『Ori The Will of the Wisps』は、メトロイドヴァニア風2Dアクションゲームの正統な進化のカタチ【E3 2018】

E3会期に合わせて取材させていただいた『Ori The Will of the Wisps』クリエイターのプレゼンの模様を紹介しよう。

 「日本のゲームをプレイして育ち、つねに日本のゲームから刺激を受けています。日本のゲームデザイナーは世界最高だと思っています。日本の方にお会いするのはうれしい」と、握手を交わすや口を開いたのは、『Ori The Will of the Wisps』のディレクションを担当する、Moon Studiosのトーマス・マーラー氏。同席しているマイクロソフトのプロデューサーであるダン・スミス氏もにこやかにうなづく。

 記者がマーラー氏やスミス氏に会うのはE3 2014において、発売前の『Ori and the Blind Forest(オリとくらやみの森)』のプレゼンを受けたときで、どこかなつかしい感じのするテイストが印象的だったものだ。「宮崎駿やスタジオジブリなどの日本のアニメや日本のゲームの影響を受けている」との言葉に、強いシンパシーを感じたことを記憶している。

『Ori and the Blind Forest』開発陣に聞く 日本の影響を受けて開発された、どこか心が癒やされる1作【E3 2014】

E3 2014開催最終日にステキなタイトルとの出会いがあった。『Ori and the Blind Forest』だ。

 それから4年……、2015年にリリースされた『Ori and the Blind Forest(オリとくらやみの森)』は世界的に高い評価を獲得し、続編が望まれるほどのIPになった。すっかり期待されるタイトルとなった『Ori』の最新作だが、その制作スタイルは前作と変わらず。マーラー氏は変わらず宮崎駿を始めとする日本アニメに対するリスペクトを口にするし、4年前に記者が感銘を受けた開発体制もそのまま。

Moon Studiosのトーマス・マーラー氏(左)とマイクロソフトのプロデューサーであるダン・スミス氏(右)。

 ちなみに『Ori and the Blind Forest(オリとくらやみの森)』の開発スタイルは、特定のオフィスを持たずに、世界中に散らばったクリエイターがオンラインでやり取りをしながら各自作業をするというもので、最新作では50人が34ヵ国に散らばって作っているという(!)。「各大陸に誰かがいます。文化的にとても豊かですね。24時間誰かしらが世界のどこかで仕事をしていることになりますね(笑)」(マーラー氏)というから、なんとも今風だ。

 つまり何が言いたいかというと、『Ori The Will of the Wisps』は、前作『Ori and the Blind Forest(オリとくらやみの森)』の志や制作体制をそのまま受け継いだ、“正統進化した”タイトルだということだ。

 というわけで続編である。2017年のE3で発表されて話題を集めた『Ori The Will of the Wisps』だが、その進捗をファンに向けて披露すべく最新映像などを公開した今年のE3では、実機でのプレイを交えながら、いくつかのポイントをピックアップしてくれた。

 まずは“バトルアクション”。前作の反響を受けて、本作では攻撃方法に多様性を持たせることにしたという。たとえば武器の選択肢も増やしたのだとか。「スピードが早い武器を使いたい人も、速度は遅くとも大きなダメージを与える武器が好きな人も、同じように楽しめるようになっています」とマーラー氏。

 また、アニメが好きということもあり、“動き”にはとても注力しているようだ。本作では、ピクサーやブルースカイ・スタジオなどで仕事をした経験のあるアニメーターを多数、起用しているという。ちなみに、各アーティストには物理演算のツールが渡されており、すべての動きが物理的に正しいものとなる。「それによって、すべてが生き生きと感じられます」(マーラー氏)。ちなみに、動きに関連していうと、本作は60フレームとなるとのこと。映像を見ると、本当に滑らか!

 そしてキャラクター。「『Ori and the Blind Forest(オリとくらやみの森)』のキャラクターに親しみを持っていただけたことはとてもうれしいです」と語ったマーラー氏だが、本作にはより多くのキャラクターがお目見えするという。これは、世界に多くのキャラクターが登場する『ゼルダの伝説 夢をみる島』にもインスパイアされているとのことで、クエストをオーダーしてくるキャラクターもいれば、何かの行動を促すキャラクターもいる。プレゼンでは、迷子になってしまった砂漠から脱出するために、オリに道具を探してきてほしいと頼む、トックというキャラクターが紹介された。

 ゲームプレイの多様性も本作の魅力。『Ori The Will of the Wisps』では、ゲームをクリアーしたあとで再度プレイすれば、武器などが異なるので、違った感触のゲームプレイが楽しめるという。「たくさんの選択肢があるので、一度プレイしたあとで、また時間をおいて遊べば、新たな発見があります。「私は『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』が大好きで、いまだに遊ぶのですが、いまでも新たな発見をしています」とマーラー氏は語る。

 プレゼンでは、オリのアビリティーとして“ボロー”が紹介された。これは、砂の中を進めるというアビリティーで、アニメーターからの要望により生まれたものだという。さながら、イルカが水中を泳いでいくような感覚で、砂の中を潜っていくことができる。マーラー氏いわく「砂だけではなくて、雪や泥など、いろいろなものが掘れます。動きができるだけスムーズに感じられるようにしています」とのことで、ゲームプレイの幅が広がりそうだ。

 けっして難度は低くないが、間口は広いものにしたいという『Ori The Will of the Wisps』。「私はメトロイドヴァニアのゲームに影響を受けていますが、それをさらにモダンにして、つぎのレベルに押し上げたいと思っています。“デベロッパーが2Dでずっと開発をしていたら、いまどうなっていただろう?”ということを考えながら本作を作っています」とマーラー氏。日本のゲームやアニメの影響を色濃く受けているという『Ori The Will of the Wisps』は、そのビジュアルといい、心地よい操作性や練り込まれたゲームシステムといい、私たちを惹きつけずにはおかない1作であることは間違いない。