ファミ通関連の編集者がおすすめゲームをひたすら語る連載企画。今回のテーマは、歴史シミュレーション『信長の野望・天道 with パワーアップキット』です。
【こういう人におすすめ】
- 戦国時代の“if”を自分のやりかたで叶えてみたい
- 大河ドラマの登場人物にもっと脚光を浴びせたい
- ゲームの設定をいじって独自のルールで遊びたい
※本稿は週刊ファミ通2020年7月2日号(2020年6月18日発売)の特集“いまこそ絶対に遊ぶべき46のゲーム”をWeb用に調整したものです。
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『信長の野望・天道 with パワーアップキット』
- プラットフォーム:PSVita、PS3、Xbox 360、PC
- 発売日:2015年6月26日
- 発売元:コーエーテクモゲームス
- 価格:5940円[税込]
- パッケージ版:あり
- ダウンロード版:あり
- 『信長の野望・天道 with パワーアップキット』公式サイト
※データはPCのSteam版のものです。
『信長の野望・天道 with パワーアップキット』(PS3版) PV
『信長の野望・天道』は、『信長の野望』シリーズ13作目のタイトルです。PC版の発売は2009年9月18日。いまから約11年前に発表された作品となります。
シリーズをご存じの方にはおなじみかとは思いますが、『信長の野望』とはどんなゲームなのか、ひとことで説明すると、戦国時代の大名となり日本全国を制覇するシミュレーションゲームです。ゲームの醍醐味は、織田信長や徳川家康のような大名となって天下統一を果たすべく、武将を増やしながら内政を施して支配する国力(尾張や武蔵のような旧国のこと)を上げたり、兵を整えて軍事力を上げ、他国を自分の勢力に加えていくこと。ちなみにコントローラの難しい操作テクニックのような、技術的な能力が求められることはないので、ゲームは操作が苦手で楽しめない、という方でも安心して遊ぶことができると思います。
さて、僕が『信長の野望・天道』をおすすめしたい理由は、自分が戦国時代の大名になったとしたら、歴史がどうなるか? という“想像”の楽しさを味わえるからです。
たとえば、大河ドラマ『麒麟がくる』の第17話で、本木雅弘さんが演じる斎藤道三が戦死しました。僕は本木さんが演じた斎藤道三という人物に愛着が湧いていたので、史実通りの結末はとても残念でなりませんでした。もしも自分が斎藤道三だったら、「本木さんの無念(?)を晴らして、あなたの目指した“大きな国”は私が叶えます!」とばかりに、斎藤道三になりきって天下統一を目指すことができるのです。
このような“なりきりたい”気持ちは2016年の大河ドラマ『真田丸』のときもそうでした。織田信長に追い詰められた武田勝頼に代わりたいと思ったり、豊臣秀吉に城を包囲された北条氏政に代わりたいと思ったり……。登場人物の非業の死を観るたびに、彼らの代理人になりたい“衝動”が湧くのです。『信長の野望』は、そんな歴史の“if”を、自分のやりかたで叶えてくれるゲームと言えます。
つぎにシリーズのなかから、あえて過去作の『天道』をおススメする理由を挙げます。『天道』のゲームシステム最大の特徴は、内政で国力を上げるために、城と各所にある街を“道”でつないで支配することです。
そのためにあるのが“工作隊”という部隊で、工作隊は自分の城から国内や他国の“街“に道を建設してつなげます。つまりは敵国に大規模な軍を進める前に、工作隊の活躍により相手側の街を奪って自分の勢力下にしてしまい、じわりじわりと領土を奪い合うという“抗争”をリアルに再現・体感できるのです。実際の戦国時代の領土紛争も、街を獲ったり獲られたりのくり返しでした。道をつなぐことによる抗争の発生を再現した『天道』は、歴史シミュレーションゲームとして、とてもリアルなゲームなのです。
『天道』の発売から2年後の2011年、『パワーアップキット』が発売されました。シナリオの追加や、“文化”のシステムが新しく追加されたことが魅力でしたが、僕がもっともうれしかったのが、武将の能力や思考AIなど、ゲームの設定にも手を加えることができるようになったことです。
たとえば、固有の能力に“鉄砲”が決まっている武将は、鉄砲伝来の年が訪れるまで戦闘であまり活躍の場がありません。しかしパワーアップキットがあれば、武将の適性を“弓”に変更できるのです。これはもう新しいゲームといっても過言ではない! 個人的に「この武将の能力は、史実的に高すぎるから下げよう」と思えば下げ、逆に上げようと思えば上げられます。あえて言えば、設定の変更作業ですらも、ゲームとして成立しています。
設定の変更で遊び始めると、“想像”の幅はさらに広がります。たとえば、武将の能力を全員一律ですべて“1”にしたらどうなるだろうか? といったような、もっとも際立ったシミュレーション。国力で一気に差を付けるためには、武将を多く抱えた大名は内政がたくさんできるので有利なはずですが、“俸禄”という給料を払う必要があります。最初から武将が多すぎると、内政の資金が足りなくなってしまうので、じつは不利になってしまいそうです。なんとなく、国内の統一に苦しんだ大名の気持ちに近づくことができそうですね。
ちなみに、この想像の結果を見るためには、1000人を超える武将をひとりずつ変更しなくてはならないので、労力も半端ではすみません。結果が気になる方は、ぜひお試しください。
信長の野望・天道 with パワーアップキット(Steam)