話題のVR対応の評判は?

 2019年4月26日、任天堂はNintendo Switch用ソフト『スーパーマリオ オデッセイ』と『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』で、『Nintendo Labo Toy-Con 04:VR Kit』の“VRゴーグルToy-Con”へ対応する無料アップデートを行った。

 『Nintendo Labo Toy-Con 04:VR Kit』は、Nintendo Switch初のVRということで話題になったが、『スーパーマリオ オデッセイ』と『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』のVR対応は、「ついにVR対応か!」とTwitterでトレンドに入るなど、さらに大きな話題を呼んだ(バーチャルボーイで『マリオクラッシュ』などのマリオが登場するソフトはあったが)。

 ファミ通.comでは、“VRゴーグルToy-Con”を使った『スーパーマリオ オデッセイ』と『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』を事前に体験する機会を得た。『スーパーマリオ オデッセイ』のVRでの新たな遊び、そして、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』でのVR体験はどのようなものなのか。そのレビューをお届けする。

VRならではの迫力で体験するマリオの新たな遊び

 『スーパーマリオ オデッセイ』では、VR専用の遊びとして、“帽子の国”、“海の国”、“料理の国”の3つの特別なステージが用意されている。

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 プレイヤーはステージの中央に固定された存在となり、あたりをぐるぐると見回しながら、同時にマリオを動かすことになる。視点とマリオの位置が必ずしも一致しないため、マリオが視点から外れることはあるが、マリオがどのへんにいるかは吹き出しで表示されるためご安心を。

 3つのステージの目的としては、各国に散らばっている音符を集めて、楽器を集めること。ステージのどこかにある七色に輝く音符に触れると、周囲にたくさんの音符が出現するため、それを制限時間内にすべて触れて、楽器を入手。楽器を演奏者に渡す、という流れになる。

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 まずは音符を探すことになるのだが、通常の『スーパーマリオ オデッセイ』では、ステージをあちこち探索する遊びになるが、VRではプレイヤー自身があちこち頭を動かして音符を探し、同時にマリオを動かすようなイメージ。音符は近い場所にあるものもあれば、上空やはるか遠くのほうにあるものもある。そのため、プレイヤーは音符の場所に移動する手段を探して、『スーパーマリオ オデッセイ』の特徴であるキャッピー(帽子)を投げたり、ギミックを使ったりと、マリオを操作していく。

 このプレイヤーの視点とマリオの移動をバラバラに行うこともVRならではの要素だが、何よりマリオを動かしていると、目の前をマリオが通り過ぎていったり、ギミックを使ったマリオが上から急に降ってきたりと、VRならではの驚きがおもしろい! とくにはるか上空に登るところをVRゴーグルを持ちながら実際に見上げる様子は、まさにVRの遊びだ。

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 3つのステージで楽器を入手してライブの楽団員を揃えると、ライブモードが解放。“都市の国”にあるライブハウスでライブがスタートする。都市の国“ニュードンク・シティ”のライブと言えば、市長・ポリーンが歌って踊る“Jump Up, Super Star!”。これをVRで体験できる。

 通常の都市の国で行われるライブとは、演奏するメンツなどが違って、意外な住民が意外な楽器を弾いているところも見どころ。ちなみに、VR中はLボタンでズームができるので、ポリーンをアップで見たりもできる(マリオもアップで見られる)。

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 このライブモードのほか、VRではシアターモードがあり、『スーパーマリオ オデッセイ』のオープニングとエンディングがVRで堪能できる。VRで……と書くと、全体が見渡せるように感じられるかもしれないが、オープニングとエンディングはまさに映画館(シアター)のスクリーンを見ているように、平面のスクリーンの中で、マリオやクッパ、ピーチなどが立体的に見えるというもの。迫力あるクッパのアップなどが立体的に見られるのが特徴だ。

 VRの3つのステージは、それぞれ初見ならば15〜30分くらいでクリアーできるもの。長く楽しめるというものではないが、3つのステージ+ライブやシアターモードなどを休憩しながら、もしくは複数人で交替しながら楽しむといいだろう。とくにVRのアクションゲームなどを体験したことがない人には、ぜひ体験してほしい!

名所を立体視で体験する、ハイラル観光用モード

 続いて、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』のVR版のレビュー。『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』は、メニュー画面の“システム”から“オプション”の項目で、いつでもVRモードへ切り替えられ、全編をVRで楽しむことができる。

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 VRモードの特徴としては、奥行きのあるハイラルの世界を味わえるほか、プレイヤーが見回した方向にゲーム内のカメラ(視点)が動くという連動が加わる。

 実際にプレイをしてみると、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』は3人称視点のゲームのため、主観視点のような没入感が得られるわけではないが、それでも広大なハイラルの奥行き感を感じられる。とくにオススメなのが、シーカータワーなどの高所からパラセールを使って下りるところ。思わず視線を下に向けて足もとにハイラルの大地が広がるのを見ると、自然と笑みがこぼれてしまう(VRゴーグルで顔の上部は隠れているので、きっと怪しい)。

 また、非常に高い崖を登ったり、見晴らしのいい場所をじっくりと眺めたりするのも気持ちいい。プレイ時間が限られていたため実現できなかったが、自分のデータでは、サトリ山に行き山のヌシや桜のような木をVRで見てみたい、と思った。

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 ならば、このままハイラルの全土をVRで冒険するのに向いているかというと、それはあまりオススメしない。本作のテクニカルディレクター・堂田卓宏氏が、公式サイトで「眺めの良い場所、好きなキャラクター、お気に入りの装備など、気になるものがあった時にVRゴーグルで覗いてみる。といった遊び方がオススメです」と語るように、全編VRに対応しているものの、VRでイチからクリアーまでを楽しむというのが目的の機能ではなく、要所要所をVRで楽しむものだと感じる。

 というのも、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』のVRモードは、ノーマル版よりも解像度が落ちてしまう。VRというのは、左目用、右目用に2倍のグラフィック描画を必要とするため、これは宿命に近いもの。前述の『スーパーマリオ オデッセイ』も条件は同じなのだが、あちらは専用のステージにしていることや、デフォルメされたグラフィックになっているため、あまり解像度の違いが気にならないように調整されているわけだ。

 また、『スーパーマリオ オデッセイ』では、プレイヤー自身はステージの中央から移動せず、ぐるぐるとまわりを見渡すものだったが、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』は視点がリンクを追従するため、人によっては酔ってしまうだろう。記者は酔いに強い体質のため、そのままプレイを続けられたが、同行したスタッフの中には、すぐに酔ってしまう者もいた(もし酔いやすい人は、“ジャイロ機能”をオフにすれば、立体視だけを楽しめる)。そういった面もあり、要所要所で楽しむほうがオススメというわけだ。

 なお、イベントシーンなどに入ると、上下に黒帯が入る平面のシアターモードのようになって、周囲を見渡すことはできなくなる。四英傑を目の前で眺める、ということができないのは残念だが、ミファーの弟のシドや、ゲルド族の族長・ルージュなど、自由に話しかけられるところにいるキャラクターはあちこちから立体視で見られるので、そちらを堪能したい。

 『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』が全編VR対応と発表されたとき、「最初からVRでやり直そう!」と思っていた人には、想像していたものと違うところはあるだろう。では、本作のVRモードは体験する価値がないかというと、そんなことはない。前述のように高所から飛び降りるシーンを始め、VRで見たらより楽しめるところはたくさんある。

 本作を一度クリアーした人が、「あの場所をVRで見たらどうなるんだろう」と感じてプレイする。いわば、ハイラルの名所を立体視で観光する。本作のVRモードは、そんなふうに楽しむのがいいだろう。記者は、サトリ山のほか、大妖精の泉、ネルドラ、フロドラ、オルドラといった龍に近づくところなどをVRでプレイしようと思っている。あとは、ラストのボス戦も、見回すのがたいへんかもしれないが、迫力溢れるものになりそうだ。

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新たな遊びと魅力を提示するVRモード

 ちなみに、これは『スーパーマリオ オデッセイ』、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』、どちらにも言えるものだが、VRゴーグルをかぶせながら左右でJoy-Conを持ってプレイするため、長く遊んでいると腕が疲れてくる。疲れてきたら、腕と同時に目を休める。そんなスパンでプレイするのがいい。

 VRに対応した新たな遊びを提示した『スーパーマリオ オデッセイ』と、一度冒険した世界を新たな視点で振り返る魅力を提示した『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』。正直、VRの魅力は文章や静止画だけでなく、映像でも伝えづらいところがある。だが、実際に体験してみると、そこには驚きの体験が待っているのは間違いない。

 気になった人は、VRゴーグルとバズーカのToy-Conを同梱した『Nintendo Labo Toy-Con 04: VR Kit ちょびっと版』(3980円[税抜](4298円[税込]))を買ってみてはいかがだろうか。なお、記者としては“ちょびっと版”では入っていないが、実際に風を体感しながら遊べる“風 Toy-Con”がオススメ。これと『スーパーマリオ オデッセイ』や『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』が連動したら、もっと楽しそうだなーと妄想が止まらない。