“奇妙な西部”。本来は、超自然的な存在や能力、ホラー作品の要素などを取り込んだ西部劇モノのサブジャンルを指す。映画化もされたアメコミ作品『ジョナ・ヘックス』などが有名)
ストーリーはマルチ主人公制を採用しており、5人の主人公が章ごとに登場。元賞金稼ぎの女、半獣の呪いを受けた“ピッグマン”、邪悪な風の流れを感じてやってきた守護者“プロテクター”、人狼のカウボーイ、そして魔法を使う予言者と、動機も境遇も異なる人々が旅し、やがて大いなる目的のもとに集っていくという。
元『ディスオナード』組がそのエッセンスをコンパクトに詰め込んだ作品
本作を開発するWolfEye Studiosは、ベセスダ・ソフトワークス傘下のArkane Studiosで『ディスオナード』や『Prey』といった一人称視点の探索型アクションゲームを手掛けたラファエル・コラントニオ氏らが独立して設立したスタジオだ。現在スタジオに所属するスタッフは現在25人で、うち15人がArkane出身者とのこと。
インディーパブリッシャーのDevolverと組んだということもあり、今作は『ディスオナード』などと比べると比較的小規模な予算となっていて、ゲームのスタイルも一人称視点から三人称視点に。これも予算とビジュアルインパクトのバランス(※)を取ったがゆえの決断だという。(※一人称視点で近くに寄っても綺麗に映える素材を大量に作るのはお金と時間がかかる)
なおゲームの進行は、地図型の2Dワールドマップで場所をしていた先へと旅し、目的地に到着すると3Dのステージが始まるといった感じ。ちなみに道中の途中でコヨーテの群れに襲われるといったイベントステージが始まることもある。
街や敵地などの各ステージでのゲームプレイは、Arkaneのゲームを遊んだ人なら、「世界観をオカルト西部劇にして、三人称視点になってアクションRPGの要素を濃くした『ディスオナード』みたいなゲーム」と言えばもうなんとなく感覚が掴めるかもしれないが、多分それで伝わらない人が大半だと思うのでもうちょっと本作のキモを説明しよう。
探索で情報収集&アイテム回収しつつ、ミッション進行を有利に
いろいろと省略したコンパクトな作りになっている代わりに本作でも脈々と受け継がれているのが、探索・戦闘・情報収集などが密接に絡み合ったゲームプレイと、それを活かす“イマーシブ・シム”と呼ばれるゲームの作りだ。
プレゼンテーションで見た、とあるギャングの拠点に潜入するミッションを例に、まずは前者を説明してみよう。ここは正面突破で全員倒しながら奥地に進んでもいいのだが、当然それはなかなかキツイし死亡することもある。
それに対して、外周の見張りにステルスで近付いて昏倒させ、転がっていた樽を適当に持ってきて足場にして壁をよじ登って侵入し、その中の小屋のひとつに入ってみると「井戸にロープ繋ぎっぱなしにしとくんじゃねぇぞ。鍵かけとけ」という置き手紙を発見できる。
その先はなんとなく想像がつくと思うが、周囲を探すと案の定見つかる鍵とロープを井戸に持っていき、降りてみると地下に広がるアジトに潜入成功。警戒網の裏でアイテムを漁りまくれるし、奥にいたボスをいきなり始末できる……。
このように、探索やその過程での情報収集によって不要な戦闘を避けられたり、より有利に進められたりする。
プレイヤーの発想でさまざまな攻略が可能な“イマーシブ・シム”
後者のイマーシブ・シムとは、ゲーム中に出てくるモノやアクションが複数の役割を担えるようにしておき、それをプレイヤーが自身の発想で組み合わせられるシミュレーション重視の設計のことだ。
それ自体はあまり特別なことではないのだが、それを特に意識した設計になっていることで、ユニークなルート開拓や攻略法を編み出せるようなゲームプレイ体験を生み出す。
先程の例では、樽を足場にして強引に壁を越えられるのをアリにしているあたりが、そういった思想が反映されている部分。探索まわりだと「扉を開ける」という目的に対して、弱い扉なら蹴破れたりするし、蹴破るのが無理でもダイナマイトで爆破できる時もあったりする。もちろん、探索を頑張って鍵を見つけるんでもいい。
戦闘では、かがり火を蹴り倒して地面に火を燃え広がらせ、矢を持って近付いて火矢にして追加ダメージを狙う……といったことができる。これは、かがり火に蹴りを入れたら倒れ、火がついたものが倒れたら燃え広がり、矢を持って火に近づくと着火できるといった、それぞれの相互シミュレーションが軸になっているから可能だ。
それ以外に、火薬樽を掴んでから敵集団目掛けてぶん投げ、撃って爆破して大ダメージを与えるといったプレイもできる。ここらへんで「要は『マインクラフト』みたいな作り?」って思った人は大正解。ああいったシミュレーションの組み合わせが生み出す面白さを、本作ではゴリゴリに濃いオカルト西部劇のアクションとして楽しめるというワケだ。
スローモーションや変身能力などのアクションスキルに加え、RPG的な強化システムも
各キャラは基本攻撃以外にアクションスキルを使え、スローモーション効果(いわゆるバレットタイム)のほか、キャラによっては魔法や変身能力や召喚能力などを持っていることも。さらにステルスプレイなども可能で、見回りに後ろから近付いて昏倒させ、体を草むらに運んで隠すといったアクションもできる。
そして、RPG的な装備や成長システムも存在し、そのキャラ固有の“アビリティ”の強化と、章をまたいで共通の“Perk”の強化がある。強化アイテムは探索を通じて入手でき、前者は“レリック”、後者は“ゴールデン・エース・オブ・スペーズ”と呼ばれるアイテムを消費することでさまざまな追加能力や効果をアンロックしていける。
ちなみに、ちゃんと攻撃のたびに弾薬を消費する形。弾は倒した敵から漁って回収したり、街の商人から買うといったこともできる。こういったあたりもアクションゲーム的な要素とRPG的な要素がミックスされている印象だ。
ランダム要素や、世界に影響を与える友好度などのシステムも
ミッション中のプレイヤーの選択が後に影響してくることもあり、友好度システムなども存在。これは道中で遭遇した人を助けたりすることで支持が上がったり、逆にギャングのボスを殺したことで恨みを買って襲撃イベントが起きるようになったりするというもの。
さらにランダムイベントの要素などもある程度用意されており、プレイヤーの行動による変化と組み合わさることで、プレイするごとに異なったプレイスルーを楽しめるという。
この手のゲームが好きな記者としては早く遊びたい限りなのだが、細かい発売日はまだ未定。まずは開発が仕上がっていくのを待とう。