『オクトパストラベラー』は、スクウェア・エニックスより2018年7月12日に発売された、Nintendo Switch向けRPG(現在はSteam版も展開中)。“HD-2D”と銘打たれた、ドット絵と最新技術を融合させたグラフィックや、やり応えのあるバトルなどが好評を博したほか、作曲家の西木康智氏による音楽もまた、日本のみならず世界中のユーザーから支持された。それゆえ、「ライブやコンサートをやってほしい」という声はかなり前から上がっており、この度、誕生から1周年というタイミングでついに実現したというわけだ。
上記のアルバムは、アコースティックな小編成の“Break Side”、ロックな小編成の“Boost Side”、ふたつの方向性のアレンジ曲を収録している。「バトル曲が人気だから、ロック方向に特化したバトルアレンジは入れよう。でも、アコースティックなアレンジも聴きたい……」という西木氏の考えと、開発チームのアイデア「(ゲームのシステムとして登場する)“Break”と“Boost”に絡めてはどうか」が合致した結果、非常にバラエティーに富んだアルバムが生まれたのだ。
※『OCTOPATH TRAVELER Arrangements -Break & Boost-』については、下記の関連記事のインタビューにて詳しく語られているので、ぜひ併せてお読みいただきたい。
小編成によるアレンジとライブのいちばんの魅力は、「音楽って、こんなに可能性のあるものなんだ。つぎはどんなアレンジが来るんだろう?」と、ワクワクさせてくれるところだと思う。ピアノとバイオリンのみで、しっとりと「フロストランド地方」を聴かせたかと思えば、ギター&ベース&バンドのロック編成で「バトル1」を激しく演奏したり……。アレンジの幅の広さが、とにかく観客を飽きさせない。
同じ曲が、異なるアレンジで2度演奏されるというのもオクトラBBBならでは。『オクトパストラベラー』の曲の中でも、とりわけ人気が高い「ボスバトル2」は、ロック調のアレンジで披露された後、アンコールでは、バイオリン・チェロ・ピアノの三重奏で、趣の異なる音色を響かせた。
また個人的には、『オクトパストラベラー』の大きな特徴である、“イベント中の曲から、シームレスにボスバトルの曲につながる演出”が、ライブでもしっかり再現されていたことがうれしかった。ゲーム中、プレイヤーが最高にたぎる瞬間を、生演奏で聴けるのはライブならではの醍醐味!
そう、『オクトパストラベラー』というIPは、まだ1周年を迎えたばかり。これから『オクトパストラベラー 大陸の覇者』のリリースも控えているし、プロデューサーの高橋真志氏は「家庭用ゲーム機でも新作を……」と改めて意気込みを見せていた。西木氏も、きっとどんどん新しい曲を生み出してくれることだろう。
※高橋氏の“高”の字は、正しくは“はしごだか”です
ちなみに、今回のライブの模様を収録したBlu-rayが、2019年12月18日に発売されることが決定している。当日のステージの模様だけでなく、西木氏に密着したメイキング映像を収録するとのことなので、ファンはぜひチェックを。
オクトラBBB セットリスト
<第一部>
01 OCTOPATH TRAVELER -メインテーマ-
Violin/Piano/Electric Guitar/Acoustic Guitar/Bass guitar/Drums
02 フロストランド地方
Viola/Piano
03 バトル1
Electric Guitar/Gut Guitar/Bass Guitar/Drums
04 崖下の村オアウェル
Clarinet/Piano/Gut Guitar
05 赤き断崖の集落
Violin/Cello/Gut Guitar
06 学問の都アトラスダム
Violin/Cello/Piano
07 決意
Viola/Piano
08 宝物のために
Violin/Cello/Piano/Electric Guitar/Bass Guitar/Drums
09 ボスバトル2
Violin/Electric Guitar/Bass Guitar/Drums
10 理を司る者
Violin/Cello/Electric Guitar/Bass Guitar/Drums
11 OCTOPATH Character Theme Medley Beyond
Violin/Cello/Clarinet/Piano/Acoustic Guitar/Bass Guitar/Drums
<第二部>
12 街は川と共に生きる
Violin/Cello/Piano/Gut Guitar/Bass Guitar/Drums
13 洞窟ダンジョン~地下道ダンジョン
Violin/Viola/Cello/Piano
14 師匠のために
Piano/Electric Guitar/Bass Guitar/Drums
15 旅路の果てに立ちはだかる者
Electric Guitar/Bass Guitar/Drums
16 大陸の覇者より~バトルアドバンスト
Violin/Cello/Piano/Electric Guitar/Bass Guitar/Drums
17 フィニスの門
Violin/Viola/Cello/Piano/Electric Guitar/Bass Guitar/Drums
18 魔人の血を継ぐ者
Violin/Synthesizer/Electric Guitar/Bass Guitar/Drums
<Encore>
踊り子プリムロゼのテーマ
Violin/Piano/Gut Guitar
Break:ボスバトル2
Violin/Cello/Piano
OCTOPATH TRAVELER -メインテーマ-
Violin/Clarinet/Cello/Piano/Electric Guitar/Acoustic Guitar/Bass Guitar/Drums/Vocal
オクトラBBB 出演者コメント
■西木康智(Composer)
アコースティックとロックのいいとこ取りという文字どおりBeyondな内容のコンサートを、バンドメンバー、関係各者、そして何より暖かいファンの方々のご声援が有って無事成功させる事が出来ました。
これからも『オクトパストラベラー』の旅路がどんどん拡がっていくよう、音楽も色々な試みが出来ればと思っています。
引き続き応援をよろしくお願いします。
■吉田篤貴(Violin/Viola/Clarinet)
こんなにいろんな種類の音楽を1回のステージで演奏できるのは、すごく楽しいし、それだけオクトパストラベラーの世界感が色彩豊かで、最高でした!
自分にとっては、4つの楽器を持ちかえや、ジャンル感がちがう曲を弾き分けるのはチャレンジでしたが、結果ものすごく達成感を感じることができてうれしかったです。
■須原杏(Violin)
アコースティックの曲とロックの曲と、どちらのいいところも弾けて、たのしかったです。
アレンジもとてもすばらしくて、とても弾きがいがありました。
映像もちょっと拝見させていただき、このあとプレイしてみようと思っています!
■内田麒麟(Cello)
先日ひとりで、居酒屋にいったんですけど、そこでサシミの盛り合わせを頼んだんです。そしたら、マグロと、ハマチと、タコがでてきました。圧倒的にタコが一番おいしくて、感動してしまったんですよ。
タコってこんなおいしいんだなって。すごく思いました。
今回、とてつもなくエネルギッシュなサウンドのなかで、ぼくは同じような感動をみなさんと共有できたんじゃないかなと思っています。
■森悠也(Piano/Synthesizer)
ジャンルが異なる曲が交互にでてくるので、最初はわりと不安だったんです。
どうしてもロック調の曲の方が音圧があるので、アコースティックとの差で盛り上がりにかける部分がでるんじゃないかなあっていう心配がありました。
でも、終わってみると、このギャップが逆にメリハリになって、すごく良いステージになったと感じました。
■青木征洋(Electric Guitar)
みんなでワイワイ低音源リフをやっている瞬間は、より笑顔で演奏できて得も言われぬ多幸感を感じました。
みんな簡単な曲なんて1曲もなかったはずなんですが、リハーサルから1週間の間で、お互いのギアがはまっていく感じが楽しくて、もうおわってしまうことがさみしいなと思っています。
■Seku(Electric Guitar/Acoustic Guitar)
わたしは、速弾きがだいすきなので、今回のライブでたくさん速弾きができて、うれしかったです。
■塚越廉/Ren(Electric Guitar/Gut guitar)
ゲーム音楽のライブ自体、僕は初めての経験でした。
ゲーム音楽のコンサートとか、ライブっていうのがずっと夢だったので、それがかなったのがうれしかったです。
オクトパストラベラーをプレイ中なので、曲を練習しつつ、シーンを思い出したりして、非常に感慨深かったです。アルバム制作当時はライブ開催なんて想像もしていなかったので、難しいアレンジにしてしまったのですが、ライブでも演奏できて、しあわせでした。
■上田哲也(Bass Guitar)
僕自身はゲーム音楽のコンサート、ライブをプロアマ問わず経験しているのですが、今回の公演のメンバーのみなさんがすばらしくて、頼りがいがあって、一緒に演奏できて非常にたのしくて、しあわせです。
僕自身もゲームがすごくすきで、オクトパストラベラーもずっと注目していて、スチーム版も始めたのですが、ゲームの世界を思い浮かべながら、演奏できてとても気持ち良い感じです。
■今井義頼(Drums)
いろんな現場をやってきたなかでも、ホーム感がすごいあって、みんなで助け合って作ってる感じがすごくよかったし、曲もすごくすてきで、スリルもあるし。リハーサルから本番まであっという間でした。
もっとやりたいなあっておもうところで、おわっちゃうのがさみしい。
それくらい自分にとっては、楽しいし、魅力的な現場でした。