“心の黎明を告げるRPG”として、バンダイナムコエンターテインメントより2021年9月9日に発売予定の『テイルズ オブ アライズ』。対応ハードは、プレイステーション4、プレイステーション5、Xbox One、Xbox Series X/S、PC(Steam)。

 本作はその名の通り、『テイルズ オブ』シリーズの最新作で、これまでの路線とはひと味違う、新生『テイルズ オブ』シリーズを目指した意欲的たタイトル。そして今回、メディア向けに体験会がおこなわれ、試遊専用のバージョンのものを遊ぶことができた。試遊版は製品版とは異なり、一部の要素を切り取ってバトルや探索を体験できるものとなっている。

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 本記事では、試遊版を遊んでのレビューをお届け。なお、掲載画像は公式から事前に用意された動画から切り抜いたものとなっている。レビューの途中には、その要素を体感できる動画も掲載するので、ぜひチェックしてみてほしい。

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試遊版の仕様について

 本作は6人パーティで冒険していく、アクションRPG。試遊版は仲間が6人揃っている状態から始まり、ストーリー展開自体が製品版と異なるので、試遊用に用意されたエリアという感じ。そのためストーリーなどはほぼ体験できず、主人公のアルフェン、ヒロインのシオンたちが、どのような展開を経て冒険をくり広げているのか、というのは試遊版からは分からなかった。

 装備変更、装備作成などは可能だが、スキルを習得するスキルパネル機能はオミットされており、こちらは体験できなかった。また、シリーズおなじみの要素として料理が可能だが、どのようなシステムなのかは言及不可というルール。

 つまり、体験できた要素は、おもにフィールド探索といったRPG部分と、敵とのバトル。そのほかに、ちょっとしたキャラクターたちの掛け合いや、独特のグラフィックなどといったところ。とくにアクション面はほとんど体験できたと言っても過言ではなく、『テイルズ オブ アライズ』に期待感が持てる試遊版となっていた。

 なお、今回体験したのはPC版。ボタン表記はプレイステーション版(Xbox版)の順で表記する。

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なおキャラクター選択画面があるが、これは試遊版専用のもので、製品版にはないとのこと

絵画のようなアトモスシェーダー

 本作のグラフィックは、“アトモスシェーダー”と呼ばれる独特のスタイルが採用されている。水彩画で描かれたようなグラフィックで冒険できるのが特徴で、とくに近景と遠景で見えかたが変わるのがおもしろい要素。近景はクッキリと描かれているが、遠くはややボカして描いた絵画のようなイメージ。独創的な世界を作りだしている。

 草木や岩、建物など、さまざまなグラフィックが非常に作り込まれており、ただフィールドを歩くだけでも没入感が高く、非常にリッチな印象を受けた。

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 なお、キャラクターモデルは『テイルズ オブ』シリーズらしく、アニメ寄りのグラフィックだが、頭身が全体的に上がっていることもあり、全体的には大人びた印象。ストーリーはかなりシリアスでハードなものだが、彼らのセリフや会話というのは比較的やわらかく、冒険の中ではパーティメンバーの性格や、思わぬ一面も垣間見えた。

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会話も楽しい探索要素

 冒険は、フィールドを自由に歩き回りながら進めていく。R2ボタン(RT)でダッシュすることができ、軽快に走りながらフィールド探索が可能だ。〇ボタン(Bボタン)ではジャンプも可能で、ちょっとした段差や柵なども超えられる。

 フィールドは、いくつかのエリアに分かれている方式。画面右上にはミニマップが表示され、宝箱などの調べられるポイントも近づくと表示される。□ボタン(Xボタン)では全体マップを確認できた。

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 いたるところに鉱石や料理などに使える食材、素材などが点在しており、フィールドを歩き回るだけでもたくさんアイテムが手に入る。ときには宝箱やアイテムが手に入ることも。

 おもしろいと感じたのが、パーティメンバーたちが探索する中でさまざまなセリフを放ってくれる要素。宝箱から装備を手に入れたらそれに対して会話をくり広げたりしてくれるし、特定のスポットに対するコメントを披露することもあるのだ。

 たとえばパーティメンバーのひとり・キサラはどうやら釣りか魚が好きなようで、水辺を跳ねる魚を見て喜んだりしていた。水の中に落ちていた“アップルグミ”を拾うと、本当に食べていいのか怪しむシオンなども。細かい要素ではあるが、そういったところからキャラクター性を感じられ、新生を目指した作品ながらも、『テイルズ オブ』シリーズらしさも味わえる要素と感じた。

 なお、メニュー画面で“パーティトップ変更”を押せば、操作キャラクターを変更できる。アルフェン以外のメンバーでも、フィールドを歩き回れるのはうれしいところだ。

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プレイ動画 フィールド探索編

『テイルズ オブ アライズ』メディア向け試遊動画(フィールド探索編)

RPG部分のシステムについて

 RPG要素について、体験して分かったことを解説していこう。

装備について

 装備は武器・防具・アクセサリの3種類。武器は装備を変更すると、グラフィックも変更される。キャラクターの持つ武器の大きさによって異なる点ではあるが、たとえばキサラは大きな盾が変わり、見た目の印象がガラリと変わる。

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アクセサリ制作について

 アイテムショップではアイテムの売買ができるほか、鉱石を消費して、アクセサリを制作できる。基本性能は担保されているが、使用する素材によって得られるスキルが変わるのが特徴。素材集めと効果の吟味が楽しそうな要素だと感じた。ちなみに本作は武器も制作可能だが、今回の試遊版では触れることはできなかった。

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CP(キュアポイント)

 本作にはCP(キュアポイント)というものが存在し、これは回復系や補助系の術技専用の、パーティ共通のポイント。本作はいわゆるMP・TPに値するものが存在せず、術技での回復などはこれらを使用しておこなうもの。宿屋やアイテムなどで回復可能。上限値は、レベルアップや特定のアイテムで上がっていく。

全滅について

 もしバトルに敗北すると、一部の固定敵などを除き、そのままフィールド画面に戻される。その際に、CPを消費して回復した状態で戻るが、CPがないと体力が減った状態で戻るという仕組みだ。

術技の習得・強化について

 キャラクターごとに、3種類の術技習熟度というステータスがある。術技を使えば使うほどに習熟度が上がり、一定値に達した状態で対応した術技を放つと、バトル中に新たな術技をひらめくことがある。術技を使い込むことで、新たな技を習得していくというシステムだ。

 また、術技は合計使用回数に応じて強化される『テイルズ オブ』シリーズらしい要素も健在。一定数使うごとに★が付き、術技が強化されていく。

難易度選択について

 難易度は、いわゆるイージーモードの“ストーリー”、通常の“ノーマル”、歯ごたえのあるバトルが楽しめる“セカンド”、“ハード”の4種類。オプションメニューからいつでも変更可能で、セカンド以降はバトルスコアがより多く貰えるのがうれしいところ。

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よりアクション性の高いバトルに!

 『テイルズ オブ』シリーズといえば、アクション性の高いバトルが特徴だ。本作でもその高いアクション性は健在で、よりアクティブに動き回れるようになった印象だ。

 フィールドには敵が点在し、その敵に触れるとバトルが始まる、いわゆるシンボルエンカウントシステム。敵シンボルが突進してきたりする場合もあるが、追いかけてくるようなことはさほどなく、戦いたくなければ基本的にはスルーできるような感じだ。

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バトルの操作モードについて

 本作はバトルの操作モードが3つ用意されており、すべてを自分で入力する“マニュアル”、攻撃が当たる位置まで自動で移動してくれる“セミオート”、作戦にしたがい自動で戦う“オート”の3つが存在。アクションが苦手ならセミオートやオートを使用し、アクションを楽しみたい人はマニュアルがオススメ。今回筆者はマニュアルをメインに試遊した。

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操作について

 バトルの基本操作は左スティックで移動、右スティックで視点移動。通常攻撃はR1ボタン(RB)で、ジャンプは〇ボタン(Bボタン)。ガード(※キサラのみ)がR2ボタン(RT)、回避(※キサラ以外のメンバー)が左スティック+R2ボタン(RT)。術技は、それぞれ事前に△□×ボタン(YXAボタン)に割り当てて使用する。

 ロックオン(ターゲット)はL1ボタン(LB)で、ロックオンしながら右スティックでロックオン対象の変更が可能。短くボタンを押せば、近くの敵をロックオンする。ボタンを長押しすると、時間が止まり、落ち着いた状態でロックオン変更も可能だ。

 なお、操作キャラクターはアルフェンだけでなく、全キャラクター操作が可能だ。

術技について

 本作には“アーツゲージ”(AG)というものが存在し、バトルスタート時はAG最大値から始まる。術技を使用するとAGが消費されていく。AGは時間経過で回復するが、攻撃中は回復速度が非常に遅い。なにもせずにいると、AGはすぐに回復していく。

 術技は、事前に地上時と空中時で各3つずつセットできる。これは操作キャラクターの場合に使用するもので、仲間についてはセットせずとも全術技の中からオートで発動してくれる(一部の術技だけ発動しないなどの設定も可能)。また、メニュー画面から術技の使用を選べば、コマンドバトルかのように術技を発動できる。

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術について

 術は詠唱することで、多彩な効果を発揮する。詠唱には時間がかかり、その間に妨害されると詠唱がストップしてしまう(つまり敵の詠唱も止められる)。攻撃術からサポート用の術まで、多彩なものが用意されている。回復・補助系の詠唱については、先述の通りCPが必要だ。AG消費量は基本大き目だが、連発も可能。詠唱中はAGは回復しない。

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技について

 おもに接近戦用の攻撃手段である技は、AG消費の少なく連携を組みやすい特技と、AG消費が多いが効果の高い奥義の2種類が存在する。上昇技、下降技というものが存在し、空中や地上に移行できる技がある。それらを組み合わせて、うまくコンボを決める必要がある。

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基本的な攻撃手段・連携

 バトルではいきなり術技を使用したいところだが、本作の敵は攻撃しても怯みにくく、攻撃を当て続けると怯むようになる。そのため通常攻撃はAGを消費せずに、体勢を崩させる手段というわけだ。

 たとえば、通常攻撃で敵の体勢を崩してから、いよいよコンボスタート。そこから特技、奥義を組みあわせて、AGが尽きるまでうまくコンボを決めれば大ダメージを与えられるというわけ。本作のバトルで基本的に狙っていくのは、この連携になる(“連携”というシステム名になっている)。AGが尽きたら、いったん待って再度最大値まで溜めて、再度連携を狙う感じ。もちろん畳み掛けたければ、AG半分回復で攻撃開始してもいいだろう。

 なお連携中は、同じ術技を4回以内にくり返した場合、威力や貫通力などが減少する。さらにくり返しすぎると、最大半分まで効果は減少する。つまり、地上3つ、空中3つの術技をくり返さないように使用し、うまくAGを全消費するようなコンボを構築することが、本作の醍醐味であり、敵の攻略にもつながるというわけだ。

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バトルは4人+2人で参加

 バトルメンバーは基本的には4人までで、自由に編成可能。残りのふたりはサポートメンバーとなり、下記のブーストアタックで活躍する。

仲間の力を借りるブーストアタック

 方向ボタンで、上下左右に割り振った仲間による“ブーストアタック”をくり出せる。ブーストアタックは、“ブーストゲージ”(BG)を消費して放つ、攻撃手段のひとつだ。BGは時間経過や、後述のカウンターレイドで溜まる。

 ブーストアタックの性能は仲間ごとに特徴が異なり、たとえばシオンの“ウィングブレイク”ならば飛んでいる敵をダウンさせる、ロウの“破壊の一撃”ならば装甲を持つ敵の装甲を破壊し、さらにダウンさせるなど、敵の特徴に対する特攻属性があるものなど、その効果はさまざま。

 さらにブーストアタックは、ヒットさせるとAGが回復する。つまり連携を決めながらブーストアタックもコンボに組み込めば、さらに連携を伸ばすことができる。コンボに使うのか、それとも特性を生かして敵を打ち崩すために使うのか、といった駆け引きがあるのだ。

 なお、L2ボタン(LT)を押すと、パーティメンバー外のふたりのブーストアタックも可能。敵に合わせたブーストアタックを使用するためにパーティを変更しなくてはならない、ということがないのは、スムーズにバトルができてうれしい要素だ。

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一撃必殺のブーストストライク!

 攻撃していると、ときどき“STRIKE”の文字が出現。その際に方向キーを押すと、そこに対応したキャラクターたちが放つ、一撃必殺のフィニッシュ技“ブーストストライク”が発動可能だ。

 ブーストストライクは敵のHPが少なく、かつコンボ数が多ければ多いほど発動しやすい。なおボス格の敵などには、確実に倒すのではなく大ダメージを与えるような効果となっていた。

 アルフェンやシオン、ロウやリンウェルなど、それぞれコンビで演出が違い、これが決まるとなかなかにカッコイイ。

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ジャスト行動で反撃するカウンターレイド!

 敵を攻撃をギリギリでガードか回避すると、それぞれジャストガード、ジャスト回避となる。その際に通常攻撃をすると“カウンターレイド”となり、敵の動きが一瞬スローになって、瞬時に反撃が可能。そこから連携に持ち込むことも可能なほか、先述の通りBGも溜まる。

AGを消費しないオーバーリミッツ!

 攻撃を受けた際や、ジャスト回避に成功すると、ときどき“オーバーリミッツ”が発動する。オーバーリミッツは一定時間、AGを消費せずに術技をくり出せるようになり、連携時間が大幅に伸びるといわけ。また、オーバーリミッツ中は、敵の攻撃を受けてものけぞらない。狙って発動させるのは難しいが、発動すれば一気に敵を畳み掛けられるのだ。

キャラクターの個性が活きる“特性”

 さらにシステムは存在し、キャラクターそれぞれに“特性”というものがある。

 たとえばアルフェンは、各術技を放つ際にボタンを長押しすることで、HPを消費して、追加で炎の剣技をくり出せる。この攻撃はAGを消費しないので、より連携を伸ばせるほか、ダウン中の敵にダメージを与えやすい、という効果もある。

 シオンなら爆弾を交えた攻撃、リンウェルなら術を溜めておけるなど、キャラクターごとの特性がアクションにつながっているため、どのキャラクターもそれぞれ異なるプレイフィールを味わえるのは、かなり贅沢な仕様に感じた。

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プレイ動画 バトル編

『テイルズ オブ アライズ』メディア向け試遊動画(バトル編)

思った以上に激しいアクション!

 以上が、基本的なバトルシステム(ほかにも弱点部位や属性などもあるが、今回は割愛)。といった感じで、本作はバトルシステムがメチャクチャに多い。最初はどういうシステムなのか分かりにくいと思うが、理解すれば非常に楽しいものとなっていた。

 いかに連携を決めていくのか、敵への攻撃を考えながらアクションしていくのが楽しく、つい攻撃一辺倒になりがちなのだが、その一方で、敵の攻撃をガード、回避することも考えなくてはならないのもおもしろい要素。敵との相性を考えて攻撃、ブーストアタックしていくのも、連携しながら頭を使うところだ。

 アクションが好きな人にとっては、かなり楽しめるはず。半面、難しいと感じる人もいるだろうというほどに、システムは複雑なように感じるのも正直なところ。そこは操作モードや難易度選択で調節するといいだろう。

 今回の試遊版はおそらく、それらのアクションを一挙に体験してもらうべく用意されたもののはず。製品版では、きっとストーリーの段階を経て解放される要素もあると思うので、じっくり学びながら遊べるのではないだろうか。

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