2018年11月10日にeペナントレースが開幕し、2019年1月12日には“e日本シリーズ”が行われるeBASEBALL パワプロ・プロリーグ。KONAMIとNPBにより共催されたこの史上初のイベントを、野球解説者で東京ヤクルトスワローズ前監督の真中満氏はどう見たのか。eドラフトから本大会を見続けてきた真中氏に直撃した。
真中満 氏(まなか みつる)
1971年生まれ。1992年ドラフト2位でヤクルトスワローズ(当時)に入団し、シュアな打撃と俊足を活かした守備で頭角を現しレギュラーを奪取。プロ通算16年をヤクルト一筋で通し、現役引退後には二軍監督や打撃コーチを歴任。2015年には一軍監督就任初年度にしてチームを優勝に導く。2017年シーズン終了後ユニフォームを脱ぎ、2018年から野球解説者。気さくな性格。
真中満は『パワプロ』のプロ選手をこう見た
――真中さんはeドラフトにも解説で登場し、その後、eBASEBALをご覧になって、率直にどんな感想を持ちましたか。
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真中最初は“ちょっとした『パワプロ』大会”くらいの感覚しか持っていなかったんですけど、実際、eドラフトから、そしてリーグ戦開幕から見ていて非常に緊張感があり、普段のシーズンさながらで。一喜一憂する雰囲気を見ていると、選手の真剣さもあり、見ているお客さんの雰囲気も、非常に盛り上がっているという感じがしますね。
――ご自身は実際に『パワプロ』をプレイされた経験も?
真中本当にシリーズの最初のころにちょっとやっていたんだけど、カーソルを合わせるのが難しくて(笑)。
――eドラフトのときに、娘さんがプレイされているというお話をされていましたね。
真中うちの娘がやっているんですけど、“マイライフ”でしたっけ、あれをやっていますね。ヤクルトの選手で、ピッチャーでやってます。後ろで見ていてもおもしろいですよね。「なかなかパパが起用してくれなくて試合に出れないんんだけど!」って怒られちゃうんですよ(笑)。
――(笑)。ゲーム中のイベントで上田選手にご飯誘われたとか。
真中そうそう。「上田とは行くな」って言ったりね(笑)。ああいうのがおもしろいなと思って、「原樹里とならいいかな」とか言って。あと、“サクセス”では高校野球で甲子園目指したりするじゃないですか。あんなのを見ていていろんなパターンがあるし、見ているだけでもおもしろいなと感心しちゃいますね。娘は5年生なので、フライとかは全然取れないんですけど(笑)。
――落下点表示がないとちょっと難しいですよね(笑)。さて、eBASEBALLのほうでは、ヤクルトがeペナントレースを最下位で終えてしまうという残念な結果に終わりました。真中さんも2017年は96敗という非常に辛いシーズンとなってしまいましたが、そういったときは実際どのような気持ちで戦っていたのでしょうか。
真中それはもう「勝ちたい」だね。それしかないよ。気分的には勝ちたいと思いますし、マエピー選手なんか、ドラフト1位だったからね。本人も非常に悔しい思いをしていると思います。
――現役時代も含め、“逆境のときに自分の力を発揮するためのコツ”みたいなものは、何かお持ちでしたでしょうか?
真中割り切っちゃうことですよね。やっぱりまずしっかり準備をして、本番では“自分がやってきたことを出す”ということに集中する。仮に結果がよかろうが悪かろうがそこに尽きますよね。敵が悪いというのは自分が弱いということですし、試合をするにあたって悔いの残らないようにしっかり準備をして、しっかりプレーをするということですね。あとは、結果はついてくるものなんで。
――チームとしてはなかなか波に乗り切れませんでしたが、えぞひぐま選手は開幕戦で1勝したことで、そのあとも3連勝、途中1敗してしまいましたが、最終的には4勝1敗という好成績で終えました。やはり早い段階で1勝するとか、序盤に先制点をとるとかできれば気持ちも前向きになりますよね。
真中そうでしょうね。『パワプロ』でも、メンタル的な部分は実際のプロ野球と変わらないくらい、気持ちの動きとか動揺が非常によく伝わりますよね。ピンチのときに萎縮していたり、エラーが後を引いて、さらに凡ミスを重ねちゃったり……。
――試合によっては「ああ、気持ちが切れているな」とか、逆に「すごくいま集中しているな」とか、見ているとすごく伝わって来ます。ちなみに真中さんは現役時代、ご自身はメンタル面が強い方だと思われていましたか。
真中どうですかね~。うん、弱くはないかな。割り切ってやれていましたし、弱くはないと思いますけどね。でもすごく強いわけでもないし。どうなんですかね、でもしっかり準備するだけですよね、悔いを残さないようにするってだけですよね。
――打席の中ではどんな気持ちでボールを待たれていましたか、コースや球種を決めて待ったり……?
真中それはいろいろですね、ピッチャーによっても変わりますし。相手ピッチャーに対して自分が即時的に対応できればそうするし、すごいピッチャーだったら、球種にヤマを張らなくちゃいけないしとか、やはりここも、割り切ってやっていましたね。
――では相手投手ごとに作戦を立てて、自分の中で方針が決まったら、後は集中して。
真中そうですね。やっぱり準備をしていくということですよね。
――もし、真中さんがeBASEBALLの監督だったとしてこういう逆風の中にある状況だとしたら、マエピー選手たち3人にどんな声を掛けますか。
真中じつはさっきトイレで会っちゃって(笑)、そのときにも声を掛けたのですが、もう「そういうときもあるよ」って言います。結果はしょうがないでしょ、いまさら敗北を悔やんでも仕方ないですし。彼らに何か言うとしたら、来年またこのメンバーで、選ばれてできるように努力するしかないと思う。
“けなすより褒める”、真中流解説テクニックとは?
――解説のお話もおうかがいします。真中さんの解説が、ネットで見ている視聴者に「おもしろい」と非常に好評なんですけど、何か心掛けていることはあったんですか。
真中心掛けていることですか。選手の特徴、細かい部分はわからないですけど、野球のおもしろさとか、そういうところが伝えられればいいなとは思っていますね。『パワプロ』の選手だけでなく、画面には実在の選手も映ったりするので、その辺の話を入れてもファンの皆さんにとっておもしろいかなと思ってますし、あとはゲームの実況をしすぎるよりは、感じたことを素直に話した方がいいのかなと感じていますね。
――真中さんの解説は、リアルのプロ野球の試合でもそうですけど、選手を腐したり、あまり刺々しくない雰囲気で、個人的にもすごく好きなんです。解説者の中には辛口というか、けっこうきびしく言う方もいらっしゃいますけど……。
真中谷繁ですかね(笑)。でも、選手も苦しんでやっているのがわかるんですよ。だから、結果が出る選手もいれば出ない選手もいるし、打たれた方をほめるよりは打った方をほめたり、抑えたピッチャーをほめたり。けなすよりはほめようと思っているので。まあ打たれると思って投げてるピッチャーもいないですし、三振しようと思って打っているバッターもいないので、いちプロ選手として尊重してあげたいなと思います。
――とくに真中さんの年代の方や、実際に野球をプレーされた方で、この“パワプロ・プロリーグ”を見てない人に向かって、このeBASEBALLの魅力、「ここ見たらおもしろいよ」と伝えるとしたら、どのように伝えますか?
真中プロ野球選手って、とくに若い子は『パワプロ』をやっているんですよ。だからそのまま続けていけばいいと思います。ただ、俺ら世代とか、60歳のおじいちゃんとか、もっと上のノムさん(野村克也氏)とか『パワプロ』やるイメージはわかないですけどね(笑)。
――ノムさんが『パワプロ』やっている姿、めちゃくちゃ見たいです(笑)。
真中今回の“eBASEBALL パワプロ・プロリーグ”は、NPBも協力してやってるし、選手たちも注目してると思いますよ。
――ありがとうございました!
『パワプロ』史上、NPB史上初の試みである“eBASEBALL パワプロ・プロリーグ”、その最終決戦である“SMBC e日本シリーズ”は埼玉西武ライオンズ対横浜DeNAベイスターズの組み合わせで、2019年1月12日に開催される。ぜひチェックしてみてほしい!(公式サイトはこちら)