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敷居を越えた先に

 この手の重厚長大で覚えることもたくさんあるオープンワールドRPGは、お世辞にも“敷居が低いゲーム”とは言えない。

 敷居は、めちゃくちゃ高いと思う。

 調子に乗って「うぇーーーいwww」なんつって敷居を跨ごうとしたその瞬間、堅牢な横棒に思いっきりスネを強打して、

 「むつつつつつつッ!!!!」

 と悶絶してのたうち回る……ってくらいにはハードルが高いと思う。

 ゆえに、“そのゲームの何がおもしろいのか”っていう核心を理解するまでにどうしても時間が掛かってしまい、少なくない人々が、

 「アレ、なにが楽しいのかさっぱりわからなくて、速攻でやめちゃったわ^^;」

 と、早々にリタイアしてしまったりする。つまり、“楽しさの瞬発力”が、単純明快なアクションゲームやパズルゲームなんかと比べるとどうしても弱くなってしまいがちなのである。

 そして『サイバーパンク2077』も、誤解を恐れずに言えば、プレイヤーそれぞれが楽しさを見いだすまでに時間を要するタイトルだと思う。覚えなきゃいけないことは無数にあるし、そもそも世界観自体が現実世界の延長線上にある(と思われる)近未来のことなので、仕組みそのものもイチから学んでいかなければならない。

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 どこか見覚えのある風景が並んでいるけど……やっぱり、いま俺が暮らしている時代とは明らかに違う。

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 具体的に、どこがどうこうと説明するのも難しいけど、生きていくうえでの約束事とかルールとか(同じか)、そもそも“人間”を構成する仕組みすら異なるので、

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 なかなかどうして、生半可な世界ではないのである。

 ではナゼ、俺は3D酔いの気持ち悪さを堪えてまで『サイバーパンク2077』で遊んでいるのか??

 仕事だから??

 ……うん、最初は多少なりともそういう気持ちもあったな。

 でも……いまは、ちょっと違うのだ。

 いや、プレイを始めた当初とは、俺の立ち位置も心模様もまったく違っている。

 じつはある瞬間から、目の前に掛かっていたモヤがパァーーーーッと消し飛び、

 「3D酔いとかどーでもいいから、もう一生遊び続けよう!」

 そう思ってしまったのである。

 その“ある瞬間”とは……主人公・Vのもとにやたらと飛び込んでくるミッションやサブミッションと言った“お仕事”に、本腰を入れ始めたときだった。

 要するに……ゲーム本編が始まってすぐ、ですな!ww

理不尽だけど、タマラナイ世界

 前回の記事では、この世界に降り立ってから自室で休むまでの1日のことを書いたけど、その翌日から……『サイバーパンク2077』はべらぼうにおもしろくなる。

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 もちろん、この段階(目覚めて外に出ただけのときねw)では、

 「わしは……いったい、どう生きていけばいいんじゃ……(((( ;゚д゚)))」

 と、異世界に飛ばされたばかりのおっさんの如く途方に暮れてしまうんだけど、すぐにヒマな時代を懐かしく感じるほど、目まぐるしい日常に翻弄されることになる。

 「何をしたらいいんだろう……?」

 と迷ったら、とりあえずメニュー画面を開いてサブミッションを選択するといい。サブミッションと言っても、敵の腕と首を極めるチキンウィングフェースロックとかのことじゃないぞ(あたりめーだ)。

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 このとき、仕事の危険度が表示されるので、まずは無難そうな“中”のものからやってみる。ここで□ボタンを押せば目的地までマーカーが表示されて案内してもらえるので、迷うこともない。

 ミッションを選び、マーカーを出したら、ミニマップの導きに従ってテクテクと街を歩く。

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 この……清潔とは言い難い、ゴミと吐しゃ物にまみれたきったねえ歩道と、軽薄でギンギラなネオンがロサンゼルスのダウンタウンを思い出させる。汚くて物騒な街だけど、そこを歩いているだけで何だか……もっと高く飛べそうな、そんなワクワク感を覚えさせてくれるのだ(田沢君か)。

 もちろん、真っ直ぐ目的地に向かう……なんていう、マジメ一徹な行動をしなくてもいい。

 おもしろそうな出来事、妙に気になる人がいたりしたら、積極的に首を突っ込んでみる。

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 見ると……。

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 あ。警官が職質してる。確かに、見るからにヤンチャそうなヤツだな。お巡りさん、捕まえちゃっていいですよ!! やれやれーーーwww

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 ……って、はい??? ジーーーーーっとお巡りさんを見つめていたら、

 「なんだオマエ!! 何を見ている!!!(怒)」

 といきなりキレて、「逮捕だ逮捕!!!」と大騒ぎを始めたんですけど!!!! どどど、どうなってんの!? 俺、見てただけじゃん!!! 濡れ衣濡れ衣!!! 冤罪や!!!(汗)

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 うお!!! すんげえ殺意で俺に銃を向けてるよ!!! しかもミニマップ見たら……めちゃくちゃポリスが集まってきやがった!! クッソ!!>< もう応戦するしかねええええ!!!

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 そして……のんびりと飯を食っているジャッキーの目の前でふたりのポリスを屠り去るも、

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 けっきょく、多勢に無勢で蜂の巣にされてジ・エンド……って、どういう世界やねん!!!!www

 まあ、こんな感じで仕事をこなしていくんだよ(殺されただけだろ)。

 いくつかミッションをクリアーするとゲームのリズムがわかってきて、するとちょっとずつ余裕も生まれて、

 「ぼちぼち、育成やクラフトにも手を出してみるかな」

 なんていうサイクルに入っていくのだ。

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 これだ……!!

 この、世界観に溶け込みながら自分のペースで生きていく感覚こそ、オープンワールドの醍醐味なんだよな……! そして、『サイバーパンク2077』は作り込みも演出もズバ抜けているからか、この段階に達するまでがめちゃくちゃ早かったように感じる。これでクラフトにもハマっていったら……マジでほかのゲームが手につかなくなりそうだなあ!

 というわけで、

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 この、デブなおっさんに重要な仕事をあっせんしてもらったので、俺は再びサイバーな街に帰る。

 また明日w

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大塚角満(おおつか かどまん)

元週刊ファミ通副編集長、ファミ通コンテンツ企画編集部編集長。2017年に独立。編集部時代から現在に至るまでゲームエッセイを精力的に執筆し、『逆鱗日和』シリーズ、『熱血パズドラ部』、『折れてたまるか!』など、多数の著作がある。

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