2021年7月27日発売予定のNintendo Switch、プレイステーション4用ソフトRPG『新すばらしきこのせかい』(Epic Games Store版は2021年夏発売)。先日、物語の概要やキャラクター、バトルなどのゲーム情報が公開されたが、今回は開発スタッフインタビューをお届け。
※本稿では、前作『すばらしきこのせかい』のネタバレ部分も含んでいますので、未プレイの方はご注意ください。

『新すばらしきこのせかい』(Switch)の購入はこちら (Amazon.co.jp) 『新すばらしきこのせかい』(PS4)の購入はこちら (Amazon.co.jp)

野村哲也氏(のむらてつや)

クリエイティブプロデューサー&キャラクターデザイン

神藤辰也氏(かんどうたつや)

シリーズディレクター

伊藤寿恭氏(いとうひろゆき)

ディレクター

平野智彦氏(ひらのともひこ)

プロデューサー

――『すばせか』は続編を希望する声がつねに聞かれたタイトルでありつつも、なかなかそれが実現しませんでした。今回、14年ぶりに続編をリリースすることになったのは何かキッカケがあったんですか?

※この14年間、イベントなどにも熱心なファンが足を運んでいた。上のリポートはほんの一部。

平野たしかに、ニンテンドーDS向けに発売した第1作目から、ユーザー様からは続編のご要望は多くいただいてはいました。しかし、『すばせか』は尖った作品ということもあり、ほかのタイトルと並行して開発するのは難しいタイトルでした。ですが、アニメ化というIPに厚みを持たせるキッカケもあり、『すばらしきこのせかい -Final Remix-』(Nintendo Switch向けに2018年9月27日発売)のチームを維持して続編の開発に着手し、2021年7月にリリースできることになりました。

――『すばせか』は海外のファンも多くいる印象ですが、今回はワールドワイドでの展開ということで、海外を意識した点などはありますか?

神藤ゲームを作るうえではとくに意識していません。むしろ、舞台が日本であることを強く押し出す感じで作っています。

――アニメ『すばらしきこのせかい The Animation』(毎週金曜日 深夜1時25分からMBS/TBS系 全国28局ネット“スーパーアニメイズム”枠にて放送)も始まり、一気に『すばせか』が盛り上がっています。

野村そうですね。続編を出すならまさにこの機会しかないというタイミングになりましたね。

――本作は『すばせか』から3年後の話ということですが、ゲームとアニメで物語の違いはないですよね?

神藤アニメ版は尺の都合から、多少構成や設定などをアニメならではのものに変えているところがありますが、基本的な展開はゲームと同じです。

野村アニメに関する我々のコメントで今作を“アニメの続編”と形容したことで、「ゲームの続編ではないのか?」と一部混乱させてしまったようですが、自分たちとしては、前作ゲームのアニメ版ですので、イコールと考えているからそういう形容をしました。それ以外の他意はないのでご安心を。

神藤「ゲームの物語とは違うから今作が『2』じゃないんだ」という憶測も出ていましたが、新しい主人公たちからなるツイスターズというチームが死神のゲームに挑むということと、前作を踏まえていなくても本作から問題なく遊べることを押し出すべく、『2』ではなく『新』という表現を使っています。

――『新』というタイトルにはそんな理由もあったんですね。

野村タイトルはかなり悩みました。十数年ぶりの新作ということで、『2』とつけても前作を知らない方も多いですし、前作を遊んでいない方々にも広く遊んでいただきたいということもありました。新しい主人公である理由も同様です。自分たちも新たに『すばらしきこのせかい』を始めるという心持ちからシンプルに『新』と付けました。

――では、その新しい主人公であるリンドウのデザインのコンセプトを教えてください。

『新すばらしきこのせかい』の最新情報が公開。新たなキャラクターの詳細や各種ゲームシステムなど

野村ネク(前作の主人公)がヘッドホンをしているというのは、『すばせか』にとって大きなアイキャッチになっていました。そのネクの後を担うキャラということで、同じようにキャッチになるアイコンが必要だなと考えました。

――ネクは人との関わりを避けたいタイプで、その象徴がヘッドホンだったわけですが、リンドウのタイプを表しているのが……マスクですよね?

野村はい。リンドウは当初、自分の言葉を直接口に出さず、SNSを通して発するタイプのキャラクターという設定だったので、マスクはその象徴になっています。ただ、実際のゲームではフレットの影響もあって、それほど無口ではないです(笑)。

神藤自分の意志ははっきりと言わないというか、決断は他人に委ねちゃうようなところがありますね。

――いまのコロナ禍の世の中を反映しているのかと思いました。

野村リンドウをデザインしたのはコロナ禍になる前だったので関係はありません。リンドウは前述通りの設定で、マスクはネクのヘッドホンと同じく、他者との距離感の表現でした。まさかマスク姿が当たり前になる世の中がくるとは思いませんでしたね。

『新すばらしきこのせかい』の最新情報が公開。新たなキャラクターの詳細や各種ゲームシステムなど

――死神のゲームは前作からルール変更があるようですが?

神藤すばらしきこのせかい -Final Remix-』で追加した新エピソード“A NEW DAY”では、新宿が消滅するといったことが判明するのですが、本作ではネクたちとの戦いを経て死神が手薄になった渋谷に新宿にいた死神たちがやって来ます。その後、新宿死神のシイバがゲームマスターを務める新たな死神のゲームが始まる、といった理由から、ゲームのルールは前作とは変わることになります。

――ルールが違うから死神バッジのデザインも違うと。

神藤そうですね。

野村死神バッジについては、あることに気づいた方もいらっしゃるようですね。

――? 

『新すばらしきこのせかい』の最新情報が公開。新たなキャラクターの詳細や各種ゲームシステムなど
20210422145329
スクリーンショットと発売日告知トレーラーの死神バッジはデザインが違う!?
※右画像はトレーラーをキャプチャしたものです。

――リンドウには“リスタート”という固有のサイキックがありますが、ほかのチームメンバーにも固有のサイキックがある、ということですよね?

神藤はい。死神のゲームは、今回は、それらのサイキックを使って切り抜けていくことになります。

野村チームのメンバー全員に固有のサイキックを持たせて、能力名が通り名になっているという設定を当初は考えていました。

『新すばらしきこのせかい』の最新情報が公開。新たなキャラクターの詳細や各種ゲームシステムなど

――メンバーとのやり取りもコミック風でおもしろいですね。あと、ナギがいい味を出しているというか(笑)。

野村海外メディアのインタビューを受けた感じでは、ナギが人気なようですね。彼女をデザインしたのは本作から加わった山下美樹というスタッフで、フレットは小林 元が担当しています。3人でデザインすることで、ひとりだけでは出てこない発想と個性が際立つデザインに仕上がっていると思います。

『新すばらしきこのせかい』の最新情報が公開。新たなキャラクターの詳細や各種ゲームシステムなど

――パッケージイラストには新宿死神からショウカが描かれていますが、彼女はどなたが?

野村自分ですね。

――パッケージに入ってるということは……?

野村(平野氏を見ながら)ほらそうなるでしょ?(笑)

平野そこはあまり掘り下げないでおきましょう(笑)。

野村今回は、パッケージデザインにかなり頭を悩ませました。というのも、登場キャラクターもかなり多いですし、ストーリーに秘密も多いので。

宣伝担当 もうそのへんで(笑)。

『新すばらしきこのせかい』の最新情報が公開。新たなキャラクターの詳細や各種ゲームシステムなど

――では、バトルについてうかがいます。今回はチーム戦とのことですが、トレーラーなどを見る限り、最大4人のように見えますがいかがでしょう?

野村はっきりとはお答えできませんが、4人以上とだけ言っておきます。

――あ、なんと! ルーインはススキチとツグミのふたりしか発表されていませんが、メンバーが発表されていないだけで、各チーム人数は同じなのでしょうか?

神藤チームごとに人数はバラバラですね。

――チームバトルは3対3、もしくは4対4など、人数を合わせて行うものなのですか?

神藤そういうわけでもないです。

――なるほど……。まだいろいろと明かせないことがありそうですね……。バトルでは、各メンバーにセットしたバッジのサイキックが使用できるようですが、『すばせか』ではタッチパネルでの直感的な操作が特徴的でした。本作ではどんな操作感に?

伊藤バッジひとつにつき、ひとつのサイキックが備わっているのですが、どのボタンでどのバッジのサイキックを発動するかというのが紐付いています。たとえば、あるボタンを連打で連続攻撃、また違うボタンを長押しで炎を出す、といった感じですね。複数のサイキックを同時に発動することも可能です。

――同時に!? それは気持ちよさそうですね!

伊藤サイキックを同時に発動すると、複数のキャラクターがいっせいに動くので、リアルタイムのチームバトルのような雰囲気も出ると思います。敵を打ち上げてから岩を落とす、といったコンビネーションも可能ですし、かなり爽快感のある作りになっています。

野村前作は操作もすごく斬新だったと思うのですが、今回はそれをどこに求めたかというと、“全員を同時に操作できる”という点ですね。

――ムービーでは、大きなノイズとバトルしているシーンも印象的でした。

伊藤プレイヤーがキャラクターの操作に集中できるように、適宜カメラが動いて敵を映してくれていたり、見た目にも派手なバトルが楽しめます。バトルのカメラの動きはかなりこだわったところですね。その甲斐もあって、バトルの中毒性は前作以上じゃないかと思います。

野村いま出ているムービーだと少しわかりにくいかもしれませんが、今後公開する予定のものでは、いま説明した要素を実感していただけると思います。

『新すばらしきこのせかい』の最新情報が公開。新たなキャラクターの詳細や各種ゲームシステムなど

――楽しみです。『すばせか』といえばコーディネートを意識した装備なども重要でしたが、そのあたりの要素は本作でも?

伊藤はい、いろいろなブランドがあるところなどは前作を踏襲していますし、システムとしては刷新している部分もあります。キャラクターがファッションアイテムを装備したときに条件を満たしていれば、その服が持つアビリティが発動するようになっていたりしますね。それから本作の新しい要素としては、キャラクターボードという人間関係相関図に似た特徴的な仕組みがあります。

――人間関係相関図?

伊藤はい。これはストーリーが進んだり、サブイベントをクリアーするなどして多くの人と関係していくことで完成するスキルツリーのようなものです。相関図に載るキャラクター個々にリワードが割り振られており、それらを開放・獲得していきます。

――それはユニークなシステムですね。どこから着想にいたったんですか?

伊藤ちょっと変わったスキルボードがほしいと思って考えました(笑)。

神藤人間関係というのは、前作ではそれほど深く掘り下げられなかった部分でもあったんですね。それを折り込みつつ、メリットもあり、出会ったキャラクターとの関係もわかるということで、かなりおもしろいものに仕上がりました。

野村斬新なシステムというのは、『すばせか』では担保しないといけない部分だと思っていますので、楽しんでいただけると思います。

――『新すばせか』でも、斬新な仕組みがいろいろと盛り込まれているんですね。では、最後に今後へ向けてひと言ずつアピールをお願いします。

伊藤『すばせか』の中毒性、奇抜さを維持しながら、寄り道せず進めてもエンディングまで50時間はかかると思いますし、やりこみ要素も半端ではないので、たっぷり楽しめるボリュームも満点な作品になっていると思います!

平野本作も石元さん(石元丈晴氏)に音楽を担当していただき、約30曲の新曲、過去作でも人気だったものが20曲ほど収録されています。音楽のほうにもぜひご注目ください。また、『すばらしきこのせかい -Final Remix-』のDL版のセールを2021年5月5日まで実施していますので、ご興味があればこちらもお願いいたします。

神藤『新すばせか』は、アニメが終わってすぐのタイミングでの発売になりますので、高いテンションを維持してゲームをプレイしていただけるのかなと思っています。初めて『すばせか』に触れる方、前作を遊ばれた方、アニメから入られた方、皆さんが楽しんでいただける内容になっていると思いますのでご期待ください。

野村ストーリーのほうは仕掛けが多く、なかなか事前情報では語りにくいところもあるのですが、ゲームシステムは先ほど話の通り、今回もかなり斬新なものも盛り込んでいます。すでに新キャラクターを多数公開していますが、まだ未公開のキャラクターも複数いますので、続報、追加情報を楽しみにお待ちください。

新すばらしきこのせかい_キービジュアル