コーラス・ワールドワイドから、『ジェットメロ:ヒーロー・オブ・ザ・ユニバース』が発売された。同作は、不器用な巨大ロボット”ジェットメロ”を操作し、多種多様な惑星を探索しながら失われた記憶を取り戻していくアドベンチャーゲーム。独特のビジュアルと物理演算で、ヨタヨタと歩き回るジェットメロのアクションを見て楽しみながら、9つの星系に多数存在する惑星を探索していくことになる。

 本作を手掛けるのは、カナダの開発会社Ghost Time Games。ここでは、同社のカブリエル・ケーニッヒ氏に、『ジェットメロ:ヒーロー・オブ・ザ・ユニバース』開発の経緯などを、メールインタビューという形で聞いてみた。本作と日本を巡る不思議な関係にも言及されております。

 なお、『ジェットメロ:ヒーロー・オブ・ザ・ユニバース』はNintendo Switch向けに2018年11月8日より配信開始。価格は1389円[税抜](1500円[税込])です。

『ジェットメロ:ヒーロー・オブ・ザ・ユニバース』の持つ独特な感性の秘密をクリエイターに聞く。「予想やしきたりに反するゲームを作りたかった」_06

高橋慶太氏の作品に影響を受けた

――こんにちは。まずは、Ghost Time Gamesがどんな会社かということと、本作の開発体制を教えてください。

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ガブリエルGhost Time Gamesはまさに僕、ガブリエル・ケーニッヒだよ。2年以上『ジェットメロ』を手掛けていたけど、当時はほとんど夜か週末に仕事していたんだ。別に正社員の仕事があったからね。これでプレッシャーはかなり和らいだよ。だから試したり、調べたりする時間がたくさんあった。ひとりで仕事をすると、構成部分のあいだで何かを引き出したり、アートのようなものを開発することもできる。それに物理演算もね。

――独特なゲーム性を持っていますが、本作を開発するに至った経緯を教えてください。

ガブリエル高橋慶太さんの作品にすごく影響されたんだよ。とくに『のびのびBOY』。ストレスとかチャレンジがあまりないすごくおもしろいおもちゃなんだ。『ホホクム』や『プロテウス』もカラフルなゲームで、もっとまったりとした遊び心のある体験を作りたいって思わせたものだったね。予想やしきたりに反するゲームを作りたかったんだ。

――「自分のルーツを探し求める」という点にテーマ性を感じますが、本作にはどのようなメッセージが込められているのですか?

ガブリエルすごく個人的なことだってあるよ。ほとんどは失敗への対応についてかな。それに、間違っている時の悟りについて。『ジェットメロ』は、目的を見つけるっていうクエストでもある。誰にでも関係することがあることだと思うんだ。人生って大変なことがあって、僕たちは意味を与えてくれるものをいつも探しているわけだけど、誤った考えを持ってしまってすごく迷いやすい。ゲームはシリアスなテーマでありながら、ふざけようとしていて、いいバランスを取っているんだよ。

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――“不器用な巨大ロボットに乗る”という設定にした理由は? もしかして、日本のロボットアニメの影響などありますか? また、そうだったとしたら、お気に入りのロボットを教えてください。

ガブリエル超パワフルなんだけど、小さな事をするのがあまりうまくないっていうアイデアがすごく好きだったんだ。ゴジラみたいな昔の怪獣の映画が好き。だからでっかいスーツを着て歩き回って、スーツが大きすぎて町でつまずいている人を想像したよ。おもしろいけど悲しいって思ったんだ。喜劇と悲劇のミックスがお気に入り。

――“ジェットメロ”の造形でこだわったポイントをお教えください。

ガブリエル『ジェットメロ』は、いつだって止められない力に向かっていたんだ。でもその強さに反して、すごくキュートで無害、それに不器用だったらおもしろいだろうなって考えた。たくさんのデザインをスケッチしたけど、すぐにこれだってわかったよ。シンプルで小さな子どもみたいな感じ。ごつごつの腕や足もコミカルであり得ないって感じて、不器用さをうまく出している。デザインにはすぐに受け入れられて愛されることが必要だったんだよ。

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――舞台となる9つの星系とそこに登場するロボットは、きっとそれぞれ個性的なものだと想像するのですが、苦労された点などありましたら、お教えください。

ガブリエルどの太陽系も、コードを使って各プレイヤー独自のものになるように作られている。だから惑星やモンスターはいつもちょっと違っているんだ。このシステムを作るのはチャレンジだったよ。でも惑星を再訪問するたびに新しいことがあったからワクワクしたんだ。それに全部物理演算ベースでもあるから、意外な相互作用のある宇宙ができるよ。

――独特のアートワークですが、コンセプトなどあるのでしょうか? インスパイアを受けたアーティストなどいますか?

ガブリエル参考にたくさんの漫画を見たよ。とくに『ヘルボーイ』の作者のマイク・ミニョーラとジャック・カービーの昔の作品。2Dの漫画スタイルに相互作用できる3Dの何かに命を吹き込むことは楽しいチャレンジだったな。ゲームを明るくして、ワクワクするような色を使いたかったんだけど、全部影と闇っていうのも好きだな。だって宇宙は美しいけど、すごく寒くて孤独だから。

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各惑星には巨大モンスターが生息。ジェットメロは目から発射できるレーザービームを駆使して戦う。戦闘に勝利すれば、封印されていた記憶の一部を取り戻すことができる。

――フォトモードを搭載した理由をお教えください。また、同モードでとくに注力したポイントは?

ガブリエル自分でゲームの画像を撮影するのにすごく時間を費やしたよ。だって、それだけきれいだったから。フォトモードでは、ほかのプレイヤーに画像を見せることができるし、しかもゲームを楽しめる。たくさんのビジュアルフィルターもある。だからこれはより実験的とも言える、アートなスタイルで宇宙を見る別の方法なんだよ。いつも芸術とゲームのミックスを作りたかったし、フォトモードはアート作りにはすごくいいよ。

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自由にスクリーンショットを撮影できるフォトモード。ゲームをポーズした状態からカメラを動かし、好みのアングルを作り出すことが可能だ。

――最後に、日本のユーザーにちょっとしたメッセージをお願いします!

ガブリエル『ジェットメロ』の名前は日本語から直接影響されたものなんだ。だから、まあ、ゲームは(日本の)文化からいつでも取り入れていたよ。『ジェットメロ』がいまから日本にいられるなんて嬉しいよ。我が家に戻ってきた感じ。日本のプレイヤーが楽しさを実感してくれたらいいな!

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