ブラウニーズ亀岡慎一氏が語る、なぜRPGを開発するのか? そして、コンシューマーへの意欲【BitSummit Volume 6】

会期2日目のメインステージでは、“亀岡作品ヒストリー JRPG の影響”が行われた。ここでは、その模様をお届けしよう。

 2018年5月12日、13日に京都勧業館 みやこめっせにて開催されたインディーゲームの一大祭典BitSummit Volume 6。会期2日目のメインステージでは、“亀岡作品ヒストリー JRPG の影響”が行われた。本セッションは、『聖剣伝説2』や『MOTHER3』など、28年のゲーム開発歴を誇る亀岡慎一氏の功績を振り返りつつ、RPGについて考察するというもの。ゲストとしては、亀岡氏のほかに、JRPGの影響を色濃く受けたというインディーゲームクリエイター、アンドリュー・ブローフィー氏が参加。週刊ファミ通林克彦編集長司会のもと、トークがくり広げられた。

 その独特のタッチで、ゲームユーザーのあいだでファンも多い“亀岡テイスト”だが、自身のスタイルに関して、「自分のテイストというよりは、『聖剣伝説3』の津田幸治(グラフィックデザイナー)に合わせた部分がある」とちょっぴり意外な前置きをした上で、「RPGを作ろうという意識はなくて、世界観を作ろうという思いが先にあった」と説明。とにかくユーザーさんが、“この世界に入り込めるよう”を何よりの前提としていると教えてくれた。

 一方、アンドリュー・ブロフィー氏は自身の最新作である『Knuckle Sandwich』は、キャラクターから入ったとのこと。「世界を模索してもらうために、最終的にRPGスタイルになった」という。ちなみに、JPRGで影響を受けたのは、『ポケットモンスター』シリーズと『マリオRPG』とのこと。さらに、『MOTHER3』はとくに大好きだそうだ。亀岡氏も『MOTHER3』の開発には参加しているが、「『MOTHER3』は糸井重里さんがすべてのテイストを決めていました。私はサポート役でしたが、とくに海外の方の反響の強さを感じます」とのことだ。

 ここで質問は、「なぜゲームを作るのか?」という、根源的な問いに。これに対して亀岡氏は、何か事件が起きたときに犯人の部屋にゲームがあるとゲームが事件に影響を及ぼしたと言われる現状を嘆きつつ、自身のタイトルをプレイしたユーザーが「(亀岡作品に)影響を受けて、いまの自分は元気でやっていると言われる」と説明。「いい影響を与えられるものを提供していきたい」と続けた。そのための世界観ということでもあるのだろう。

 それに対してアンドリュー氏は、「なぜゲームを作るのかは、答えにくいが、自分が作るゲームでは自分をさらけ出したいと思っています。自分を表現したい」と、自己表現であることを強調。『Knuckle Sandwich』は未完成ながらも、「影響を受けた」というプレイヤーがいて、「それもうれしい」という。

 お話はここで、「人生最後の作品になるかもしれない」という気持ちで立ち上げた亀岡氏の最新作『エグリア~赤いぼうしの伝説~』の話題に。そもそも「誰にも何も言わせない」という気持ちで5年前に立ち上げたというブラウニーズだが、会社が軌道にのって、余裕が出てきたところで動き出したのが『エグリア』だという。有志の社員が土日に集まって作ったインディーテイストのタイトルで、途中で旧スクウェア時代の旧友、岡宮道生氏からの誘いを受けて、「好きにやってもいいなら」という条件で、パブリッシングをDMM.com POWERCHORD STUDIOにゆだねることになったのだという。

 『エグリア』の開発はメインスタッフ新人で固められているが、ブラウニーズへの入社希望は『聖剣伝説』や『マジカルバケーション』、『MOTHER3』の影響を受けた人が多く、知識もものすごく豊富。であるならば……ということで、彼らをメインに据えることにしたのだとか。コアメンバーは5人で、DMM.com POWERCHORD STUDIOがパブリッシングを担当することになって、規模を大きくしたとのことだ。ちなみに、『エグリア~赤いぼうしの冒険~』では近々大きなニュースが控えているというので、ファンの方は要注意!

 ちなみに、『Knuckle Sandwich』はアンドリュー氏が音楽以外はひとりで担当している。音楽制作チームは5人いるとのこと。「大きいプロジェクトに興味はないのか?」との質問には、「今後は人と作りたい」とアンドリュー氏。「ひとりでゲームを開発するのは楽しいが、自分が苦手な部分とかを人に託すことができないので……」という、ひとり開発の苦労をうかがわせるコメントも聞かれた。

 最後に今後の展望を聞かれた亀岡氏から、驚くべきコメントが。前述の通り、作りたいものを作るとの思いから設立したブラウニーズ。前社のブラウニーブラウンは100%任天堂の小会社だったために、ほかプラットフォームでの展開は不可だったが、ブラウニーズでは自由にプラットフォームを選べるということで、まずはスマートフォンで展開。それがやはりスタッフのあいだから、「コンシューマーでやりたい」という声が湧き上がってきたのだという。「コンシューマーに戻ってやっていこうかな」と亀岡氏。「夏くらいに何か発表できるのではないか?」ということなので、まあ、期待しないわけにはいかないです!