PCゲームストアHumble Storeのパブリッシング部門Humble Gamesから、タクティカルRPG『Fae Tactics』(フェイ・タクティクス)がPC向けに日本語対応で配信中。Humble Store以外にSteamでも販売されており、参考までにSteamでの価格は2050円となっている。
本作は、ターンベースのファンタジータクティカルRPG。“フェイ”と呼ばれる魔法生物と人間などの種族が共存する世界を舞台に、母親を探す少女ピオニーと相棒のチコとパヤチン、そして道中で出会うさまざまな仲間の冒険を描く。
ゲームの流れはミッションを選択したり準備を行うワールドパートと戦闘パートに分かれており、1戦の長さは20分から40分程度。インディー系のタイトルながら、公称で60時間以上のプレイタイムがあるとされている中々のボリュームだ。
とっつきやすさとある程度の深さが両立したシステム
戦闘はターン毎に行動速度によって敵味方の各ユニットが入れ代わり立ち代わり行動する方式で、プレイヤー側は3人のパーティーメンバーと3種類の呪文、そして最大3体の召喚フェイを投入可能。
また戦闘には天気や地形効果による属性ボーナスなども存在するため、有利属性のキャラクターを投入するなど、戦闘の開始前に状況に合わせた再編成が可能になっている。
各ユニットは移動に加えて、攻撃・アシストスキル・そのどちらも行わなかった場合の待機スキル(バフ系)の3種類の行動を行える。ちなみに呪文カードは、チャージされていれば1ターンに1枚まで仲間の行動タイミングに任意のタイミングで発動可能(詠唱するピオニーがダウンしていると使えないが、ピオニー以外のターンでも発動できる)。
またポイントが溜まると攻撃・アシスト時に自動発動される“ウルトラスキル”や、隣接している敵ユニットが攻撃されると追加攻撃を加える“コンボ”などのパッシブスキルを持つユニットなどもおり、これらをうまく使って戦っていくことになる。
……とまぁ、ここまで挙げた要素だけなら割とオーソドックスな内容ではあるのだが、これらが比較的シンプルに実現されているのがポイントとなっており、とっつきやすさと深さをほどよく両立した形となっている。
たとえば、戦闘時に複雑なメニューをたどらずにすむ“メニューレス”な作りになっていて、先に挙げたような攻撃・アシストスキル・待機スキルの使い分けも、ユニットの行動時に敵ユニットを選択したら攻撃(ウルトラが溜まっていればウルトラ)、仲間ユニットを選択したらアシスト(同)、自分を選択したら待機スキルに自動に切り替わるといった感じ。
ほかにも、強化&成長システムも選択肢がある程度限定されたものになっていたり、ダウンした仲間がいても3回ダメ押し攻撃される前なら何度でも復活できたりと(回復スキル持ちでなくとも隣のマスに行けば復活可能)、こうした方向性は一貫している。
少し気になる部分もあるが、じっくりゆるゆるプレイしたい一作
とはいえ、本作は決して初心者向けのカジュアルでイージーなタイトルというわけでもない(タクティカルRPGに慣れている人はそう感じないかもしれないが)。
序盤でもレベル差がある敵が出てくるミッションなどでは普通に力負けするし、システムの説明も万全とは言えない。NPCとの共闘ミッションや防衛系のミッションで仲間AIのアホな挙動や思わぬ襲撃パターンに悩まされるなんてこともしばしば。
どうしても「こういうパターンではこうプレイするのが定石」という勘所を掴む必要があるのはまぁいいのだが、もうちょっとシステム側でサポートしたり頼れるAIにしてくれてもいいんじゃないかと思う(アップデートに期待したい)。
ストーリーや世界観は、ちょっと能天気で明るくポジティブなピオニーの性格に代表されるように、少しゆるくてどこか懐かしいものとなっており、なかなか好印象。夏休みにじっくりゆるゆるプレイするのにいいタイトルと言えるんじゃないだろうか。