2019年8月7日、女子プロレス団体・スターダムが錦糸町に構える道場にて、スパイクチュンソフトはプレイステーション4/Steam用ソフト『ファイヤープロレスリング ワールド』(以下、『ファイプロW』)がスターダムとのコラボレーションを行うことを発表した。
会見は、スターダム代表・ロッシー小川氏による挨拶から幕を開けた。
「この度は縁がありまして、『ファイプロW』が実名で選手を登場させるということで、スターダムが抜擢されることとなり、非常にうれしく思っています。いま実名で登場しているのは新日本プロレスさんしかいませんので、そのなかでスターダムが選ばれたということは、それだけ期待されているのかと思います。
スターダム自体は今年で9年目に入る団体でして、女子のなかでは試合数もいちばん多い団体です。このゲームをきっかけに、スターダムを知らない人にもスターダムの名前を覚えてもらえればありがたいなと思います」(ロッシー小川氏)
続いて、『ファイプロW』の総監督である松本朋幸プロデューサーが挨拶を行った。
「こういう場に出るのは去年の11月の謝罪会見以来なので、ちょっと緊張しております。今回なぜスターダムさんとコラボをしたかと言うと、もともと僕が『ファイプロ』を立ち上げた目的というのは、もちろん『ファイプロ』を遊んでいただきたいという気持ちもありますが、プロレス界が再び盛り上がっていくためのネタを提供できれば、という部分が大きくあります。
発売から約2年が経って、よくも悪くも貢献できてきたのではないかと思っています。今年は『ファイプロ』30周年ということもあり、ファンに喜んでいただける仕掛けができないかと考えていたんです。そこで、男子団体とのコラボが新日本プロレスさんでいったん実現したのだから、つぎは女子団体だろう、と考えたときにすぐスターダムさんかな、と思い、小川社長に相談したところ、快諾していただくことができました」(松本氏)
今回のコラボに期待することは何か、という質問が出ると、松本氏は「期待しかない」と返答。昔からファンに言われている、「『ファイプロ』の女子レスラーはかわいくない」という印象を払拭できる仕上がりになっている、スターダムのファンはもちろん、スターダムを知らない『ファイプロ』ファンにもよろこんでもらえるのではないか、と自信を持っての回答だった。
会見では、2010年のスターダム旗揚げからの所属選手である“スターダムのアイコン”こと岩谷麻優選手からの挨拶も行われた。
「スターダムのアイコン、岩谷麻優です。今回このようなゲームに関われてうれしいですし、女子プロと言えばスターダム、と思っていただけているのが、本当にうれしいです。以前にも動画でファンの方が作ってくださった(自分たちの)キャラクターなどを見させていただいたんですけど、今回は完全版というか、本物の選手、本物の岩谷麻優が操れるということが、本当に楽しかったです」(岩谷選手)
『ファイプロW』に登場する自身のキャラクターで事前にプレイしたという岩谷選手は、自身の必殺技である2段式ドラゴンスープレックスが完璧に再現されていたことがいちばんうれしかったと述べた。
「各選手のオリジナル技が出せるし、動きが本当に女子プロレスラー」、「女子プロファン、スターダムファンでなくても楽しめる」など、プレイを楽しんだ様子がコメントの端々に感じられた。
なお、今回の会見では登場選手を発表する予定はなかったようだが、会見中に岩谷選手が「ありさちゃん(星輝ありさ選手)とプレイして」とうっかり星輝選手が登場することを明かしてしまうというハプニング(?)もあった。
ふたりが事前プレイでくり広げた白熱のバトルも後日公開される予定、とのことなので、こちらも楽しみだ
今回のコラボでは、スターダムの選手10名が登場し、その外見や技だけでなく、入場曲やボイスまでもが実装されるとのこと。
これまで女子のパーツやボイスが少ないと言われていた部分に対し、これまでなかったものを補充できるている、と松本氏は述べており、女子選手のエディットを行っているユーザーには朗報と言えるだろう。
コラボ選手のコスチュームの再現度についても、2D表現で再現できるレベルとしてはかなり高いところまでいけた、と松本氏も自信たっぷりに語っていた。
『ファイプロ』シリーズ30周年という節目、女子選手の実名コラボという点では25年ぶりとなる今回のスターダムコラボのダウロードコンテンツは、プレイステーション4、Steam版ともに8月22日に2160円[税込]にて発売予定となっている。
今回の会見で登場が明かされた岩谷選手(と星輝選手)を除く残り8名の選手については、8月10日に開催されるスターダムの後楽園ホール大会のオープニングにて発表されるとのことだ。
以下、会見で行われた質疑応答の模様をお届けする。
――今回ボイスの収録をしてみた感想は?
岩谷選手(以下、岩谷) 収録現場で2ページぐらいの紙をいきなり渡されて、「ヤー!」とか「いくぞー!」とかのセリフが20個くらいあったんですけど、細かい説明なしで、そのままの流れでブースに入って実践したんですよ。本当にむずかしくて、試合中に自分がどんな声を出していたっけってなってしまって。
(収録現場が)リングじゃないし、ふつうの恰好をしているし、ふつうのテンションだし、というので、試合と同じような声を出すというのはすごいたいへんでした。何回も録り直しをしたり、みんな苦戦しているイメージでした。
松本氏(以下、松本) でもみなさんうまかったですよ。今回いちばん印象的なのは、「ヤー!」ですね。めちゃくちゃうまいんですよ。ぜひ買っていただいてご確認していただけるといいと思います。本当にファンの方はうれしいと思います。試合中には多分出さないだろうという声も収録しているので。
岩谷 自分がフィニッシュを決める前は、「終わりー!」って叫ぶんですけど、それも本当に完全再現されていて、本当に自分の声で「終わりー!」と言ってからのムーンサルトや2段式ドラゴンを出せるので、本当に楽しいです。
――星輝選手とのプレイはいかがでしたか?
岩谷 操作を覚えるのがむずかしくて、いろいろ教えてもらっていました。ゆっくりやればできるんですけど、△ボタンと×ボタンの同時押しとかがむずかしかったりして、何回も無駄にロープに走って、何も技を出さない、みたいな感じになっていました。でも何回もやるうちに、ちゃんとコーナーの上りかたなんかも覚えられたりして、本当に楽しかったです。
(星輝)ありさちゃんとふだん-AMA-(アマ)っていうタッグを組んでいるんですけど、ありさちゃんのブラジリアンキックが本当に、本物の映像を見ているような角度でした。ふつうのハイキックだと作りやすいのかな、と思うんですけど、ブラジリアンキックは角度がすごいじゃないですか。作るのもたいへんだったんじゃないかなって。
松本 基本的に『ファイプロ』って関節の自由があまりきかないので、非常にむずかしいと思いますけど、かなりの再現度になっていますね。ふつうの技は平均2.5日くらいで作成できるのですが、星輝選手のブラジリアンキックや岩谷選手の2段式ドラゴンスープレックスは、3.5日ほどかかりましたね。時間がかかったぶん、完成度も高くなったと思います。
――女子選手のサイズは1種類しかありませんでしたが、今回サイズはどのようになっていますか?
松本 今回も、サイズとしてはすべてFサイズになっています。パンツなどのパーツは各サイズごとに制作していて、サイズを増やすと全パーツを一式増やすことになってしまうんです。それも2Dでやっている部分の限界かな、と感じているところではあります。
――岩谷選手はふだんYouTubeをよく見ているそうですが、どんな人に『ファイプロW』の実況動画を上げてほしいですか?
岩谷 小さい子どもでも大人でも、全世代が遊べるゲームだと思うんですけど、個人的にはこういうゲームの実況をしているのは海外の人が多いイメージがあるので、日本の人にも実況をいっぱい上げてほしいです。