昨年ぶりの人も、初めましての人もこんにちは、亀井ライダーです。昨年20歳、1年経って21歳になりました。女性編集者です。

 私は、昨年発売された『シェンムーI&II』をプレイして、本シリーズにすっかりはまってしまったわけですが、その経緯について、詳しくは昨年の『シェンムーI&II』のプレイレビューを参照ください。

 私の説明はこれくらいにして、つぎからは『シェンムーIII』について紹介!

待望の『シェンムーIII』がついに解禁!

 さて、2019年11月19日に発売された待望のシリーズ最新作『シェンムーIII』。

 18年ぶりの続編ということだが、私にとっては1年ぶり。それでさえ待ち遠しかったのだから、ドリームキャスト版から待ち続けているファンの渇望はものすごかったことだろう。

 『シェンムーIII』では、とりあえずストーリーが気になる。『シェンムー 一章 横須賀』ではついに登場しなかった不思議な少女・玲莎花だが、その玲莎花と出会い、いざ冒険へ! ……というところで『シェンムーII』が終わるのだ。その先が気になってしかたなかった。その続きが! いよいよ!! 1年ぶり(多くの『シェンムー』プレイヤーにとっては18年ぶり)に!!!

ハタチ(+1)の女子編集者が『シェンムー3』をプレイ! 白鹿村で生薬を集めて売って、のんびりまったりオーガニックライフ_01

 『シェンムーIII』に至るまでのあらすじを簡単に説明すると、『シェンムー 一章 横須賀』では、主人公・芭月涼(はづきりょう)が、父親・巌(いわお)を殺した謎の男・藍帝(らんてい)を追い求め、またそのきっかけとなった“鏡”の謎を解き明かすために旅立つというもの。

 『シェンムーII』では、その藍帝がいるという香港に降り立った涼が、亡き父の隠し持っていたもうひとつの“鏡”を手に、藍帝の行方と“鏡”の謎に迫っていくといった物語だ。

 続編となる『シェンムーIII』は、前作『シェンムーII』で出会った不思議な少女・莎花(しぇんふぁ)とともに、“鏡”にかかわる重要人物である莎花の養父・袁(えん)さんを探す……というところから始まる。

 というわけで、さっそく『シェンムーIII』のレビューをお届け。

 なお、プレイレビューは前後編となる予定で、前編にあたる本稿では冒険の最初の舞台・白鹿村(はっかそん)での出来事をピックアップしている。

進化の中に感じる“『シェンムー』らしさ”

 プレイしてみて気づいたことや感じたことはいろいろとあるのだが、いちばん強く感じたのは「ああ、『シェンムー』だ」という感動。

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「いってきます」じゃないところがいい。何度かこのやり取りをしたが、今度こそ「いってきます」と言うのではないかと期待した。言わなかった。

 もちろん、進化した部分も多い。グラフィックがきれいになって、涼はかっこよく、莎花はかわいくなったし、操作も格段にスムーズになっている。ゲームシステムも、世界観を壊さないように工夫されて遊びやすくなった。

 さまざまな部分が進化している。だが、その中でもところどころに現れる『シェンムー』らしさがいい。

 たとえば、聞き込み。ゲーム内の時代は1980年代であるため、インターネットはない。「父 殺害 犯人」と検索したくてもできない。「藍帝 弱点」と調べたくても調べられない。

 というわけで、シリーズを通して情報収集のおもな手段は町や村の人々への聞き込みになるわけだ。

 手がかりを見つけたら、とりあえず人に聞く→情報を知っているかもしれない人が判明→その人を探す……このくり返しだ。地道ではあるが、話し掛けられる人には全員に声がついていて、それぞれの性格も違う。話しかけたときの反応もみんな違うため、ただの作業にならないのが楽しい。

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かくれんぼ! 情報を得るためであって、かくれんぼがしたいわけではないんです。情報のためです。

 また、個人的にいちばん『シェンムー』らしさを感じたのは、いい答えが返ってこなかったときに涼が言う「そうですか」。

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「そうですか」と言ったときは、ただの雑談がほとんどだが、それも楽しい。

 『シェンムー I&II』で聞き込みに走り回り、幾度となく聞いた言葉だ。

 ほかにも“『シェンムー』らしさ”を感じた部分はあるものの、「いま『シェンムー』をプレイしている」というのをひしひしと実感できたのは、この「そうですか」を聞いたときだった。

 「え、そこ?」と思った人もいるかもしれないが、私にとってはそこだった。もう一度「そうですか」が聞けてうれしい!

 あとは、注目して調べられる場所がいままでに比べてそれはもう増えたこと。タンスなんか引き出しをひとつひとつ開けられる。すべてを調べる必要はないとわかっていても、ついつい気になってひとつずつ確認してしまうので、序盤は進みが遅かった。

 そんな中で気になったのは、莎花の家の引きだしで発見した大量のコショウ。10本もある。中国と言えば香辛料というイメージはあるが、なぜコショウなのか。そしてストックしすぎでは。莎花の好み? もしかして重大な手がかり!? とあれこれ思考をめぐらすのも楽しい(コショウは十中八九ストーリーに関係ないだろう)。

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いや本当に、ずいぶんある。

生薬を集めて売って、のびのびスローライフ

 本作では、“食事”をするために“食べ物”を手に入れなければいけない。そのため、いままでのシリーズとは違い、つねにお金が必要。お金の稼ぎかたはいくつかあるが、“生薬”を売ることも方法のひとつ。

 商店に生薬をセットで持って行けば買い取ってくれるうえ、珍しい組み合わせになればなるほど高額になる。これはうれしい。うれしいのに、私は集めるだけ集めて、売れるというのを忘れていた。

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 足りなくなったら稼ぐという方針で進めて、この時点での所持金は24元。ギリギリで生きています。しかし、シリーズおなじみ(?)、大金が必要な場面が到来してしまった。金額は2000元。ぜんぜん足りない。

 お金を稼ぐ方法として思いついたのは、まき割りのアルバイトと木札と交換した景品を質屋で売ること。もうちょっと効率のいい方法はないものか。聞くか。ということでお得意の聞き込みを開始した。

 最初に話しかけたのは(目測を誤って)子ども。だが、まさか、あどけない子どもに「お金を稼げる場所を知らないか」と直球で聞くとは思わなかった。笑ってしまった。

 しかし、生薬を売って小遣い稼ぎをしているという情報を得ることに成功。子どもにお金の稼ぎかたを聞いて、ちゃんと方法が見つかるとは。これだから『シェンムー』はおもしろい。

 さて、生薬が売れることをきれいさっぱり忘れていたので、とりあえず売ってみよう! と商店へ。

 いま持っている生薬で売れるものを全部売ってみたところ、所持金は10倍の240元へとアップ。これはいい。ここまでは熱心に生薬を集めていなかったし、生薬はまだあちこちにあるはずだ。金のにおいがしてきた。ぐへへ。

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 ここで役に立つのが、商店の前に置いてあった“生薬あるあるマップ”。どこに生薬があるのか、赤い点で示されている。改めて見ると、かなりあるなあ。

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 マップを見ながら生薬を探していくのだが、白鹿村はけっこう広い。探しているうちに、見逃していた場所や意外なところでサブストーリーが始まったりする。

 とはいえ、レビュー記事を作るためにも、いろいろと見たい気持ちを抑えて、まずは生薬集めに専念。本当は、白鹿村でじっくり遊んで時間を過ごしたかったところだ。何しろ本作は、ゆっくりじっくり日常を楽しめる作品だ。

 ちなみに、目標金額の2000元まであと200元になったところで、お金稼ぎの方法をまき割りにシフト。無事にお金を用意することができたし、まき割りもだいぶうまくなった。うれしい。

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これが私の最高記録! 基準がわかりませんが、皆さんの記録と比べてどうですか?

クンフーが足りない!

 『シェンムー』の魅力のひとつでもある格闘バトルは、やはりすばらしかった。“馬歩”と“寸拳”で体力を増やし、“散打”で技を磨く。

 『シェンムーII』までのバトルとは、システムや感覚はかなり変わっている。だけど、技を出すタイミングや相手との間合いの取りかたは自分次第で、強敵に何度も負けて、ようやく勝てたときのあの喜びは、前作までと変わらなかった。

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格闘バトルが苦手でも、とりあえず何かボタンを押しておけば攻撃できるやさしいシステム。(ちなみにノーマルモードで遊んでいます)

 また、空腹状態で挑むとすぐにやられてしまうのには注意が必要だ(私は何度かそれで倒されてしまった)。負けて、「クンフーが足りない!」と言われたので、修行に励む。しかし、食事するのを忘れてまた負ける……。確かに、お腹が減っていたら私も戦えない。足りないのはクンフーよりもおいしいごはんだ。

 途中で行うことになる、鶏を捕まえる修行はとても楽しかった。どんな修行なのか説明もないまま10羽捕まえなければいけないが、やれと言われればやります。この修行、鶏を捕まえるだけだが、対象の鶏がかなり素早い。そして、逃げられたときの涼の顔が好き。

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見事な逃げられっぷり。

 いろいろな修行方法が増え、単純に技を極めるだけでなくなったのはいい進化だなあと感じた。自分がどれだけ強くなったかも、わかりやすくなってありがたい。

 ちなみに、私は“馬歩”が好きだ。でも、馬歩ばかりしていると太ももの筋肉がすごいことになりそうだったので、まんべんなく修行しました。ちょっと見てみたい気持ちもあるけど。

物語も気になるけど、もうひとつ気になるのが……

 それにしても、涼と莎花と関係はいったいどうなるのか。白鹿村では何も起こらなかった。涼は、勝手に莎花の部屋に入らないような紳士だが、女の子の気持ちには鈍感だ。

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入れないだろうと思いつつ、ちょっと期待した。

 涼の故郷について莎花と話しているときに、『シェンムー 一章 横須賀』に登場した原崎望(はらさきのぞみ)の話題になると、莎花が嫉妬ととれるような態度をとる。涼は戸惑いつつも、原因には気づかない。もどかしい!

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 そもそも『シェンムー 一章 横須賀』のときから、莎花は涼の夢の中に出てきており、運命のふたりといったような位置づけだ。『シェンムーII』では、ラストでやっと出会えたという感動で忘れていたが、このふたりどうなるの?

 莎花からは少なからず涼への好意を感じるが、涼は自分の気持ちにすら気づいていない感じだ。このふたりの想いが通じ合うときは来るのだろうか。

 しかし、まだそうと決まったわけではないが、もしふたりが恋愛的な意味で気持ちが通じ合った場合、原崎はどうなるんだろう……。あと、ジョイも……、芳梅も……。

 とか、とりあえずものすごく気になっている。白鹿村より先の舞台で、何か起こってほしい。いやでも、何も進展しないまま、もどかしい感じを楽しむのもそれはそれで……。どちらにせよ、後半をプレイしないとわからないことだ。ますます楽しみ!

ガチャガチャはほしいものほど出ない

 そろそろつぎの舞台へと移動しなければいけないが、白鹿村でやり残したことはまだまだある。ガチャガチャのグルッパセットもコンプリートしたかった(ガチャガチャを50回やったけど、最後のひとつが出なかったので諦めました)し、サブストーリーも逃しまくっているはず! しかし、物語を進めたい。

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“シェンムーI”のグルッパセットでは、肝心の涼が最後まで出なかった。

 つぎの舞台は鳥舞(ちょうぶ)だ。白鹿村と違い、人も多い、店も多い、栄えた街。前作までに登場したキャラクターにも会いたいと思いつつ、つぎは何が起こるのか、これからの展開に期待して、後編でまた会いましょう。