E3 2019の会期中に発表されたスクウェア・エニックス『Marvelʼs Avengers(アベンジャーズ)』は、おなじみマーベルヒーローたちの活躍を描くアクションアドベンチャーだ。開発を担当するのは、『トゥームレイダー』シリーズでおなじみのクリスタル・ダイナミクスで、ゲームならではのオリジナルストーリーが楽しめる。

 E3 2019の注目作の1本とも言える『Marvelʼs Avengers』だが、スクウェア・エニックスブースではクローズドシアターでのデモプレイという形で出展を果たした。披露されたのは、物語の発端となるイベント“A-Day”の一連のシーケンス。アベンジャーズ支部新設と最新技術を搭載したヘリキャリアの初公開などで賑わいを見せていたサンフランシスコの街に、突如武装集団が襲来し、街は混乱に包まれることになる。デモでは、この緊急事態に対して、キャプテン・アメリカ、アイアンマン、ハルク、ブラック・ウィドウ、ソーの5人が流れるようなアクションで、武装集団に相対するさまが描かれる。そのテンポのいいアクションはまさに“圧巻”のひと言で、映画を見ているかのような錯覚を覚えるほど。

 5人の活躍により武装集団の脅威は一端去るが、サンフランシスコの街は壊滅状態となり、その責任を問われたアベンジャーズは解散を命じられる。そして5年後……というのが、その後の『Marvelʼs Avengers』のストーリーの流れだ。

 今回、E3の会期に合わせて、開発元であるクリスタル・ダイナミクスのスタジオヘッド、スコット・エイモス氏にお話を聞く機会を得たので、以下にそのやり取りをお届けしよう。

※合同取材の内容を再構成しています。

スコット・エイモス氏

クリスタル・ダイナミクス スタジオヘッド

――『アベンジャーズ』というと、とても人気のあるIPですが、ゲーム化するにあたって注力したポイントはどのへんになりますか?

スコット『アベンジャーズ』だけというわけではなくて、マーベルは80年以上の歴史がありますので、これまで世に出ている、コミックであったり、テレビドラマであったり、フィギュアなど、いろいろなところからインスパイアを受けて、完全オリジナルストーリーということでゲーム化しています。

――オリジナルストーリーを構築するのはたいへんだったのではないかと思うのですが、いかがでしたか?

スコットマーベルのバイス・プレジデントであるビル・ローズマンからは、「新鮮味のあるストーリーがほしいけれど、一方で、“ちょっとなつかしいな”というところも感じられるような両方を兼ね備えた内容にしたい」という要望がありました。そこを満たすのは、たいへんでした。

――わがままですね(笑)。けっこう試行錯誤があったのですか?

スコットとにかく選択肢が多かったのがたいへんでした。たとえば、ビルはマーベルに25年も在籍していて、生き字引のような存在なんですね。ゲームで基地に使いたいとなったときに、ビルにどういった基地があるのか聞いてみると、ビルから8つくらいアイデアが上がってきて、「これとこれはどう?」みたいな感じでアドバイスをくれるんですね(笑)。それをどう絞り込むか、というのは苦慮した点ではあります。いずれにせよ、そのへんはクリエイティブディレクターのショーンも交え、蜜に連携を取って適宜決めていきました。

――キャラクターを造形する上で苦労した点は?

スコットキャラクターに関しては、マーベルから詳細な資料をいただきました。彼らからは、「新しいものを作ってほしい」という要望があるのと同時に、「どこか見たことあるな」とか「こういう要素を盛り込んでいるな」とファンに感じてほしいとも思っているようです。両方の要素をバランスよく反映してほしいというリクエストに応じるのがたいへんでした。

――各キャラクターのコンバットアクションはどのようにして構築されたのですか?

スコット本作のコンバットアクションを担当しているのは、『ゴッド・オブ・ウォー』などを手がけたビンス・ナポリです。彼がそれぞれのヒーローの戦闘アクションを監修しています。アメコミや映画などからいろいろなエッセンスを取り入れて、キャラクターと違和感のない形で構築しています。実際のところビンスがこだわっていたのは、実際の操作とそれが反映される映像が、なるべく直結しているように、というゲームデザインでした。ちなみに、本作は、いろいろな国のいろいろな方たちが遊ぶことになるので、アクセシビリティ(利用しやすさ)は大事なポイントです。一例を挙げますと、デモの中でハルクがスマッシュを決めるときに△ボタンが表示されましたが、あれもアクセシビリティを考慮してのものです。

――そのキャラクター特有の攻撃方法を生み出すのはたいへんだったポイントは?

スコットいちばんは“ヒーロー感”を出すことですね。自分がプレイして、ヒーローになりきれるかのように思ってもらうことが大切でした。そこはビンスを中心とするコンバットアクションチームががんばってくれました。たとえば、デモシーンでもブラック・ウィドウのヒーロー感は半端なかったですよね? ソーにしてもアイアンマンにしてもそうです。

――“ヒーロー感”というのはおもしろいですね。

スコットもうひとつ言わせていただくと、ヒーローたちのことをもっとも理解しているのはマーベルです。基本私たちのほうで、各キャラクターのアクションのアイデアをだして、マーベルに確認を取るんですね。それに対してマーベルから、「いいね!」というフィードバックをもらうこともあれば、「もう少しこうしたほうがいいんじゃない?」というアドバイスをもらうこともあります。そういったやりとりがあって、少しずつキャラクター像が作り上がっていくんですね。

――ちなみに、何かNGを出されたことがあったりしたのですか?

スコット(笑)。NGというよりも、建設的なフィードバックをもらった感じですね。「本物らしくあるためにはこういうことがほしい」という意見をもらって改善したりしています。

――たとえば、アイアンマンやソーは空を飛べたりと、それぞれキャラクターには特徴がありますよね。ゲーム中では、そのキャラクターの能力に特化したアクションシーンはありますか?

スコットキャラクターの能力に特化したミッションというのは当然あります。と、同時に別のヒーローが同じミッションをやることもできます。チャレンジングなところとしては、そのバランスですね。キャラに特化したミッションもあれば、ほかのキャラでも攻略できるという両方のバランスをどう取るかが、ひとつのキモでした。

――今日のデモでは、それぞれのキャラクターが順番を入れ替えてアクションしていましたが、あれはそのキャラクター固有のものですか? それともほかのキャラクターに入れ替えて遊ぶことができる?

スコットあれは、シーケンス固有のものですね。そういったものもあれば、もう少し自由にヒーローを入れ替えられるミッションもあります。

――今回のデモでは、キャプテン・アメリカ、アイアンマン、ハルク、ブラック・ウィドウ、ソーの5人が出てきましたが、『アベンジャーズ』というと、ホークアイが欠かせませんが……。

スコットとりあえず今回は5人のヒーローにフォーカスしています。今後、増える可能性はあるかもしれません。

――協力プレイはどのようなものに?

スコット本作ではキャンペーンで主軸となるストーリーがあるのですが、そのほかにも分岐点が織り込まれていきます。その分岐点の中に、最大4人の協力プレイという要素が盛り込まれてくる点も、ひとつの楽しみですね。

――協力プレイに関して、自分がブラック・ウィドウでやりたいときに、ほかの人も同じキャラでやりたいとなったら、どうなりますか?

スコット基本コアなミッションがあって、そのなかで、ハルクなりアイアンマンといったほかのキャラクターを各プレイヤーが担当することになります。そこでプラスほかのミッションも発生することになります。

――協力プレイでは、各プレイヤーはどのようにコミュニケーションを取るのですか?

スコット今日は詳細をお話しすることはできないのですが、そこはちゃんと意識して開発しています。

――本作は、プレイステーションユーザーに特典があるとのことなのですが、具体的にはどのようなものが?

スコットいまはちょっと明かせませんが、準備はしていますので、いましばらくお待ちください。

――日本語へのローカライズに関してはどのような感じになりますか?

スコット字幕およびボイス対応を考えています。

――2017年に、スクウェア・エニックスとマーベルとで、『アベンジャーズ』について、複数年、複数タイトルにまたがったパートナーシップ契約を発表していますが、その後の進捗を教えてください。

スコットマーベルはマーベルでさまざまな計画があるので、その中で調整していくことになります。ぜひ楽しみにしていてください。