2019年6月9日(現地時間)、ロサンゼルス・ハリウッドにて、『ファイナルファンタジーVII』(以下、『FFVII』)の単独オフィシャルオーケストラコンサート“FINAL FANTASY VII A Symphonic Reunion”が開催。アカデミー賞の授賞式などで知られるドルビー・シアターで催された、一夜限りの特別公演の模様をリポートする。

22年前の作品ということで、前日に行われた『キングダム ハーツ』のコンサートより年齢層が高めのファンが来場していた。気合の入ったコスプレイヤーも!
コンサート前の会場をパノラマ撮影。

 オーケストラを率いるのは、『FF』シリーズのオフィシャルコンサート“Distant Worlds”のプロデューサーで、指揮者でもあるアーニー・ロス氏。冒頭で舞台袖から登場すると、ファンから暖かい拍手が。

 アーニー・ロス氏は奏者を紹介した後、特別なゲストとしてオリジナル版『FFVII』のディレクターであり、『FFVII リメイク』ではプロデューサーを務める北瀬佳範氏を招いた。
 
 大きな拍手に迎えられた北瀬氏は、ファンに『FFVII』を再体験してもらいたいという考えから、「フルオーケストラやピアノソロにアレンジされた楽曲を、当時の映像とともに楽しんでいただければと思います」と、コンサートのコンセプトを紹介。また、発売から22年という時を振り返り、「遠く離れたファンの皆様とリユニオンできたことをうれしく思います」とファンへ感謝を伝えた。

演奏は“シンフォニック リユニオン オーケストラ”、コーラスは“シンフォニック リユニオン コーラス”が担当。ピアニストはエリオ・ディ・タナ氏。
登壇し、ファンに語りかける北瀬氏。

1部は冒頭からユーモアたっぷり!?

 今回のコンサートは、北瀬氏が述べた通り『FFVII』のストーリーを再体験していく構成。セフィロスを追う本編の流れを軸に、テーマごとに編集された映像が流れ、ゲーム中の音源やサウンドトラックなどに収録された楽曲が流れる。そして要所要所で、オーケストラやピアノソロの生演奏でじっくり聴かせてくれるという寸法だ。

 そんなコンサートの始まりは……“SQUARE SOFT”の表示から! 電源を入れると表示される画面ということで、ユーザーからは笑いと拍手が起こり、つかみはバッチリ。開発スタッフの名前がつぎつぎと表示されるスタート画面では、アーニー・ロス氏の指揮でハープの音色とバックコーラスが美しく響く『プレリュード』が奏でられた。
 
 ピロリン、というSEとともに“NEW GAME”が選択され、またもひと笑い起きた後は、宇宙空間からエアリスの姿、ミッドガル全景へと移りゆくオープニング映像を『オープニング~爆破ミッション』の生演奏で演出。ロゴが表示されるところで曲も盛り上がる演出がバッチリ決まると、会場から再び拍手が起こった。 

 この後も、スラムの教会でのクラウトとエアリスの会話、プレートの落下など、印象的な場面がゲーム映像&音源で再現されていく。神羅ビルへの突入では迷わず階段コースを取るなど、記憶が蘇ると同時に笑いがこぼれる絶妙なイベントのチョイスが飽きさせない。
 
 バレット、エアリス、レッドXIIIの神羅ビルエレベーターでのバトルや、クラウドとルーファウスのバトル映像は、エリオ・ディ・タナ氏によるピアノソロ『闘う者達』で。繊細な指使いで、かなりの技巧が求められる長いバトル曲を見事に弾ききる!
 
 その後は、ゲーム内音源で『クレイジーモーターサイクル』がかかるバイクのミニゲームシーンを挟み、ミッドガルの外縁まで来たところで、コンピレーション作品の『ビフォア クライシス -FFVII-』と『クライシス コア -FFVII-』にスポットが。それぞれPV風にまとめた特別映像が挿入され、ここでもひと盛り上がり。

 続いては、エアリスがタークスに追われる場面などミッドガルの外に出たクラウド一行の足跡を、ピアノソロ『旅の途中で』に乗せた映像で辿ることに。しばらくしっとりとした雰囲気かと思いきや、ジュノンでの式典パレード(視聴率を稼ぐアレ)が挿入されたりと、ここにもユーモアが。

 そして、セフィロスとの再会後に発生するジェノバ・BIRTH戦にスポットが当たり、バトル映像をメインにオーケストラが『J-E-N-O-V-A』を演奏。5年前のニブルヘイムでの出来事や、ジェノバに関するムービーが断片的に挿入され、4分強ものあいだ迫力の演奏とコーラスが続く。息の詰まる攻防を制すると、観客からは拍手と歓声が沸き起こった。

 ゲーム映像は、コレルプリズンでのバレットとダインの対立を挟み、コスモキャニオンへ。ブーゲンハーゲンの星や生命に関する話、レッドXIIIと父・セトの切ないイベントなどが、『星降る峡谷』のオーケストラ演奏に乗せて流れていく。
 
 夢の中でのエアリスとクラウドの会話後、オーケストラが『エアリスのテーマ』を奏で始めると、彼女に悲劇が襲い掛かる。クラウトとの出会いや観覧車でのデート、ホーリーに関するシーン……エアリスの辿った道筋を経て水底に沈む場面が流れたところで曲もフィニッシュ。観客からのひと際大きな拍手とともに、第1部が終了となった。

最終決戦へと向けて盛り上がっていく2部

 休憩を挟んで始まった2部冒頭では、メテオが近づき危機に陥っていく世界の様子や、メインキャラクターごとの印象的なシーンを、7分近くたっぷりと『メインテーマ』の演奏とともに回想。ここで、パーティへの参加がイレギュラーなユフィやヴィンセントのイベントも挿入されていく。ティファとともにライフストリームへ落下したクラウドが真実を思い出す場面など、ゲーム映像&音源で見せるパートも重要な場面が続く。
 
 エリオ・ディ・タナ氏のピアノソロによる『ティファのテーマ』では、給水塔での会話を思い出すイベントなどが綴られていき、静かな曲調とあってしっとりとした雰囲気に。そこへ突如、ティファとスカーレットのビンタ合戦が挿入されるのはもはやお約束!?(めっちゃウケてました)

 ここで一度、コンピレーション作品の『FFVII アドベントチルドレン』と『ダージュ オブ ケルベロス -FFVII-』の映像が入り、物語はいよいよ終盤へと差し掛かる。

 ウェポンやメテオの脅威で世界がさらなる危機に陥っていく様子が映し出される中、突如軽やかに始まったのは、チョコボ騎乗時に流れる『シンコ・デ・チョコボ』。ユーモラスに、のびのびと響くオーケストラの音色に乗せ、さまざまな色のチョコボで世界を巡る様子や、チョコボレースなど楽しげなシーンが流れていく。そこに混じり、バトルでチョコボに逃げられるカットが何度も挿入され、そのたびに笑いが起きていた。

 チョコボのパートでリフレッシュした後は、ヴィンセントの過去、セフィロスの出生、クラウドとティファの夜明けイベントなど、終盤のさまざまな出来事がダイジェストで流れてゆく。そして、オーケストラの『完全なるジェノバ』で振り返るジェノバ・SYNTHESISとの戦いを経て、戦いはいよいよ最終局面へ。

 『片翼の天使』の恐ろしくも美しいコーラスが響く中、英雄だったころのセフィロス、カームの炎上、大空洞での黒マテリアとの融合といったセフィロスの軌跡とバトル画面が交錯していく。長い戦いはクラウドとセフィロスの一騎打ちにもつれ込み、ついにクラウドの超究武神覇斬が炸裂! 決戦を終えると、会場からは抑えられていた感情が爆発したかのように歓声と拍手が一気に噴出した。

 激戦を越え、ゲームのエンディングが流れて会場の雰囲気が一度落ち着くと、今度はコンサートのエンドクレジットへ。『FINAL FANTASY』が流れ、作曲家の植松伸夫氏の名前が表示されると、会場からはひと際大きな拍手と声援が送られていた。
 

お待ちかね? サプライズゲスト登場!

 ここで、見事な演奏を指揮したアーニー・ロス氏に呼ばれて北瀬氏が再度登壇。「2時間という時間を感じさせない、すばらしいコンサートでした。22年という年月が経っているにも関わらずコンサートができたのは、ファンの皆さんのおかげです」と、会場に集ったファンに謝意を伝えた。

 さらに北瀬氏からは、「もうひとり日本から皆さんに会いたいとここに来ている人がいます。……野村哲也です!」というアナウンス。その途端に、爆発するような歓声が起こり、ファンはスタンディングオベーション!

 野村哲也氏は、『FFVII』ではシナリオ原案、キャラクターデザイン、バトルビジュアルディレクターを務め、『FFVII リメイク』ではディレクターに就いている。前日に開催された『キングダム ハーツ』のコンサートにも登壇していたことから(下記記事参照)、「来るのはだいたいわかってたでしょう(笑)」と言いつつ「今日来た方は超ラッキーということで、この場で初公開させていただきます」と、『FFVII リメイク』の新規映像をお披露目した。

FINAL FANTASY VII REMAKE for FFVII A Symphonic Reunion

 新たな映像の最後に発売日が表示されると、会場からは割れんばかりの大歓声! まさか発売日まで公開されると思っていなかったファンは、思い思いの声や指笛で喜びの感情を表していた。
 
 野村氏は「ずっと秘密にしていたことなので、公開してやっと楽になりました」と、ほっと一息ついた様子。そして、翌日のSQUARE ENIX E3 LIVE 2019でのさらなる情報公開を予告し、コンサートは幕を下ろした。『FFVII』のファンたちには、大きな大きなサプライズとなったイベントだっただろう。

 
 今回のコンサートは、ゲーム映像とオーケストラの融合のみならず、ゲーム映像とゲーム音源でストーリーを辿るパートの比重も大きい挑戦的な構成だった。もちろん、2時間ですべては入りきらないが、主要な部分をピックアップしつつユーモアを交えていくところに、『FFVII』らしさを感じることができた。こうした形式のコンサートもまたおもしろい。……というわけで、日本での公演、待ってます!(笑)

セットリスト

≪1部≫

1. プレリュード
2. オープニング~爆破ミッション
3. ピアノ:闘う者達
4. ピアノ:旅の途中で
5. J-E-N-O-V-A
6. 星降る峡谷
7. エアリスのテーマ

≪2部≫

8. メインテーマ
9. ピアノ:ティファのテーマ
10. シンコ・デ・チョコボ
11. 完全なるジェノバ
12. 片翼の天使
13. FINAL FANTASY