ファミ通.comの編集者&ライターが年末年始のおすすめゲームをひたすら紹介する連載企画。古屋陽一がおすすめするタイトルは、Nintendo Switch、プレイステーション4、Xbox One、PC用パズル・アドベンチャー『Carto』です。
【こういう人におすすめ】
- 頭を悩ませるゲームが好きな方
- 旅好きな方
- ほのぼのしたストーリーを楽しみたい方
古屋陽一のおすすめゲーム
『Carto』
- プラットフォーム:Nintendo Switch、プレイステーション4、Xbox One、PC
- 配信日:2020年10月27日
- 配信元:Humble Games
- 価格:2050円[税込](Xbox One版は2350円[税込])
- ダウンロード専売
『Carto』は(“カート”と読む)、台湾の開発会社であるSunhead Gamesによるパズル・アドベンチャー。記者は、Xbox Series X|Sをプレイしていて、Xbox Games Passのタイトルラインアップにあるのを見つけて、「評判もいいし、ビジュアルもほのぼのとしていて好みだから、ちょっと遊んでみようかしら……」と軽い気持ちで始めたところ、大いに気に入ってしまった1作だ。
ちなみにちょっと蛇足になるが、このXbox Games Passというのが極めて便利で、「このタイトル、とても気になるけど、買うかどうするか迷うなあ……」というときにラインアップに入っていると、ついついうれしくなって手にとって(ダウンロードして)しまう。“つまみ食いしながら好きなゲームが探せる”とはよく言ったものだけど、気になるゲームをちょっと試してみるには絶好のサービスだ(『Carto』は、マルチプラットフォームで楽しむことができます)。
地図の欠片を配置して進むべき道を切り開く
というわけで、『Carto』である。『Carto』のストーリーは、”ヒロインの女の子(カート)が、はぐれてしまったおばあさんを探すために冒険の旅に出る”という、ある意味一般的なプロットながら、同作最大の特徴はそのゲーム性にある。記者もプレイするや、思わず即座に引き込まれてしまったゲーム性というのは、地図の欠片をつなぎあわせて、カートが進むべき道を見出していくというパズル要素。
言葉にすると中々に難しいのだが、ゲームプレイは“カートがフィールド上を冒険する”のと、“世界を俯瞰して地図の欠片を配置する”という、いわゆる神の視点を交互にくり返すことによって進めることになる。具体的に言うともう少しはわかりやすくなるのではないかと思うのだが、カートがフィールド上に落ちていた白い紙の破片を拾うと、神の視点で地図の欠片を置くことができるようになり、欠片を配置すると、フィールド上で移動できる場所が増えていくといった感じだ。
『Carto』では、いかに欠片を集めて、冒険できる場所を増やしていくかというのがキモとなる。
地図の欠片を増やす方法は、フィールドに落ちている白い紙の破片を集めるだけではなく、多種多彩で、欠片をうまく配置したら新たに行ける場所が増えるというやりかたもある。さらには、地図の欠片もただ置けばいいというわけではなく、つながりあう土地の種類が共通していないと配置できなかったりする。
物語を先に進めるために知恵を絞らないといけないパズル要素が満載なのだ。
地図で道を発見したかのような楽しさ
頭を悩ませるタイプのゲームが大好物な記者にとって、『Carto』はもともと嗜好に合っていたりするのだが、さらに楽しかったのが地図の要素。『Carto』において、地図を「ああでもない、こうでもない」と当てはめる作業は、旅が好きな記者にとって、パズルを解く楽しさに加えて、さながら旅をしているかのような不思議な感覚を伴ってくる。あたかも、地図で見つけた道にふらりと立ち入ったら、素敵なスポットに遭遇してうれしかった、といったような……。
ちなみに、カートの名前は“地図製作者”のカートグラファーから取られているようだ。
そして、旅の醍醐味である“新しいものとの出会い”と親しい感覚が味わえる『Carto』において、欠かせないのが魅力的なキャラクターたちの存在。まあ、魅力的なキャラクターは、どの物語においても不可欠なものなのだろうが、本作にも、『Carto』ならではの存在感をもった飄々としたキャラクターがつぎからつぎへと登場してくる。引き続き旅の比喩を用いるのも恐縮だが、旅先で魅力的な人たちと出会うような……。
知恵を絞って作った地図の世界を旅して、不思議なキャラクターと出会いながら冒険をしていく。『Carto』は、そんな独特な楽しさを持つパズル・アドベンチャーだ。