2019年1月17日、プレイステーション4版とXbox One版が発売を迎える『エースコンバット7 スカイズ・アンノウン』。ゲームの発売を祝して、ブランドディレクター・河野一聡氏を始めとする3人のキーマンにインタビューを実施した。

 じつに12年ぶりのナンバリングタイトルとなる『エースコンバット7 スカイズ・アンノウン』(以下、『ACE7』)は、“空の革新”をテーマにすべてがパワーアップしたフライトシューティング最新作だ。プレイステーション4(以下、PS4)とXbox One、PC用ソフトとして開発され、2019年1月17日にPS4版とXbox One版がリリースされた(PC版は2019年2月1日発売予定)。そこで発売を記念して、ブランドディレクターの河野一聡氏、プロデューサーの下元学氏、VRプロデューサーの玉置絢氏にインタビューを行い、改めてこだわりのポイントなどをうかがった。詳細が明かされていない、勲章やマルチプレイモードなどもガッツリとお話を訊いているので、最後まで読み進めてほしい。

左から、玉置氏、河野氏、下元氏。

プレイヤーの気持ちを高めるストーリーの新たな施策

――いよいよ発売ですね。いままでの開発期間を振り返って、いまのお気持ちをお聞かせください。

玉置 日々SNSなどを見ていると、「予約をした」という報告や「発売が楽しみ」と言ったご意見をいただき、いよいよ発売が近づいてきた、盛り上がりを実感しています。12年ぶりのナンバリングタイトルということで、否が応でも期待が増していると思いますが、ファンの方の期待に応えられる内容になったと手応えを感じています。

河野 玉置が担当したVRのことは語らなくていいの?

玉置 私が担当したVRモードに関しても、ありがたいことにSNSなどで「ゲームの発売に併せてPS VRを購入した」、「久しぶりにPS VRで遊びたいゲームが出た」といった声が届いており、とてもうれしく思っています。ここ数年リリースされたPS VRのタイトルの中でも、本格的なパイロット体験ができる本作は、新しい次元のものだと自負していますので、ぜひ遊んで欲しいと思います。

河野 本当にありがたいことに、「PS VRのゲームの中でも一段進化したコンテンツ」というツイートも多かったですよね。

玉置 体験会などで試遊した方には「PS VRの新しいフェーズに入った」と書いてくれる方も多くて。クオリティーの高いものを目指して開発を進めていたので、好意的な意見が多くてうれしいですね。

河野 もう作らないの?

玉置 そこは、皆様からの要望で説得材料が作れれば。ご意見やご感想を聞かせていただければ、それがつぎの作品への動力になると思います。

下元 僕もTwitterを拝見していて、ファンの皆様の盛り上がりを肌で感じられてうれしいですね。「PS VRを買った」というツイートもそうですが、そもそも本作のために「(PS4やXbox Oneなどの)ハードを購入した」というツイートなどを見ると、12年ぶりのナンバリングを楽しみにしていて、期待してくださる方がいるんだなとより強く実感しています。発売後は、遊んだ感想などをあげてくれる方がいると思うので、それを見るのが楽しみですね。雲の要素など新たなギミックを用意しているので、皆様がどのように感じていただけるのか、いまからワクワクドキドキしています。

河野 僕は発売が楽しみな一方で、こんな落ち着かない正月は二度と迎えたくないです(苦笑)。

玉置 休み中も、河野から2日に一度のペースで連絡が来るんです(笑)。あれはどうだったっけ、これはどうだったけって。ついには“備忘録”という題名で連絡が来るんですよ。

下元 そうそうそう! 備忘録を人に送るのは勘弁してほしいです! 人に送る時点で、それは備忘録じゃないですよ(笑)。

一同 (笑)。

河野 それくらい落ち着かなかったんだよ。ありがたいことに、僕のTwitterのアカウントに、世界中から要望だったり質問だったりが届くんです。その量の増え方や具体的な質問が届くようになって、いよいよ発売するんだと実感が強くなり、正月はソワソワというか、ピリピリしていました。

――河野さんの正月明けのTwitterでは、限定版パッケージの写真を公開していましたよね。

河野 はい。今日は限定版を持ってきたので、ここで開封の儀を行いますか。
――いいですね! ぜひお願いします!
河野 (限定版を開けながら)あ、中はこうなっているんですね。

下元 実物は初めて見ました。

河野 それはそうだろう。今日届いたんだから(笑)。

玉置 感慨深いですね。あ、スチールブックかっこいいな。

河野 かっこいいよね。

玉置 ブックレットは、下元が編集者と化して完成させた力作ですよ。

下元 ファミ通編集者の方を前に言うのもなんですが、いい本を作ったなと思います(笑)。手前味噌ですが、ゲームメーカーが作るクオリティーではないなって。

一同 (笑)。

下元 本の制作とマスターアップの時期がかぶってしまい、かなり苦労しましたけどね。

――限定版とブックレットの中身は、発売日にじっくり拝見させていただきます! 話題をゲームに戻しますが、いわゆるやり込み勢はキャンペーンモードの各ミッションでランクSを目指すと思います。プレイさせていただいたところ、ランクSの獲得がけっこう難しそうな印象を受けたのですが、何か特別な条件があるのでしょうか?

下元 ランクが決まる条件は、前作までと基本的に変わっていません。敵機を撃墜したときに獲得できるスコアと、クリアーできるまでの時間によって決まります。

――なるほど。同様に、勲章の獲得もいくつか難しいものがありますね。

下元 そうですね。勲章の中には、シリーズをやり込んできたエースパイロットに向けて条件が難しいものも用意しています。勲章の中には、キャンペーンモードでしか条件を達成できないものもあるんですよ。

――つまり、勲章はフリーミッションでは条件を満たしても獲得できないと。

下元 はい。ただ、ステージ単位でのやり直しはできますのでご安心を。また、初心者の方への施策として、ミッションの途中で失敗してもチェックポイントからリスタートできるなど、前作よりも遊びやすくしていますし、難易度を選択できることで、初心者の方がクリアーしやすいように調整しています。

玉置 熱心なファンの方は、初心者向けのバランスだと物足りないと思うので、難易度に加えて、チャレンジしがいのあるSランクを用意しています。

下元 エアクラフトツリーを埋めるためのポイントを稼ぎながら、Sランクの獲得を目指していただいたり、聞き逃した無線を楽しんでもらえたりするとうれしいですね。

――チェックポイントは、初見のミッションをプレイするとき、とても便利だと思いました。

河野 チェックポイントの導入に関しては、スタッフ内でも喧々諤々、賛否両論ありましたが、時代に合わせて実装しました。キャンペーンモードの終盤なんかはとくに力を入れて開発しましたので、できるだけ多くの方にクリアーしてもらいたいですね。

――どのようなところに力を入れているのか、具体的に知りたいです。

河野 これまでにない試みとして、いちばんいいゲームプレイシーンに合わせ、音楽のサビが来るようにプログラムしていたりするんですよ。これまでの『エースコンバット』では、だいたい頭から音楽を流しておいて、プレイ時間を想定してこれぐらいでサビがくればいいなと設計していました。ですから、プレイヤーの腕前によって違っていたのですが、本作ではいちばんいいシーンに、いちばんいいフレーズが流れるんです。

下元 ゲームプレイシーンと音楽を合わせた表現は、キャンペーンを通して体感できます。

河野 PVにもある、トリガーの周りに集まるシーンなどですね。

――あのシーンもちゃんとBGMのタイミングが計算されているのですね。

河野 そうなんです。あのイベントシーンが始まるまで、音楽がループするんですよ。

――とても自然だったので、逆に気づかずプレイしていました。

下元 気づかれないように作っていますので、そう言っていただけるとうれしいです。誰がプレイしても感動する、かつ自然に聴こえるように調整するのは、とても苦労しましたから。それに、音楽のどのパートをイベントシーンに当てるかも、何度も議論を行いました。「こっちのほうが気持ちいいんじゃないか」って。

――作曲を担当した方も、苦労があったのではないですか?

河野 音楽は、今回も"こばやす"(※1)がいい曲を多く作ってくれました。彼の尽力はもちろん、サウンドディレクターの量(※2)のがんばりも大きかったですね。量がこばやすの音楽を分解して、ゲーム進行に合うように構成してくれたんです。

※1……メインコンポーザーの小林啓樹氏。おもに『エースコンバット』シリーズや『アイドルマスター』シリーズのBGMを担当
※2……サウンドディレクターの渡辺量氏。

――そういうのを知れば知るほど、もう一度プレイしたくなりますね。ストーリーも見応えがあって、とくにハーリング前大統領が登場する“あのシーン”は印象的でした。

河野 登場人物がなぜあのような行動に出たのか、受け取る方によって解釈が違うところがあると思います。あえて明確に描かないのも片渕監督らしいというか。

――そういったシナリオの見せかたを含めて、キャンペーンモードを作るのはとにかく苦労が多そうですね。

河野 これはナンバリングタイトルの宿命なのですが、お客様の気持ちをどうやって作り上げて、うまくのせてプレイしていただくにはどうすればいいのか、試行錯誤の連続でした。

下元 たくさんの苦労があったからこそ、キャンペーンモードをプレイした方の感想を早く知りたいですね。

『インフィニティ』のファンへ向けたプレゼントも!?

――メインメニューに“PlayStation Store”の項目がありますが、どういったコンテンツがダウンロードできるのですか?

下元 “PlayStation Store”の項目では、シーズンパスが購入できます。シーズンパスでは、オリジナル機体3種のほか、追加のミッション3種の配信を予定しています。

――ちなみに、今後、拡張する予定は?

下元 途中から課金システムなどを拡張することはないのでご安心を。

河野 ファンの方が不安になるものは入れません。ダウンロードコンテンツは、あくまでスッキリ、シンプルにしています。

玉置 ダウンロードコンテンツではないのですが、この機会にぜひお伝えしたいことがありまして。これは、『エースコンバット7』のVRプロデューサーというより、『エースコンバット インフィニティ』(以下、『インフィニティ』)のリードゲームデザイナーだった立場からお伝えしたいことなのですが、『インフィニティ』をプレイしていただいた方へのささやかなお礼として、マスコットキャラクターのナゲットくんのPS4のアバターを用意しました。『インフィニティ』をPS3でダウンロードした履歴のあるアカウントをそのままPS4で使用されている方が利用可能になります。また当時とは違うアカウントで遊ばれている方もいらっしゃるかと思いますので、からの配信はあくまで“先行配信”、2019年1月17日という形にしました。後日にはフルオープンになりますので、すべてのプレイヤーが入手できます。糸見(※3)がデザインを担当していて、2種類用意していますので、こちらもお楽しみに。

※3……糸見功輔氏。『ACE7』ナラティブディレクター。

――楽しみが増えました。あと、これまで詳細が明かされていなかった、マルチプレイモードについて詳細をお聞きしたいです。

河野 今回のマルチプレイモードは、バトルロイヤルとチームデスマッチのふたつのルールを用意しました。

――ベースは『エースコンバット インフィニティ』を踏襲しているのですか?

玉置 『インフィニティ』で生み出された改良点はもちろん踏襲されていますが、『ACE7』はナンバリングタイトルなので、全体としてはナンバリングシリーズのオンラインモードの系譜を受け継いでいると言うべき内容になっています。『エースコンバット』においてナンバリングのシリーズはずっとキャンペーンモードがメインコンテンツではあるものの、かつてマルチプレイモードを実装してからは、このモードにも力を入れてきました。本作のマルチプレイモードは単純進化ではなく、『ACE7』の内容に合わせて進化させています。

下元 『ACE7』は“空の革新”をテーマに、リアルな雲が戦闘に影響を与えるなど、新たな要素を取り入れました。これは、マルチプレイモードでも変わりません。キャンペーンモードと同じく、雲を使った駆け引きが楽しめるほか、雷や気流の影響を考慮して飛行する必要があります。とくに進化した駆け引きを楽しんでいただきたいと思い、先ほど河野が紹介したふたつのモードを実装しました。

河野 キャンペーンの中でコンセプトが実現されて“革新”にいたったときに、新たな特殊兵装やポストストールの挙動、環境を使った駆け引きが形になってきました。そうした状況の中で、対CPU(コンピューター)戦だけではなく、対人戦でも進化した駆け引きを楽しんで欲しいというのが、マルチプレイモードのコンセプトになります。

――どちらのモードも最大8人のプレイヤーが参加できると発表されていますが、この数に決めた理由は?

河野 それぞれ調整を進める中で、最大8人が最適解という結論にいたりました。

下元 マルチプレイモードでも3D空間を飛び回って空中戦をくり広げますが、上級者の方だと、8機ぐらいまでならきちんと位置関係を把握しながら戦えるので。ただ、8機以上になるときびしくなってくるので、最大8機にしています。

河野 初心者の方も、プレイを重ねて上達するうちに、戦場全体を見回して何をすべきかわかるようになってくると思います。

――マルチプレイモードは、スコアを獲得しているプレイヤーに★が付くのがおもしろいですね。

下元 ★は最大で3つ付きますが、★が付いた機体を撃墜すると通常よりも多くのスコアを獲得できます。バトルロイヤルでは、★が多く付いたパイロットは、より狙われやすい環境になると思います。

河野 狙われるほうが一見不利に見えますが、複雑な地形の低空に逃げ込むこともできるので、主導権を握って戦場を支配できるんです。

下元 具体的な例を挙げると、開発チームでマルチプレイを試遊したときも、★3のエースパイロットが急降下して厚い雲の中に逃げ込んだんですね。彼の後を追っていた開発スタッフの中には、高度を下げすぎてそのまま地面に激突した者もいて(笑)。映画のワンシーンのような体験が、マルチプレイでできるのは熱い要素だと思いました。

――それは確かに熱いですね!

下元 チームデスマッチでは、★が付くことで仲間との連携がとくに重要になります。★が付くパイロットは囮になることもできますし、腕に自信があるなら敵機を撃墜しに行くことも考えられます。囮になる場合は、味方機が敵機を撃墜しやすいように、旋回せずに飛行しながらミサイルを回避するといった立ち回りが重要になります。腕の差があっても、それぞれ活躍できるのかなと思います。

河野 チーム戦にしたり、複数機によるドッグファイトにしたりすることで、互いに旋回し続けて千日手になる、言わば“グルグル問題”も解決できました。

――本作のマルチプレイモードでは、新たな駆け引きが楽しめそうです。

玉置 相手側も行動を読むようになって、オンラインの駆け引きがどんどん進歩していくと思います。

河野 開発スタッフの対戦がまさにそんな感じだったよね。僕たちが勝手に“プロ”と認定しているスゴ腕のスタッフがいて、手加減をまったくしてくれないんです(苦笑)。

下元 8人でプレイしていて、6位~8位がブランドディレクター、プロデューサー、ディレクター3人の定位置なんですね(苦笑)。

河野 全然勝てなくて、「こんなゲームを作ったのは誰だ!」って。

一同 (笑)。

河野 あまりにも勝てないので、どのように戦っているのかを彼らに聞いてみたんです。当然ながら、うまい人たちにはうまい人たちなりの理由があって、始まった瞬間に対戦相手の機体情報をチェックして、特殊兵装を推測し、撃墜する優先順位やどの距離で戦うかを瞬時に判断するそうです。

下元 僕らは始まったら、目の前の敵機を最優先で狙いますからね(苦笑)。

――(笑)。うまいプレイヤーといっしょにやると、いろいろと勉強になりますね。
河野 彼らには勝利するための定石もあって、チームデスマッチだと機体の数が4対3になって均衡が崩れたときに、一気に攻めに転じるそうです。リスポーンするまでに敵機を1機撃墜していけば、数的優位な状況で攻め続けられるので。こういった高度な駆け引きができるようになると、対人線は格段に楽しくなりますからね。もちろん、その高みに到達するまでの課題はありますが。

玉置 ただ、『エースコンバット』シリーズはキャンペーンモードをプレイすることで物語を楽しみながら自然と練習ができます。まずはひと通りの操作やドッグファイトの基本を覚えてから、マルチプレイモードにチャレンジするのがいいと思います。

下元 マルチプレイモードでは、プレイヤーのレベルに合った人が優先的に表示されるので、まずは気軽にプレイしてもらいたいです。

河野 マルチプレイモードが、ファンの方たちの新たなコミュニケーションの場になるといいですね。ぜひ有効活用をしてもらいたいですし、ベテランのプレイヤーには、初心者たちを導く教官になってもらいたいという思いがあります。

下元 そうですね。腕に自信のある方は、うまくなるコツを仲間に教えてもらえたらなと。いまはSNSの時代なので、SNSなどで発信していただけるとうれしいです。

――ちなみに、★1の機体よりも、★3の機体を倒したほうがスコアは多く獲得できるのですか?

下元 スコアは、★が多い機体を倒すと多く得られます。ほかにも、高性能の機体で撃墜されるほど相手にスコアを多く獲得されてしまうので、あえて性能の低い機体で出撃して、相手に大きなポイントを与えないようにするといった形でもチームに貢献できます。