夏のイベントは数多くあれど、記者にとってひときわ印象的なのはChinaJoy。この中国最大規模のエンターテインメントのイベントは、毎年夏に上海で開催されるということもあり、とにかく灼熱の日差しとわかち難く結びついている。会場の熱気も夏の暑さに負けず……ということで、ChinaJoyはまさに“夏の風物詩”的なイベントだ。

 そんなChinaJoyが、今年も8月3日(金)~6日(月)、上海新国際博覧中心で行われる(8月3日はビジネス出展のみ)。昨年の来場者は34万2700人と過去最高を記録したChinaJoyだが、今年はいったいどのような内容になるのか。今年もChinaJoyの担当者にイベントの見どころなどを聞いてみた。

ChinaJoy 2018の開催を間近に控えて、その見どころを担当者に直撃。esportsとブロックチェーンゲームなど新しいエンターテインメントにも注力【ChinaJoy 2018】_01

今年のテーマは“Smart New Era, Embrace New Entertainment”

――今年のChinaJoyの見どころを教えてください。また、今年からの新規の取り組みなどはありますか?

担当者 今年のハイライトは“ソフトウエアとハードウエアの融合”として、“新しいエンターテイメント”にフォーカスしています。ChinaJoyは創設当初はゲームショウとして出発しましたが、近年は幅広いジャンルを包括しています。“IP領域間の協力”、“オンライン アニメーション”、“国際ビジネスの相互協力”、“インターネットのビデオ及びミュージック”、“電子書籍”、“esports”、“インテリジェントエンターテインメントソフトウエアとハードウエア”、“最新ビジネスタイプ”などを統合する、大型包括的エンターテインメントショウケースのプラットフォームへと変貌を遂げました。

 ChinaJoyは、業界関連情報の流れをまとめ、エンターテインメント業界の将来に役立つナビゲーションセンター及び業界トレンド指標を設定しました。それにもとづいて、現在のChinaJoyは、展示、カンファレンス、アクティビティの3つから構成されています。

展示

1) The 16th ChinaJoy BTOC Interactive Entertainment Area
2) The 16th ChinaJoy BTOB Comprehensive Business Showcase
3) The 3rd Global Smart Entertainment Hardware Expo - eSmart (Concurrent Exhibition)
4) The 5th Comic & Animation World Amazing Expo - CAWAE (Concurrent Exhibition)

カンファレンス

1) China Digital Entertainment Congress (CDEC) 
2) Global Game Industry Summit
3) Global E-sports Industry Summit
4) China Game Developers Conference (CGDC)
5) CGDC Blockchain Game Developers Summit

アクティビティ

1) ChinaJoy E-Sports Contest
2) ChinaJoy Live Carnival
3) The 3rd "Robots Carnival (ROBO+)"
4) ChinaJoy Cosplay Cover Coser Contest
5) ChinaJoy Cosplay Carnival National Competition
6) ChinaJoy Awesome Dancer Contest
7) ChinaJoy Achievements Display Area
8) ChinaJoy Welcome Dinner

 なかでも、esportsとブロックチェーンゲーム(※)は今年のChinaJoyのハイライトになりますね。

※ブロックチェーンゲーム……中央に管理者を設けずに、不特定多数でネットワーク情報を保管および管理するシステム

――ChinaJoy 2017は、“Pan-Entertainment”がテーマでしたが、今年はいかがでしょうか?

担当者 今年で16回目となるChinaJoy 2018のテーマは、“Smart New Era, Embrace New Entertainment(スマートな新しい時代に向けての、新しいエンターテインメントの包含)”です。
 世界トップの総合エンターテイメント展示会として、新しいフィーチャーなどを盛り込んだサプライズをお届けする予定でいます。また、”汎エンターテインメント”、”クロスボーダーインテグレーション”、“ユーザーに向けてのプロモーション”といった出展者の需要に応えるべく、ゲームを中心とした、汎エンターテインメント分野をカバーする展示(アニメ、コミック、esports、ライブ・ストリーミング、インターネット・フィルム及びミュージック、電子書籍、VR/AR、スマート・エンターテイメント・ハードウエアなど)を向上させます。あわせて、会場でのさらに充実した参加体験とビジネス協力サービスをお届けします。私たちは、出展者及び国内外からの参加者に向けて、なお一層のすばらしいイベントを提供できると信じています。

――ChinaJoyでは幅広いエンターテインメントコンテンツを対象としていますが、今年とくに力を入れる分野はありますか?

担当者 esportsの分野では、“Global E-sports Industry Summit”や“ChinaJoy E-Sports Contest”など、数多くのテーマイベントを開催します。最新のブロックチェーンテクノロジーを巡る“CGDC Blockchain Game Developers Summit”も、リッチなエンターテイメントコンテンツを形作るための大切なポイントになります。
 今年は国内外から多数の著名ゲーム会社に加えて、多くのアニメ、映画、テレビ企業、ブロードキャスト・プラットフォーム、ショートビデオプラットフォームの関係者もショウに参加しており、若者に人気のデジタル・エンターテイメント商品を展示する予定です。

――今年の出展社の規模はどのような感じになりますか? 今年ならではの傾向はありますか?

担当者 今年は全部で17の展示ホールを使用しますが、全展示面積17万平方メートル以上の空間に国内外約1000社が出展する予定です。展示会場はB to C(一般向け)インタラクティブエンターテインメントエリアとB to B(ビジネス向け)総合ビジネスショウケースにわかれています。
 B to Cエリアは12の展示ホール(全面積13万平方メートル)に1000以上の世界のトップゲーム、総合エンターテインメント、スマートエンターテインメントハードウエア&ソフトウエア商品、そして世界20ヵ国以上の国や地域からおよそ300の総合エンターテインメント企業が集結します。5000台以上のゲーム機、そして総合エンターテインメント・スマートエンターテイメント・ハードウエア及びソフトウエアが勢揃いし、ここから今年最強のインタラクティブエンターテインメント経験の“嵐”がスタートします。展示規模、国際化レベル、世界的影響においては、すでにデジタルエンターテイメント分野におけるさまざまな国際展示会カンファレンスを上回っています。
 今年のChinaJoyで、B to Cショウケースのビジネスサービスが円滑に行われていることは、国内外企業が積極的に参加していることからも明らかです。B to Bショウケースは全部で3つのパビリオンで展開しますが、アメリカ合衆国、カナダ、チェコ、ポーランド、ロシア、日本、韓国、シンガポール、マレーシア、ベトナム、インド、インドネシア、英国、フランス、ドイツ、フィンランド、イタリア、トルコ、台湾、香港など、世界の20以上の国や地域からの出展者が最新の商品やテクノロジーを展示します。展示会場の面積は3万平方メートルに達します。B to Bショーケースの国内外出展者数は600以上となる見込みで、そこには20以上の国や地域から200以上の海外企業が含まれています。B to Bビジネスの交渉取引金額は5億ドルに達する見込みです。
 多くの国内外著名ゲーム会社に加え、より多くのアニメ、映画、テレビ企業、ブロードキャスト・プラットフォーム、ショートビデオ・プラットフォームもショウに参加し、若者に人気のデジタルエンターテインメント商品を展示する予定です。

――VRデバイスおよびVRコンテンツの出展状況は昨年に比べていかがでしょうか?

担当者 過去3年間、新たに導入されたVR機器やコンテンツは大多数のプレイヤーやメディアの注目を集めてきましたが、今年のChinaJoyでは、一般の方々に再び質の高いVRインタラクティブ経験を提供します。プレイステーション VRやHTC VIVE、Pico VR、NINED LLC、Intel、AMD、NVIDIAなどの国内外企業が最新のVR機器及びコンテンツを展示します。VRデバイスが成熟期を迎えて人気が高まる中、VRゲームは今後さらにユーザーを増やしていくと考えられます。ChinaJoyの展示会場では、高品質なVRゲームがまったく新しいクールなゲーム経験をプレイヤーにもたらすことでしょう。これまでは多数のさまざまなクオリティーのVR企業が出展しましたが、その状況は変わり、今年はVR会社の出展社数は減少しています。しかし、商品の品質は大きく向上し、開発トレンドは合理化が進んでいます。

――今年の日本のメーカーの出展状況をお教えください。

担当者 今年の日本企業出展者数は約20社になる予定です。
 日本企業を代表するソニー・インタラクティブエンタテインメントやソニー・ピクチャーズ エンタテインメント、バンダイナムコエンターテインメントなど、影響力を持つ著名な企業がB to Cエリアに出展する予定です。SHARPさんは現在オーガナイザーと話し合いをしているところです。また業界のリーダーとしてソニー・インタラクティブエンタテインメント上海の社長である添田武人氏が今年もChinaJoyを訪問されることになっています。
 B to Bにはエヌジェイホールディングス、ジーアングル、DMM GAMES、MUGENUP、そして日本貿易振興機構 (JETRO)の代表も参加を予定しています。中国市場は世界でも最大規模を誇る市場のひとつに数えられ、毎年拡大を続けています。JETROは初めてChinaJoyに参加する日本企業を集め、中国市場について検討するためのサービスや援助を提供しています。また、ゲーム、映画、音楽、コミック、アニメなどの日本の文化業界の海外進出をサポートするための施策を効果的に導入するために、東京本部、大阪本部、アジアエコノミックリサーチ機構、海外74企業、国内45の取引情報センターを活用しています。B to Bショウケースは、中国の総合エンターテインメント業界の国際発展に貢献できるメリットを活かして、出展者の積極的な海外進出及び進出誘致戦略の実行を奨励しています。

――中国市場で家庭用ゲーム機が解禁されてから3年となりますが、今年のChinaJoyにおける家庭用ゲーム機の出展状況をお教えください。

担当者 ソニー・インタラクティブエンタテインメントは毎年多くのコンソール商品を展示しています。今年も例外ではありません。プレイステーションプラットフォームを支持するプレイヤーさんは、ソニーブースでのイベントをフォローし、またプレイステーション VRについては、プレイヤーが会場で実際に体験して、その場で購入できるようさらにコンテンツを提供していくでしょう。今年はソニー・ピクチャーズ エンタテインメントとソニーエンターテインメントも参加しますが、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントは会場で映画及びテレビIP商品をプレイヤーに紹介します。 マイクロソフトもハードウエア、Windowsクロスプラットフォームゲームコンテンツのフルラインを展示します。今年注目を集めている中国のSuborは、国内向けゲームコンソールとコンテンツを初めて紹介します。また、ゲームパブリッシャーのユービーアイソフト、エレクトロニック・アーツ、バンダイナムコエンターテインメント、ブリザード・エンターテイメントも最新のコンテンツを展示します。

ChinaJoy 2018の開催を間近に控えて、その見どころを担当者に直撃。esportsとブロックチェーンゲームなど新しいエンターテインメントにも注力【ChinaJoy 2018】_02
ChinaJoy 2018の開催を間近に控えて、その見どころを担当者に直撃。esportsとブロックチェーンゲームなど新しいエンターテインメントにも注力【ChinaJoy 2018】_03
ChinaJoy 2017の模様から。

――昨年入場者数が過去最高を記録しましたが、その要因はどのへんにあると分析していますか? また今年の見込みについてはどのように考えていますか?

担当者 ChinaJoyは、純粋なゲームショウからデジタルエンターテインメント、ゲーム、コミック、アニメ、フィルム、テレビ、ライブストリーミング、ショートビデオ、インターネットミュージック、電子書籍、インテリジェントハードウエアを網羅する総合エンターテインメントエキシビションへと変貌しつつあります。そしてこのように立ち位置を変えたことにより、さらに若者の関心を集めています。多様なコンテンツとアクティビティーを提供するChinaJoyは、この夏もっとも魅力的なソーシャルネットワーキングと人々が集まる機会を提供します。毎年ChinaJoyが絶大な人気を誇る理由もおわかりいただけると思います。
 ChinaJoyの入場者数は、初回の3万人から15回目となる昨年の35万人へと飛躍的に増加しました。16回目となる今年は4日間で37万人に達すると見込んでいます。

――ChinaJoyに注目している日本のゲームファンにひと言お願いします。

担当者 ChinaJoyは、中国最大の人気と影響力を誇る総合エンターテインメントイベントとして、入場者のみなさんにもっともエキサイティングなゲームやesportsの熾烈な戦い、多彩なウエブキャスト、VR/ARの傑作、また、“ブラックテクノロジー”を使ったスマートエンターテイメントハードウエア、多岐にわたる洗練されたファッション、アニメーション周辺機器及び派生商品への有料・無料アクセスをお届けします。
 中国におけるACG(アニメ、コミック、ゲーム)カルチャーの力強い発展は、ChinaJoyで体験することができます。2日目に開催される“バラードナイト”というテーマの“ChinaJoy Live Music Carnival”には、多くの日本のアーティストが招待されることになっています。ゲームとアニメをテーマとしたミュージックフェスティバルは日夜を問わず開催されます。
 最後になりますが、ゲーム、コミック、アニメ、コスプレ、映画、テレビ、コンサート、esports、ライブストリーミング、電子リテラシー、VR/AR、ロボティックス、インテリジェントエンターテインメントハードウエアを愛する日本のプレイヤーの皆さん、ぜひChinaJoy 2018にいらしてください。ありがとうございます。

 というわけで、今年も丁寧に質問に答えてもらったのだが、ChinaJoy 2018は例年にも増して見どころの多いイベントになりそう。気軽に参加する……というわけにはいかないかとは思うが、何かの機会があったら足を運んでみてはいかが?

※グループチケットの購入に関しては、以下にお問い合わせを。
Mr. Gao
E-mail:edward_gao@howellexpo.net