2018年8月21日~25日(現地時間)、ドイツ・ケルンメッセで開催されている欧州最大のゲームイベント“gamescom 2018”にて、General Arcade社が開発を手掛けるプレイステーション4/Xbox One/PC用のロボットアクションゲーム『メタルウルフカオスXD』が出展された。本作の国内パブリッシャーであるフロム・ソフトウェアの竹内将典氏と小倉康敬氏へのインタビューをお届けする。
METAL WOLF CHAOS XD デビュートレーラー
――2004年に初代Xboxで発売された『メタルウルフカオス』の現行機種版がワールドワイドで展開されることで話題ですが、『XD』の開発はどのようにスタートしたのでしょうか?
小倉もともと初代Xbox版も世界で発売する予定だったんです。ですが、アメリカ同時多発テロ事件などで敏感なタイミングのため断念していました。
竹内今回の出展は、Devolver Digital(海外インディーパブリッシャー)のブースで行っていますが、Devolver Digitalが「弊社が『メタルウルフカオス』を作ったらどうなる?」といった内容の発言を冗談半分、本気半分でツイートしたところ、非常に反響が大きかったんです。Devolver Digitalさんはとてもフットワークが軽く、すぐ弊社に話を持ち掛けていただき、それなら出してみるか、という流れにいたったわけです。
――冗談から出た真実というわけですか。
竹内ですが、オリジナル版が出たのは14年も昔ですし、いまになってワールドワイド展開を行っても、北米やヨーロッパのゲームファンに受け入れられるのか? と、半年くらい悩んでいました。ところがDevolver Digitalさんから「そんなことはない、日本国外でも盛り上がっているよ」と背中を押されました。わざわざ日本の初代Xboxを購入してプレイ動画をアップする方もいらっしゃるようで、絶対にうまくいくと説得されまして。
――フロム・ソフトウェアさんと言えば『DARK SOULS REMASTERED(ダークソウル リマスタード)』もありますが……。
竹内たまたまタイミングが重なっただけです(笑)。あれもこれもリマスター化するというわけではありません。
――なるほど。本作の話に戻りますが、アレンジというよりリマスター版といった感じなのですね。
小倉海外のユーザーさんが初めてプレイされることを想定して、当時の内容をほぼそのまま再現しています。とはいえ、グラフィックまで当時のままというわけにもいきませんので、16:9のワイドスクリーンや4K対応など、現行機種に合わせています。ちなみに音声は当時のままなので、Xbox版を知る人は懐かしさを感じるかもしれませんね。
竹内タイトルが“メタルウルフカオスHD”だと素っ気ない印象もあり、もう少しかっこいいタイトルにということで『XD』に落ち着きました。
――今回はヨーロッパ向けの出展なのに、ロゴにカタカナで『メタルウルフカオス』と入っているのが目立ちますね。
竹内『ダークソウル』でもそうなのですが、海外では「日本のゲームは日本のゲームとして楽しみたい」というゲームファンが多いそうです。開発会社からは「日本語が入っているとブランド価値が上がるので、あえてカタカナを入れたい」という要望があり、いまのタイトルロゴに落ち着きました。
――先ほど『XD』を軽くプレイさせていただきましたが、敷居の高さをまったく感じないほどユルく楽しめました。
竹内基本操作や難度も当時のままです。主人公のしゃべりかたなどがぶっ飛んでいて尖った印象を受けるかもしれませんが、誰でも楽しめるデザインになっています。弊社のタイトルは難度まで尖っているものが多いですが、『METAL WOLF CHAOS XD -メタルウルフカオス-』に関しては、アクションが苦手な方も遊びやすくなっていると思います。
――先ほど音声は当時のままとおっしゃっていましたが、かなり個性溢れるボイスですね。
竹内海外で収録したわけではなく、当時日本にいた外国人の声優さんなんです。当時その方に主人公の設定を伝えたところ、すぐに把握していただきました。正直、事前に考えていたイメージとは少し違うしゃべりかたでしたが、逆に想定していたよりいいものになっていて、そのまま採用という形に。一応、当初イメージしていたくらいの、少し落ち着いたバージョンも収録してみたのですが、どう考えてもハイテンションなほうがいいという結論にいたったのです。
――いかにもロボットアクションという感じでいいですね。本作を期待しているゲームファンにひと言お願いします。
竹内当時はXboxだけでしたが、今回はPC含めて3機種展開ということで、誰もが手にしやすい環境になります。ぜひ多くの方に手に取ってもらいたいですね。
小倉弊社と言えば『ダークソウル』のようなタイトルを連想される方も多いと思いますが、それとはまったく別のベクトルのゲームとしてお楽しみいただけます。オリジナル版を知らなかった方もぜひ、新鮮な気持ちでプレイしてください。
竹内将典氏(たけうちまさのり)
フロム・ソフトウェア専務取締役。
小倉康敬氏(おぐらやすのり)
フロム・ソフトウェア執行役員 マーケティングセクション部長。