gamescom 2019の会場でも期待作の1本として大いなる注目を集める2Kの『ボーダーランズ3』。会場では試遊台が大々的に展開され、引きも切らず来場者が訪れていた。会期中には新情報として“試練の間”と“殺戮サークル”が登場することが明らかにされ、ファンを喜ばせた。

 “試練の間”は、30分以内に特定のエリアに出現する敵を殲一方の滅するとよい報酬がもらえるというもの。一方の“殺戮サークル”は、前作に引き続いての登場となり、押し寄せる敵のウェーブを相手に戦いを挑むというモードだ。

 2019年9月13日の発売に向けてさらに期待の高まる『ボーダーランズ3』だが、ファミ通ドットコムでは、gamescomの会期に合わせて、キーパーソン中のキーパーソンとも言えるクリエイターにインタビューする機会を得た。開発元であるGearbox Studio ディレクター、ポール・セージ氏だ。

ポール・セージ氏

Gearbox Studio『ボーダーランズ3』 ディレクター

快適な動きを実現するために注力した

――7年ぶりのナンバリングタイトルとなりますが、どのへんに注力して開発したのですか?

ポールまずひとつめは“シューティングエクスペリエンス”。それに動き。ユーザーに快適なガンプレイを提供することは、本作にとって重要なテーマでした。ふたつめが“ストーリー”。よりよいストーリーは、プレイヤーのモチベーションを上げてくれます。3つめが“キャラクター”。人間性溢れるキャラクターを登場されることで、プレイヤーが関係生を持てるんです。そして最後が“協力プレイ”。ご存じのとおり『ボーダーランズ3』では、最大4人までの協力プレイが可能ですが、協力プレイの障壁を取るというのが大きな課題でした。そのため、レベル40のプレイヤーとレベル10のプレイヤーが垣根なく楽しめるように“レベルシンク機能※”を実装しているんです。

※プレイヤーのレベルに合わせて敵のステータスが変わったり、ドロップする武器がプレイヤーのレベルに合わせたものが出現するようになるシステム

――動きとおっしゃいましたが、『ボーダーランズ3』の操作感というか、キャラクターの動きは極めて心地よいですね。手触りがいいです。

ポールちょっと不思議に聞こえるかもしれませんが、これは事実なんだけど、前に宮本さん(宮本茂氏)の講演を聞いたことがあるんですね。彼は「ひとつの部屋のなかにひとつのブロックを置いて、それだけで楽しくできればゲーム全体が楽しくできる」という趣旨の発言をしていて、それがいつも心に残っています。『ボーダーランズ3』では、ガンや動きを楽しくしないといけないということで、そのためだけのチームを作っています。

――動きを快適にするチームを作ったということですか?

ポールそうです。ゲームの動きをチェックするチームです。彼らは動きやガンシューティングにフォーカスしてチェックしています。さらにUI(ユーザーインターフェース)も彼らが見ています。たとえば、敵の反応はとても大事で、きちんと敵がリアクションしないと、プレイヤーは“撃った”という感覚がしないものなんです。社内でもよく話題にしているのですが、モンスターが大きいとなかなかリアクションを出しづらいのですが、そこはプレイヤーに“撃った“という感覚を持ってもらうことが大事だと思っています。

――ガンプレイでも、そのこだわりは踏襲されているのですね?

ポールボーダーランズ』シリーズでは、メニュー画面でガンの説明をしています。まずは、“これはこういうガンだ”という説明があって、以前ならばメーカー名や品番が記載してありました。実際のところそれはあまり意味がなくて、フィーリングをつかむために、どんなガンなのかを説明することのほうが大事なんですね。たとえば、“シールドを装備している”とか、“四方八方に弾が飛ぶ”といった具合です。また、“コンビニエンスフィーチャー”として、ガンを動かしながら敵に狙いをつけるときに、少しの時間だけ動きがスローモーションになって、エイミングしやすくなります。そういった要素を加えました。

――よりよりストーリーを……とのことでしたが、本作のストーリーのメインテーマはなんですか?

ポール興味深い質問をされますね(笑)。スタッフとメインテーマについて話すときは、“ファミリー“という言葉が出てきます。それもひとつのファミリーではなくて、重層的なものです。まずは、カリプソ・ツインズというヴィランがいます。兄と妹のファミリーです。ヴォルト・ハンターの4人も、ある意味では“ファミリー”と言っていいかもしれません。そこにはラブストーリーがあるかもしれません。そのほかにもファミリーが出てきますよ。

――ラブストーリーって、ヴォルト・ハンターどうしでですか?

ポールふたりのNPCが関わってきますよ(笑)。

――キャラクター造型の方向性に関してはいかかでしょうか?

ポールそれはふたつの言葉に集約されます。まずは“本物らしさ”。真実でないと、そこにプレイヤーが関係生を見いだせません。もうひとつが“驚き”。『ボーダーランズ』シリーズのファンは、ちょっとクレイジーなものを求めていますが、その期待をさらに上回るものをお届けしないといけないのです。行動ひとつとってもそうです。そのキャラクターがどのような予想外の行動を取るかで、驚きを提供するんです。

――ちなみに、とくにお気に入りのヴォルト・ハンターは?

ポール(苦笑)。4人はどのキャラクターも、いずれも開発チームといろいろな決断をしながら作り上げたものです。誰かひとりがお気に入りというのはないです。ただ、自分が誰かとプレイするとしたら、おそらくゼインを選びますね。

――ゼインですか? なぜです?

ポール最初はFL4Kなどほかのキャラクターを使っていたのですが、ゼインは取っておいたんですね。それはキャラクターとして好きというのもあるのですが、ほかのキャラクターとはゲームメカニズムが少し違ったからです。アクション・スキルとしては、バリアを貼ったり、ドローンを飛ばしたり、ホログラフで自分のクローンを作って、テレポートで居場所を入れ替えることもできるんです。グレネードを使わずに、アクション・スキルをふたつ実装することもできます。とても戦略的におもしろ味のあるキャラクターですね。

――前作からしばらく経って、新しいファンもたくさん『ボーダーランズ3』を遊ぶことと思いますが、初めて遊ぶ人におすすめのポイントを教えてください。

ポールとにかく遊んでください!(笑)。まあ、言えるのは、「とにかく心配しないで遊んでください」ということですね。そして間違ったことをしても気にしないこと。とにかく楽しんでほしいですね。そのためのユーモアも、本作にはたくさん盛り込まれています。ユーモアによって緩急がついて、緊張感がほぐれますし、とにかく楽しんでほしい。戦略的なことはあまり考えずに、とにかくリラックスしてください。

とにかく楽しんでゲームをプレイしてほしい

――『ボーダーランズ』シリーズって、独特の世界観を構築していますが、『ボーダーランズ』を『ボーダーランズ』たらしめているものってなんでしょうか?

ポールアートスタイルが、とても大きな効果を持っていると思っています。アートディレクターは、スコット(スコット・ケアリー氏)が担当しているのですが、彼に限らず、みんなアメコミが好きなんですね。『ボーダーランズ3』を見たときに、「これはセルシェイダーで作っているのでは?」と皆さんに聞かれるのですが、そうではなくて手描きでやっています。

――手描きですか?

ポールそうです。だから相当時間がかかりました。ラインワークは非常に大事で、アメコミの感覚を出すためには、手描きが必要でした。ユニークな感情を出すという意味でも重要です。“リアルすぎない”ということです。リアルすぎるとリラックスできなくなってしまいますから。『ボーダーランズ3』のアートワークだと、「きっとおもしろいんだろうな」と感じてもらえるし、プレイヤーはゲームにとどまってプレイし続けてくれる。アートとユーモアですね。

――『ボーダーランズ』アートワークは、本当に独特ですね。

ポールもうひとつが協力プレイです。協力プレイがとても楽しくできるので、ファンの皆さんは『ボーダーランズ』を楽しんでくれているのではないかと。いまはPvPが多いですよね。PvPはどうしても緊張する状況ばかりになる。私としてはほかのゲームも協力プレイを大事にしてほしいと思っています。

――もしかして、当初がPvPのプランもあったりしたのですか?

ポールそんなことはありません。『ボーダーランズ3』では、一部“デュエル“の要素がありますが、それだけです。PvPはバランス調整が必要なのですが、『ボーダーランズ』が楽しいのは、(いい意味で)バランスが崩れていることです。“ガンが強すぎる”といった、インバランス(不均衡)があるから、楽しさができている一面はあると思いますね。

――バランスが崩れているのがいいというのは、興味深いですね。

ポールアマーラは敵を5~6秒押さえつけることができるのですが、それはプレイヤーにとってはおもしろくない時間ですよね。何もできないから。でも、AIであれば文句を言わないですよね。AIだから。PvPだと、そのへんのバランスを取らないといけなくなるというのはあるので、難しいですよね。

――さて、お時間のようなので、最後に『ボーダーランズ3』を心待ちにしている日本のゲームファンに向けてひと言お願いします。

ポール9月13日に発売日が待ちきれません。日本語音声にローカライズされてリリースされますが、これはとても大切なことだと思っています。みなさんが『ボーダーランズ3』を『2』につぐすばらしい作品だと感じてくれたらいいなと思ってください。とにかく楽しくプレイしてください!