バンダイナムコエンターテインメントより、発売中のプレイステーション4、Nintendo Switch、Xbox One、PC用ソフト『リトルナイトメア2』(プレイステーション5版とXbox Series X|S版は2021年発売予定)。本作は、主人公である少年“モノ”が、黄色いレインコートをかぶる少女“シックス”とともに、不気味な世界を冒険していくサスペンスアドベンチャー。独特な世界観での探索や謎解きが魅力の一作だ。
ここでは、同作のプロデューサーを務めるバンダイナムコエンターテインメントヨーロッパのルカ・ルッセル氏へのメールインタビューをお届けする。インタビューでは、本作開発のいきさつやこだわったポイントなどを教えてもらっている。日本のユーザーに対する感謝も語られているのでご確認されたし。ソフトの発売前におこなったメールインタビューのため、発売後に明らかになっている要素で、インタビューでは明確には言及されていない箇所もあったりするのだが、“未プレイの方へのガイド”という意味合いも込めて、お楽しみいただければ幸いだ。
『リトルナイトメア2』(Switch)の購入はこちら (Amazon.co.jp) 『リトルナイトメア2』(PS4)の購入はこちら (Amazon.co.jp)ゲームプレイに多様性を持たせるために注力した
ルカ・ルッセル氏
BANDAI NAMCO Entertainment Europe
ゲームプロデューサー
――まずは『リトルナイトメア2』を開発するにいたった経緯からお教えください。『1』の好評を受けて『2』の開発がスタートした感じでしょうか。
ルカ『2』については、『1』発売以前から検討していました。もちろん、『1』が評価されることが前提ではありましたが、私たちは、『1』の開発時からこの新しいIP(知的財産)には、ストーリー、キャラクター、ロケーション、冒険などのすべてにおいて、さらに展開させていける手応えを感じていたので、シリーズを継続したいと考えていたのです。結果として、『1』を評価していただき、『2』がリリースできることになったのは、うれしいことでした。
――『リトルナイトメア2』を開発するにあたっての方針をお教えください。『1』では、ルカさんがインタビューに答えて、「私たちの小さいころの記憶、とくに“悪夢”をモチーフにしている」「自分の想像力で物語を作ってほしい」と発言されていましたが、『2』は『1』のコンセプトをベースとしつつも、さらに発展させていった形でしょうか?
ルカ『リトルナイトメア2』をプレイしていると小さいころに学校や病院で感じた恐怖を思い起こす方がたくさんいらっしゃるでしょう。そういう意味では『1』を継続していると思います。しかし、今回は探索の楽しさを味わえる屋外の環境を取り入れることにしたので、新しい角度から取り組む必要がありました。ただ、“深林”や“ペイルシティ”などでは、『1』の“モウ”のような重苦しさが感じられるようにしたいと思いました。これが本作の主体となるデザインのひとつであり、アーティスティックな挑戦でした。
――上記方針を踏まえて、『リトルナイトメア2』でもっとも大切にしたポイントをお教えください。
ルカもっとも重要だったのは『リトルナイトメア2』をつぎのレベルへ進めることでした。私たちは、ゲームの規模を拡大し、探索の幅を広げ、相棒のシックスやバトルシステムのような重要なフィーチャーを加え、ストーリーをより奥深いものにするためにたいへんな努力をしてきました。同時に会話もなくUI(ユーザーインターフェース)もほとんどなく、ナラティブで引っ張っていくアドベンチャーという『1』の本質を維持しなくてはなりませんでした。結果的にゲームプレイと美しいアニメーション、高揚、感動する瞬間だけでなく、数々の恐ろしい出会いを通じてひとつのストーリーが語られています。
――『2』を開発するにあたって、前作のよさを活かして踏襲した点と、前作のフィードバックを受けて、演出やシステム面で変えた点、アップグレードした点などありましたら、お教えください。
ルカ『1』では、愛らしいキャラクターと不気味な雰囲気を巧みに表現したアートディレクションが高く評価されました。そこでこの強みを生かしてコンセプトをさらに掘り下げたいと思いました。『1』は短すぎると感じたプレイヤーもいたようですので、本作ではより長く経験を楽しんでいただけるようにしました。これはゲームプレイに多様性を持たせなければできないことでした。
また、シックスを相棒とすることで、謎解き要素のバラエティーを増やし、より複雑なものも取り入れることができました。バトルではさらに多くのアクションが楽しめるようになっています。ただ、誤解しないでいただきたいのですが、柄杓やパイプを振り回せるからといって誰かを倒せるわけではありません。子どもがいるべきではないワールドの中に子どもとしているという不均衡は感じられます。探索が多くなったことで、カメラシステムも改善されていますので、前作のドールハウスのような特徴は保ちつつ、カメラワークの奥行きやズームインをより多く取り入れることで、作品としての魅力をさらに高めています。
――本作では、相棒のシックスといっしょに行動するということがひとつの特徴かと思いますが、相棒と行動するシステムにした理由をお教えください。
ルカ恐ろしい旅なので相棒がいてくれたらおもしろくなるのではと思ったからです(笑)。しかし、それ以上に相棒はストーリーテリングとゲームプレイメカニズムにおいて多くの可能性を与えてくれると考えました。この世界にはシックス以外にも子どもたちがいることを知ってほしかったということもあります。モノのような新しいヒーローを紹介することで、本フランチャイズに新たな視点が生まれました。
――ホラーゲームにおいて、相棒(シックス)の存在は恐怖をやわらげてしまいそうな一面もあるかと思います。怖さを維持するためのバランス調整において工夫した点はありますか?
ルカおっしゃる通りやわらげてくれるときもありますが、つねにそうなるわけではありません。ワールドとエネミーの怖さから言って、相棒が加わったために怖さを調整する必要は感じませんでした。ゲームの中で群を抜いて怖いチャプターは病院だと思いますが、シックスはほとんどいっしょにいてくれますよ。
――主人公のモノについて、お話できる範囲で教えてください。
ルカモノは紙袋を被ったひとりの少年で、私たちの新しいヒーローです。いまはそれだけ知っていれば大丈夫です(笑)。あとは、実際にご自身でゲームをプレイして見つけてください。
――学校、病院などのステージがありますが、全部で何ステージほどになるのでしょうか? ロケーションでこだわった点などありましたら、お教えください。
ルカはい、森、学校、病院のステージがあります。またチャプターとチャプターのあいだで町を探索することになりますが、町は独立したセクションにも入っています。最後のチャプチャーはまだ公開していませんが、それは何なのかは想像できると思います。ひとつひとつのキャラクターは多様な環境を持っているというのは重要なことですので、ここで申し上げておきたいです。たとえば“深林”は単にひとつの森というわけではありません。ハンターのキャビンと小屋があり、そこを訪れることになりますし、沼の湿り気を感じる場面もあります。ほかに比べてとくに詳細に描かれたステージというのはないと思います。アートチームはそれぞれのチャプターの特徴を明確にして、訪れた人がユニークな場所と感じるようにするために素晴らしい仕事をしてくれました。
――本作でも個性的なキャラクターが多数登場するかと思いますが、とびっきり注目してほしいキャラクターをお教えください。とくにどんなところに注目してほしいですか?
ルカ『リトルナイトメア』はひとつひとつ丁寧に作られていますが、環境のビジュアルにも同じように注意を払っています。オンラインではすでにいろいろな理論が出ていますが、『リトルナイトメア2』のキャラクターはペイントされたキャラクターなのか、あるいはマスクなのかはトレーラーやビデオで見ることができます。『リトルナイトメア』は詳細をたいへん大事にしていますが、プレイヤー自身がそれを見つけて、自分なりの結論を導き出せるようになっています。従って私からはとくに注目してほしいところは指摘しないことにします(笑)。
――前作以上のボリュームとのことですが、前作よりどれくらい増えていますでしょうか? また、本作のプレイ時間をお教えください。
ルカ『2』は『1』の約2倍の規模になっています。プレイ時間はプレイヤーの経験、また探索にどれだけの時間を費やしたいか、最後まで一気に進みたいかによって異なりますね。
――本作の時系列は『リトルナイトメア』よりも前なのか後なのかに関して、ルカさんによると「ユーザーの想像に任せる」とのことでした。それはやはり「自分の想像力で物語を作ってほしい」という意図によるものかと思われますが、それをさらに一歩踏み込んで、本作の時系列を『1』の前とするか後にするかで、ゲームの味わいがどのように変わってくるのでしょうか?
ルカいまは、コミュニティーではいろいろな理論が展開され、なぜ『2』が『1』より前なのか後なのかを説明してくれるのを見て楽しんでいます。コミュニティーがこのようにゲームに興味を持ち、発売を楽しみにしてくれているのは素晴らしいことです。ゲームが発売されれば、少なくともゲームの隅々まで時間をかけて楽しんだプレイヤーには、『2』が『1』の前なのか後なのかは明確になると思います。
――そのほか、『2』において、「ユーザーの想像に任せる」ために気を配った点をお教えください。
ルカストーリーをあまりに不可解なものにしたくないので、ゲームの中ではとくにそうしたことはしていません。しかし、先日『リトルナイトメア』コミックスの最初のエピソードをリリースしたのですが、その中で『2』のモンスターを含めて、私たちのユニバースにいるほかのキャラクターたちをご紹介しています。このような形でファンとの関わりを深め、ファンはストーリーのあいだにある点を繋いでいくことができます。
――前作ではDLCコンテンツが登場しましたが、本作でも追加コンテンツは予定していますか?
ルカ現在は『2』の発売に集中していますので、今後の予定をお話しするには時期尚早です。
――最後に、『リトルナイトメア2』を楽しみにしている日本のファンに向けてのメッセージをお願いします。
ルカこのプロジェクトを開始した際はおもに欧米の人たちを対象にしていたと思いますが、ユニークな外観とゲームプレイは日本でも受け入れられるのではないかと思いました。ありがたいことに日本の本社が日本での『リトルナイトメア』の発売を支持してくれ、期待された以上の結果を出すことができました。日本のファンのサポートとご厚意の賜物です。
最後に日本に滞在した際にゲームが店頭に並んでいるのを見てとても誇らしく思いました。『リトルナイトメア2』への期待はさらに高まっているように感じますので、日本のファンの皆さんに喜んでいただける経験をお届けできるよう精一杯がんばってきました。そしてもちろんこのゲームで、さらに多くの日本のプレイヤーがこのユニバースを発見してくれることを願っています。応援よろしくお願いします!