2019年9月12日から15日まで開催される(12日、13日はビジネスデイ)東京ゲームショウ2019(TGS2019)に向けたインディーゲームパブリッシャーのPLAYISMの新作発表会が、9月11日に行われた。この新作発表会ではTGS2019に出展するタイトルを中心に、制作者のトークを交えて紹介された。本記事ではこの発表会の模様をお届けする。

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 まず登場したのがPLAYISMを運営するアクティブゲーミングメディア代表のイバイ・アメストイ氏。PLAYISM設立のきっかけについてイバイ氏は、自身が『LIMBO』のファンだったことがきっかけとなり2010年に立ち上げに至ったと語った。設立当初は、「インディーゲームと同人の違いから説明していかないといけなかった」と同時を懐かしそうに回想した。そして、ここまでインディーゲームが盛り上がってきた要因として、“Steam”、“Unityに代表されるゲームエンジン”、“Kickstarterに代表されるクラウドファンディング”の3つが大きかったと分析。最後は「よりよいゲームをより早く発掘して、皆様へ届けたいと強く願っています」と締めくくった。

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イバイ・アメストイ氏。

 イバイ氏の挨拶のあとに登壇したのは、『アクションゲームツクールMV』のプロデューサーであるKADOKAWAの最上昇氏。『アクションゲームツクールMV』自体はPLAYISMブースで出展されるわけではないが、これは、海外版『アクションゲームツクールMV』(海外タイトルは『Pixel Game Maker MV』)の発売をPLAYISMが担当していることによるもの。最上氏は、現在Steamにてアーリーアクセスが行われている『アクションゲームツクールMV』が9月19日に正式ローンチされることを発表。さらに、ローンチ後もアップデートが行われ、アクションゲームが作りやすくなるデータベース機能、ローグタイプのゲームが作りやすくなるマップの自動生成システム、制作したゲームをNintendo Switch向けタイトルとして販売できる機能などが追加されることを説明した。なお、『アクションゲームツクールMV』もTGS2019に出展されるとのことだ。

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『アクションゲームツクールMV』プロデューサーの最上昇氏。

 そのあとに登壇したのが、PLAYISM エグゼクティブプロデューサーの水谷俊次氏。水谷氏の口より、TGS2019に出展される11タイトルが紹介された。以下、そのラインアップを紹介していこう。

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司会を務めたPLAYISM エグゼクティブプロデューサーの水谷俊次氏。

『DEEEER Simulator』

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 首が伸びる鹿を操作して街を破壊したり、動物に乗ったりできる『DEEEER Simulator』のアーリーアクセスが今冬にSteamとPLAYISM storeにて開始される。また、開発者の阿部敬介氏からのコメントが読み上げられ、「鹿のゲームは現在開発中です。年末から年始にアーリーアクセスとしてリリース予定です」とのこと。

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Ministry of Broadcast ミニストリー・オブ・ブロードキャスト

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 チェコのデベロッパーが制作した『Ministry of Broadcast ミニストリー・オブ・ブロードキャスト』は、日本語版の発売が決定。政府が隔てた壁によってふたつに分断された国を舞台に、家族に会うためにリアリティーショー“ウォールショー”に参加する主人公を描いたアクションパズルゲーム。こちらは今冬Nintendo SwitchとSteamにてリリース予定。TGS2019には日本版の試遊出展がされる。

 また、発表会では開発者の方も登壇し、本作はジョージ・オーウェルの小説『1984年』と、「これからの近未来はどうなっていくのだろう」という想いが本作の構想となったことを解説。また、アートデザイン部分にも力を入れていて、ロシアのアバンギャルドなどがもとになっていることも説明していた。

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『幻想郷華夜祭』

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 3年以上のかけて作られた東方Projectの二次創作のアクションゲーム作品。

 PLAYISMと共同パブリッシャーとなるバカーの斉藤大地氏が登壇し、東方Projectから伊吹萃香が祭りの準備のため、お酒を探しに行くというストーリーの2Dコンボアクションゲームだと説明。また注力している部分について、アクションの楽しさを高めるエフェクトへのこだわりや、忘れられたものが集まる世界という幻想郷の世界観とマッチしたレトロなドットグラフィックが魅力となる作品だと語られた。

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(C)上海アリス幻樂団
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バカー斉藤大地氏。

『Everything』

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 『Mountain』を手掛けた3DCGアニメーション作家のデビッド・オライリー氏が手掛ける『Everything』の日本語版の発売が2019年内になることがアナウンスされた。

 制作者のデビッド・オライリー氏からのメッセージも読まれ、「日本のプレイヤーが『Everything』をプレイできるようになるのは嬉しい。これまで日本の多くのアーティストたちが僕の作品に影響を与え続けてくれて、その影響はこのゲームの柱となり、哲学にまで広がっています。本作は万物にあまねく存在するもの、生命の崇高な側面と馬鹿げた側面の両方を兼ね備える、それが自然というプロセスなんだという考えが基になっています。リリースして以来、英語で遊んでくれた日本人プレイヤーの方々から熱い感想をいただいてきました。それもあってこのゲームが伝えたい言葉と精神を日本語で表現できるような特別な翻訳になるよう注力していますので、ぜひお楽しみください」とコメント。TGS2019では日本語版がプレイアブル展示される。

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『Orangeblood』

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 架空の1990年代の沖縄近海にある人工島“ニューコザ”を舞台にストーリーがくり広げられるRPG。発表会に登壇した制作者のGrayfax氏は、古くは中国の影響を受け、日本に併合され、戦後は30年ほどアメリカの統治下にあった沖縄のエキゾチックさに着想を得た作品だと説明。「日本のみならず、さまざまな文化圏の方に異国情緒を感じてほしい」という想いも語った。発売時期は11月に決定。PC版のリリースに加えて、Nintendo Switch、プレイステーション4、Xbox Oneでのリリースも発表された(コンソール版の発売時期は未定)

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Grayfax氏

Subnautica サブノーティカ

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 海を舞台にしたオープンワールドのサバイバルゲーム。こちらはプレイステーション4にて2020年1月16日に日本版の発売が決定したことがアナウンスされた。パッケージ版の発売もあり、予約受付も発表と同時に開始された。パッケージ版には初回特典として、難しいゲーム序盤の指南書となるサバイバルガイドが付属されるそう。TGS2019では、PLAYISMとKONAMIブースにて日本版が試遊できる。

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OMORI オモリ

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 2014年にKickstarterが開始され、大きな話題を呼んだ精神世界を描いたホラーJRPG作品『OMORI オモリ』。今回は長らく開発が続けられていた本作が、ついに完成間近となったことを発表。リリースは年末に英語版が発売された後、2020年春に日本語版がリリースされるそうだ。制作したOMOCAT氏からのメッセージ映像も流され、制作への想いなど伝えられた。こちらはNintendo SwitchやSteamで展開予定となっている。また、TGS2019ではPV映像の展示がされることも明かされた。

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『Bright Memory アーリーアクセス版』

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 中国に住む20代のクリエイターがひとりで作り上げたハイクオリティなFPS。本作は少し特殊で、あまりFPS作品は取り扱わないPLAYISMが作品のクオリティに惚れ込む形で、サポートに入ったという経緯を持つ作品なのだそう。現在は英語版のアーリーアクセス版がリリースされているが、2019年内に日本語が追加されたバージョンが発売される。

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 また、発売はまだまだ先のフルパッケージ版となる『Bright Memory Infinite』の映像も公開された。TGS2019ではアーリーアクセス版を日本語で楽しめるプレイアブル版が展示がされる。

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 ほかにも、TGS2019では『Necrobarista - ネクロバリスタ』、『OUTRIDER MAKO ~露払いマコの見習い帖~』、『N1RV Ann-A: Cyberpunk Bartender Action』を試遊出展されるとコメント。昨年のTGS2018でも出展された『N1RV Ann-A: Cyberpunk Bartender Action』は今回、新たなバージョンのデモが遊べるそうだ。

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最後は新作以外の情報として『わすれなオルガン』の出展(インディーゲームコーナー 9-A15)、一騎当千ハイスピードコンボアクション『クロワルール・シグマ』のコンソール版で追加された要素が入ったPC版が近日配信されることも語られた。
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