12月15日に正式サービスが開始された、セガとディライトワークスによる共同制作タイトル『サクラ革命 ~華咲く乙女たち~』(以下、サクラ革命)。『サクラ大戦』シリーズの未来の可能性のひとつが描かれる本プロジェクトは、どのような経緯や意図で始動したのか。開発スタッフ3名の本作にかける熱意や想いなどが語られた、メディア向け体験会トークセッションのリポートをお届けしよう。

これもまたひとつの『サクラ大戦』。正式サービスが開始された『サクラ革命 ~華咲く乙女たち~』開発物語

池 大輔(いけ だいすけ)

ディライトワークス 開発ディレクター

岡村 光(おかむら こう)

ディライトワークス プロデューサー

木原 卓(きはら たく)

セガ プロデューサー

ディライトワークスの企画提案により産声を上げた『サクラ革命』

木原もともとは、5年ほど前に「セガのいろいろなゲームをスマートフォンで作ろう」という流れからプロジェクトが始まりました。 そのときは子どものころから遊んできた『サクラ大戦』を単純にスマートフォンゲーム化することに違和感があったのですが、 家庭用の新作として『新サクラ大戦』(2019年12月12日発売)が計画されている、つまりシリーズのファンが楽しめる新作が出る。であるなら、“シリーズのよさを伝え、つなげるためのゲーム”を作ろうと決めました。

 開発パートナーとしてディライトワークスさんも候補に挙がっていたのですが、条件が合わず、一度お断りすることになりまして……。 ただ、お断りしたあとに、 ディライトワークスさんから相当熱い提案があり、当初考えていた企画とは違うものでしたが、魅力的な内容でしたので、開発をお願いすることにしました。その当時から掲げられていた“日本、 奪還。”というテーマをきっちり守り、現在も開発を続けています。

岡村“日本、奪還。”は、かなりインパクトのある言葉だと思いますが、インパクトだけではなく、いろいろな意味や想いが込められたキーワードになっています。

“『サクラ大戦』らしさ”を抽出しスマートフォン向けの新規シリーズを開発

木原いままでのシリーズとはまったく別の新しい作品にしようと決めたものの、シリーズのひとつではあるので、『サクラ大戦』らしさとは? の認識合わせが必要になります。歌や歌劇、がんばる乙女の物語といろいろな要素がある中で、池さんとは、何が『サクラ大戦』を構成しているのか、からディスカッションしました。

 『サクラ大戦』は、カッコいいロボットに乗って、かわいい女の子が登場し、舞台演劇がすごくキラキラと輝いていて、とさまざまなものが入った豪華エンターテインメントです。新規のシリーズということもあり、僕らにとっての『サクラ大戦』を引き延ばして、 抽出しながら、今回は、乙女たちがいまを生きることに対して一生懸命がんばって、舞台に魂をぶつけていく部分を柱に据えることにしました。今作でも歌劇の公演シーンがいくつかあるのですが、脚本をご担当いただいた松崎史也さんは、最初から最後まで細かい歌劇の脚本を書いてくれるんです。ゲーム内の尺は一分くらいしかないかもしれないのに、起承転結までシナリオを書いていて、それを畑亜貴さん、田中公平先生に読んでいただき、作曲していただきました。

岡村松崎さんにお願いできたことは大きいですね。松崎さんが手掛けた舞台自体、もともとすごく熱いじゃないですか。

原作ものも結構やられていますが、原作に対する愛情がすごく深い方で。松崎さんを仲間にできたことで、ゲームの脚本に舞台演劇のリアルさを入れられました。松崎さんは、役者もやってらっしゃるので、ヒロインの咲良しのが歌劇に対してどう向き合うのか、トップスタァとはどういう存在なのかなど、本作独自の解釈にはなりますが、実感が込められていて感心します。ひとつひとつの台詞にもすごくこだわりがあり、舞台で見たいと感じる魅力があります。

『サクラ大戦』のよさを盛り込みつつも新しいスマートフォン向けゲームに

岡村今作のバトルは、“コマンドラインバトル”と呼ばれるバトルシステムを採用しています。シミュレーションRPGのバトルをどのようにスマートフォンに最適化させるかを考え、開発チームと組み立てていきました。

もともとの『サクラ大戦』はガチガチのシミュレーションではなく、“良質なシミュレーションを遊んだ気持ちにさせてくれる”ゲームでした。小難しくなってしまうと『サクラ大戦』としてもスマートフォンゲームとしても違うものになってしまいます。今作はRPGですが、位置取りが重要になるなど、シミュレーションを遊んだ気持ちになれるターン制RPGを目指しました。

これもまたひとつの『サクラ大戦』。正式サービスが開始された『サクラ革命 ~華咲く乙女たち~』開発物語

松崎さんといっしょに作った物語と、セガさんとともに考えたキャラクターをひとりでも多くのお客様に好きになってほしい、その願いだけでここまできました。『サクラ大戦』のすべてを継承しているわけではないかもしれませんが、これもまた『サクラ大戦』としてアリだと感じていただけたらいちばんありがたいです。

岡村『サクラ大戦』らしさとはなんなのかと試行錯誤しながら開発しました。いろいろな乙女が登場しますが、好きになってくれる乙女がひとりでもいてくれたらうれしいです。

木原ディライトワークスさんの熱い想いと開発力を信じて、新しい『サクラ大戦』を作るという意志をもっていっしょに作り上げました。皆さん、ご期待のほどよろしくお願いします。

『サクラ革命 ~華咲く乙女たち~』とは?

これもまたひとつの『サクラ大戦』。正式サービスが開始された『サクラ革命 ~華咲く乙女たち~』開発物語

 新たな『サクラ』プロジェクトとしてセガとディライトワークスが共同制作するスマートフォン向けドラマチックRPG。プレイヤーは、帝国華撃団の司令となって日本全国各地にいる乙女たちとともに日本奪還を目指すことになる。本作では、あくまでも未来で起こり得た可能性のひとつが描かれるため、シリーズの直接的な続編ではない。