先日、ついに発表となった3D対戦格闘ゲーム『デッド オア アライブ 6』。本作は、3D対戦格闘ゲームの人気シリーズ『デッド オア アライブ』シリーズ(以下、『DOA』)の最新作。発売日は2019年初頭、対応ハードは、プレイステーション4、Xbox One、PCとなっている。本記事では、『DOA6』のバトルシステムについて、プロデューサー&ディレクターを務める新堀洋平氏にうかがった。なお、細かい仕様などについては、現状のバージョンのものであり、今後変更になる可能性があるとのこと。また、『DOA6』の概要や、バトルステージ関連の情報については、もうひとつの記事をチェックしてほしい。

新堀洋平氏(しんぼり ようへい)

『デッド オア アライブ 5』ではディレクターを務めた。本作ではプロデューサーとディレクターを兼任する。(文中は新堀)

ファンだからマニアックなところまで聞いた!

■操作方法
 『DOA6』は、いままで通りのパンチ(P)、キック(K)、ホールド(H)の3つのボタンに加えて、新たにスペシャル(S)というボタンが追加されている。このSボタンを使用することで、新システム“フェイタルラッシュ”、“ブレイクブロー”、“ブレイクホールド”がくり出せる。なお、Sボタンは、現在のバージョンでは、P+K+Hの同時押しでも機能するので、これまでの通りの3ボタン操作でも遊べるそうだが、新堀氏曰く「Sボタンは連打したり、咄嗟に使う場面が多いので、P+K+Hの同時押しではなく、ほかのボタンにキー設定を割り振ったほうが遊びやすいと思います」とのこと。

■バトルの基本
 基本的に打撃(パンチやキックなど)は、投げ技に勝ち、投げ技は相手の攻撃をさばくホールドに勝ち、ホールドは打撃に勝つようになっている。この3すくみで読み合うのが『DOA』シリーズの基本戦術で、読み勝つと“ハイカウンター”となり、相手に与えるダメージが格段にアップする。『DOA5』では、ハイカウンター時のクロースヒット(一部の打撃技の密着ヒット)のダメージが1.6倍だったが、『DOA6』のいまのバージョンは2倍の設定だそうだ。爽快感抜群の設定で新堀氏は気に入っているようだが、これは対戦バランスに大きな影響があるため、いまも調整中だという。

 さて、『DOA』を象徴するのが“クリティカルスタン”システム。クリティカル属性のある技をヒットさせると、相手はよろけて身動きが取れなくなる。このクリティカルを継続させながら攻撃することで、大ダメージのコンボが狙えるようになるのだ。ただし、クリティカル状態は、ホールドだけは使用可能なので、ホールドに成功すれば、回避しながら反撃することも可能。クリティカル技を続けて当てるか? それとも、相手がホールドを出すのを読んで投げを狙うか? といった読み合いが醍醐味なのだ。

 ちなみに、『DOA5』にあった、サイドステップ、パワーブロー、パワーランチャー、クリティカルバーストなどのシステムは、本作には導入されていない。

■新システム・サイドアタック(コマンド:↑or↓+S)
 サイドステップが廃止された代わりに、“サイドアタック”という新システムを導入。レバー(方向キー)を↑か↓に入れながらSボタンで、横に回避行動を取りつつ、そのまま打撃をする攻撃を放つ。直線的な打撃ならば、避けながら攻撃ができるのだ。回避するという意味では『DOA5』のサイドステップに似た感覚で使うことができるものの、必ず打撃をくり出すので、ややリスクが高い。また、“サイドアタック”はクロースヒット対応技なので、近距離で“サイドアタック”に成功すると、カウンターヒット&クロースヒットで大ダメージが狙える。さらに、相手を大きく吹き飛ばせるため、”マスデストラクション“などがあるステージで当てれば、一発逆転も狙えるそうだ。

■新システム・ブレイクゲージ

 “ブレイクゲージ”は、体力バーの下に表示されるゲージで、攻撃によりダメージを与えたとき、もしくは逆に受けたときに溜まっていく(とくにホールドに成功すると、ガッツリ溜まる)。ゲージが満タンになると、ゲージをすべて消費して、“ブレイクブロー”と“ブレイクホールド”がくり出せる。

■新システム・フェイタルラッシュ(コマンド:S→S→S→S)

 Sボタンを4回押すとくり出せる連続攻撃。どのキャラクターでも発動し、1発目がヒットすると新たなやられ属性“フェイタルスタン”を誘発。フェイタルスタン状態は、通常のホールドが行えない無防備な状態なので、基本的には全段ヒットする。ブレイクゲージが満タンの場合は、最後の1撃が“ブレイクブロー”に変わる(ただし、ブレイクゲージはなくなる)。お手軽に出せるコンボ攻撃なので、初心者が使いやすい技だ。上級者にとっても、全段確定ヒットはメリットとなる。ただし、フェイタルラッシュは、技の出がやや遅めの上段攻撃であり、初段をガードされると大きな隙ができる。さらに、技がヒットしない限り、つぎの技に派生することはできないという弱点もある。

ふつう発表時にこんな細かいトコまで聞くか!? 『DOA6』のバトルシステムをプロデューサーの解説を交えて掲載!_01

■新システム・ブレイクブロー(コマンド:→+S)

 満タンのブレイクゲージをすべて消費して発動する、いわゆる超必殺技。ヒットすると、特殊な演出が入り、相手に大ダメージを叩き込む。威力が非常に高いうえ、攻撃の出始めに、上段攻撃、中段攻撃をさばく性能があり、さらに投げ技にも勝てるため、いわゆる“無敵技”のように使えるのが特徴。また、空中コンボからつなげた場合でも、しっかりと全段ヒットするためコンボにも組み込みやすい。技の後には大きく相手を吹き飛ばすが、『DOA5』“パワーブロー”のように方向選択などはなし。ちなみに現在のバージョンでは、“ブレイクブロー”を決めると、体に傷が付いたり、衣装が破れたりする演出もある。

ふつう発表時にこんな細かいトコまで聞くか!? 『DOA6』のバトルシステムをプロデューサーの解説を交えて掲載!_03

■新システム・ブレイクホールド(コマンド:→+S)

 上段、中段、下段、すべての打撃を受け止められるホールド。成功すると、微量のダメージを与えながら、相手の背後に回り、少し先に動けるようになる。攻撃を受け止められる持続時間はふつうのホールドと同じ。リスクはあるが、非常に便利な返し技であり、フェイタルラッシュによる“フェイタルスタン”中であっても、ブレイクホールドだけはくり出せる。ただ、それを見越して、「“フェイタルラッシュ”を2段目で止めて、相手に“ブレイクホールド”を出させて、その隙をさらに攻撃する、といった立ち回りもできます。“フェイタルラッシュ”中は出す側も受ける側も、油断せずに画面をしっかりと見る必要がありますね」(新堀氏)とのこと。

ふつう発表時にこんな細かいトコまで聞くか!? 『DOA6』のバトルシステムをプロデューサーの解説を交えて掲載!_04
ふつう発表時にこんな細かいトコまで聞くか!? 『DOA6』のバトルシステムをプロデューサーの解説を交えて掲載!_02

新システムについてQ&A

Q.“ブレイクゲージ”を導入した理由は?

新堀 まず初心者や格闘ゲームが苦手な人にとって何が必要だろう、というところから考えました。私は対戦格闘ゲームには自信がありますが、FPSを遊ぶと、狙うのがヘタすぎてまったく弾が当たらないんです(笑)。だから、対戦モードは絶対やりたくないと思っていたんですが、『オーバーウォッチ』を遊んでみておもしろかったので、改めて対戦モードにチャレンジしてみたんですね。もちろんすごくヘタなので、相手をぜんぜん倒せない。けれど、遊んでいくうちに、初心者でも楽しめる仕組みがたくさんあることに、ヘタだからこそ気が付いたんです。たとえば、『オーバーウォッチ』には“アルティメット”という、ゲージを溜めて出す超必殺技があって。かっこいいので、どうにかして当ててやろうと思い、当てるにはどうしたらいいんだろう? と考えて遊んでいたら、少しずつFPSがうまくなっていったんです。そのとき、ふと“対戦格闘ゲームが苦手な人も、同じ気持ちなのかな?”と思いまして。だから、『DOA』の初心者が上達するきっかけのひとつとして、ゲージを導入したんです。

Q.“ブレイクゲージ”を導入して、スタッフたちの反応はどうだった?

新堀 『DOA6』のスタッフに、凄腕プレイヤーがいまして、現在は彼を中心にしてゲームデザインをしているので、最初に彼に意見を求めました。彼は『DOA』シリーズをとても愛しているので、反対されてもおかしくないなと思っていたのですが、案外すんなり受け入れてくれました。実際にゲージを導入してみたところ、『DOA5』の必殺技である“パワーブロー”は、体力を半分以下にしないと使えない、というところで見た目的にわかりにくい面もありましたが、ブレイクゲージはゲージが満タンになれば出せるので、初心者のスタッフたちも声を上げながら遊んでいました。そのわかりやすさや興奮のしかたに手応えを感じたので、ゲージシステムとして導入することを改めて決定しました。ゲージを溜めて、とりあえずすごい技を当ててみたい。この考えが、やはり対戦格闘ゲームには大事なのかなと。

Q.ハイカウンターのダメージ倍率を上げた理由は?

新堀 E3に出展したバージョンですと、ふつうのハイカウンターヒット時のダメージは1.6倍になっていますが、この数値は調整中です。ただ、読み勝ってハイカウンターを取ったからには、なるべく多くのダメージを取れるようにしたいですね。というのも、『DOA』は駆け引き重視のゲームですから、読み勝ったときの気持ちよさを重視したいんです。今回は、プレイヤーどうし、密着状態の至近距離でつねに戦ってもらいたくて、さまざまな要素をパワーアップさせました。たとえば、一部の技に密着で出すとダメージなどが上がる“クロースヒット”技というものがありますが、その威力もなんとハイカウンターヒット時には2倍まで上げています。黎明期の格闘ゲームのようなダメージですが、これがなかなかに気持ちよくて、長いコンボとは違った爽快感が味わえます。もちろん遠距離~中距離の立ち回りが重要ではありますし、中距離戦が得意なキャラクターなどの適正間合いは、そのまま健在です。そもそもリーチが長いこと自体が強さの一部ですから。ただ、近距離で読み勝った際のリターンが大きいので、最後には密着して読み合いをしてほしいというメッセージを込めています。

Q.『DOA5』のような、“クリティカルバースト”を絡めた難しいコンボなどはある?

新堀 “クリティカルバースト“はクリティカルシステムのひとつの完成形だったと個人的には思っていますが、『DOA6』ではゲーム全体のコンボを、もう少しシンプルにしようと思っています。初心者でも、たとえば相手を浮かせてフェイタルラッシュを叩き込む、というのだけができれば、それで戦えるようにしようと。もちろんやり込めば、上級者向けのいろいろなコンボがつながるようにはなります。

Q.『DOA5』の“崖っぷちデンジャー”はある?

新堀 いまのところ予定していません。落下系の技にはロマンがあって個人的には好きなのですが、初心者たちが崖につかまることもできずに落ちていく様を見たり、攻撃方法と防御方法を選べないのを見たりして、わかりにくかったかなと反省しています。吹き飛ばしたあとに崖から落ちるといった、ステージ演出などは入れる予定ですが、それ以上は今後検討しよう、とスタッフとは話をしています。

ふつう発表時にこんな細かいトコまで聞くか!? 『DOA6』のバトルシステムをプロデューサーの解説を交えて掲載!_05