2020年10月28日より、映画『名探偵ピカチュウ』がアマゾンプライムビデオで見放題になりました(2020年10月現在)。

 あの『ポケットモンスター』関連作品のハリウッド実写化ということで、公開前は不安に思う声もチラホラ上がっていた本作。けれど蓋を開けてみれば、その内容や描写は“ポケモン愛”に満ちており、映画ファンからもゲームファンからも「傑作」との評を受けた一作でした。

 本稿ではこれから本作の視聴を検討している方のために、どこに魅力があるのか、ご紹介していこうと思います。

『名探偵ピカチュウ(吹替版)』(アマゾンプライムビデオ) 『名探偵ピカチュウ(字幕版)』(アマゾンプライムビデオ)

『名探偵ピカチュウ』はこんなおはなし

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画像は公式サイトより

 物語の舞台は、ポケモンが存在する世界。主人公は、かつてはポケモンが好きだった青年・ティム(ジャスティス・スミス)。ティムは子どものころにあった出来ごとをきっかけに、父親・ハリーとポケモンの存在を自分から遠ざけるようになってしまいます。

 ある日、ティムにハリーのかつての同僚・ヨシダ警部補(渡辺謙)から電話が。そこでハリーが事故で亡くなってしまったという衝撃の事実を告げられます。複雑な想いを胸に、ティムはハリーが働いていた、人とポケモンが共存する大都会“ライムシティ”へ。

 ライムシティを訪れたティムが出会ったのは、人間の言葉を話すピカチュウ! けれどこのピカチュウ、どうやら記憶を失っている様子。しかし被っていた帽子から、どうやらハリーの相棒かもしれないということが判明します。

 「ハリーはまだ生きている」ーー自信満々にティムにそう告げるピカチュウ。ティムとピカチュウは、ハリーが消えた謎を追うため、協力してライムシティの闇に立ち向かいます。

 なお原作はニンテンドー3DS用ソフトの『名探偵ピカチュウ』シリーズ。主人公の名前がティムで、人の言葉を話すピカチュウが相棒になるといった点は共通していますが、展開は大きく異なっています。

“人とポケモンが共存する世界”を見事に実写化

 『名探偵ピカチュウ』はここだけでも一見の価値アリ! と声を大にして言いたいのが、“人とポケモンが共存する世界”が、CGを駆使しつつ実写映画として見事に描かれている点。

 おもな舞台となる大都会“ライムシティ”はモンスターボールを使用せず街中でポケモンが人々といっしょに生活しており、ティムがはじめてこの街を訪れたときの映像はとても大きなインパクトがあります。

 交通整理を行うカイリキー、ニュースを映し出す大型ビジョンには火事の消火活動を消防士と一緒に行うゼニガメ。ポケモンたちがときに能力を活かして人の社会活動を助けている様子のリアリティは、ポケモン好きとしては感動モノ。

 小学館の学年誌で連載していたマンガ『ポケットモンスタースペシャル』や、『別冊コロコロコミック』の『電撃!ピカチュウ』を読んでいた方なら、ああいった作品で描かれていた世界を思い出すかもしれません。

クセになるかわいさの“しわしわピカチュウ”

 公開当時大きな話題となった、“しわしわピカチュウ”や“しわチュウ”と呼ばれているティムの相棒・ピカチュウの造形もやはり大きな魅力。ふさふさの毛並みでちょこちょこ歩く仕草、そこにおじさん臭い表情と喋り方というギャップが堪りません。

 ピカチュウの表情は、映画『デッドプール』などでもおなじみの俳優で、原語版のピカチュウの声も担当したライアン・レイノルズさんの顔をモーションキャプチャーすることで作られているとのこと。

 アニメやゲームのピカチュウとはひと味違う魅力は、彼自身が持つ憎めない人柄によるところが大きそうです。

 そんなライアン・レイノルズさんの全身全霊の演技を味わいたいならばやはり彼自身が声も担当している英語音声/日本語字幕版の視聴がおすすめですが、豪華声優陣を起用した日本語吹替版もこれまた違った良さがあります。

 吹替版でピカチュウを演じるのは西島秀俊さん。そして主人公・ティムを演じるのは『仮面ライダードライブ』の泊進ノ介役などでおなじみの竹内涼真さん。そのほかの登場人物の吹替にも実力派の俳優・声優陣が集結しています。

 西島さんが演じるピカチュウはライアン・レイノルズさんと比べるとちょっとだけ“品がいいおじさん”といった印象が強く、それぞれに魅力的です。聴き比べて、あなたの好みにあったバージョンで視聴してみてはいかがでしょう?

“ポケモン愛”に満ちた良質なサスペンス、ラストでは2度泣ける!?

 ここまでビジュアル面での魅力をご紹介してきましたが、本作はストーリーもハラハラドキドキが続く良質なサスペンスとなっています。

 ハリー失踪の原因を突き止めるカギを握るのは、ライムシティで密かに流通している違法薬物の“R”。ハリーはこれの出所を探っているうちに消えてしまったようなのです。

 街の地下で行われている違法なポケモンバトルの会場や、ポケモン研究所。ティムとピカチュウはハリーの足跡をたどってさまざまな場所に向かい、多くの試練を乗り越えながら、少しずつ真相に近づいていきます。浮かび上がってくるのはとある人物の野望……。

 ストーリー展開には“ポケモンがいる世界”だからこそ可能な仕掛けも多く仕込まれています。このふつうのサスペンスとはひと味違った“ポケモンらしさ”も本作ならではのオリジナリティとして楽しめるはず。終盤ではド迫力なバトルも!

 そしてラストには、ポケモンファンならきっと“二度泣かされる”ことになるはず。ひとつは物語の結末。そしてもうひとつはエンディング。ネタバレ防止のため多くは語れませんが、本作を見終えた後ならば大きく頷いていただけるのではないでしょうか。

 ポケモンがいまでも大好きな方も、かつてポケモンが好きだったけど最近はあまり触れていない……という方も、映画『名探偵ピカチュウ』は一見の価値ありの作品となっています。アマゾンプライムに入会している方は、ぜひご視聴ください!

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※Amazon Prime Videoの配信情報は記事制作時のものです。

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