2018年6月12日~14日(現地時間)、アメリカ・ロサンゼルスで開催されている世界最大のゲーム見本市“E3(エレクトロニック・エンターテインメント・エキスポ)2018”にて発表された、カプコンのサバイバルホラー最新作『バイオハザード RE:2』。シリーズでも多くのファンから高評価を受けた『バイオハザード2』のフルリメイク作である本作を試遊する機会があったので、さっそくその模様をリポートしよう。なお、記者は『バイオハザード』シリーズをスピンオフ作品含めてほぼすべてプレイ済みだ。

『バイオハザード RE:2』プロモーション映像

『バイオハザード RE:2』ゾンビの怖さがビンビンに感じられたプレイリポート【E3 2018】_06
『バイオハザード RE:2』ゾンビの怖さがビンビンに感じられたプレイリポート【E3 2018】_07

視点はビハインドビュー、プレイ感覚は『7』

 プレイステーション版の『バイオハザード2』は数えきれないほど周回プレイしたし、舞台となっているラクーンシティは『2』や『3』はもちろん、『アンブレラ・クロニクルズ』、『オペレーション・ラクーンシティ』、そして『アンブレラコア』でも走り回った。「いまやラクーンシティは俺の庭だ。ゾンビなんて怖くないぜ!」と、気合十分で『RE:2』の試遊に臨んだ。その結果は……?

 E3 2018の出展バージョンは、ラクーン市警察署のホールからスタート。プレイヤーキャラクターはレオン・S・ケネディ。シリーズ未経験の方に説明しておくと、レオンはナンバリング作品だけでも『2』、『4』、『6』の主人公という、まさに対バイオテロのエキスパートであり、シリーズファンに大人気のキャラクター。スピンオフ作品の『オペレーション・ラクーンシティ』では敵として登場したこともあった(しかも超強かった)。しかし『2』のフルリメイク作である『RE:2』では、勤務初日のド新人警官。まずは、若き日の彼が『バイオ7』と同じ開発エンジン“RE ENGINE”でどのように描かれるのかに注目してみた。実写さながらに描写されたレオンの表情からは、いきなり非日常の世界に放り込まれたことによる不安が見て取れる。

『バイオハザード RE:2』ゾンビの怖さがビンビンに感じられたプレイリポート【E3 2018】_01
『バイオハザード RE:2』ゾンビの怖さがビンビンに感じられたプレイリポート【E3 2018】_02

 視点はビハインドビュー。いわゆる肩越しの三人称視点だが、どちらかというと、同じ三人称視点の『バイオハザード4』よりも、アイソレートビュー(一人称視点)のバイオハザード7 レジデント イービル』をプレイしている感覚に近いと感じた。はっきりとは説明しにくいが、移動するときの歩幅や、銃を構えたときの動作が『7』寄りになっているためかもしれない。“画面内のレオンを操作している”のではなく、“レオンになりきっている”感じがする。
 操作確認も兼ねてホールを歩き回る。ホール入口近くの扉には鍵がかかっているようだ。ホールの中央には怪我をした先輩の警官がいるが、その近くにあるPCモニターが気になった。ちなみに本作の時代設定は1998年9月。ブラウン管ディスプレイに懐かしさを感じつつ観察すると、画面内には警備カメラのモニターがあり、もうひとりの主人公であるクレア・レッドフィールドらしき人物の姿が。レオンの台詞を聞くと、彼女とはすでに面識がある様子。製品版では、警察署へたどり着くまでのプロローグがあるのだろう。その後、マービン・ブラナーという名の先輩警官と会話し、署内を探索することに。『2』をプレイしたことがある方はご存じだと思うが、この先輩警官は『2』のときも登場していたので、思わず「お久しぶりですマービン先輩!」と口に出してしまった。マービンの怪我が痛々しいので、なんとか助けてあげたい気持ちになるが、「ほかの生存者を助けてこい」と、正義感溢れるセリフとともにレオンを送り出す。クーッ、マービン先輩かっこいいなあ。まさに理想の上司(いまにも死にそうな怪我してるけど)。ともあれ、マービンのところで手に入れたカードキーで先ほどの施錠されていた扉を開け、署内の探索へ向かってみた。すると、さっそく誰かの悲鳴が!

 悲鳴のもとへ向かうと、シャッターを叩く音が。うーん、イヤな予感しかしない。だが放っておくわけにもいかないので、シャッターを上げてみることに。数十センチほどの隙間ができたところで、助ける求める警官が顔を覗かせた。「よかった……生きた人間だ」と、安堵したのも束の間、シャッターの奥へ再び警官が引きずり込まれ始めた。室内にこだまする警官の悲鳴。レオンが必死に助けようとするも、シャッターの奥で何が起きたのか、警官は見るも無残な姿となり果ててしまう。一連のデモを見ていた記者は、思わず「ひえぇ……」と声を漏らしてしまった。

 そこから先は、いよいよゾンビが徘徊する署内を移動することになる。今回の試遊で遭遇したゾンビの動きは決して俊敏なものではないものの、狭い通路をじわじわと迫ってくるプレッシャーや、数発撃っても倒れない怖さは、“いかにもゾンビらしい”と言える。どちらかというと“ゾンビは歩いてほしい派”な記者にとって、このゾンビは“とてもいいゾンビ”だ(怖いけど)。署内で遭遇したおデブなゾンビが自動販売機にバンバンぶつかっていたりするなど、生前の人間がどんな者だったのかを想像させてくれるあたりも、ゾンビらしくていい。ちなみに、手持ちのハンドガンで3発ほどヘッドショットを決めるとゾンビは倒れてくれるのだが、完全に死んだと思っていたゾンビが再度起き上がってくることもあって驚かされたことも。また、部屋の区切りがシームレスになっているため、“扉を開けたら安全”という、クラシックな『バイオ』作品のときは通用した法則が成り立たない。そのため、誰もいない部屋にいるときも、いつゾンビが扉から入ってくるかに恐怖しながら探索することになる。そしてこちらも『バイオ』シリーズならではの要素だが、ハンドガンの弾の数は限られているので、ゾンビと遭遇するたびに撃ちまくっていたら弾切れとなってしまう。迂回できるところは迂回して、いかに弾を節約するかを考えるのも、本作の醍醐味と言える。ゾンビとの戦闘を避けると言えば、木の板を拾って窓に打ちつけるというギミックもあった。窓の外にゾンビが見えている場所では、いつしかゾンビが窓をブチ破って飛び込んでくるのがお約束だが、そうなることを事前に防ぐことも可能なようだ。壊れそうな窓はいくつもあるので、どの場所で木の板を使うかを考えるのも楽しそうだ。
 ちなみに、ゾンビに組みつかれたとき、所持しているナイフで抵抗することもできたが、リメイク版の『バイオハザード』と同じくナイフを失ってしまうこともあるようだ。

『バイオハザード RE:2』ゾンビの怖さがビンビンに感じられたプレイリポート【E3 2018】_03
『バイオハザード RE:2』ゾンビの怖さがビンビンに感じられたプレイリポート【E3 2018】_04

怖いだけじゃない! 謎解きやアイテムクリエイションも楽しい

 本作では、『2』と同じくゾンビとの戦いだけでなく、謎解き要素も楽しめる。当然かもしれないが、『2』では見られなかった謎解きも満載で、『7』を彷彿させるようなギミック'も見られた。ほかには、ダイヤルロック式の錠前で引き出しが閉まっており、周囲のヒントを集めて開錠する仕掛けも多いようだ。そして記者は、それらの謎解きがただ雑然と配置されているのではないところに感銘を受けた。たとえば、新人のレオンが本来使うべきだったオフィス机に先輩からの置き手紙があり、「新人のお前に最初の任務を与える。まずは同僚の名前を覚えろ」という旨が書かれている。周囲のデスクを調べて全員の名前がわかると、レオンの机の引き出しに施錠された錠前を解除できるという仕組みだ。謎を解きながらも、警官としての新生活を迎えるはずのレオンに感情移入させられる見せかたはとても見事だと思う。ほかにも、さまざまなギミックに頭を悩ませつつ進行したが、あまり詳しく書くとネタバレになってしまうので割愛しよう。ちなみに謎解きはすべて解かなければいけないわけではなく、弾薬やグリーンハーブ(回復アイテム)が手に入るだけのものも多かった。どうしても解けない謎解きがあっても、メインのストーリーに関わるものでなければスルーするのも選択肢のひとつだろう。
 ハーブと言えば、複数のハーブを組み合わせて効果を高めるという、シリーズ伝統の要素も健在。ほかにも、ガンパウダーというアイテムを拾って、弾薬を生成することもできた。ガンパウダーを組み合わせる要素は『3』や『7』などでもあったが、『2』にはなかった要素だ。
 と、さまざまなアイテムを駆使できる『RE:2』だが、アイテムを所持できる数はたったの8個。持ちきれないアイテムは拾わずにスルーするか、特定の場所にあるアイテムボックスへ保管することになる。ちなみにアイテム枠をふたつ以上使うアイテムは、今回のプレイでは確認できなかった(ショットガンも1枠)。

 セーブデータの保存は、『2』と同じくレトロなタイプライターを使用した。試遊ではインクリボンは登場せず、何度でもセーブ可能。セーブが行える(=タイプライターの置かれた)部屋にたどり着いても、「シリーズのお約束を破って、暗がりからゾンビが襲ってくるのでは?」と不安なままだったが、電気のスイッチを押して部屋を明るくすると、おだやかなBGMが流れ始めた。このBGMが聴こえてきたときの安堵感といったらもう……!

 その後、ある程度探索が進んだところでマービンのいるホールへと戻り、彼の無事を確認したところで試遊は終了した。フォトリアルに描かれたゾンビはめちゃくちゃ怖いし、残弾数が減ってきたときの心細さも半端ないけど、もっとプレイしたかった! 『RE:2』はただのリメイク作ではない。完全新規タイトルだと思っても決して間違っていないだろう。プレイステーション時代の『2』を未経験な方にはもちろん、「ゾンビ? いまさら怖くないよ」という豪胆な方にも是非プレイしてほしい1本になりそうだ。

『バイオハザード RE:2』ゾンビの怖さがビンビンに感じられたプレイリポート【E3 2018】_05

2018年6月13日16:00 一部表記を修整しました。