2019年8月30日~9月1日の3日間、中国・上海の国家会展中心で簡体字版『Fate/Grand Order』(FGO)の3周年を記念したリアルイベント“Fate/Grand Order EXPO Shanghai 2019”(以下、FES)が開催された。

 2日目の夜には、岩上敦宏氏(アニプレックス/代表取締役)やカノウヨシキ氏(ディライトワークス/『FGO』第2部 開発ディレクター)、サーヴァントのボイスを担当する声優の植田佳奈さん(イシュタル、エレシュキガル役)、水島大宙さん(ガウェイン、シャーロック・ホームズ役)、悠木碧さん(酒呑童子、沖田総司、沖田総司〔オルタ〕、大いなる石像神役)がステージに登壇した。本稿ではそんな“夜の部”の模様をリポートする。

オープニングを『FGO』3年間の歴史や美麗な公式コスプレイヤーが彩る

 “夜の部”のオープニングを飾ったのは、簡体字版『FGO』の3年の歴史を時系列順に振り返る長尺のムービー。メインクエストや期間限定イベントのTV-CMと合わせて、各サーヴァントの名台詞が流れ、簡体字版をプレイしたことがない筆者も、ともに3年を歩んできた気持ちとなってテンションが上がる。

 映像が終わると、美しい公式コスプレイヤーの登場だ。順番に登場するコスプレイヤーたちは、バックで流れる宝具ボイスとあわせてリップシンクを行い、宝具モーションを再現する殺陣も見せてくれた。なお、宝具演出に動きがないサーヴァントは独自の殺陣だった。

 特に印象的だったのは、シャーロック・ホームズの公式コスプレイヤー。宝具“初歩的なことだ、友よ(エレメンタリー・マイ・ディア)”には目を閉じたホームズの顔がアップとなり、セリフとあわせて目を開く演出があるのだが、担当の公式コスプレイヤーはこの目を開くタイミングを背景の宝具映像と完璧に合わせ、本当にホームズが現界したかのように筆者を錯覚させてくれた。

第2部終了後はどうなる? 中国でも大人気なカノウ氏が現地マスターの質問に回答

 “夜の部”本編がスタートし、簡体字版『FGO』の運営を行っている陳睿氏(Bilibili動画/会長)とアニプレックスの岩上敦宏氏が順番に登壇した。

 岩上氏は、前回のFES以上の素晴らしいイベントで感激したことを交えて挨拶し、3年間『FGO』を応援し続けた簡体字版マスターと運営のBilibiliに感謝の言葉を送った。

 続いて、第2部 開発ディレクターのカノウヨシキ氏が登壇。カノウ氏は中国でも大人気なようで、簡体字版マスターの大歓声が迎えた。

 事前に練習したという中国語で挨拶したカノウ氏は、初めて訪れたという中国の印象について、すべてのスケールが大きいことを挙げた。特に、会場に展示されていた1/1サイズに近い虚数潜航艇シャドウ・ボーダーの大きさに驚いたという。

 司会者からカノウ氏は中国で大人気で知名度も高いこと、そしてとても感謝していることを告げられ、照れた様子のカノウ氏。簡体字版マスターたちの熱に押され気味のカノウ氏は、ここで事前に募集したマスターからの質問に答えることになった。

質問1:当初、どのような心持ちで『FGO』開発チームに加わったのか?

 進行管理を行うプロジェクトマネージャーとして『FGO』に携わり、クリエイティブディレクター(当時)の塩川洋介氏をサポートしていたカノウ氏。

 あるとき徐々に話が変わっていき、第2部をリリースする半年ほど前に塩川氏から正式にオファーが届いたことと、準備期間が半年しかなかったことを明かした。

 そのときの心境は複雑だっとカノウ氏。しかし、これも1つのチャンスだと思って引き受けたという。

質問2:第2部の開発でいちばん印象に残ったことは?

 第2部はクリプターとのバトルの構築や全インターフェースの切り替え作業があったため、リリース前がいちばん印象に残っていると回答。

 ほかのイベントも同時に開発していたため、どのように第2部の作業を入れていくかの調整が大変だったという。

 ちなみに司会者から解決方法について問われたカノウ氏は「開発をがんばるしかない」と回答していた。

質問3:個人的にいちばん好きなサーヴァントは?

 いつもパーティーに入れて一緒に周回しているというアルターエゴの沖田総司〔オルタ〕と回答すると、会場のマスターたちから大歓声が。

 好きな理由については、イラストのよさ、強くてかわいいところ、性格が天然で周りに愛される愛されキャラなところなど、多々挙げていた。

質問4:第2部で『FGO』が終わるかもしれないとニュースで知りました。今後はどのような方向性で『FGO』を運営していくのですか?

 この質問には、日本のメディア(週刊ファミ通8月22・29日合併号のこと)のインタビューに答えた奈須きのこ氏の「もう考え始めておかないと間に合わない時期」という言葉を紹介。

 どのような形になるのかわからないと前置きしたうえで、「これから我々と奈須さんも皆さんの期待に応えられるようにがんばっていきます」とコメントした。

植田佳奈さん・水島大宙さん・悠木碧さんによる一問一答

 ステージイベントの中盤では、声優の植田佳奈さん、水島大宙さん、悠木碧さんがそれぞれの担当サーヴァント(エレシュキガル・ホームズ・沖田総司〔オルタ〕)の生召喚ボイスとともに登壇。事前に用意されたいくつかの質問に答える一問一答が行われた。

質問1:中国に来たのは初めて?

 植田さんは妹さんが4年間上海に住んでいたため、国家会展中心には何度も訪れたことがあるそうだ。ちなみに、一週間前には中国の武漢にいたとのこと。

 水島さんは中国自体は3度目だそうだが、上海はほかの地へ経由するために訪れたそうで、イベントで参加するのは今回が初めてだったようだ。

 初めて上海に訪れたという悠木さんは、建造物の大きさに驚いたそう。また、朝からディズニーランドに行き、楽しんだエピソードを明かした。

質問2:初めて『Fate』と出会ったきっかけは?

 それぞれ仕事で携わることになったときが初めてで、植田さんは『Fate/stay night』のオーディション、水島さんは『Fate/EXTRA』でガウェインを演じることになったとき、悠木さんは『Fate/EXTRA CCC』でジナコ=カリギリを演じたときと回答した。

質問3:音声収録でいちばん印象に残ったことは?

 植田さんは、違う人間を演じる際は声を変えるが、イシュタルとエレシュキガルはもとになった器が同じなため、同じ声で違う人間を演じることが難しかったと苦労したエピソードを披露。イシュタルは女神然としたお姉さん的な演技、エレシュキガルは引っ込み思案でおとなしい、上品さを出すように演じ分けているという。

 ホームズを演じている水島さんは、最初はクールで寡黙、言葉が少ない人物だと自分の中でキャラクターを構築していったのだが、あとでたくさん喋ることを知って驚いたそうだ。ちなみに、ホームズはキャラクター的に声を張る演技があまりできないとのことで、ステージ登場時の生召喚ボイスが音楽にかき消されていたことを残念がっていた。

 悠木さんは、沖田総司〔オルタ〕をすごくカッコいいキャラとして演じつつも、たまに天然ボケになるところが演じていて楽しく感じていたそうだ。やりすぎてしまうとキャラクターが崩壊してしまうのだが、天然ボケな表情が好みだったということで、バランスに注意しながらも、なるべく盛り込むように取り組んだとのこと。

質問4:いまいちばん食べたい中国料理は?

 質問を聞いた瞬間、悠木さんは「カニ!」と即答。それを聞いた水島さんは、上海蟹の旬は秋のため、美味しい時期に食べたいと回答すると、会場の中国マスターたちは水島さんの知識に関心した様子だった。

 いっぽう、植田さんは小龍包と答えつつも、「知り合いの神父が麻婆豆腐を作るのが上手いので……」と原作ネタを盛り込んで会場は大盛り上がり。本場の麻婆豆腐が食べたいとコメントした植田さんだったが、辛くないものが食べたいともらすと、司会者含む会場から一斉に「辛くない麻婆豆腐は麻婆豆腐じゃない!」と強めにツッコまれていた。

 水島さんは小龍包を植田さんに取られてしまった関係で、まだ一度も食べたことがないザリガニを挙げていた。

質問5:イシュタルとエレシュキガルの演じ分けのポイントは?

 2メートルぐらい先まで届くように音圧高めで会話するのがイシュタルで、エレシュキガルは30センチ~1メートルくらいまでしか届かない音圧で話すイメージで演じ分けているという。

質問6:ガウェインが硬い・カッチカチと評判になっているが、自身ではどう思う?

 水島さんは『FGO』をプレイしている友人から、よく「倒せないんだけど」と言われるそうで、そのたびに謝っていたそうだ。

 硬い理由について司会者から問われた水島さんは、『Fate/EXTRA』での主人・レオを話題に挙げ、彼の剣であり盾である強さをより引き立てて登場させるために硬くなったと紹介した。

 演じる際には、寡黙さと1つ1つの言葉を最後までしっかり言い切ることを気を付けているという。言葉も硬いとマスターたちを笑わせ、言葉の最後まで力強い「麻婆豆腐が食べたい!」という叫びを披露し、会場を盛り上げた。

質問7:酒呑童子、沖田総司、沖田総司〔オルタ〕の演じ分けのポイントは?

 悠木さんは、サーヴァントを演じる際にそれぞれの“重心の位置”を意識していることを明かした。

 酒呑童子はバトルモーションも軽やかでふわふわとしているイメージのため、高めの重心を意識すると声が軽やかに聞こえ、沖田や沖田〔オルタ〕は剣術を使うので、低めの重心を意識してお腹から声を出すようにしているそうだ。

声優陣3名がサーヴァントのイラストを披露!

 トークステージ最後のコーナーは、クイズコーナー。まずは声優陣が生で披露する日本語の宝具ボイスを聞いて、来場者がサーヴァント名を答えるというクイズに挑戦した。

 植田さんが担当したのはイシュタルの宝具ボイス。ひと言目から大歓声が巻き起こり、日本語にもかかわらず大半のマスターは正解がわかったようだ。ちなみに、来場者の回答前に司会者が日本語で「イシュタルはよく使う」と発言してしまったのはご愛嬌。

 このほかにも、水島さんが前コーナーのネタを引っ張り、ガウェインの声で「麻婆豆腐が食べたい」と言ったり、悠木さんが酒呑童子の声で「ディズニーランド楽しかったわぁ」と言ったり、正解が沖田〔オルタ〕なのに、緊張してしまった来場者が「人魔沖田総司」と答えてしまったりと、宝具ボイスを当てるクイズは大きな盛り上がりを見せた。

 続いてのクイズは、声優陣が好きなサーヴァントのイラストを描き、来場者が当てるというもの。植田さんは好きなサーヴァントはエミヤなのだが、当てやすいようにランスロット(バーサーカー)をチョイスしていた。

 水島さんもイラストが苦手ということで、線と円が描ければ問題ないというレオニダス一世の仮面をイラスト化。

 最後の悠木さんは来場者の期待の通りカルナを描いたが、簡単すぎるため宝具名も答えてもらうようにクイズを変更。1人目の回答者は惜しくも間違ってしまったが、2人目の女性は宝具名まで見事に答え、賞品を受け取っていた。

トリは『FGO』主題歌やTV-CM曲を集めたミニライブ

 “夜の部”のラストは、『FGO』楽曲のみを集めたミニライブが開催。日本版3周年イベントで行われた“Fate Night FES.”と同じように、映像と文字演出で楽曲との相乗効果を見事に生み出していた。

【セットリスト】

  1. 色彩(Ayasa)
  2. 逆光(Ayasa)
  3. Eternity Blue(SAYA)
  4. Lose Your Way(ROUND TABLE feat.Dan)
  5. Indelible illusion(Yuriko Kaida)
  6. 一刀繚乱(六花)
  7. 清廉なるHeretics(DracoVirgo feat.毛蟹)
  8. 二者穿一(六花)
  9. BURN OUT!(乃愛)
  10. この惑星で、ただ一つだけ(SAYA)
来場者特典の加油棒を叩いて盛り上げる簡体字版マスターたち。
ステージイベントの最後には、出演者たちが3周年を祝うケーキをカット。