大手インディーパブリッシャーDevolver Digitalの新作『Carrion』がいよいよ発売開始。7月23日0時よりNintendo Switch版が、朝にXbox One版が、そして翌深夜(24日未明)にSteamでのPC版が配信予定となっている。

 本誌ではひと足先にゲームをプレイしたので、その内容をご紹介しよう。

モンスターパニック映画のモンスターになって惨劇を引き起こすゲーム

 厳重な警備の敷かれた研究所の奥深く、極秘裏に研究が進められていた未知の不定形生命体が脱走するという事態が発生。“それ”は人類の予測を超える速度で成長し、進化していくのであった……。

 いかにもモンスターパニック映画のあらすじっぽいが、本作の内容はまさにこの通り。ゲームをスタートすると一切の説明をすっ飛ばし、研究所のポッドから“それ”が脱走する所から始まる。

『Carrion』触手だらけの怪物になって研究所を脱走する“逆ホラー”アクションがSwitch/Xbox One/PCで本日より配信開始_01
格納ポッドからサクッと脱走。人類(エサ)諸君、いまさら慌てても遅いのだよ。

 これが普通の映画やゲームなら退治しにくる側の視点で進んでいくだろうが、プレイヤーキャラクターは他でもない、この謎のイトミミズのようなニョロニョロの集合体である謎の生物。人間の裏をかいて暴れまくる側だ。

 なので遠慮はいらない! 人間をぶった切り、喰らい、増殖し、他の研究の格納ポッドを破壊してDNAを吸収して進化し、とにかく脱出を目指すのだ。

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触手をワシャワシャ動かしながら移動していくアニメーションのキモさは圧巻。

正体はパズル要素多めのダンジョン探索型アクション

 コンセプトからすると、とにかく暴れてナンボのステージクリアー型の戦闘ゲームと思うかもしれないが、実は本作そうではなくて、メトロイドやキャッスルヴァニア系のダンジョン探索型アクションと言った方が近い。

 実際のゲーム全体の流れも、“人間を倒しながらエリアを探索→最奥で新能力を獲得→その能力を使って謎解きをして新たなエリアへのルートを切り拓く→そこでまた新たな能力を得て……”といった感じのループで進んでいく。

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壁の切れ目などにある穴に飛び込むことで巣を作りセーブポイントにできる(右上)。また各エリアにはコアのようなものがあり、すべての穴を占拠して乗っ取りが成功すると先のエリアに進めるようになる(中央)

 この能力と紐付いた謎解きがなかなかしっかり作られていて、触手飛ばし能力で遠くのレバーを動かしたり、透明化能力でレーザーセンサーを避けたり、硬化能力で爆発物を耐えたり、人間遠隔操作能力で人間(死体含む)にひと仕事してもらったりと、いろんな能力と謎解きのパターンが用意されている。

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各能力はもちろん戦闘でも活用できる。強敵のパワーローダーを遠隔操作能力で乗っ取って同士討ちさせるなんてことも可能。

 また能力を獲得していくとサイズもデカくなって第三形態まで成長できるのだが、形態ごとに使える能力が異なるというのもポイント。下位の形態のスキルを使わないと進めないような場所も出てくるのだが、こういう場所の近くには必ず体の一部を切り離してレベルダウンできる培養池が存在する。

 逆にダメージを受けすぎてレベルダウンしてしまい、謎解きに必要な上位形態のスキルが使えないという事もありえるが、そういう場所の近くには回復可能なセーブポイントがあるか、無抵抗の人間が逃げ回っていたりする。

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第三形態では隙間の先にアクセスできないが、第一形態では触手飛ばしスキルでレバーを引っ張れる。なのでこういう時は近くの培養池で一部を切り離し、あえてレベルダウンしよう。

滅茶苦茶しっかり作られた秀逸なレベルデザイン

 本作がコンセプト一発で作られたネタゲームではないのが段々伝わってきただろうか。コレは豪快なバイオレンスの裏で滅茶苦茶丁寧に作られている作品だ。全体をプレイしてみて、各エリアの緻密なレベルデザイン(マップ構成)には唸らされた。

 先に少し触れたように能力の使い所がしっかりマップの各所に練り込まれているのはもちろん、戦闘が発生するエリアではダクトなどの裏ルートが大体用意されていて「どうやってあそこの奴をやったろうか」とか考えさせてくれるし、何気に背景に描かれた非常口マークを辿っていくと各エリアのゴールのチェンバーにたどり着けるし、細かい所まで気配りが行き届いている。

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右から上階へ力任せに突っ込むもよし、左のダクトを通って背後から急襲するもよし。
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火炎放射器を持った警備がいる時は、どう接敵するかをしっかり練って戦おう。「汚物は消毒だー!」をやられるとなかなか辛い(この生物は燃えやすいらしく、水に飛び込まないとダメージを受け続ける)。

連休中の一本にオススメ!

 「そう来たか」とニヤリとさせられる結末までは、初見なら3~5時間といったところ(もちろんもっと早い人もいるだろうけど)。2Dドット絵ながら人体破壊描写などがエグいので家族などに見られた時に多少正気を疑われるかもしれないが、ディープなプレイ体験ができるのは保証しよう。連休中の一本にいかがだろうか。

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敵を触手で掴んだ時にすぐ食べようとしがちだが、忘れてはならないのが掴みからの叩きつけ攻撃。警備ドローンをあっという間に無効化したり、人間に人間をぶん投げてダウンさせたりできるのでなかなか強力。食べるのは倒してからでもいい。
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とあるデバイスに飛び込むと、人間の探索隊らしき謎のビジョンにアクセスできる。これはこの生物の誕生と関わっているのだろうか?