2018年秋稼動予定の、スクウェア・エニックスが贈る新作アーケードゲーム『星と翼のパラドクス』。プレイヤーは、コックピットさながらの可動式座席がある大型筐体に乗り込み、“エア・リアル”と呼ばれるロボットを操作しながら、相棒の“アズワン”とともに、8対8のハイスピードチームバトルに挑んでいく。
そんな本作のロケテストが、2018年2月16日~18日の期間中、東京、大阪、宮城にて開催中だ。本記事では、東京会場となるセガ池袋GiGOの初日の模様をお届けしよう。なお、担当編集者によるプレイインプレッションや、本作の概要に迫った発表会の模様もぜひチェックしてほしい。
今回のロケテストでは、実戦形式の対戦モードが体験できる。機体はバランス型の“ソリディア”、スピード型の“カーディナル”、後衛型の“シーユー・レイター”から選択でき、相棒となるアズワンも“ヒカリ”、“ナギ”、“レイカ”の3人から自由に選択できた。なお、16日、17日のロケテストは対コンピュータ戦となるが、18日のロケテストでは、全国オンライン対戦でのテストを予定しているとのこと。
勝利条件は、敵のチームゲージをゼロにすること。ゲージを減らすには、マップに5つある“ポート”と呼ばれる陣地を3つ占拠したのち、敵のコアを攻撃する必要がある。敵陣地のポートを占領するか、それとも味方のポートを護衛するのか、といった連携や戦術がポイントとなる。
会場には朝早くから多くのプレイヤーが詰め掛け、さっそく熱いバトルをくり広げていた。インパクト大の可動筐体ということもあり、その様子をカメラやムービーに収める人も多かったのが印象的。筆者が驚いたのは、プレイヤーの皆さんが操作方法をある程度確認しただけで、すぐにスタイリッシュに戦えていたこと。ふたつのペダル&レバーで操作する特殊な操作方法のゲームだが、初心者でもすぐに馴染める操作性のよさがうかがえた。
操作方法を簡単に説明すると、左レバーで移動操作、右レバーで攻撃&エイム、左ペダルでジャンプ(上昇)、右ペダルでダッシュといった感じ。なお、シンプルな操作の“スタンダードモード”と、複雑だが使いこなせば自由自在にエア・リアルを動かせる“テクニカルモード”の2種類から操作方法が選択可能だ。
ロケテストでの料金形態は、500円で1プレイ。本作は、プレイ残り時間(CP)を購入する仕組みで、1プレイで600秒遊べるぞ。一度戦い終えて、もしCPが残っていたら、ゼロになるまでもう1戦楽しめるというわけだ。ロード中やマッチング中などは時間経過がないので、1プレイ平均10分~15分は遊べるようになっている。
ちなみに、今回のロケテストに参加した際にアンケートに答えると、くじ引きでシールやTシャツなどの、豪華グッズがプレゼントされる。いまから参加を考えている方は、ぜひアンケートに答えてみてはいかがだろうか。
『星と翼のパラドクス』の目指す“カジュアル”とは?
最後に、会場でロケテストの様子を見守っていた、本作のプロデューサーである丹沢悠一氏(以下、丹沢)にインタビュー。ロケテストが開始されたことへの感想や、本作への意気込みなどをお聞きした。
――今回、ロケテストを迎えてのお気持ちをお聞かせください。
丹沢 “JAEPO 2018”での発表から試遊、そしてロケテストの準備とバタバタしていた中で、とくに問題もなく開催できたことにホッとしています。ちなみに、東京会場のセガ池袋GiGOさんは、僕の学生時代のホームだったんです。思い入れがあるので、僕が担当するタイトルは必ずここでロケテストを開催させてもらっているんですよ。個人的なことではありますが、今回も開催させてもらえて、非常に感慨深いです。
――“JAEPO 2018”で本作を発表した際、周囲の反響などはいかがでしたか?
丹沢 『星と翼のパラドクス』は完全新作ゲームなので、もしかしたら誰にも注目してもらえないんじゃないかって、じつは本当に不安でした。『ロード オブ ヴァーミリオン』シリーズですと、長年続けていますから、ある程度はどんなプレイヤーに喜んでもらえるかなってわかるんですけども……。ふたを開けてみれば、“JAEPO 2018”では開場から30分くらいで整理券の配布が終了するほどでした。正直、これだけの反響と注目をもらって驚きましたね。
――プレイヤーの皆さんの盛り上がりを見ると、かなり注目度が高いですね。
丹沢 メカデザイン、キャラクター、筐体など、さまざまな要素がフックになっているのだと思います。発表してからはSNSなどを中心に、やはり可動筐体が大きな注目を浴びていましたね。“JAEPO 2018”で発表するゲームは、一般の方々については基本的に撮影NGにすることが多いのですが、今回はあえてオーケーにしたのがよかったと思います。やはりガシガシ動く筐体を見て、「遊びたい」と思ってもらえたのかなと。“インスタ映え”をテーマに、出展させていただきましたから(笑)。
――たしかに映えますね(笑)。ゲームセンターを運営する、オペレーターの皆さんからはどんな反応を頂きましたか?'
丹沢 筐体が“デカい!”ということですね(笑)。ゲームセンターの敷地内に筐体を置かなくてはなりませんから、ゲームセンター側としては大きすぎて置く場所を考えなくてはならない、という意見をいただきました。ただ、“デカい!”の中でも、デカくて目立つから、このゲームは盛り上がるんじゃないかという好意的な意見もいただいています。やはり、アーケードならではの体験という部分で、おもしろそうだと感じてくださるのはうれしい限りですね。
――ふだんはゲームに携わることの少ない、サンライズの方々などは、本作の盛り上がりを見て、どういった反応をしているのでしょうか?
丹沢 やはり、アニメの反応と違うと驚いていますね。これまでのお客さんたちとは違う反応を見て、サンライズさんも楽しんでいるみたいです。アニメとゲームって、似ているようで全然違うジャンルなので、プロモーションの方法ひとつ取っても、手法が違うんですよね。アニメではこうやるから、ゲーム側でもこうしたらどう? みたいな、お互いのよい部分をトレードしながら、取り組めているのが刺激的で、僕自身も楽しんでいます。
――では、本作の魅力を改めて教えてください。
丹沢 ロボット、キャラクター、可動筐体の3点です。ハイスピードで動くエア・リアルは、カスタマイズ性も高いので、ここは男性向けの要素だと思っています。そしてキャラクターは、男性はもちろんですが、女性にも楽しんでもらいたい要素です。ロボットものって、そのまま突き詰めてしまうと、かなり男性色の強いタイトルになってしまうので、そこをマイルドにしてくれるのが、貞本さんの男女問わず人気のあるキャラクターなわけです。そこを楽しみにしながら、まずは遊んでみてほしいですね。ちなみに、いまのバージョンよりもう少しカジュアルに遊べるモードも現在検討中です。
――本作はカジュアルをテーマにしていることもあり、「ゲームの競技性が低いのでは?」という声が上がりそうですが……。
丹沢 僕もそこは感じています。ただ、僕たちがテーマにしているカジュアルというのは、裾野を広げるという意味です。アーケードゲームを長く遊んでいる人はよくわかると思うのですが、ゲームセンターで流行っているゲームでも、新しい人がまったく入ってこないタイトルっていっぱいあると思うんですよ。ですので、とにかく一見さんでもいいので、1回でもいいから遊んでもらうことを意識した、カジュアルさなんです。たとえばゲームプレイの様子が外側から見れる点や、座席のライトなども注目してもらえるようにこだわりました。入口は広いですが、奥へ行くと深いということをアピールしたいですね。今回の試遊ではまだまだ体感できない部分ではあるのですが、ほかの対戦ゲームではできない戦術や戦いかたも、ガンガン実装していきますよ。
――可動筐体ということで、酔いの問題を気にしているプレイヤーも多いのではないでしょうか。
丹沢 そうですよね。もし筐体をストップさせたかったら、筐体停止ボタンを押してください。僕たちとしてはやはり、グリグリと動く筐体で楽しんでもらいたいというのが本心です。ただ、遊んでくださるプレイヤーの皆さんに強要はしないので、そこは自由に選択してください。ただし! 全国大会を開催したら、絶対に動く筐体で戦ってもらいますからね!! 出場を目指す人は、いまのうちに慣れてください(笑)。
――せっかくのコックピット型の筐体ですし、一人称視点モードなどの予定はありますか?
丹沢 主観モードは、じつは用意はしているんです。ただ、本作はエア・リアルのカスタマイズ要素が特徴のひとつなので、エア・リアルが見えないと魅力が薄れてしまうと思うんです。ただ、今回のロケテストで「主観モードが欲しい!」という声が大きければ、モードの切り替えで選べるようにするなどして、実装する流れになるんじゃないでしょうか。
――発表会ではプラモデルなども発表されていましたが、今後どんな展開をしていきたいですか?
丹沢 夢で言えば、漫画化やアニメ化ですよね。そして、世界大会を開催したいですね。いろんな国々のエア・リアル乗りがバトルをするって、燃えるシチュエーションを作り出してみたいです。
――本作のようなタイプのゲームを初めて遊ぶプレイヤーに向けて、プレイのコツなどはありますか?
丹沢 まずは楽しくエア・リアルを動かすことですね。拠点を取るですとか、コアを攻撃するですとか、そういったことは最初は忘れてください。前後左右に動きながら、敵を正面に捉えて、撃つ! この気持ちよさを味わうことだけ考えて、1プレイできればいいと思います。
――では最後に、本作を楽しみにしているファンの方々と、読者の皆さんにメッセージをお願いします!
丹沢 人がプレイしているのを後ろから見ているだけでは、きっと本作の魅力は3割ぐらいしか分からないと思います。今後もいろいろなところでロケテストの開催を予定していますので、ぜひ1度は遊んでみてください!