極寒の雪山でクラフトしつつ生き残れ!

 2018年3月、Scavengers Studioが開発するインディーゲーム『Darwin Project』がSteamおよびXbox Oneにてリリースされた。本作は制作途中の早期アクセスゲーム(アーリーアクセスやプレビュー版と呼ぶことも)で、さらに日本語には未対応な英語版であるが、Steamでの評価が高い。どのようなゲームに仕上がっているのか、プレイインプレッションをお届けする。なお今回はXbox One版を使用して記事を作成している。

 『Darwin Project』をざっくり解説すると、昨今のブームとなっている『PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS』や『フォートナイト』に代表されるマルチプレイ専用のバトルロイヤルゲームだ。カナディアンロッキー山脈を舞台とし、参加者であるプレイヤー10名が生き残りをかけて戦いあう。個人的にまず惹かれたポイントは、戦いだけに終始せずクラフト要素が盛り込まれていることだ。

ゲームシステムは三人称視点のアクション。弓と斧による攻撃が可能だ。
クラフト要素も存在。革は動物……ではなく、ソファーからはぎ取る。

 フィールドにある樹木からは木材を入手でき、ソファーからは革をゲットできる。これらの素材を組み合わせて、矢やブーツといった装備品、トラップなどを製作可能だ。当然、これらの装備があるとないのでは戦闘力に差が現れるため、ほかのプレイヤーと遭遇する前に急いでクラフトしておきたい。

 また、エレクトロニックという特殊な素材をゲットできれば、アビリティをひとつアンロックできる。テレポートやエネルギーシールドなど近未来感あふれる能力で、ここぞというときにあると便利。ただし、木材や革に比べて用意されている数は圧倒的に少ないため、発見したらぜひともゲットしておきたいところ。

入手した素材で9種類のアイテムを作成できる。ホイールメニューの下3つはアイテムではなくアビリティ。
この機械のような場所に時々エレクトロニックというアイテムが投下される。入手するとアビリティを解禁できる。

 もうひとつの特徴的な要素が、体温管理だ。舞台となるカナディアンロッキー山脈は雪に覆われており、体温が徐々に奪われていく。凍死する前にたき火をクラフトして、暖を取る必要があるわけだ。

 またほかのバトルロイヤルゲームと同様に、プレイエリアがどんどん狭くなっていく要素もある。ゲーム開始時は全エリアで行動可能だが、徐々に行けないエリアが増えていくワケだ。活動範囲が狭くなればほかのプレイヤーと遭遇する確率が高くなるし、待ちプレイの抑止力ともなる。

体温が低下すると体力が徐々に減少する。木材でたき火をクラフトして暖まろう。
フィールドは7つのエリアに分かれており、時間が経過すると1エリアずつ閉鎖されていく。閉鎖されたエリアに入ると、一気に体温が低下してしまう。

 以上のように、基本的なルールはとてもシンプルにまとまっており、すぐに理解して楽しめるだろう。筆者が何度かプレイして気に入ったのは、そのスピード感だ。参加人数が10人と少なく、フィールドもそんなに広くないため、1試合15~20分ぐらいで決着が付く。気軽にプレイできる設計になっているのだ。

 また索敵要素が豊富なのもうれしい。ほかのプレイヤーが切り倒した木やたき火の後を調べると、そのプレイヤーの居場所を数秒間知ることができるため、攻める手がかりとなる。先ほどクラフトの話をしたが、素材の入手をあえて控えて、発見される可能性を下げる、という戦略も行える。

他プレイヤーが残した痕跡を調べると、相手の居場所が判明する。

 カスタマイズ要素にも触れておきたい。衣装カラーや武器の見た目など、主人公の外観を変更できる。パーツはさほど多くはないが、自分好みの外見にして個性を出せるのは嬉しい。

 またアイテムは各カテゴリに数種類ずつ存在しており、試合でどれを作成するかを、あらかじめカスタマイズできる。たとえば矢だけ見ても、通常の矢のほかに、当たると燃えるFIRE ARROW、相手に当てると10秒間自分のスタミナが無限になるBERSERK ARROWなど4種類が存在しており、このうちひとつだけをセットできる。実際の試合では、選んだ矢のみが作成可能、という仕組みだ。

 防具やトラップにも多数種類があるため、自分のプレイスタイルに応じたアイテムを選べば、バトルにおける戦略の幅が大きく広がること間違いないだろう。

主人公の見た目をカスタマイズ可能。性別も変更できる。
クラフト画面であるクラフティングホイールをカスタマイズできる。使用するアビリティも変更可能だ。

試合を盛り上げるショーディレクターが熱い!

 最大の特徴は、ショーディレクターという役割が存在することだ。本作は10名でバトルロイヤルを行うが、それとは別にゲームを見守るショーディレクター役として1名が参加する。

 ショーディレクターの役割はズバリ、試合を盛り上げること。時間とともにポイントを得られるので、それを使用してさまざまなPOWER DECK(イベント)を発生させ、ハラハラするように演出していくわけだ。

ショーディレクターはドローンからの視点で試合を見守る。参加者全員の位置も表示される。
時間とともにポイントが増加し、それを使用してイベントを発生させる。消費ポイントはイベントごとに異なる。

 発生させられるイベントは、“指定したエリアを閉鎖する”、“重力嵐を発生させる”、“エレクトロニックを投下する”などさまざま。エリアに対して行うものだけでなく、“指定プレイヤーの体力を回復する”、“温度を上げる”など、個人に対して行えるイベントも多数ある。イベントは基本的に1度しか行えないが、“エリアを閉じる”、“エレクトロニックを投下する”の2種類のみ、2度使用できる。

 ちなみにゲームの参加者はゲーム終了時にショーディレクターを評価できるため、参加者が納得できないイベントばかり起こしていると、評価が下がってしまう。評価が平均以下のショーディレクターは、個人に対して行うイベントが使用不可能になってしまうので、なるべく多くの参加者を楽しませるよう心がけたいところだ。

ジャンプ力が数倍になるGRAVITY STORM(重力嵐)。こうしたイベントを発生させて試合を盛り上げる。
個人に対して効果を発生させるイベントもある。

 とはいえ、これがなかなかに難しい。10人の居場所を把握するだけでも大変なのに、盛り上げるためのセオリーもよくわからないので、じっとしているプレイヤーのエリアを閉鎖してみたり、体力が減った人を回復したりと、なんか場当たり的な対処に終始してしまう。試合の参加者とはまったく異なる考えかたが必要となるので、上手に試合を転がすには慣れが必要となるだろう。

 難度は高いが、ショーディレクターだけが味わえる、試合を少しコントロールするという魅力は間違いなく存在するため、多くの人に体験してもらいたいゲームシステムだと感じた。

 早期アクセスゲームではあるが、現時点での完成度はかなり高く、対戦が好きな人ならば楽しめる作品。プレイヤーの攻撃力はあまり高くないため、即死する状況はなかなか発生せず、意外と生き延びられるのは嬉しい。ゲームモードやマップは少ないためボリューム感はあまりないが、Steam版の1520円というお手ごろ価格を考えれば十分に満足できる内容だろう。なお、英語版ではあるが長文は登場せず、各アイテムやイベントの内容さえ把握できれば問題なく楽しめると思う。