『The Outer Worlds(ザ アウターワールド)』は、『Fallout: New Vegas』などを手がけたObsidian EntertainmentによるRPG。2019年6月9日にXbox E3 2019 ブリーフィングのオープニングアクトとして映像公開されたことからもわかるとおり、極めて期待値の高い1作となっている(Obsidian EntertainmentがXbox Game Studios傘下だということもあるかもしれないが)。E3 2019の会期中には、海外のパブリッシャーであるPrivate Divisionにより、同作のプレゼンテーションが行われた。Private Divisionというのは、記者は不勉強にも知らなかったが、2017年に設立されたテイクツー・インタラクティブの3番目のパブリッシングレーベルとのことだ。

 「3年間をかけて開発してきた本作は、これまでにないまったく新しいサイエンスフィクションRPGです」と、Obsidian Entertainmentの担当者。本作の舞台となるのは、銀河の果て。プレイヤーは、入植地である“Halcyon(ハルシオン)”で、銀河系を揺るがすような陰謀に巻き込まれることになる。プレイヤーは宇宙の果てを探索し、さまざまな勢力と関わることになる。銀河の運命はプレイヤーがどのような人物になるかに委ねられ……。という聞くだに壮大な世界観と自由度を持った内容だ。

 デモで公開されたのは、主人公が町を牛耳っている女性(キャサリン・マリン)に会いにいき、クライブという男からとある工場を取り戻すために仕事を請け負うくだり。主人公は工場に行って、どうやって中に入って何をして工場を取り戻すかを考えることになる。撃ちまくってゴリ押しするか、話合いでやんわりと入っていくか……。

 といった例からもわかるとおり、本作ではミッションをこなしてストーリーを進めていくことになるのだが、開発陣が強調するのが選択肢の多さ。「このプレゼンで何回も言及することになるのが“選択”という言葉です。プレイヤーはキャラクターに自由に選択させ、自身が思うがままのストーリーを語ることになるのです」という発言から、どのような内容がある程度想像がつくのではないだろうか。デモでは、主人公がセリフによる選択肢を選ぶシーンが何回も紹介されていたが、どのセリフにするかによって、ときにストーリーは劇的に変化するようだ。

 また、本作の特徴のひとつとして、いっしょに冒険についてきてくれる“コンパニオン”の存在がある。『Fallout: New Vegas』同様、コンパニオンは本作において重要な役割を果たし、彼らはきちんとした設定や性格を持っており、まさにリアリティーを持って振る舞う。たとえば、プレイヤーが何か気に入らないことをすれば去っていく……といった具合だ。

 本作では、1度にふたりまでコンパニオンにできるようで、今回のデモで披露されたのは、エリーとニョカ。エリーは早口のメディックで、ニョカはお酒が好きなモンスターハンターだ。どのコンパニオンを選ぶかでプレイヤーは異なるボーナススキルを与えられる。エリーは医療のボーナス、ニョカはステルスのボーナスを与えてくれるようだ。さらに、ニョカもエリーもリーダーシップコンパニオンなので、戦闘で活躍することでボーナスをくれる。さきほど選択の大切さについて触れたが、どのコンパニオンを選ぶのかにより、ゲームの進めかたも異なってくるようだ。当然のこと、コンパニオンは戦闘時も大いに役立ってくれるので、まさに“旅の仲間”だ。

 その後デモでは、下水道の裏側にある秘密の入り口から工場に侵入し、工場のスタッフにニセ情報を流して無人化。工場をサボタージュしてクライブとの話し合いに臨む……といった流れが紹介された。その際は、キャサリンとの約束どおりにするも、キャサリンを裏切ってクライブの提案を受け入れるも、さらにはふたりに協力関係を促すことも自由(協力関係を促すのは、相当無理な相談らしいが……)。これもすべてプレイヤーの選択次第だ。

 なお、今回の記事では割愛してしまったが、本作では武器も多彩でバラエティーに富んでいる。『The Outer Worlds』の自由度の高さの一端に触れられたデモだった。

『The Outer Worlds』のルーツは『未来世紀ブラジル』?

 デモ後、『The Outer Worlds』でナラティブ・デザイナーを担当するダン・マカフィー氏に話を聞いた。

ダン・マカフィー氏

ナラティブ・デザイナー。2013年にObsidian Entertainmentに入社。それまでは大型タンクマルチプレイヤータイトルのプログラマーを担当していたとのこと。『The Outer Worlds』では、「いろいろな部署でできるだけ学びたい」との判断からナラティブ・デザイナーとして参加。いずれは自分のプロジェクトを立ち上げたいとのことだ。

――デモを見て、壮大な世界観に驚かされました。

ダン本作はかつてないサイエンスフィクションRPGで、選択とそれによってもたらされる結果を重視しています。キャラクターを選んで自分のストーリーを語るわけです。クエストには多くの選択肢があり、誰かと話をする際だけでも多くの選択肢が提供されます。また、戦闘時も、真正面から戦う、隠れて進む、全員殺す、誰も殺さないのかなどの選択にも重きを置いています。

――ストーリーとして、本作をほかのタイトルと違うものにしているのは何ですか?

ダン大きな違いのひとつはユーモアだと思います。ほかのゲームや設定では語れないようなストーリーを展開しています。それだけユニークなワールドを構築しているのです。企業との結びつき、あちこちに見られる広告やスローガン、企業の従業員などから作られるワールドはとてもユニークですよ。

――“企業”という視点を入れたことが、ひとつのアクセントになっているようですね。

ダンデモでは、モナークという惑星を紹介していますが、ここは企業に捨てられた場所です。住民は失業していることに慣れてしまっており、狩猟に出て何とか食べ物を見つけて生きています。一方、ほかの惑星では雇用が進んでいて、エリート社会が形成されています。この比較がおもしろいと思います。これは他のゲームではあまり設定ではできないんじゃないかな。

――本作のテーマは何ですか?

ダン自由……かな。ゲームは、基本ほかの人が敷いた規則の中で生きています。自分が誰なのか、何をしているのかは他人によって規定されます。しかし、プレイヤーがやりたいことをやれるようにするにはシステムを変えるか、システムに合わせるしかありません。すばらしいシステムだと思えばそのような選択ができます。最終的にはプレイヤーが決めることです。本作のストーリーは、そこを狙っています。自分の運命は自分で選ぶわけです。

――『The Outer Worlds』の世界観を構築する上で、刺激を受けたものは?

ダンワールドのコアとなる部分は、『Fallout』で経験豊富なふたりのディレクター、ティム(ティム・カイン氏)とレナード(レナード・ボヤルスキー氏)が考えたものです。彼らは企業ディストピア映画である『未来世紀ブラジル』のストーリーなどが好きなようです。そこから近未来や宇宙トラベルなどを想像したのだと思います。企業がプラネットを買い始めたら社会はどうなっているのか? いくつかのこうした光るアイデアを推し進めたのです。

――コンパニオンは、全部で何人くらいに?

ダン本作には、ノンプレイヤーキャラクター(NPC)は何百人もいますが、コンパニオンとして選べるのは数人です。そのうちの4人は発表していますね。NPCはいずれも個性的ですよ。ときに、お金が戻らないと言って自販機を叩いているようなセリフの少ない小さな役割のキャラクターもいますけど。

――コンパニオンのキャラクター設定もユニークなようですね。

ダンその通りです。スキルセットまでそれぞれ異なります。キャラクターの性格が気に入らなくても“嘘がうまい”、“武器の扱いが上手”などの理由でリクルートすることもあるでしょう。

――デモでは、選択の多さに言及していましたが、実際のところひとつのセリフを選ぶことでどのくらいの違いが出るのですか?

ダンかなり大きく違うものになります。すべての状況で、できるだけ多くの選択肢を提供したいと思っています。そしてプレイするとともに選択肢はお互いの上に積み重なっていきます。プレイヤーひとりひとりが進む道はまったく違うものになりますよ。スタジオでは何度もプレイテストを行ってバグを取り除き、磨きをかけています。その過程で、ゲームを作った私たちも知らなかったことが出てきます。これは、プレイの仕方と選択の結果です。

――どのくらいストーリーが変わってくるのか、一例を教えてください。

ダン序盤である科学者にリクルートされますが、そこで仕事を受けることもできますし、彼を当局につき出すこともできます。ここですでに道が分かれます。しかし、対立する双方にうまく立ち回ることもできます。いま言えるのかこれくらいかな。

――ゲームとしての楽しさのキモは?

ダンそれまで知らなかった発見があることです。個人的には探索できるゲームやクールなものを見つけるのが大好きです。本作では、行けるところがたくさんあり、やれることが数多いです。すべてがシームレスにつながったオープンワールドではないのですが、かなり大きいです。デモに出ているプラネットは巨大なので、すべてのものを見つけるには時間がかかります。惑星はふたつあり、探索する場所がたくさんあります。そのほかにも小惑星や宇宙ステーションが登場しますよ。

――NPCのすべてのセリフに音声がついていますね。

ダンプレイヤーには音声はありませんよ。選択するのはプレイヤーのセリフなので。すべてのNPCのセリフやリアクション、レスポンスには音声があります。

――相当膨大な量ですよね?

ダンそうですね。90万ラインくらいだったかなあ。音声は、全部入れるか入れないかのどちらかでした。音声をつけたい箇所があったので、結果として全部入れることにしたんです。

――最後にメッセージをひと言お願いします。

ダン『The Outer Worlds』がどんなゲームかわからない人によく言うのは、「RPGというジャンルが好きな人ならば、快適に遊べるタイトル」ということです。新しいクールな要素が十二分に入っているので、誰もが何かを見つけて楽しめるゲームになっています。どのようにプレイするか、何をするかを選ばせてくれるゲームのよいところは、誰にでも何かが見つけられることですね。

 『The Outer Worlds』はプレイステーション4、Xbox One、PC向けに海外では2019年10月25日発売予定。日本での発売も予定されているとのことなので、楽しみだ。

[2019年6月17日午後5時50分]当初、“日本語版発売は未定”と記載しておりましたが、2019年10月25日に発売されることが発表されていました。お詫びして訂正します。