海外インディーパブリッシャーのModus Gamesが、RPG『Cris Tales』を本日から明日にかけて各プラットフォームで順次配信開始する。

 ゲームは日本語テキストに対応しており(音声は英語)、対応プラットフォームはプレイステーション5/プレイステーション4/Xbox Series X|S/Xbox One/Nintendo Switch/PC。なおXbox Game Pass Ultimateにも対応する。

過去は左に、未来は右に。時間操作のギミックが戦闘と謎解きの双方で活躍

 本作を共同開発するのは、Dreams UncorporatedとSYCKというコロンビア系のインディースタジオ。イラストタッチの2.5Dグラフィックというスタイルで、時を操る能力を持つ少女クリスベルと仲間たちの冒険を描く。

 ゲーム的な作りは比較的オーソドックスなターンベースのRPGで、戦闘はエンカウント式。見下ろし型のワールドマップと、奥行きのあるサイドビュー気味のダンジョンや街などのマップを行き来しながら進んでいく。

Cris Tales
奥行きのあるサイドビュー画面に2Dキャラが配置されているという、2.5D系のビジュアル。アートディレクション超いい。

 最大の特徴は、クリスベルの時間操作能力だ。戦闘時や探索パートの特定のシーンで時間操作能力を発動することができ、これによって戦闘を有利に運んだり、謎解きをして問題を解決できるのだ。

 たとえば戦闘では、主人公パーティの左側に出てきた敵は過去に、右側に出てきた敵は未来に送ることができる。ちなみに探索パートでの謎解きでも、画面中央が現在、左側が過去、右側が未来という区切りなのは変わらない。

Cris Tales
左(過去)は干上がっていて宝箱がチラッと見え、中央はたまに水が流れてきて、未来(右)は水没しているという構成。

戦闘パート:時間変化による敵のステータス変動や強制時間経過によるコンボを利用可能

 それが何の役に立つのかと言うと、まずは敵のステータス変動がある。各モンスターには律儀に過去・現在・未来のモードが設定されており、時間操作によってステータスなどが変動する。なので、現在時点でそこそこ強い敵でも、過去や未来に送り込まれることで弱体化することがあるのだ。

Cris Tales
いわば全モンスターに3つの状態があるわけで、いちいち覚えるとなればめんどくさいが、一度スキャン能力で学習したものは戦闘中にいつでも詳細を確認できるようになっている。

 そしてもうひとつは、強制的な時間経過を使った効果発動やコンボだ。

 たとえば仲間のひとり“ウィルヘルム”の毒スキルは、「ヒット後に毎ターン少しずつダメージ」とか「毒植物を植えて数ターン後にグループに対して効果発動」といった性能を持つ。

 これらとクリスベルの時間操作能力を組み合わせると「現在時点で毒をしかけてから未来に送り、ターン毎のダメージをまとめて一気に与える」とか、「過去に送った敵に毒植物を仕掛け、現代に送り返して一気に発芽」といったコンボができる。

Cris Tales
ちなみに攻撃・防御はタイミングに合わせてボタンを押すことで強化可能(正直少しめんどくさかったりもする)。

 それ以外にチュートリアルパートで出てきたボス戦固有のユニークなテクだと、別の仲間の少年“クリストファー”の水スキルを利用し、「現在時点で巨大な盾を濡らしてから未来に送り、錆びさせて防御力ダウン」というものも。

 敵味方の行動順は画面上部に表示されているので、うまくやりくりして効率的にコンボムーブができるとなかなか楽しい。

Cris Tales
フォント選びも含めて、UIがスタイリッシュでよろしい。改行位置が残念だけど。

探索パート:過去を知り、未来を変える

 探索パートでは、時間操作能力はアドベンチャーゲーム的な謎解き要素のギミックとして機能している。

 ここでは、カエルの“マティアス”が過去世界と未来世界に出入りできるようになっていて、独自に行動して物を取ってきたり、過去や未来の事象を知れるというのがポイントだ。

 具体的には「現代では放置されてボロボロになっていたものを、そうなる前の過去から持ってくる」とか、逆に「植えたばかりの種子から将来生る果実を取ってくる」、あるいは「未来に見たトラブルを現在時点で未然に防ぐ」といったことができる。

Cris Tales
現在時点では怖くて強権的なエンツォ市長(中央右)だが……。
Cris Tales
青年だった過去時点では、デレながら口説いてたのが発覚。

JRPGから受けた影響をコロンビアの開発がユニークな形に昇華

 パブリッシャーや開発チームは、本作が新旧の日本のRPG作品(JRPG)からの影響を受けていることを公言しているのだが、ひと足先に少しプレイした印象から言わせていただくと「これはもうJRPGどうこうより、CRPG(コロンビアンRPGの略)って胸張って言っていいと思うぜ」という感じだ。

 というのも、どういう影響を受けているのかはありありと見て取れるんだけど、ちゃんと総合的にはオリジナルなものに仕上がっているのだ。

 特にアート面が素晴らしい。超絶かわいいイラスト調のキャラクターが3D空間でイキイキと映え、あらゆるセリフにボイスが入っているし、テキストのタイポグラフィ演出なんかもめちゃくちゃ決まっててカッコイイ(日本語版でUIに使われているフォントもバッチリ。日本語の区切りを無視したセンタリング&改行なのはもったいないけど)。

Cris Tales
Cris Tales
強く発音してる所が太字になるのとか好き。

 とはいえ、マジでこまめにセーブしておかないと序盤から全滅して盛大に巻き戻されることもあるちょっとピーキーな調整とか、ピンとこないと普通に迷いかねない曖昧な場所の説明とか、ときどき前提となる説明をすっ飛ばして急に進んでそうな話のテンポとか、壮大さを演出するためのやたら長い通路の存在とか、ちょっと甘い作りの部分や「確かにそういう作りのゲームあったけどそれをこういう形で真似しなくても」と思わないでもない部分もちらほらある。

 でも、それを上回るチャーミングな部分があるゲームだ。定価3980円とお安くはないのだが、ボリュームは公称20時間、遊び尽くすには30~40時間とされており、なかなか掘りがいがありそうな感じ。公開されている映像などを見て気に入った人は、連休やお盆休みにでもトライしてみるといいんじゃないだろうか。

Cris Tales
抽象的なデザインが取り込まれた背景&要素を見せたいものに絞った構成とか、ほんとよく考えられてる。