Devolver Digitalから配信中の2Dアクションアドベンチャーゲーム『Olija』(オリヤ)を紹介しよう。本作はプレイステーション4/Xbox OneおよびSeries X|S/Nintendo Switch/PCで配信中。日本語にも対応している。

どこか洋ゲーっぽくもあり和ゲーっぽくもある、どこにもないカッコ良さ

 本作を開発したのは、京都のスケルトンクルースタジオ。本作ではフランス出身のトーマス・オルソン氏を中心に、多国籍チームによって作り上げられている。

 そんな経緯もあってか、独特な淡い色合いのドット絵調のビジュアルや、どこかエキゾチックで侘び寂びのある世界観、時にローファイだったりジャジーだったりするサウンドなど、ユニークなセンスが炸裂。そんな中にどこか海外ゲームっぽい部分と日本っぽい部分が同居した、圧倒的にオリジナルな作品となっている。

Olija
省略を効かせつつダイナミックに描かれるカットシーンのアニメーションなどは、往年の名作『アウターワールド』の影響を感じさせる。
Olija
空気感が絶妙。このシーン、スパニッシュギターっぽいのが鳴ってて東西の侘び寂びが凝縮されてる感じなんスよ。

 ……とまぁこんな感じに紹介していくと、「要は海外インディーでたまにある雰囲気ゲーだろ?」と邪推する方もいるかもしれない。っていうか記者も海外のゲームイベント(Day of the Devs)でちょっとだけデモをプレイした際に実際そうなんじゃないかと思ったりもした。

 でも完成したゲームを遊んでみると、2Dアクションアドベンチャーゲームとして、ただの雰囲気ゲーに留まらないしっかりした作りになっているのに驚かされた。じゃあどんなゲームなのか、その辺を説明していこう。

遠き祖国を目指す異邦人の冒険

 本作の主人公ファラデーは、とある国の若き領主。貧しき国を救うために配下と航海に出たものの、不慮の事故により船は難破して見知らぬ土地“テラファージ”に漂着してしまう。

 というわけで彼の目的は、唯一の頼りとなる魔術的な力を秘めた“影の門”を通じて生き残った仲間とともに祖国へ帰ること。そのために島々を冒険して封印された門を解放する鍵を集めてまわることになる。

Olija
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最終目的地の影の門を開けるために、ファラデーは各地を回って鍵を集めていくことになる。

 そしてファラデーは、その冒険の過程でさまざまな人々に出会う。奇妙な風習を持つ現地民族、ファラデーが向かう先々で亡者に音楽を捧げている謎の男、そしてタイトルにもなっているオリヤ姫もそのひとりだ。

 なぜか囚われの身となっていた彼女を救ったファラデーと、お付きの人々に護られたオリヤの忍ぶ恋も、本作の話の軸のひとつとなっている。

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オリヤをひと目見るために警備をかいくぐってきちゃったファラデー。道中にはしばしばオリヤステージが用意されている。
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名もなきNPCたちも、妙に癖のある連中ばかり。

伝説の銛の能力で探索と戦闘を切り抜けろ!

 ゲームとしては、謎解きなどもしながら各マップの奥を目指す探索アドベンチャー要素と、その道中でのコンボアクションの戦闘要素で構成。その中で軸となるのが、ファラデーが引き寄せられるように出会う伝説の銛だ。

 このに銛は刺さった場所に瞬間移動できるという能力があり、プラットフォームアクションとして銛の力で移動していくこともあれば、戦闘時の立ち回りのカギともなる(敵に刺されば移動攻撃ができる)。

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銛の能力は回避にも使える。ちなみに攻撃ボタン連打で出る基本コンボは弱いので、銛を使って好ポジションを取りながら強力な攻撃を放っていくと倒しやすい。まさに攻防一体。

 またステージによっては銛を使った連続ジャンプを使って進まなくてはならない場所があったり、銛でだけ行ける隠しエリアにアイテムが置かれていたりもする。

 こういった装備はほかにもあり、話が進んでいくと新たな装備がアンロックされ、それを使って解くパズルが増えたりもするという、探索アクションでおなじみの形がしっかり組み込まれている。

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連続ジャンプを使わないと進めない場所もある。

ライトな収集&クラフト要素も。コンパクトに詰まった豪華な作り

 ゲームクリアーまでは、4~5時間といったところ。1ステージも割と短めだったりするのだが、ドット絵スタイルのアニメーションカットシーンが組み込まれていたり、ワンオフのトラップ演出が仕掛けられていたり(結構驚く)と、コンパクトながら作りはゴージャス。

 探索&戦闘にひと味加える軽めの収集&クラフト要素も用意されていて、囚われている生存者を発見して解放すると拠点が少しずつ賑やかになったり、集めた素材で体力増強や特殊効果を持つ“帽子”装備を作れたりもする。

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帽子は体力回復能力がついていたり、攻撃系のサブ効果がついていたり。
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冒険が進むと拠点もささやかながら賑やかに。全員救いたいね。

 というわけで、独特な美的センスが炸裂しまくりつつ、単なる雰囲気ゲーで終わらない、中身が詰まった作品となっている本作。無茶に見えるシーンも落ち着いて立ち回ればなんとかなったり、しっかりと作られているので、映像などでピンときた人はぜひトライしてみて欲しい。