ひたすらブラッシュアップを続けた『コードヴェイン』
2018年9月27日に発売を予定していた、バンダイナムコエンターテインメントのドラマティック探索アクションRPG『コードヴェイン』だが、発売まで約2ヵ月のところで急きょ発売延期を発表。2019年発売とし、しばらく水面下に潜っていた。
そうした中、いよいよ発売に向け、日本、北米、欧州でネットワークテストが実施されることが判明。2019年5月9日(木)の10:00より、テスターの募集を開始する。
本稿では、そのネットワークテストに先駆けて開催された、メディア向け体験会の模様をリポート。記事の後半では、『コードヴェイン』ディレクターの吉村 広氏、アクションディレクター/サブディレクターの依田優一氏へのインタビューも掲載しているので、そちらもチェックしてほしい。
物語の序盤を実際に体験
今回の体験会で使用されたネットワークテスト用ROMには、物語の導入となるストーリーおよびゲーム序盤のフィールドを始め、製品版とほぼ同等となるキャラクタークリエイション、そして初お披露目となる高難度フィールド“深層”が収録。これまでも東京ゲームショウなどで試遊の機会はあったが、そこでは高難度なアクションをシンプルにアピールするため、キャラクターのビルドにも制限が設けられていた。そういう意味では、今回は実際にキャラクターを作り、攻略対象に合わせてビルドを切り替えるといった、ゲームの本質的な部分に触れることができる。
試遊を始めると、まずプレイヤーの分身となるキャラクターの作成画面へ。性別はもちろん、顔の各部位や体の形といった基本的な項目から、瞳やハイライトの造形や色合いといった細かい部分まで設定することができた。ちなみに、髪型は男女共用という仕様。こちらは、ほぼ製品版と同等とのこと。
“基本の外見”という項目を選べば、あらかじめカスタマイズされたものをプリセットとして選ぶことができる。すぐに遊びたいという人は、こちらを利用するのもいいだろう。
キャラクターを作り終えると、クルスと呼ばれる少女がいる場所に移動。戦闘やシステムに関するチュートリアルが始まった。最初に教えられたのは、ブラッドコードと呼ばれる要素。ブラッドコードは、装備するだけでプレイヤーの能力値に補正をかけてくれるほか、固有の特殊技が使えるというもので、一般的なRPGで言うところの“ジョブ”のイメージに近い。複数のタイプがあり、主人公は独自の能力として、このブラッドコードを自由に付け替えることができる。つまり、装備するブラッドコードによって特化させる能力を変えられるのだ。
チュートリアルを終えると、イベントシーンへ。銀髪の謎の少女とともに廃墟を進んでいくと、突如何者かに捕まってしまう。主人公は青年のオリバーとともに“血涙”を探しに向かうことに。
イベントシーンを挟んで、“崩壊都市 地下区域“に到着。このフィールドは、2018年の東京ゲームショウなどで出展された試遊版でも登場していたが、敵やオブジェクトの配置が一部異なっている。スタート地点の近くには、HPや冥血の回復、プレイヤーの強化が可能な“ヤドリギ”があった。敵の一撃が致命傷になりかねない本作では、休息できるポイントの把握は最重要だろう。なお、ヤドリギを解放するとヤドリギ間で移動ができるのだが(いわゆるファストトリップ)、ヤドリギに触れることでフィールドにいた敵も復活してしまう。
ヤドリギで準備を整えた後、探索へ。道中に登場する敵は、攻撃のひとつひとつは強力なものの、こちらからダメージを与えると怯むため、一方的に攻められる。ただし、攻撃時のスタミナ消費がやや多く、安易に連打するのは危険。スタミナがゼロになると、攻撃はもちろん、回避もできなくなる。ちなみに、武器を構えれば防御も行えるが、本作では敵の攻撃を受け止めてもわずかにダメージを受ける。そのため、わずかではあるが無敵時間もあるステップ回避を使ったほうが、戦闘は安定していた。スタミナに余裕があるなら、ステップを重視したほうがいいだろう。
本作の大きな特徴でもある “バディ”。プレイヤーのパートナーとして、援護攻撃や能力強化、回復など、あらゆる面でサポートしてくれる。最初の同行者であるオリバーはかなり強く、リーチの長い大槌を振るい、積極的に敵を攻撃してくれた。前衛タイプなので、オリバーが戦っているあいだは後方から錬血で援護する、という戦法も取れる。バディがいるおかげで、初期装備の性能の低さもあまり気にならなかった。
錬血を多用すると冥血をすぐ使い切ってしまうが、本作では吸血アクション自体がかなり当てやすい。とくに、コンボ吸血は近接攻撃に織り交ぜられるため、使い勝手もいい。加えて、通常の吸血のほか、敵の攻撃を受け流したり、背後に立つと発動する特殊吸血は攻撃力も高め。攻撃を受け流すタイプは発動させるのにコツがいるものの、使いこなせれば戦闘がグンと楽になる。
最初のショートカットを開通させた後、付近の宝箱から“女王討伐隊牙装・棘型”を入手。これは“スティンガー”と呼ばれる吸血牙装の一種で、サソリの尻尾を思わせる細長い形状をしている。爪の形をした接近戦特化のオウガとは違い、遠距離からの吸血が可能だ。私見だが、受け流しには牙装ごとに判定時間に違いがあるのか、スティンガーはオウガよりも受け流しが簡単に感じた。スティンガー装備中に受け流しを行うと、尻尾を前方に展開。その最中に攻撃を受けた瞬間、特殊吸血が発動する。今回の試遊では、ほかの吸血牙装である“ハウンズ“と“アイヴィ”を試せなかった(入手できなかった)のだが、オウガとスティンガーなら、スティンガーをオススメしたい。
探索を進めていくと、堕鬼による攻撃でバディのオリバーが負傷してしまう。ここからはひとりで進むことになった。
オリバーに頼っていたためか、ここからいきなり死亡回数が増加。巨大な敵や、毒効果を持った攻撃をするタイプも出現し、本作がいわゆる“死にゲー”だったことを思い出し始めた。
新たな仲間とともに最奥を目指す
ヤドリギで休息を挟みつつ、崩壊した通路を進んでいく。すると、通路が二手に分かれている場所で別の吸血鬼と遭遇。彼の提案に乗り、ともに探索することになった。新しい仲間は、近接攻撃と、錬血を使った援護が特徴。オリバーと比べて支援寄りの性能をしていた。とくに有難かったのは、彼が使う錬血・ギフトヒール。自身のHPを味方に分け与えることができるため、瀕死時にはよく助けられた。本作では体力がゼロになっても即死亡にはならず、ギフトヒールを受ければ、その場で復活も可能なのだ。
再び同行者を得てから奥へ進むと、出現する敵の数も増加。閉所で多数の敵と戦うことが多く、徐々に攻略のペースもダウン。思い切って敵を無視して突っ込んでいくと、開けた場所にたどり着く。その先にいたのは、堕鬼となったオリバーだった。自我を失った彼に襲われ、やむを得ず戦うことに。
オリバーは大槌を使ったリーチの長い技が厄介だが、動きは緩慢なので避けやすい。仲間と挟み撃ちにすることでゴリゴリ体力を削っていく。「これは勝てる」と思ったのも束の間。体力が半分を切ると、オリバーが巨大化。攻撃力、リーチが大幅に強化され、あっという間に倒されてしまった。
トライ&エラーをくり返し、どうにかオリバーを撃破。側に落ちていた“血英”を調べると、主人公が謎の空間へ移動。内部では奥に進むにつれて断片的な記憶が現れ、これらがオリバーの記憶であることが分かった。現実世界に戻ると、同行者がルイという名前であることが判明。彼のアジトへ向かう。
死闘の末、探索の拠点に到着
アジトでは、武器の強化やアイテムの購入が可能。プレイヤーの活動拠点として機能するようだ。さらに、浴槽の近くにある鏡を調べることで、プレイヤーキャラクターの外見を一部設定し直すことも。施設内奥のサンドバッグに触れれば、トレーニングもできた。
拠点移動後にルイに話し掛け、新たなブラッドコード:プロメテウスを入手。仲間たちへ挨拶を終えて彼のところに戻ると、今回の試遊は終了。
尋常ではない強敵揃いの深層へ
今回のROMで体験できる物語は、拠点到着で終了となったが、拠点内にいるデイビスと話すことで、高難度のダンジョンである“深層”に挑むことができる。今回は、深層のひとつである“贄の街”が用意されていた。(製品版とは内容は異なるとのこと)
そもそも“高難度アクションRPG”をうたう『コードヴェイン』だが、その本作において高難度ダンジョンという位置付けの深層。その規模や、実際の製品での挑戦方法などについては、後半のインタビューで詳しく聞いている。
さて、早速贄の街へ移動してみると、背後に扉が。どうやら、扉を開けるには鍵が3つ必要な様子。前方にはあからさまに道が3方向に分かれており、とりあえず左へ。ザコ敵を難なく倒し、近くにあった宝箱を開けようとした瞬間、背後から複数の敵が出現。ダンジョンの想定レベルが高いこともあり、一瞬で倒されてしまった。(後でわかったのだが、今回の深層の想定レベルは40。拠点に到着した時点でのレベルは12だった)
深層では時折大量の敵が乱入してくることがあるため、探索中も気が抜けない。また、剣を持った中ボスらしき敵や、オリバーに似た巨大なタイプが徘徊しており、移動するだけでも苦労した。
強力な敵が大量に潜んでいる深層では、得られるヘイズの量も非常に多いのがポイント。付近にいる敵を一掃するだけでも、10000くらいはすぐに溜まる。それに気づいてからは、まずはレベルを優先して上げることに。レベルが30近くになったあたりから、ようやくまともに探索ができるようになってきた。
3体のボスを倒し、深層の奥へ
探索を続けていると、奥に広場を発見。嫌な予感がしつつ慎重に進むと、案の定、ボス戦になった。出てきた敵は、女王の騎士。2018年の東京ゲームショウで出展された試遊版で登場したボスだ。槍を使った長射程の攻撃が強力。全体的に攻撃力が高いため、防御ではなく回避主体で立ち回るも、槍のなぎ払いと突きの区別に、かなり手こずった。最終的には、立ち回りを研究しつつレベルを34まで上げ、さらに武器を強化することでどうにか撃破。炎のダメージを抑える錬血、フレイムプロテクションに加え、“深層[贄の街]の鍵3”を入手した。
その後は、残りの通路を探索。いずれも最奥には2体ずつボスが待ち受けていた。だが、女王の騎士と比べて攻撃速度が遅く、背後からの特殊吸血が容易に狙えたためか、そこまで苦戦はしなかった。いま思えば、攻略順が逆だったとしか思えない。
ボスをすべて撃破したことで、鍵も3つ入手。贄の街の初期地点にあった扉を開けると、新たなボス・氷刃の使者と戦闘になった。剣自体にリーチはないものの、斬撃後に発生する氷が厄介だった。主人公とルイで敵を挟み撃ちにしつつダメージを与えていき、ようやく体力を削りきったかと思いきや、ボスが第2形態へ移行。炎による攻撃も追加される。ルイも早々に倒されてしまい、ろくに攻撃もできずに敗北。まだまだ遊び足りなかったが、時間も限られていたため、ここまでが限界だった。
このボスについてディレクターの吉村 広氏に聞くと、「途中で入手できるアイテムがポイントです」とのこと。思い返すと、属性攻撃を軽減させる装備があった気がするので、ボスの属性を踏まえてビルドを組むのが攻略の肝になるのだろう。
ブラッドコードを用いた性能の切り替えや、吸血と錬血を混ぜた戦闘は新鮮だった。バディの存在も大きく、攻撃だけでなく支援もこなしてくれるので探索も安定し、俗に言う“死にゲー”特有の殺伐とした世界の中では、清涼剤としての役割もあったように思える。ネットワークテストに当選した人は、ぜひ本作の世界観を堪能しつつ、記者の仇を取ってほしい。