エレクトロニック・アーツの定番サッカーゲーム『FIFA』シリーズ。その今年度バージョンとなる最新作『FIFA 20』について、7月末にエレクトロニック・アーツ本社で行われたプレスイベントで体験してきたので、その内容をお伝えしよう。
オマケじゃない! 独自要素もみっちり詰め込まれたストリートサッカーモード“VOLTA”
さて、今年度のFIFAで大きな新要素となっているのが、ストリートサッカースタイルのゲームモード“VOLTA”だ。
VOLTAでは3対3から5対5までのプレイ人数によるさまざまなルールでプレイ可能で、ピッチサイズもさまざま。壁に囲まれたピッチでゴールキーパーなしでプレイすることもあれば、キーパーありでタッチラインもあるフットサルルールの試合も可能となっている。
なおサッカーゲームとしてのシステムもあらゆる部分で独自のエディットが加えられており、メインモードと同じエンジンの上で11人制サッカーとは異なるゲームプレイを実現。
パスやシュートの飛び方などもちゃんとピッチサイズに合ったものになっているし、“ピッチを囲む壁を利用したひとりワンツー”などのストリートサッカーにしかないプレイも実現可能だ。
正直に告白すると現地でプレイするまではあまり期待しておらず、フルサッカーのモードを遊びに出席したようなものだったのだが、あまり違和感なくVOLTAにシフトできるし、まったく異なるテンポ感がフレッシュだしで、2時間ほどガッツリ楽しんでプレイできた。
ちなみにフランチャイズとしては過去にストリートサッカーをフィーチャーしたスピンオフ的なサブシリーズとして『FIFA Street』があり、合計4作が単体のゲームとして発売されていた。
このため今回のVOLTAを『FIFA Street』の後継として見る人も多いし、実際に共通する要素も多いのだが、プレイ感としては『FIFA Street』がアーケードっぽい(いかにもゲーム的な)ノリだったのに対し、よりリアル寄りのテンポや挙動のゲームになっているように感じた。
とはいえ、これは最後の『FIFA Street』から約7年半が経過している事も大きいと思う(この間にFIFAシリーズのプレイ感も大分変わった)。もしVOLTAに『FIFA Street』のゲームプレイを期待しているのなら、実際にトライして自分が求めるものに合っているかチェックしてみるのをオススメしたい。
VOLTA専用のストーリーモードも
VOLTAでは実在のプロサッカー選手を使ってクイックマッチをプレイすることもできるが、専用のストーリーモードやオンラインリーグの“VOLTA LEAGUE”などのモードも用意されていて、なかなか充実した作りとなっている。
ストーリーモードはキャラクター作成から始まり、さまざまな大会に参加しながら世界中を転戦していく……というもの。スキルツリー風の強化や、対戦した選手の引き抜きによるメンバーのアップグレードなどもある。
また選手の着用する服などのカスタマイズも可能で、各アイテムはVOLTAコインと呼ばれるゲーム内ポイントを使用する形。ちなみに試合の難度を上げることで入手コインも増えるという仕組みになっている。
なお公式サイトでは今回のプレスイベントの記事解禁に合わせて、VOLTAについての解説記事が掲載予定となっている。執筆段階では公開されていないので具体的な内容は不明だが、気になっている人はぜひそちらもチェックしてみて欲しい。
東京ステージのMCが面白い
ところで、各ステージではMCやBGMなど異なった演出がされるのだが、個人的に面白かったのが東京ステージ。「こぉ~こで決めたァ! まァだ試合は終わらなァい!」といった感じに、いかにもストリートっぽい演出の日本のイベントのようなテンションでMCがシャウトしてくれる。
リアルなイベントではああいった“日本の海外風ノリ”の演出は個人的にあまり好きではないのだが、これはこれですごくリアルで、微妙なこっ恥ずかしさとともにニヤニヤ楽しんだ(せっかくなので、会場外に見える繁華街の看板のフォントももうちょっと頑張ってほしかった)。
フルサッカーでは球際の攻防がより面白く
プレスイベントではVOLTAだけでなく通常の11人制サッカーの方についても扱われ、試遊はもちろん、開発用のビデオを交えたプレゼンテーションも受けられた。
今作での改善点・変更点は公式サイトに詳細な解説が公開されているが、では実際プレイしてどうだったか?
まずゲームスピードは、E3でのプレイリポートにも書いた通りほんの少しだけ遅めの調整。カメラ設定の違いのせいかと思っていろいろ試してみたのだが、この点については今回も同じ感想だった。
さて今回のスロー調整は、先の解説記事に書かれている「オフ・ザ・ボールのゲームテンポを遅くて落ち着いたものにして、オン・ザ・ボールの操作性とスピードを上げる」という目的によるものだろう。それを実感したのがディフェンス側の対応だ。
今作では“コントロールタックル”として、ディフェンスがドリブラーに寄せる際、自分かチームメートが拾ってマイボールにできるよう、周囲を考慮しながらタックルするようになっていて、遊んでいて何度か気持ちいいカウンターに繋げられた。
もちろん、ディフェンダーがコントロールタックルを狙うようになれば、オフェンス側は逆にディフェンダーを釣り出し、新アクションの“ストレイフドリブル”などでかわすという対抗が可能だ。
このように、ゲームスピードを遅くしてほんの少し思考する時間的余裕を作ることで、そこによりディープな球際の駆け引きを生み出そう……という意図があるのはわかる。個人的には「遅くて嫌だ」というほどでもないので、これはこれで突き詰めてみたい所(もちろん最初は慣れが必要だろう)。
また、セットプレイがどこを狙っているのかわかりやすく一新されたのは圧倒的に賛成したい部分。特に、これまでは慣れないといい具合に狙えているのかすらよくわからなかったフリーキックは、ちゃんとターゲットが出るようになって一目瞭然に。断然、この方がいい。
一方で、いまいち効果が感じられなかったものもある。“コンポーズフィニッシュ”として1対1のシュートが決まりやすくなったとされているのだが、ポストやバーに弾かれまくるのは変わらず。記者が下手なだけなのか、最高難度でプレイしていたが故なのか……。