2021年4月16日にYouTubeにて公開された“バイオハザード・ショーケース|April 2021”。この放送にて、Facebook社から発売されるVRヘッドマウントディスプレイであるOculus Quest 2版の『バイオハザード4』が発表された。
本作はオリジナル『バイオハザード4』とは異なり、プレイヤーのカメラが一人称視点で展開するのが最大の特徴。
主人公レオンが見たままの視界で、恐怖の戦いを体験できるようになる。
本記事では、『バイオハザード』のシリーズプロデューサーである川田将央氏にインタビュー。Oculus Quest 2版『バイオハザード4』について、その内容を伺った。
川田将央(かわたまさちか)
『バイオハザード』シリーズ全体を取りまとめるシリーズプロデューサーとして活躍。2021年5月8日には、最新作の『バイオハザード ヴィレッジ』の発売を控えている。
――まず、VR版『バイオハザード4』のプロジェクトが立ち上がった経緯から教えていただけますでしょうか。
川田今回のプロジェクトは、Oculus Quest 2を販売するFacebook社からまず提案をいただきました。それは、Facebook社がいちばん気に入っている『バイオハザード4』をVRゲームとしてリリースしたいというものでした。なかなか開発難易度の高そうな挑戦だと最初は思いましたが、最初からパッションをすごく感じたこともあって、カプコンとして許諾し、現在鋭意制作中となっています。
――製作はFacebook社が行っているのでしょうか?
川田そうです。製作はFacebook社、開発はArmature社で行われています。カプコン側ではライセンサーとして、監修業務を行っています。
――『バイオハザード』にはナンバリングを含めてさまざまな作品がありますが、その中から『4』が選ばれた理由について、どのようにお考えでしょうか。
川田『4』は、シリーズの中でも革新性の高いタイトルであったということが大きいと思います。Oculus Quest 2でVRゲームとしてリリースすれば、これまでには体感したことのなかった、まったく新しい『バイオハザード4』になる。そういった意気込みを、Facebook社のお話からは感じました。
――一人称視点でプレイできる『バイオハザード』としては『バイオハザード7 レジデント イービル』がありますが、『7』でなくてあえて『4』を選ばれたのにはどのような理由が?
川田『7』よりも、まだVR化されていないタイトルをリリースしたいというのが、Facebook社の強い意向でした。
――なるほど。『4』のカメラワークは、『バイオハザード7』のアイソレートビューに近いものでしょうか? それとも根本的に違うものになるのでしょうか?
川田基本的なビューは一人称視点となるので、見た目は近いと思います。ですが、ゲームシステムは根本的に違っていて、Oculus Quest 2の機種、特性に沿った形のアレンジがなされています。プレイしていただくと、違いを感じていただけるのではないかと思います。
――事前に伺った情報では、Oculus Quest 2のタッチコントローラーを使用して操作することがわかっていますが、具体的にどういったものになるのでしょうか?
川田銃を構えたり、ナイフを振るといった操作を、ボタンではなく実際のプレイヤーの動きで行います。コントローラを持って銃を構えるように手を動かすと、ゲーム中のキャラクターも、銃を構えるといった形です。VRゲームならではの遊びを感じていただけると思います。
――従来の『4』にはQTEのシーンもありました。VR版ではどういったもの(操作)になるのでしょうか?
川田こちらも、VRゲームとしてマッチする形にアレンジをしています。
――従来の『4』ではボタンの連打などで行っていたQTEが、べつの操作になったりするのでしょうか?
川田そうですね。すべてのQTEのシークエンスがそうなるわけではないのですが、コントローラを動かす操作で危険を切り抜けたりといったシーンも登場します。アクションのやりかたを始め、体感できるプレイ体験がガラッと変わっていますので、『4』をやり込んだ人でも、新鮮な気持ちでプレイしていただけると思います。
――VR版でも、アタッシェケースでのアイテム管理や、ショップでのアイテム購入のシステムは健在ですか?
川田システム的にはそのまま存在していますが、扱いかたがVRゲームにマッチしたものになっています。
――従来の『バイオハザード』作品をVR化することについて、とくに苦労されたことをお聞かせください。
川田三人称視点から一人称視点に変化すると、カメラだけでなくいろいろなところを調整しないといけなくなるので、まったく新しいゲームを作るのと同じような手間暇がかかります。その点はFacebook社もすごく苦労されているところかなと思っていますが、彼らにはVRゲームを作る多くのノウハウがありますので、こちらとしても『バイオハザード4』のVR対応をまずはお任せしています。
――本作はOculus Quest 2専用のゲームとのことですが、Oculus Quest 2ならではの利点はどんなところだとお考えでしょうか?
川田いろいろありますが、解像度が高くてワイヤレスで遊べるという快適性はとくに大きな魅力だと考えています。
――VR機器、およびVRコンテンツは日々進化を続けていますが、ご自身としては、今後のVRについて進化を期待していますか?
川田現在は、リモートでお仕事をされている人が多いと思いますが、会議などをVRで行えるようになるとおもしろいのではないかなと思っています。これまでに行っていたリアルな会議に近いものが体験できるのではないかと。
――まだ開発真っ最中だと思いますが、『4』の完成に向けての意気込みをお願いいたします。
川田皆さんがご存じの『バイオハザード4』が生まれ変わってVRゲームになり、いままでに誰も体感したことのないゲームに仕上がってきているのではないかと思っています。Facebook社とArmature社が一生懸命開発してくださっていますので、自分も楽しみにしながらリリースの日を待ちたいです。VRで見るアシュリーの実在感なども、感じていただければ幸いです。
――VRで見ると、アシュリーのかわいさもより一層引き立ちそうですね。
川田そうですね。最初の村にしても、こんな形で実際に空間が広がっていたのかと、改めて皆さんビックリされると思います。順調に開発が進めば、やり込んだコアなファンの方にも楽しんでいただけると思いますよ。
――最後に、『バイオハザード ヴィレッジ』のコメントも、ぜひ!
川田現在はプロモーションの追い込み時期ということで、非常に多くの情報をリリースさせていただいています。こんなに情報を溜めてからPRを行うのは初めてじゃないかな(笑)。『ヴィレッジ』については、開発もすでに完了しており、あとは発売を待つばかり……という状態ですね。もちろんゲームの中身も我々が自信をもって発売できる内容に仕上がっていますので、期待してお待ちいただければと思っていますし、ひとりでも多くの方に楽しんでいただけることを期待しています。