既報の通り、1999年2月11日にプレイステーション用ソフトとして発売された『FFVIII』が高解像度化、3倍速やバトル強化などのブースト設定なども追加され、『FFVIII リマスタード』として現世代機で登場する(発売は2019年、ダウンロード販売のみ)。

 本稿では、大きな注目を集めた『FFVIII リマスタード』について、オリジナル版のディレクターでリマスター版にも携わっているスクウェア・エニックス 第一開発事業本部 本部長の北瀬佳範氏への一問一答をお届け。

※週刊ファミ通2019年7月4日号(2019年6月20日発売)の記事では、北瀬佳範氏をプロデューサーと表記していましたが、プロデューサーは橋本真司氏になります。読者の皆様並びに関係各位にお詫びするとともに、ここに訂正させていただきます。

北瀬佳範(きたせよしのり)

『ファイナルファンタジーV』からシリーズに携わり、『ファイナルファンタジーVIII』ではディレクターを担当。現在は『メビウス ファイナルファンタジー』や、『ファイナルファンタジーVII リメイク』のプロデューサーを務める。

――今回、『FFVIII』をリマスターすることになった経緯を教えてください。

北瀬ハードが変化しても、『FF』シリーズのオリジナル作品をファンの皆様に楽しんでいただきたいと思い、『FFVII』、『FFVIII』、『FFIX』の移植計画がスタートしました。『FFVII』と『FFIX』は順調に移植版の発売を進められましたが、『FFVIII』については、ハードの高解像度化が進んでいる中、グラフィッククオリティーを大きく引き上げることにしました。移植という制限の中で、モデルやモーションが破綻しないよう最大限の調整をくり返し、ファンの皆さんを満足させることができる最高のクオリティーアップを実現できたと思っています。

PS版
リマスター版

――いまでも『FFVIII』は根強く支持されている作品ですが、それを実感することは?

北瀬メビウスFF』で『FFVIII』コラボを実施した際にタレントの芦澤佳純さん(『ディシディア FF』の公式プレイヤー)から熱く『FFVIII』愛を語っていただきました! 『FF』シリーズは仕事でいっしょになったタレントさんや声優さんから熱く語ってもらえることも多く、非常にありがたいことだと実感しています。

――『FFVIII』のリマスターで、北瀬さん以外に関わっているオリジナル版のスタッフはいらっしゃるのでしょうか。

北瀬当時のバトルプログラム責任者の原田(原田弘氏。リマスター版ではディレクター)とキャラクターモデルの栢野(栢野智博氏)が関わっています。とくに本作のキャラクターのリファインは、オリジナルのスタッフが携わった結果、出せたクオリティーだと思います。

――以前、ほかのリマスター作品では、当時のデータが一部残っていないなどの都合でご苦労も多かったとうかがいました。『FFVIII』のリマスターでは、どんな苦心が?

北瀬当初の計画では、グラフィックはほぼそのままで、現世代ハードに対応したものを出す予定でした。しかし、原作から20年の歳月が経ち、テレビはブラウン管のSDテレビから液晶のHDテレビへと進化したため、キャラクターのクオリティーアップが必要だと判明しました。

 そこで、ほぼマスター直前まで開発は進んでいたのですが、急遽、キャラクターのリファイン化に着手したのです。そのため、スケジュールも大幅に見直さなければならない状況になりましたが、原作スタッフでもある原田 、キャラモデラーの栢野 、キャラクターデザイナーの野村(野村哲也氏)の尽力により、すばらしいクオリティーとして蘇りました。苦労はありましたが、結果的にはいい判断となりました。

――これまでのリマスター化で培ったノウハウが活きた部分があれば教えてください。

北瀬ほかのリマスター作品で好評だったバトルアシストなどの追加機能に関しては本作にも搭載していますので、ぜひご活用いただき、お楽しみいただければと思います。

――“おでかけチョコボRPG”は今回はどうなりますか……!?

北瀬“おでかけチョコボRPG”はごめんなさい……。今回のリマスター版では遊べません。ですが、“おでかけチョコボRPG”でしか手に入らなかったアイテムは、本作ではリノアの特殊技である“アンジェロサーチ”で手に入ります。オリジナルと比べると手に入りやすくなっていますので、ぜひ“アンジェロサーチ”でゲットしてください。

――オリジナル版の『FFVIII』について少しおうかがいします。当時、『FFVII』が世界的な成功を収め、たいへんな盛り上がりの中で開発が進められていたと思います。つぎの『FF』ナンバリング作として『FFVIII』が目指していたもの、とくにこだわった部分はどこだったのでしょうか。

北瀬『FFVII』はビジュアル面で従来の常識からの脱却を目指したゲームですが、『FFVIII』はゲームシステム面で従来のRPGからの脱却を目指すことにこだわりました。たとえば、給料システムであったり、マップ上を車やバス、電車で移動したり、カードのリサイクルでキャラクターが成長をしたり……と。『FF』らしいチャレンジ精神が詰め込まれた作品だったと思います。

――『FFVIII』開発当時の印象深いエピソードがありましたら教えてください。

北瀬キャラクターの演技にモーションキャプチャーを初めて導入した作品でした。我々スタッフも初経験だったので勝手がわからず、スコールの持つガンブレードはデータを取るだけなので、本当は竹刀のような軽い素材でいいのですが、鉄製で重い素材で作ってしまいました。「まさに武器!」という感じで、もし万が一、ミスで役者さんに当たってしまったらたいへんなことになっていたでしょう。いま思うと冷や汗ものです。

――最後に、今回のリマスター版の注目ポイントなど、メッセージをお願いします。

北瀬『FFVIII』は映画『チャーリーズ・エンジェル』(2000年公開)にゲームプレイ画面が登場したり、昨年公開されたゲームを題材とした大作映画からもガンブレードの使用のオファーをいただいたり、じつはハリウッドのエンタメ業界にも大きく影響を与えた作品です。ドラマチックな魔女の物語とスコールを始めとした個性豊かなキャラクター、ガンブレードなどの魅力的なガジェット、そして切ないメロディーが忘れられない主題歌など、現在の『FF』シリーズにもつながるすべての要素が詰まっています。見どころ満載なので、ぜひ綺麗になった『FFVIII リマスタード』をお楽しみください。