2018年2月22日、東京・ホテルニューオータニ 鳳凰の間にて、“東京ゲームショウ2018開催発表会”が実施された。
日本ゲーム産業にとっての一大イベントである東京ゲームショウも今回で28回目。既報のとおり、今年も千葉県・幕張メッセにて、2018年9月20日(木)~23日(日)の4日間開催され(20日、21日はビジネスデイ)、テーマは“新たなステージ、開幕。”と決定したことが明らかにされたわけだが、ここでは開催発表会の模様を少し詳しく追いかけていくことにしよう。なお、同開催発表会は、取材陣に加えて、東京ゲームショウ2018への出展を検討しているゲームメーカー各社を対象としたものになっており、東京ゲームショウに出展した際の意義などを強調する内容も含まれている。
発表会では、まずは主催団体である一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA) 会長 岡村秀樹氏が登壇した。岡村氏は、ここ数年来来場者が25万人を超えており、海外出展者やプレスも増えていることから、“東京ゲームショウの発信力が強くなっている”と世界にむけて影響力が高まっていることに言及。「世界のゲームの中心である“ハブ”となるように、さらに訴求していきたい」と意気込みを語った。
東京ゲームショウ2018開催にあたっては、“eスポーツ”、“ネット動画配信の拡大”、“グローバル化”、“VRやARなどに新技術へのフォーカス”という4つのポイントに注力するとのことだが、とくに岡村氏が強調したのが、eスポーツ。「今年は日本eスポーツ連合(JeSU)と緊密に連携することで、eスポーツの特設プログラムを強化していきたい」(岡村氏)とした。詳細発表は後日なされることになるようだが、プロライセンス発行の公認大会なども検討しているようだ。岡村氏としては、「東京ゲームショウの意義が一層強化され、新たな発信のリソースを提供する場になることを期待している」とのことで、eスポーツにかける思いも大きいようだ。
続いて登壇したのは、東京ゲームショウ2018を共催する日経BP社 代表取締役社長 新実傑氏。新実氏は、新実氏は、東京ゲームショウ2018での注力すべき4つのテーマに関して、「いくつかの戦略のお手伝をしていきたい」とコメント。そのひとつがグローバル戦略で、東京ゲームショウはここ3年ほど海外出展社が国内出展社を上回っており、台湾や韓国、中国といった東アジア圏はもとより、インドネシア、シンガポール、タイ、ベトナムなどの東南アジア、さらには中東からの出展も増えていると説明し、日経BP社の50を超えるメディアグループを活かして、「メディア戦略に寄与できるのではないか」(新実氏)と続けた。
また、新実氏は「東京ゲームショウ2017の開催前と後とでは、メディアのeスポーツの取り上げかたが変化しました。新聞やテレビでeスポーツを取り上げることが増えました」と、昨年の成果に触れ、「ムーブメントを作るための環境整備をしていきたい」と語った。
新実氏のあいさつのあとは、日経BP社 東京ゲームショウ事務局 船本泰弘氏により“東京ゲームショウ2017開催結果報告”が行われた。本稿ではさらっと流してしまうが、東京ゲームショウ2017の出展社は609社となり2年連続で600社を突破。そのうち海外からの出展は317社で、過半数を超えたことや、ビジネスデイには47ヵ国から2486人の来場者があり、グローバル化が一層進んでいることをうかがわせる興味深い集計結果が紹介された。「出展によって得られるビジネスチャンスが増えています」と船本氏は来場したゲームメーカー各社の担当さんにアピールした。
おつぎは、日経BP社 東京ゲームショウ事務局 事務局長 秦和俊氏による“東京ゲームショウ2018開催概要・募集要項”の発表へ。冒頭で触れた通り、東京ゲームショウ2018が9月20日(木)~23日(日)の4日間にわたって、千葉県・幕張メッセで行われることが説明された。
ご存じのとおり、東京ゲームショウはビジネス目的と一般来場者への訴求を合わせ持つゲームイベントとなっているが、秦氏は、東京ゲームショウ2018の4つのテーマを、BtoCとBtoBのふたつの軸にわけ、“ゲーム文化の向上”を目的としたBtoC(対ユーザー)では、eスポーツをさらに拡大し、動画配信を拡大することを、そして“ゲーム産業の発展”を目的としたBtoB(対ビジネス)では、VRやARに代表される新たなテクノロジーの拡大やグローバル化に力を入れるとした。以下、秦氏のプレゼンにしたがって4つのテーマを順番にご説明していこう。
eスポーツでは、東京ゲームショウで展開することで、「プライベートイベントでは難しい新たなファン層の獲得が可能になる」とその意義をアピール。東京ゲームショウ2018では、会場キャパの拡大や予選大会から会場内で実施することや配信プラットフォームの拡大を検討していることなどのプランを明らかにした。eスポーツ関連の出展に関しては、7月に出展社説明会が開かれるとのことだ。
動画配信においては、昨年はドワンゴ特別協力のもと、ニコニコなどで展開した国内での番組が主催者・出展社合わせて75番組430万7462人の視聴があったと説明。その視聴地域の内訳は首都圏1都3県以外で3分の2だったとのデータを紹介し、「東京ゲームショウの会場に来られない方がご覧になっている」と、動画配信のニーズの高まりを強調した。また、Twitchで行った海外向けの放送はのべ13万3260回、中国DOUYUの配信は147万9000回にもおよび、グローバルで合わせると約600万視聴があったと説明。今年は国内向けコンテンツをTwitchが配信することや、eスポーツを中心に配信プラットフォームが拡大されることなどが明らかにされた。
VR/ARでは、2016年の35社、86小間から、2017年は45社、123小間に増えたことが紹介され、今年は新たなハードの登場などにより、VR/VRコーナーがさらに拡大される見通しであることが示唆された。東京ゲームショウサイドでは、アミューズメント専用機器の出展も可能とのことで、今年のVR/ARコーナーは、より賑やかなことになりそうだ。
[2018年2月22日17時50分]当初「アミューズメント専用機器を貸し出し」と記載しましたが、「出展も可能」の誤りでした。お詫びして訂正します。
グローバル化では、先述の通り出展社数の過半数が海外からだったことに言及しつつ、東京ゲームショウのグローバル化をさらに加速させるために、海外展示会やイベントでの来場誘致および出展活動に積極的に取り組んでいくことが説明された。日経BP社 遠藤慎理の口からは、4月19日~21日にクロアチア・ドゥロブニクで開催されるヨーロッパ最大のインディーゲームイベント“REBOOT DEVELOP 2018”や、4月25日~26日にアラブ首長国連邦 アブダビにて行われる“World Game Expo 2018”などに出展予定であることが明らかにされ、グローバルに向けての積極姿勢が見えた。
というわけで、2018年が始まったと思ったら、早くも東京ゲームショウ2018開催発表会。9月まではあと7ヵ月近くあるわけだが、あっという間に過ぎていくんだろうなあ……と思いつつ、東京ゲームショウ2018の盛り上がりに思いを馳せる記者なのだった。