ダンジョン探索型アクションRPG『Chasm』を紹介。カジュアルに楽しめる、ドット絵世界が美しいメトロイドヴァニア

海外で配信開始されたBit KidのアクションRPG『Chasm』を紹介。

 Bit Kidのダンジョン探索型アクションRPG『Chasm』を紹介する。本作はSteam等でPC/Mac/Linux版が本日配信開始。参考までにSteamでの定価は2050円となっている(8月7日まで発売記念セールの1845円)。

 なお以前ご紹介したように、発売後のアップデートでの日本語対応や、家庭用ゲーム機版の国内配信も検討されている。

 主人公は、ギルディアンという王国の若手騎士。王国にとって重要な鉱山がなんらかの事情で閉鎖されているらしいという報を受けて、彼が調査に送られることとなる。

 到着してみると、地元の村は住人の姿もほぼ消え失せたゴーストタウンに。いったいこの地で何が起こっているのか? 数々の謎とクリーチャーたちが待つ坑道を降りていこう……。

オープニング場面。見張り台に配置されていた主人公(右)だが、急遽ミッションが与えられることに。

 ゲームとしては、メトロイドシリーズや悪魔城ドラキュラ/キャッスルヴァニアシリーズの一部作品に代表されるような、いわゆる“メトロイドヴァニア”スタイル。

 ダンジョンを冒険して主人公の能力を強化しつつ行動可能な範囲を広げていく、ドット絵グラフィックのダンジョン探索型アクションRPGとなっている。

オマージュを感じさせる、悪魔城的なムチ系武器も(これはモーニングスターだが、効果音は完全にムチ)。

 アクションはシンプルにまとめられており、左右の移動・ジャンプ・バックダッシュ(回避)に、近接攻撃と遠距離の魔法攻撃が存在。探索を進めてアイテムを手に入れると、壁の出っ張りに捕まることができるようになったり、壁からのジャンプや滑空などの追加アクションが加わっていく。

“アーティファクト”と呼ばれる特殊アイテムをゲットしていくと、水中なども進めるようになる。

鉱山内部に広がる6つのワールドを探索せよ

 鉱山内部には6つのワールドが広がっており、探索を通じて新たな能力や新たな通路を開くキーアイテムを手に入れながら、ワールドを行ったり来たりしてその最深部に潜む謎に迫っていく。ダンジョン探索型アクションRPGとして非常にオーソドックスな作りだ。

 各ワールドにはハブとなるエリアが存在し、ダンジョン部分と繋がるショートカットが3つほど存在する。もちろんこれらのショートカットは最初から使えるわけではなく、一度奥地まで行ってミニボスなどを倒すと開けられるようになるという昔ながらのスタイル。

この手のゲームでよくある、一回先に進んでから手前のエリアに繋がるショートカットを開ける仕組み。

 そしてそのハブエリア自体も、それぞれワープゲートで繋がっている(それ以外にワールド間をつなぐ通路もある)。最初の階段を降りて右にあるハブエリアへの入り口は、クリアーまでの間に何百回と通ることになるだろう。

 一方で挑戦的なのが、各ワールドのマップ構成に自動生成システムを採用していること。これは、ワールド内の“部屋”や通路の配置をある程度ランダムに行うというもの(各部屋の中身そのものは開発者が手作りで設計している)。

 この手のゲームはランダムマップとの食い合わせが悪いが、本作では一部の重要なポイントの位置関係を固定することで、“メトロイドヴァニア”としてのマップ構成の破綻(※)が起きないようにしている。(※ある能力を取りに行くためのルート上に、他でもないその能力がないと通れない障害物が置かれてしまうようなケース)

 なお全体のマップ構成については、新しくゲームをスタートすると固有の“シード値”が割り当てられる。同じ値を入れれば同じマップ構成になるので、同条件でのタイムアタックや、好きな配信者と同じ構成で遊ぶといったことができる。

シード値によるマップ構造の違いの例。線で囲われた重要な部分(ミニボスがいたり、ショートカットや別のワールドへの通路が存在する場所など)以外は部屋の配置が異なる。

この愛おしきドット絵ファンタジー世界

 村から消えた住人たちは、鉱山内の各地に囚われている。探索を進めて解放していくと、村もふたたび活気を取り戻していく。

 本作では異変の理由や“敵”の目的などが直接的に語られることはなく、先陣を切ってダンジョン内で研究を進める博士が、何やら関係がありそうな伝承について語ってくれる程度。なのでプレイヤーを惹き込むようなストーリー要素は、村人とのサイドミッションが主となっている。

このアイテムを取ってきてくれ、といった村人に頼まれたおつかいを解決すると、報酬アイテムをくれたり、ショップとして利用できるようになったり、はたまたミニゲームを提供してくれたりする。

 そしてそういったおつかいミッションをこなすと村人がアイテムなどを売ってくれるようになるので、村のみんなを救って頼みを叶えていくと、自然と村の復興とともに自分も強くなっていく。

 このちょっと牧歌的な世界と、どこか往年のJRPG的な雰囲気を感じさせるドット絵スタイルがよく合っていて、いい感じだ。

ポーションが別にあるのに、食べ物系回復アイテムが無駄に充実してるのとかも好き。

 本作のボリューム的な部分について触れておくと、10以上のボス・ミニボスがおり、敵は色違いなども含めて80種類以上。一応のラスボスの撃破までは長くても10時間程度あれば十分あはず。ちなみにクリアー後も探索が続けられるほか、1回クリアーすると新規スタート時にハードモードを選べるようになる。

敵の行動パターンなどに少し残念な部分も

 一方で、敵の挙動が少し物足りないのはアクションゲームとして少し残念だった部分だ。例えば、認識範囲外から攻撃を当てても待ち状態から変化しない敵が多いため、遠距離攻撃が非常に強力。

 通路の先に苦手な敵がいる時など、単にマジックナイフ(水平に飛ぶので範囲外攻撃に最適)を撃ちまくれば削りきれてしまうので、なんだかなぁという感じになってしまう。せめて遠距離攻撃が当たったらプレイヤーを追い始めるような設計にして欲しかった。

少なくとも現状のバージョンでは敵の認識範囲外からの攻撃がめっちゃ有効なので、困った時はマジックナイフに頼れば一方的に倒せてしまうという、この微妙な感じ。

 また、敵に囲まれるようなシーンがあまりないとか、主人公のジャンプに対応する上攻撃を持っている敵が少ないといったあたりも少し物足りない。

 特に後者、主人公のジャンプの着地際に近接攻撃を出すことで、待ちフレームをキャンセルして通常よりも早く次の攻撃を出せるなどジャンプ攻撃が強めの設計なので、カウンターがもうちょっと欲しかったのだが……。

 ハードモードでこれらの挙動が変わったりするのであれば面白かったが、実際はハードモードは敵の各ダメージ値が変動するぐらいだ(これは関係者に確認した)。

特別な戦闘では強制的に複数の敵と戦わされることもあるが、通常の探索時はこういうシーンになることはほぼない(これはかなり意図的に敵を集めてきた画像)。

 そしてこれは設計上仕方がないことなのだが、マップ構造の自動生成システムそのものは違和感なく組み込まれているものの、やはりその仕組み上どうしても、パッとしない“繋ぎ”の部屋や通路が連続する部分が出てきてしまう。そして同じような構造の部屋では敵の対処法も似通ってくる……。

結構サイズのあるワールドでも、どこかで体験したような構成の部屋が続くと、途端にダラダラ感だけが感じられるようになってしまう。

本作に何を求めるか?

 というわけで、本作にコアなアクションや謎解きを求めると、盛大に肩透かしを食うのではないかと思う(一回ゲームオーバーになると全部やり直しのモータルモードもあるが……)。そういうのを求める人には、同日発売されたNIGOROのダンジョン探索型アクション『La-Mulana 2』がオススメだ。

 逆に、このいい感じの雰囲気の世界に浸りつつカジュアルに楽しみたいぐらいの人には、先に挙げたような部分はあまり問題にならないだろう。