2019年1月24~28日まで台湾で行われた、台北ゲームショウ 2019。1月26日のソニー・インタラクティブエンターテインメントブースでは、カプコン『バイオハザード RE:2』のステージが行われた。現地台湾でも日本と同じ1月25日に発売された直後とあって、すでにプレイ済みのファンがステージ前を埋め尽くす人気となった。

平林良章プロデューサーが“The 4th Survivor”に挑んだ『バイオハザード RE:2』ステージリポート&インタビュー【台北ゲームショウ 2019】_01

 ステージにはスペシャルゲストとして、本作のプロデューサーであるカプコン・平林良章氏が登場。「皆さんがエネルギッシュにゲームを楽しんでいて僕自身もパワーをもらった」とコメントし、台湾のファンたちを喜ばせた。

平林良章プロデューサーが“The 4th Survivor”に挑んだ『バイオハザード RE:2』ステージリポート&インタビュー【台北ゲームショウ 2019】_02
クレアとレオンに囲まれて登場した平林良章氏(中央)。

 ゲームを実演しながらの基本内容のプレゼンでは「攻略ルートはオリジナルからまったく変わっています。オリジナルの大切なところは残しつつ、見たことのないシチュエーションが多数用意されています」と魅力を説明。『バイオハザード2』でありつつも、新たな感覚で楽しめることをアピールした。

平林良章プロデューサーが“The 4th Survivor”に挑んだ『バイオハザード RE:2』ステージリポート&インタビュー【台北ゲームショウ 2019】_03

 続いては、本編をクリアーするとプレイができる“The 4th Survivor”を実演プレイ。「かなりボリュームある形で作り直したので、皆さんの前でクリアーできるかわからない」と自信なさげで平林氏であったが、その言葉通りにゾンビに取り囲まれて、途中でゲームオーバーに。再度の挑戦でも半分くらいまで進んだところでタイムアップと、かなり歯応えのあるモードであることを身をもって示したのであった。

平林良章プロデューサーが“The 4th Survivor”に挑んだ『バイオハザード RE:2』ステージリポート&インタビュー【台北ゲームショウ 2019】_04
“The 4th Survivor”。

カプコン平林良章プロデューサーにインタビュー

 ステージ後にはメディア向けのインタビュー時間が設けられ、平林氏が質疑応答に応えた。2月に配信予定のDLC“THE GHOST SURVIVORS”についての言及もあるので要チェックだ。

平林良章プロデューサーが“The 4th Survivor”に挑んだ『バイオハザード RE:2』ステージリポート&インタビュー【台北ゲームショウ 2019】_05

――追加DLCの“THE GHOST SURVIVORS”ではIFシナリオが楽しめますが、それをレオンたちの視点で見ることができますか?

平林“THE GHOST SURVIVORS”では、3人のキャラクターをプレイして、もし“ラクーン事件”から生きていたなら、どうやって惨劇の街から脱出しようとしたかがポイントとなります。

――『バイオハザード7』では1人称視点となりなりましたが、本作が3人称視点なのはなぜですか?

平林最初にディレクターとどんなゲームにしようか検討するときに、チーム全体で話し合う機会がありました。オリジナルの(固定)カメラシステムだったり、『バイオハザード7』のカメラシステム、『4』、『5』、『6』の今回採用したカメラシステムなどです。今回伝えたかったのはオリジナルである『バイオハザード2』のプレイフィールであり、そして主役ともいえるゾンビがより魅力的になるシステムはどれだろうと考えたんです。長いあいだいろんなトライ&エラーをくり返した結果、オリジナルの『バイオハザード2』をリスペクトしたうえで、モダンなプレイを感じていただけるようなハイレベルなミックスができるのではないか、ということでビハインドビューとしました。『バイオハザード7』とはまた違ったものを、という気持ちで作ったものではありません。

――すでにたくさんのファンがクリアーしています。本編のストーリーが物足りないという声がありますが、今後どう応えていくのでしょうか?

平林本編のストーリーはオリジナルをリスペクトしているので、物足りないのと感じられるのであれば、オリジナルの本編ボリュームが少なかったのかもしれませんね(笑)。オリジナルの本編が少ないとは僕は感じていないし、今回の『バイオハザード RE:2』でやるべきことは、オリジナルを楽しんだ人にいまのモダンなゲームシステムで楽しんでもらいたいという思いもありました。ですので、ボリュームを無理やり増やすことは考えていなかったです。ゲームは楽しい時間を過ごすことが大事です。ボリュームが最初のプライオリティーになってしまうと、無理なものまで付け足してしまうこともあります。今回は、必要なものは足しましたが、必要以上にオリジナルをリスペクトできない要素は入れませんでした。『バイオハザード2』のボリュームは、多すぎもせず少な過ぎもせず、素晴らしいバランスであったと、チームでは思っています。

――1998年に発売された『バイオハザード2』の1年後に『バイオハザード3』が発売されました。『バイオハザード3』は『バイオハザード2』のシナリオの補足という声もあります。『バイオハザード RE:2』では『バイオハザード3』の要素がヒントとしてありますが、それを次回作のリメイクに使うのでしょうか?

平林まず、『バイオハザード3』のエッセンスが入っているのは、オリジナルの『バイオハザード2』のときには『バイオハザード3』は生まれていなかったという事情があります。僕たちが『バイオハザード RE:2』を作るまでの21年間に、バイオサーガとして数多くのタイトルが増えました。システムやストーリーなどの積み上げたもの、僕たちはそのひとつひとつを大事にしています。そのうえで、オリジナルでは表現できなかったけど、現在ならあっても楽しめるであろうエッセンスを検討しました。『バイオハザード2』と『バイオハザード3』のタイムラインは同じなので、そこに気づいてもらえたのではないかと思います。
 今回の『バイオハザード2』のリメイクは、21年間にも及ぶファンの皆さんのラブコールが結実したものなので、僕らが勝手に「『バイオハザード3のリメイクを作ります」と言う可能性は低いと思います。もちろん、ユーザーさんが『バイオハザード RE:2』を楽しんでくれて、「別のナンバリングタイトルのリメイクが遊びたい」という声が上がれば、それが僕たちのスタートポイントになると思います。

――無料DLCで、固定カメラでの遊びができるということはありますか?

平林ないです、ごめんなさい。僕たちの中でも何十回も調整をして、一番楽しい体験だろうと自信を持ったのがこの形です。固定カメラがゴールではなく、固定カメラで楽しい体験ができることが皆さんに届けられる理由なので、今回のビハインドビューとしたのは、いまはこの形が一番楽しんでもらえると思ったからです。そうでないものを中途半端な形でユーザーさんに渡すのは、いまのカプコンにはできないです。

――“The 豆腐 Survivor”は原作ではナイフのみの挑戦でしたが、今回はナイフに耐久度があります。どういった攻略法になるのでしょうか?

平林今回の“The 豆腐 Survivor”の豆腐くんもナイフしか使えません。ですので、アイテムスロットが全部ナイフです(笑)。ぜひプレイしたあとで攻略を考えてほしいのですが、ひとつだけヒントをお伝えすると、今回のサブウェポンは通常で使うのと、緊急回避のふたつの使いかたができます。多数の敵と戦わないといけないときに、ビハインドビューの『バイオハザード4』、『5』、『6』だと、敵を倒して前に進もうというプレイフィールだったのですが、それ以前の『1』、『2、『3』を思い出してください。敵を全部倒してました? 逃げていたこともあると思うんですよ。いろいろなリソースマネジメントが楽しめたモードなので、今回もいろいろと試してもらいたいと思います。

――オリジナルではレオンは彼女にフラれていましたが、今回はそうではなくなっている。どうして設定を変えたのですか?

平林ディレクターが大切にしたいところと、オリジナルを経験しているからこそ、すばらしいドラマに変えなければいけないという破断の中での、ひとつのポイントです。『バイオハザード4』のレオンはカッコイイけど、『バイオハザード2』ダメなレオンも魅力的ですよね。(変えた理由としては)お考えいただきたいのですが、ラクーンの街にはゾンビが溢れていて、生存者がいないくらいに見えました。ただ、それが短い時間で起きてしまうと不自然ですよね。オリジナルのシチュエーションのままだと、あっという間にゾンビに占拠された街となる“無理”を作らないといけないとディレクターは考えたんです。そこで、街が変わっていくタイムラインを想像しやすくするため、レオンが街にやってくるように手を加えました。ただ、レオンのキャラクターはそのままです。「女の子にフラれればやけ酒を飲みます」とディレクターも言ってました(笑)。

――本作では、中国語のボイスが搭載されていますが、その経緯を教えてください。また、それを聞いた感想は?

平林最近ここ何年かのカプコンタイトルは繁体字と簡体字の字幕を入れるようになりました。それはひとりでも多くのアジアの方たちに遊んでもらいたいという思いからです。そうした中で、今回はチャレンジという形でチャイニーズのボイスを入れることでのサービスが、皆さんがどれだけプレイしてもらえる機会になるかを考えて、実装しました。
 実際に聴いた感想は、僕個人の意見ですが、いろんな国でいろいろな言語がある中で、「この顔はこんな声のトーン」っていう印象は国ごとに違うんです。ですので、日本人が自分たちの感覚で勝手に決めるのはよくないと思っています。ローカライズチームや、アジアのスタッフにヒアリングをしたところ「似合っています」と言っていたので、僕としてはそれがすべてかなと思っています。

平林良章プロデューサーが“The 4th Survivor”に挑んだ『バイオハザード RE:2』ステージリポート&インタビュー【台北ゲームショウ 2019】_06
SIE台湾のブースには用意された試遊台には行列ができるほどの人気であった。