2019年1月17日、プレイステーション4版とXbox One版が発売を迎える(PC版は2019年2月1日発売予定)、バンダイナムコエンターテインメントの『エースコンバット7 スカイズ・アンノウン』(以下、『ACE7』)。本作の魅力を、記事担当ライターのジャイアント黒田がお伝えする。

 そもそも筆者が戦闘機にハマったきっかけは、自衛官だった大叔父の影響が強い。大叔父は大の模型好きで、当時小学校の高学年だった筆者は模型の作りかたの手ほどきを受けた。最初は戦車だったと思う。そこから戦闘機に手を出すのには、さほど時間がかからなかった。初めて作った戦闘機はいまでも覚えている。F-14 トムキャットだ。可変翼に憧れて購入したんだよなぁ。

『エースコンバット7』レビュー。最新ハードで大幅に進化した“かつてない大空”がエースパイロットを待つ!【動画あり】_01

 そんな模型好きの少年だった筆者は、中学校に進学しゲーム好きになった。そして、クラスメイトに勧められて『エースコンバット』と出会うのである。初めて遊んだのは、1997年にプレイステーション(以下、PS)で発売された『ACE2』だった。シリーズ作品に触れるたびに、最新鋭のハードで大幅に進化するグラフィックなどに感動したが、『ACE7』は進化具合が群を抜いていた。

 ナンバリングタイトルとしては、実に12年ぶりとなる本作。開発にかけた時間を考慮すると、内容の進化具合は言わずもがなだが、そのうえで本作は“空の革新”をテーマに掲げて開発が進められた。これにより大きく変わったのが、大空に広がる雲の存在だ。最新技術により、多彩な形状や種類の雲をリアルに表現したほか、降雨や霧、靄、そして太陽と大気が生み出すさまざまな空模様など、自然現象の美しさを巧みに表現している。

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 だが、雄大で美しい自然は、プレイヤーに牙をむくことも! 一部のステージでは着氷や落雷、乱気流などが発生する雲が配置されており、視界が奪われる、機体の制御に不具合が発生するなど、さまざまな影響を及ぼすのだ。敵機はもちろん、数々の自然現象もプレイヤーの脅威となるが、逆に自然現象を味方につけて戦うことも可能。たとえば、ミサイルに追われているときにあえて視界の悪い雲の中に逃げ込めば、敵のレーダーやミサイルのホーミング性能の低下を狙えるのだ。このように、リアルな自然現象を表現することで、敵機と新たな駆け引きが堪能できるようになった。

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いくつもの奇岩がそびえ立つ渓谷で作戦を遂行するミッション7。折り悪く天候が崩れており、雷がプレイヤーを襲う。

 最新技術の影響は、機体のグラフィックや特殊兵装のバリエーション、敵無人機との手に汗握るドッグファイトにも活かされている。本作ではライセンサーの許諾を得て、戦闘機の外見はもちろん、コックピットの細部にいたるまでリアルに再現。コックピット視点で飛行すると、戦闘機を操縦しているかのような感覚でプレイできる。機体をじっくり鑑賞したい人は、クリアー済みのミッションのマップを自由に飛行する、フリーミッションのフリーフライトがオススメだ。

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F-35Cなど、最新鋭機のコックピットも細部まで緻密に再現されている。

 また、特殊兵装にはレーザー兵器である“PLSL”や“TLS”、いわゆるレールガンの“EML”といった最新鋭の兵装も使用可能。これらの特殊兵装は一部の機体で運用でき、対地・対空のどちらでも利用できるのがポイント。これらの兵装はミサイルとは異なり誘導性能を持たないため、使いこなすのに慣れが必要となるが、前作以上に戦術の幅を広げてくれるし、何より見た目がカッコいい! 男心をくすぐる兵器なので、ぜひ一度お試しあれ。

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高出力のレーザーを機関砲のように連続で発射するレーザー兵器“PLSL”。

 さらに本作では、“クルビット”や“コブラ”、“フック”など、失速した状態で機体を操作するポストストールマニューバが実現可能に。ポストストールマニューバは、機体の動きが遅くなる=敵ミサイルの的になってしまうのでドッグファイトが有利になるわけではないが、成功したときの感動は格別! 下のクルビットの動画や成功させるポイントを参考に、F-22Aなどの高性能な機体を選んでエースパイロットの腕前を存分に磨いてほしい。

『エースコンバット7』クルビット実演

クルビットを成功させるポイント

  1. 機体の速度を時速1000キロくらいまで加速させる
  2. 機体の速度を時速300キロ台くらいまで減速させる
  3. 減速のボタンを離し、一度加速のボタンを押す
  4. 加速ボタンを押したまま、すぐに減速のボタンも押し、左スティックを下に倒す(=ハイGターンで急に上を向く)

 また、多くのシリーズファンが楽しみにしているキャンペーンモードのストーリーについて。本作のシナリオは、『AC04』や『ACE5』の脚本のほか、2016年に公開され、数々の賞に輝いた映画『この世界の片隅に』の監督を務めた片渕須直氏が担当。ユージア大陸を舞台に、軌道エレベータを巡るオーシア連邦とエルジア王国の戦争を描く。

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新たな戦争の火種となる軌道エレベータ。

 主人公はオーシア連邦に所属するパイロットだが、ストーリーはオーシアが正義、エルジアが悪として描かれる単純な展開ではない。物語をオーシア側の語り手・エイブリルと、エルジア側の語り手・シュローデルの双方の視点で描くことで、より深い人間ドラマが楽しめるのだ。ストーリーを彩る登場人物たちもクセモノ揃い。

 とくに筆者は、主人公がとある理由で所属する懲罰部隊のメンバーがお気に入り。無類のギャンブル好きのハイローラー、血気盛んなチャンプなど、個性豊かなキャラクターを挙げるとキリがないが、彼らの自由奔放な無線のやり取りは痛快だ。それに、数々のミッションをこなして、主人公が部隊のメンバーに徐々に認められる展開も熱いし、エースパイロットに成長するカタルシスを感じられた。

『エースコンバット7』仲間たちの無線会話

 最後に、PS4版に収録されているVRモードについても語っておこう。こちらはPS VR専用に制作された3つのミッションが用意されており、プレイを進めていくと最大4つの機体で楽しむことができる。『エースコンバット』とPS VRなんて、考えるまでもなく相性抜群だとは思うが、筆者がプレイした感触は想像以上! 

 まずはハンガーで搭乗機体をじっくり眺めてみたのだが、タラップに上がってコックピットを覗き込んだり、主翼のデカさに仰け反ったりと、いつまでも眺めていられる。肝心のドッグファイトも、単にコックピット視点の『ACE7』をPS VRに対応させたのではなく、きっちりVR専用のモードとして仕上げてきている。敵機のミサイルが自機をかすめたときなんか、「ヒエッ」と声が出てしまったほどだ。なお、VRミッションの構成は、最初が空母から発艦するドッグファイト、ふたつ目は爆撃される基地から飛び立つスリル満点のミッションで後半は対地攻撃、3つ目は山脈の高低差を活かした対空戦に挑戦できる、手応え抜群の内容となっている。筆者のお気に入りはふたつ目のミッション。開幕の離陸シーンがアトラクション感満点で、何度もくり返し遊んでしまったほどだ。

 3つのミッションをクリアーした後は、VRエアショーが楽しめる。戦闘機がさまざまなフォーメーションで飛ぶ様子を鑑賞できるのだが、このモードはぜひ、飲み物やつまみ、お菓子などを用意して、ゆったりしたソファーに腰かけてから体験すべき! 筆者がダイエットコーラをガブ飲みしつつ見上げた空に、仲間(オメガ11)の戦闘機から出るスモークによって描かれたハートマーク。うーん、美しいですね。

※PlayStation®4版に収録されるPlayStation®VR(別売)対応の「VRモード」では、VR専用の新規ミッションがプレイできます。そのほかのモードはPlayStation®VRに対応しておりません。

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マルチプレイの空でお会いしましょう!

 いよいよ、『ACE7』初フライトのときがやってきた。しばらく『エースコンバット』シリーズから離れていたという方も、この機会にぜひ空中を自由に飛ぶ喜びを再び体験してほしい。本作は、ミッションの途中からリトライできるなど、初心者にもやさしい機能が搭載されいるので、復帰作としてはピッタリだ。もちろん、本作から大空にデビューする新米パイロットにもオススメ! マルチプレイモードは筆者も製品版で初めてプレイするので、いちパイロットとして、皆さんといっしょに飛行できるのを楽しみにしています。