『チェイサーゲーム』の“あの”キャラクターたちに特別インタビュー

 今回、ファミキャリ!会社探訪でサイバーコネクトツーを取材するにあたり、急遽スペシャルな企画が実現。ファミ通ドットコムで連載中のお仕事マンガ『チェイサーゲーム』は、サイバーコネクトツーを舞台にしており、主人公の新堂龍也ら一部を除いた登場人物の多くは、サイバーコネクトツーのスタッフをモデルにしている。

 今回は、マンガの中でも強烈な個性を発揮している、穴井昭廣氏、魚川貴央氏、上田和範氏にサイバーコネクトツーの魅力について聞いた。

お3方は福岡本社に勤務しているので、インタビューはテレビ会議を使って実施。

穴井 昭廣(あない あきひろ)

サイバーコネクトツー
ディレクター

魚川 貴央(うおかわ たかひろ)

サイバーコネクトツー
シネマティックアニメーター

上田 和範(うえだ かずのり)

サイバーコネクトツー
キャラクターアニメーター

三者三様の入社経緯

――最初に、みなさんの経歴から教えてください。ゲーム業界を志したきっかけや、現在に至るまでの経緯について、また、現在の業務内容についても簡単にお答えください。

穴井最初はアニメーター志望でした。『風の谷のナウシカ』を見て感動して、スタジオジブリに入りたいと思っていました。その後、高校時代にゲームにハマり、ゲーム業界を志望したのですが、高校卒業ではなかなか入ることができませんでした。それで、まずはアニメーターになるための専門学校に行き、アニメーターになったのですが、やはりゲームの仕事をやってみたいと再確認し、再びゲーム業界を目指すことにしました。当時は、格闘ゲーム全盛期で、ゲームセンターでアルバイトしながら、何とかゲーム会社に入ることができました。しばらくして、訳あって専門学校の講師に転職することになり、そのときにサイバーコネクトツーを知りました。それで上から目線ですが(笑)、「この会社なら入ってもいいかな」と思って転職することになりました。

魚川最初からゲーム業界に興味があったわけではなく、ゲームにもアニメにも興味があるようなふつうの学生で、とくに将来の夢があるわけではなく、何となく海外で働きたいなぁと思っていました。そんなときに、サイバーコネクトツーが手掛けたプレイステーション3用ソフトの『NARUTO-ナルト- ナルティメットストーム』をプレイしたところ、グラフィックや演出に感化されてしまい、唐突に高校一年のころに「俺もやりたい」と思いました。出身は兵庫県神戸ですが、サイバーコネクトツーに入ることを目標に、高校3年間と専門学校4年間かけて勉強して、2016年、22歳のときに新卒で入社しました。

上田最初に言っておきたいのですが、自分は『チェイサーゲーム』に出てきたようなキャラクターではありません(笑)。

(一同笑)

上田自分の場合は、ゲーム業界への入りかたが特殊でして……。弊社社長の松山とは大学の同期になります。サイバーコネクトツーには2004年に入社したのですが、そのころは会社を大きくしていく過程で、開発を2ラインにすることになりました。当時自分は何をしていたのかというと、工場でペンキを塗っていたり、クリーニング店の配達をやっていたりしていました。当然松山の活躍ぶりは知っていたので、「がんばっているな」と思っていました。松山はそのころゲームやマンガが好きな人に声をかけていたそうで、人を増やすにあたって自分にも声をかけてくれたんです。「経験もないし、会社の役には立てないよ」と話したのですが、「いや、マインドさえあれば大丈夫。育てるけん」と言ってくれました。それから、仕事後に会社に行ってパソコンの起動から教えてもらって、最低限会社で仕事ができるところまで育ててもらってから入社しました。

――お話しできる範囲で、現在担当しているタイトルや仕事の内容について教えてください。

穴井アートディレクターとディレクターを兼務していますが、どちらかといえば、少しアート寄りです。現在は、『ドラゴンボールZ KAKAROT』のディレクターを担当しています。

魚川いまは未発表プロジェクトで暗躍しているのですが、それまでは『ドラゴンボールZ KAKAROT』の映像部分、その前は2016年になりますが、『NARUTO-ナルト- 疾風伝 ナルティメットストーム4』に携わっていました。

上田社歴もそこそこ長いので、最初は『NARUTO -ナルト- 疾風伝 ナルティメットアクセル2』、『.hack//G.U.』から始まり、それから『ナルティメットストーム』シリーズのほとんどに携わっています。あとは『ASURA'S WRATH(アスラズ ラース)』。そして『ドラゴンボールZ KAKAROT』で、一貫してモーションを担当しています。『チェイサーゲーム』の“上田”と同じですね。

――入社する前、サイバーコネクトツーさんをどのような会社だと思っていましたか? また、実際に入社してその印象は変わりましたか?

穴井私が入社した当時は、『チェイサーゲーム』にも描かれていた通り、“技術2番、やる気が1番”という感じでした。やみくもに、貪欲に自分たちのやりたいことだけを追い続けることができました。コミュニケーションはもちろん大事なのですが、それよりも個人個人がやりたいことをやっていました。現在はそのころと比べれば、社員が3~4倍と会社も大所帯になり、変わらなければ置いていかれる時代です。本当の意味でのコミュニケーションが密になり、根本的な部分は同じでも、時代に即して変わっていった感じです。

魚川入社前、2010年~2015年ごろになりますが、やはり松山の印象が非常に強かったです。ああいったタイプの人が100人も200人もいるような、宇宙のような会社だと思っていました(笑)。一方で、少数精鋭のイメージもありました。入社後、やはり松山のような人間は“オンリーワン”でしたが、思っていた通り、クオリティーの高いゲームを作ることができるスタッフ陣と環境だと感じました。

上田松山からは社長就任前から仕事の話をよく聞いていて、“ゲーム業界の人は一筋縄ではいかない”とか、“指示通り動いてくれない”とか、いろいろと聞かされていました。逆に自分は工場勤務だったので、実直で素直な人が多かったです。ですから、入社する前はいままでとは正反対でやりにくいのかなと思っていました。しかし、皆さんの夢を創る仕事ですし、実態はよく分かりませんでした。入社して感じたことは、気難しい人ばかりということもなく、松山の高い熱量に共感して、ゲーム作りをしている会社なんだなと安心しました。それはいまでも変わらないですね。

――会社の特徴や強みはどういった部分にあると思いますか?

穴井ほかの会社でも「うちはいろいろなチャンスがあるよ」とアピールすると思いますが、弊社にはそれが本当に無限にあります。入社何年目だろうと関係なく、チャンスは平等にあります。魚川も新人のころからいろいろなところに顔を出していましたが、俗に言う“出る杭は打たれる”ではなく、逆に本人の予想以上に“出る杭はひっぱり上げられる”くらいチャンスがあります(笑)。チャンスが多いだけではなく、それを補佐する仕組みが豊富で、コンペなどもあります。もちろん、コンペを飛ばして直接企画書を上に出してもいいのですが(笑)。経験などに関係なく、チャンスが転がっているのが大きな特徴だと思います。

――そのチャンスの多さを実感している魚川さんはいかがですか?

魚川“出る杭を引き抜きに来る”会社でした(笑)。しかし、個人的にありがたい社風だと思いました。

上田僕は魚川のように何にでも首を突っ込むでなく、自分の手の届く範囲をがんばるタイプでして、時折もっと積極的にと注意をされます。そんな私にも上長や周囲の者が目を配ってくれていて、何度かチャンスに恵まれまています。たとえば、自分のデスク回りに好きなアニメ等のグッズを飾っていますが、それを見た松山に「そのゲーム作ろうぜ」と企画をせがまれることが年に数回あったりします。それを活かしきれていないのは不甲斐ない限りなのですが、そういったチャンスは度々ありますね。

――社内交流についてはいかがですか?

穴井部活があります。サバゲー、ダーツ、フットサル、将棋、写真、『FGO』など(笑)。同じ趣味の人たちが集まって遊ぶために、会社の仕事以外でコミュニケーションを取ることが推奨されています。

魚川賑やかな会社だと思います。キーボードやマウスの音だけが延々と響くような職場ではなく、いろいろなところで話をしているのを見かけます。もちろん、仕事の話ですが、ひそひそと話すこともないので、職場にいるだけでいろいろな情報が入ってきます。ほどよく賑やかで、また200人規模の会社にしては、松山などの上の人間との距離も圧倒的に近いのではないかと思います。会社によっては、社長に会うことすらないのかもしれませんからね。ふつうに世間話ができますし、かなり近い距離感だと思います。

上田会社の人と飲みにも行きますし、週末に釣りに行ったり、花見に行ったこともありました。コミュニケーションを円滑にするような施策が多いんじゃないかなと思います。

――弱点や改善したほうがいいと思うようなことはありますか?

穴井弱点ではないかもしれませんが、みんな素直ですね。「サイバーコネクトツーを食い物にしてやろう」と思っているようなスタッフはいないし、先輩にも足りない部分があればどんどんと指摘しますし、言われたほうも素直に受け入れています。

魚川うーん。弱点だらけかもしれません(笑)。

上田よく「映像が強い」と言っていただけるのですが、逆に言えば、「それ以外はどうなの?」と。また、松山のイメージが強いですよね。彼にもし何かあったとしたら、どうなるんだろうか。松山に代わる“機関車”はいませんし、若いという年齢でもないですから。

穴井いや、意外と大丈夫ですよ(笑)。

上田もちろん、社内は大丈夫だと思うんですよ。ただ、社外から「松山さんじゃないと……」と言われたときにはね返すだけのものがあるのかどうか。

『チェイサーゲーム』

――自分が勤めている会社が舞台で、さらに自分と同じ名前のキャラクターが登場していますが、実際にはどう思っているのでしょうか?

穴井容姿など、もちろん脚色はされているのですが、じつはほとんど『チェイサーゲーム』のままです(笑)。ときどき私本人しか知らないようなエピソードが描かれていて、「えっ? 見てたの? 盗聴してたの?」と思うくらい、ほかの人が知らないはずのセリフが登場していたりするんですよね。

魚川穴井とは違って、容姿だけは似ていますね(笑)。ただ、期日の一週間前に進捗率99%だった試しはないですね。実際はギリギリで間に合わせるタイプです。「終わるまでには何とかしておきますよ」と。一部の方は「現実の魚川のほうがいい」と言ってくれました。同姓同名のキャラクターがいるというは、ほかのマンガにはないところでして、相当に“できる”キャラクターとして描かれているので、妙なライバル心ではないですが、ときどきイラッとします(笑)。新しいマンガの楽しみかたができました。

上田穴井も魚川もカッコよく、できるキャラクターとして描かれていますが、私は立場としては“ヒール”ですから(笑)。第1話が公開される直前に登場する人たちには、「こんな感じでマンガになっているから」と原稿を先に見せてもらいました。同姓同名で、顔まで似せてもらっていて、「マンガに出るなんてすごいなぁ」と思っていたのですが、あの1話のエピソードだったので……(笑)。魚川やほかのスタッフから「大丈夫?」と心配されました。

――マンガと実際の現場で違うと感じる部分はありますか?

上田進捗率に追われている感じとかは近いですね。リアルでも、マンガに描かれているようにあたふたしています。

魚川マンガなりの脚色はされているのですが……実際はもっとひどくないですか?

(一同笑)

穴井現実では、どうしてもこなせるところに負担をかけてしまっています。みんなで力を合わせて「さぁ、やるぞ」というよりは、局所的に負担がかかっていることがあります。

上田まぁ、僕は迷惑をかけているほうですね。

(一同笑)

――求人するにあたり、どのような人といっしょに仕事をしたいですか? また、どのようなタイプの人が御社にマッチしていると思いますか?

穴井現場からの意見として、やはりやる気がいちばんです。もちろん、最低限の技術は取得しておいてほしいのですが、ディレクターとしては、とにかくやる気があれば不足していることは補うことができますので、まずはやる気がいちばんです。

魚川やる気のある人からはおのずとパワーをもらえます。欲を言えば、個人的には型破りな人。型にはまっていない革命家。悪く言うと無法者のような、そんな『チェイサーゲーム』の“黒田くん”のようなタイプの人と仕事をしてみたいなと思っています。

上田自分の好きなこと、弊社の場合はゲームになりますが、その“好き”に対して真摯に向き合えること、かつ貪欲であること。そういったタイプの人が力を発揮できる会社だと思います。与えられたもので満足せずに、もっと欲しがる人がいいですね。

――なるほど。今回はありがとうございました。