学校の課題がいつの間にか世界リリース決定!? カジュアルに遊べる対戦に誰もがアツくなる風船アクション『BATTLLOON』

UNTIESが今冬に発売を予定している風船対戦アクション『BATTLLOON』(バトルーン)のプレイインプレッションとインタビューをお届け。

 インディーゲーム開発チームnoname studiosの『BATTLLOON』(バトルーン)は、風船を模したキャラクターがぶつかりあう最大4人ローカル対戦のアクションゲーム。

 対応プラットフォームはNintendo Switch/PC/Macで、インディーパブリッシャーのUNTIESから今冬に配信予定となっている。

友達とかとワーキャー楽しむと絶対楽しいやつ

 今回、noname studioの本拠地である日本工学院専門学校にお邪魔して、プレイするとともに取材してきた。

 さて、本作の基本ルールは単純明快。自キャラを膨らませて空気を噴射しながらほかのキャラに体当りし、壁際のトゲトゲにぶつければポイントゲット。ただしやられてプレイヤーもゴースト状態でゲームに居残ることができ、継続してプレイすることができる。

 そうやって最後までやられなかったプレイヤー1名が決まった所でラウンドが決着し、一旦集計。ラウンドを繰り返していって一定ポイントを超えたプレイヤーが出ると最終結果が出る、という仕組みになっている。

 実際遊んでみると、これがまぁ楽しい。ルールも操作もシンプルでわかりやすいので参加しやすいし、ピンチも一目瞭然なので、壁際でうまく切り抜けられた時は思わず声が出る。

 そしてやられても試合に参加し続けられるので、指をくわえて眺めるような時間がない。リベンジのチャンスは常に転がっているのだ。

 また、キュートでレトロ風なグラフィックやサウンドもいい感じ。幅広い人が気軽にワーキャー楽しめる作品となっている。

開発インタビュー「みんなでワイワイと遊べるものを目指しました」

 さて、取材場所で察した人もいるかと思うが、実は本作を開発しているnoname studioは、日本工学院専門学校のゲームクリエイター科(4年制コース)に所属する学生によって結成されたチーム。

 どんなきっかけで本作が生まれたのか、そしてパブリッシング契約が決まったのか? 本作の誕生からの経緯やコンセプト、そして発売までの展望まで聞いた。

プロフィール

生高橋

ディレクター。個人でもインディーゲーム開発を行っており、作品に『食い太陽』(https://takahashi.itch.io/i-want-eat-the-sun)など。

高梨克也

本作のメインプログラマー。

渡邊和樹

本作ではプランナーとサウンドを兼任。

河野渓(はちのす)

本作のリードアーティスト。雨毛氏とのnoitems studio名義でアクションアドベンチャー『SOULLOGUE』(http://noitems.com/soullogue/)も開発中。

鈴木啓太

本作のプログラム担当。

香取我駆

本作のプログラム担当。

――プロジェクトとして最初どう始まったんでしょうか? 同人やインディー的に「ゲーム作ろうぜ」ということで集まったのか、それとも課題があって組まされたとか。香取 発端は普通に課題のために組まされた感じですね。

――となると、組ませた先生側は何か狙っていたんですか?谷口直也氏(担当教員) 「この子達を組ませたらいい化学反応が出るかな」といったようなことは考えていたんです。それで、馬場さん(講師を務める元セガの馬場保仁氏)監修に基づいてやっていったらこういう結果が出た、という所です。

――ゲームデザインのきっかけは?生高橋 最初にみんなでアイデアを出し合ったんですけど、なかなか決まらなかったんです。それでまずはアイデアを絞ろうと思って、みんなが「これは気になる」というものを選んだ中からランダムに3つアイデアをピックアップして、そこからゲームを連想していくという感じで考えました。確か「風船」「ヘルメット」「相撲」みたいな組み合わせだったと思います。

――それで“風船がぶつかって押し合う”という形なんですね。アート的にはどんな感じでこういうスタイルになったんでしょう?はちのす それは完全に自分の好みですね。ドット絵がとても好きなので。

――音楽はどうでしょう?渡邊 そうですね、グラフィックがドット絵なので8ビット時代を意識しました。音楽の雰囲気は、(風船が膨らむギミックなどが)カービィっぽかったので、そのあたりを参考にしてアレンジしてみたりしつつ作っていきました。

――本来は学校の課題という形で始まって、現在はパブリッシャーがついて製品版として開発しているわけですけど、どうシフトしていったんでしょうか。「これは行けるな」という手応えがあったのでしょうか。生高橋 当初“全国専門学校ゲームコンペティション”という専門学校の賞と、もうひとつ福岡のコンペティションを目指して作っていったんですけども、全国専門の方でグランプリ(第6回)を貰った時になかなか手応えを感じることができました。
 その頃から雑談で「これSwitchでやりたいな」「Switchならめっちゃいいな」といった事は話していたんですが、ちょうどそこでUNTIESから声がかかって「これはチャンスだ、行けるんじゃないか」という感じですね。

――パブリッシャー側ではどうだったんでしょうか?伊藤雅哉(UNTIES) もともとUNTIESが立ち上がる以前から、Twitterではちのすさんをフォローしていたんですが、当初は『BATTLLOON』自体には気づいていませんでした。
 でもUNTIESが昨年の10月に正式にスタートして、方向性や契約したいタイトルを固めていく中で「マルチプレイの楽しいゲームが欲しいな」と調べていた時に「うわ、見逃してた」と『BATTLLOON』に気がついたんです。それで「これはぜひご一緒したい」とすぐに連絡させて頂いた感じです。

“UNTIES(アンティーズ)”のキックオフパーティーをリポート TINY METAL(タイニーメタル)を筆頭に個性的なタイトルが集結

インディーを筆頭に個性的なゲームを届けることを目的としたパブリッシングレーベル“UNTIES(アンティーズ)”。レーベル発表の同日、ソニー・ミュージックエンタテインメント本社(東京都千代田区)にて開催された、キックオフ・パーティーの模様をお届けする。

――確かに海外のインディーでは、数年前から(特にローカルで)ワイワイと遊ぶマルチプレイを軸にしたゲームが増えてきています。『Gang Beast』とか、『Ultimate Chicken Horse』とか、『Overcooked』のあたりですね。そういうのは意識していたんでしょうか?

生高橋 「対戦ゲームを作ろう」というのが決まった後に、そういったゲームを参考にしたりはしていました。

――ちなみに先生方にお伺いしたいんですけども、こういった課題作に一般でのリリースが決まることってよくあるんですか?谷口氏 ないですね。でもインディー系ですごい学生が生まれそうな雰囲気が出てきていたので、インディーパブリッシャーについて調べたりはしていました。実は縁があって(『BATTLLOON』とは関係なく)伊藤さんを一度紹介してもらおうということになり、いらっしゃってみたら実ははちのす君の所に来るのが本題だった、といったこともあったので、運命的なものを感じましたね。

――死んでもゲームに参加し続けられるようにした理由は?生高橋 こういった対戦ゲームで、やられた後に待っている時間が苦痛じゃないですか。それをなくすために、死んでも遊べる、まだポイントを取れる、という仕組みを入れました。

――負けて他の人のプレイを眺めているだけの時間とかがないので、そこまで心が折れないのがいいですよね。香取 「みんなでワイワイと」というのがコンセプトだったので、動かない時間を作らないようにしています。

やられても幽霊のようなキャラで参加し続けられる。ひとりを残して全員この状態になると一旦集計。

――では操作系がシンプルにまとめられているのも、いろんな人がプレイできるようにするため?
生高橋 そうですね、企画を考える段階から操作は絶対にシンプルなものにしようと。

基本操作は、ボタンを押して空気を入れて、スティックで噴射する方向を決めるだけ。

――ちなみにローカル対戦のみですか? シングルでのBot戦(AI相手の対戦)などはあるのでしょうか?生高橋 ローカル対戦のみですね。シングルプレイに関してはちょっと別のモードを追加する予定です。というのはBot戦はあまり面白くならないだろうと思うので、完全にひとりで遊んでも成立するものを考えています。

――対戦用のマップはどれぐらいあるんでしょうか?はちのすはちのす いまは10ぐらいあって、それがランダムで出てくるという形です。今後もう少し増やすと思います。ギミックもいまは数種類しかないんですけど、いくつか追加しようと考えているので、バリエーションも広がるんじゃないかと。

――キャラはいま6体いるかと思いますが、あれ以上増えるのでしょうか?生高橋 そうですね、いまは6体で、一応(新キャラの)案もあります。

――では最後にリリースへ向けて今後の意気込みなどを。高梨 自分はこれからプログラムをどんどん作っていって、シングルプレイの追加とかキャラクターの追加とかもやっていきます。キャラクターに新しい特殊能力がつく場合などは忙しくなると思うんですけども、就活も終わったのでこっちに全力を尽くして、ちゃんと販売ができればいいなと思いますね。
渡邊 今回のゲームで音楽を始めて制作してみて、ちょっとハマっちゃったので、もっといい曲を作っていきたいですね。就活と同時並行で頑張っていきたいと思います。
生高橋 僕は将来はインディーを目指していきたいんですが、まだ学生の間でインディーというスタイルがあまり知られていないように感じます。なので「学生でこういうことをやっているんだ」というのが全国に知られることで、そこを目指す人が増えたらいいなと思っているので、頑張ります。
鈴木 僕はまだ3年生で就活はまだなので、まずは技術向上ですね。好きなSwitchで発売できるのは嬉しいし、いっぱい売れるようにできたらいいですね。
はちのす 今回グラフィック担当ということで絵の全般を描かせてもらったんですけども、これまでも個人で『SOULLOGUE』とか作っていましたが、同じドット絵でも、こういうかわいい系の雰囲気のドット絵を描いたことがなかったんですよ。

はちのす 今回は企画の段階で“ゆるいゲーム”ということだったので「かわいい系のグラフィックの方がいいよな」と決めたんですが、最初は自分に描けるか不安だったものの、やってみたらめちゃくちゃハマっちゃって、自分の中の何かが目覚めたような所がありますね。この路線をちょっと極めていって、最高にかわいいゲームを作りたいですね。
香取 自分はこの後ちょっとプロジェクトを抜けちゃうんですが、プログラマーとして引き継ぎやすいように整理整頓をしていきたいと思っています。(抜けるのは何故?)『BATTLLOON』を出しちゃうと、自分がアマチュアの大会とかに全然出られなくなっちゃうんですよ。自分はいま3年で、来年とかもまだまだそういった大会に出たいので抜けます、という感じですね。