ここ数年、何度もID@Xbox プログラムのタイトルを取材しているけれども、その度に実感するのがタイトルの広がり。「よくこんな新しい発想があるなあ」と驚かされることしきりだが、今回のE3でわけても気になったのが、『12 Minutes』。“12分のゲームプレイをくり返して、バッドエンドを回避するタイムループもの”と聞いただけでもワクワクすると思われるが、さらにユニークな点は、ほぼすべてのシーンがトップビューで進められる点だ(すべてではない)。

 本作の概要は以下の通り。主人公である夫が、自宅に帰ってきて妻と夕食を食べていると捜査官がやって来る。どうやら妻には殺人の容疑がかかっているようだ。反抗すると捜査官に暴力を振るわれて主人公は気を失ってしまう。そして時間がもとに戻り……と、この状況を脱するために手を尽くすのが、『12 Minutes』の主眼となる。

 「タイムループの何がおもしろいのかを知りたいと思って考えましたが、“知識の蓄積”であることがわかりました。プレイヤーは状況を把握しつつ、この知識をどう使うかが鍵となるのです」とは、プレゼンに対応してくれた、クリエイティブディレクターのルイス・アントニオ氏。本作を作るにあたっては、映画やドラマのタイムループものを見て研究を重ねたという。

 1回ループを終えた主人公(プレイヤー)が、危機的状況を回避するための行動を妻に促そうとするが、その知識のない妻が、主人公の発言を不審に思って思い通りの振る舞いをしてくれない……というジレンマは、もどかしくもあり、まさにタイムループものといったところ。

 ルイス氏がさらにこだわったのが、いわゆる“アクセスのしやすさ”。ゲームの視点をトップダウンビューにしたのは、ゲームのプレイしやすさからだという。「トップダウンビューにしたことで、プレイを容易にナビゲートできます。視点や高低差によるカメラの調整を気にする必要もありません」(ルイス氏)とのこと。本作では、アイテムはドラッグ&ドロップで使うことになるのだが、そういったインターフェースもわかりやすさを重視してのこと。

 とは言いながら、じつは『12 Minutes』はそこまで親切なゲームというわけでもなさそうだ。というのも、「ゲームはプレイヤーに“何をしなさい”とは言わないし、方向を示すわけでもないし、ヒントを提示することもありません。すべてプレイヤーが状況を把握して理解しつつ決めることです」(ルイス氏)と、あくまでプレイはプレイヤー主体で進行する。ゲームを進めようと思ったら、とにかくプレイヤーがあれこれと探る必要がある。そのへん、プレイヤーによってはちょっと好みが分かれるかもしれないが、そこにはしっかりとしたルイス氏の主張が込められているのかもしれない。

 能動的12分間をくり返して、プレイヤーが正解にたどり着くまでに要するのは約6時間。ルイス氏が6年をかけて丹念に作り上げている本作は2020年配信予定。日本語版のリリースも期待したい1作だ。

いかにもインディーゲームクリエイターという物腰のルイス・アントニオ氏。最初の4年はひとりでコツコツと本作を作り、その後の2年は4~5人の体制で開発しているという。ルイス氏以外は、全員ほかに本業があるそうだ。