2002年2月12日からエヌ・シー・ジャパンが日本での正式サービスを開始した(ベータサービスは2001年6月23日から開始)PC用MMORPG『リネージュ』。2018年2月をもって、いよいよ16周年を迎えることとなった。

 17年目に突入しても、十分なアップデートが予定されているという『リネージュ』の展開について、日本運営プロデューサー・川南巌氏に話を訊いた。新規と現役の両プレイヤーに興味を持ってもらえそうな話題も多かったので、ぜひチェックしてみてほしい。

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ひとりのプレイヤーとしても『リネージュ』をプレイし続けている川南氏。最近はプレイヤーから誘われたオフ会に普通に参加したり、ほかのゲームのイベント会場にも自腹で遊びに行ったりと、ゲーマーとしての活動(?)にも磨きがかかっているそうで。

川南巌

『リネージュ』日本運営プロデューサー。本作の古参プレイヤーでもある。

まずは初心者ゾーンのアップデート“Initiation(仮)”から!

川南まずは無事に16年目の2月を迎えることができました。日ごろよりご愛顧いただいております『リネージュ』プレイヤーの皆さまに、御礼を申し上げます。

――ここまで来ると日本におけるMMORPGの年号みたいな存在になっていますね。もう16年ですか……。

川南2018年2月7日(水)から始まる“16周年前夜祭”を皮切りに、約1ヵ月に渡ってキャンペーンを実施いたします。
 そして同じく2月7日に、初心者ゾーンのアップデート“Initiation(仮)”を実施します。2年ほど前にも似たようなお話をしたかと思いますが……。

※関連リンク
『リネージュ』16周年前夜祭 特設サイト

――初心者ゾーン“クラウディア”ですね。つぎにするべきことの導線が出て、短時間でさくさくとレベルが上げられる仕様になっていたかと思いますが。

川南“アップデート後は、クラウディア”よりも実践的に『リネージュ』の基本的なプレイが学べるものになります。

――『リネージュ』は初心者や休眠者向けのフォローを重視しているのでしょうか? 長年続くタイトルでは、既存プレイヤーを重視してもおかしくないと思うのですが。

川南復帰する方にもサポートは当然ありますが、今回のアップデートは新規キャラクターで始める方へのサポートがメインになっています。
 『リネージュ』でいちばんユーザーが多かった時期はレベル50台の方が多かったんです。“Initiation(仮)”実装後の初心者ゾーン“話せる島”では、55レベルまでチュートリアルで進み、同じゾーンの中で70レベルくらいまでプレイできるようになっています。

――昔のユーザーさんが復帰する場合、50レベル台ですから……初心者クエストサポートが十分に受けられない昔のキャラクターを使うより、初心者ゾーンを使って新規キャラクターを作った方が成長が早いわけですね。

川南装備や資産についても、トップ層の方々ならともかく、普通は型落ちになりますからね。復帰する際には新しいキャラクターを作っていただいたほうがお得かも知れません。
 もちろん、昔作ったキャラクターに愛着がある方も多いかと思います。2月7日に同時に実装される“英雄パッケージ”でレベルアップサポートや装備一式の支給などがご利用いただけますので、こちらもご検討ください。

――以前とはレベルの上げやすさもかなり違っていますから、どうしてもそのまま復帰するのは難しくなります。老舗タイトルならではの悩みですね。

川南むしろ昔のキャラ作成直後の流れを覚えている方には、新キャラを作って楽しんでほしい部分もありますね。クエスト形式で進んでいくチュートリアルや初心者ゾーンの仕様は新鮮に感じられると思います。

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こちらは初心者ゾーン“話せる島”に新規追加されるマップ“バトルシップ”。新マップが実装されるのは久しぶり。古参のプレイヤーの皆さんも新キャラを作り、初心者ゾーンの変化を体験するついでに観光してみてはいかが?

――新しい初心者ゾーンは実践的と仰っていましたが、具体的にはどのような内容になるのでしょうか?

川南初心者ゾーン終了後を意識した内容を学べるようになっています。武器を強化したり、モンスターを狩ってレベルを上げたり。
 “クラウディア”では2時間ほどの短時間で済むとはいえ、「クエストをこなしてはい終了!」でした。“モンスターを倒して何かを得る”というRPGの基本を習得する前にフィールドに放り出される形だったんですね。

――MMORPGに慣れている人なら問題ないのでしょうけど、慣れていない人は何をすればいいかわからないかもしれませんね。

川南“Initiation(仮)”実装後の初心者ゾーンはその点が改善されます。たとえば装備の強化スクロールはゾーン内のクエストの報酬ではあまりもらえず、ゾーン内でモンスターを実際に狩り、獲得する形になっています。
 モンスターを狩り、素材を集め、装備を強化していく……という、初心者ゾーンを出た後のベーシックな流れを学べます。

――つぎに何をすればいいのかという導線は残しつつも、実際のプレイの流れもしっかり体験できる、と。

川南私もテストプレイしましたが、かなり楽しかったですよ。狩りで獲得したアイテムを持っていくとより安くポーションが入手できたりして、そこから製作のシステムを自然と学べたりするわけです。
 文字を読み進めていくストーリー重視の“クラウディア”と比べて、よりMMORPGらしいというか、狩りをして楽しむ『リネージュ』らしさが出る形式になっています。

――初心者ゾーンと通常のフィールドの間にあったギャップも緩和されるようですし、新規の人でもより遊びやすくなりそうですね。

川南狩りでレベルを上げなくてはならない場面もありますが、「レベル50まで上げよう」などといった形で目標が示されるので、迷わず進められるかと思います。
 私がとくに気に入ったのが、アンデッドを倒しに行くクエストですね。材料を集めてシルバーの武器を作って、アンデッドを倒しに行く、といったクエストがありまして。

――チュートリアルに必要なのはそういう部分ですよ! ものすごくRPGらしいじゃないですか。

川南「シルバーの武器を使えば、この骨みたいなのがいっぱいいるダンジョンでは有利になるのか」と、武器の相性を実践で覚えられるんですよ。それなら、有利な武器で戦えるここでレベルを上げれば効率もいいんじゃないか……などなど、初心者ゾーン終了後に応用できる要素もたくさん入っています。
 あと、既存のプレイヤーの皆さんには、ぜひ“話せる島”で困っていそうな血盟未所属のキャラクターを見かけたら、血盟に勧誘してあげていただければと。

――血盟に入るとたしかにゲームはプレイしやすくなりますが、初心者ゾーンでも同じく進めやすくなるのでしょうか?

川南血盟の獲得経験値アップのボーナスで、先ほど少し触れた「レベル50まで上げよう」などの初心者ゾーンのクエストにかかる時間を大幅に短縮できます。
 新規で始めたとしても、血盟に入ることで1、2時間ほどでこうしたクエストを終えられますので、血盟を探してみてください。

――そこは新規の人側からのアプローチが難しい部分ですからね。効率重視の“クラウディア”と今後の初心者ゾーンの、どちらか好きな方を選べればさらにいいんですけどね。

川南そうですねぇ。“クラウディア”はなくなってしまうわけで……。イメージキャラクターになっていたうえに神様の化身だったララをはじめとして、ここにしかいない重要NPCもいましたし。今後は彼女たちの復活の場もあるとおもしろいですね。

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2018年アップデートの柱は新たなふたつのマップ

――続いて、2018年のアップデート予定について教えてください。

川南2018年には大きくふたつのアップデートを予定していて、前半に“ラスタバド廃墟(仮)”と、後半に“支配の塔(仮)”というコンテンツが実装されます。具体的な時期はまだ調整中ですが、その合間に細かなアップデートも差し込まれていきます。

――ラスタバドというと、以前から聞き覚えがある地名ですね。

川南かつて存在していて、いまは廃棄されているマップですね。ストーリー上では滅びたために侵入できない地域になってしまっていたわけですが、つつがなく復活する運びとなりまして。

――つつがなく、っていうのもどうかと(笑)。

川南私もプレイヤーとして納得していない部分もあるんですけどね。前に潰したじゃない!と(笑)。
 かなり活発だった2007年のシーズン2の頃は、ここが人気エリアでした。システム的にも変化があったときで、それまでは一般的な武器をエンチャントして使い続けるのが『リネージュ』の常識だったんですけど、そこで新たにすごく強い伝説級の武器が登場したんです。

――いわゆる聖剣エクスカリバーなどといったようなイメージの、伝説の武器ですね。

川南プレイヤーの盛り上がりも非常に高まったコンテンツでしたので、開発側としても復活させたかったのではないかと思います。

――昔からのユーザーにとっても、思い出深いマップでしょうしね。

川南そうなりますね。ただ、昔のラスタバドは対象レベルが60~65くらいでしたけど、新規マップは高めに設定されています。85レベル以上推奨ですので、81レベルだとパーティーでギリギリいけるかどうか。復帰したての方ですと、(英雄パッケージの)サポートを活用すれば何とかといった感じですね。

――実際に昔のラスタバドに行っていたプレイヤーとして、思い出などはありませんか?

川南ラスタバドは地下1階から4階までの城塞で、ストーリー上では一度崩壊して、マップ閉鎖前にひとつのマップに統一された時期があったんですよ。その統一前によく通っていました。4階に出るボスを倒して伝説の武器の素材を集めていたわけです。
 そこにずっと、ずーっと行って。マップ統一まで2年間ほど通い詰めて、必要数の半分くらいは集められました。

――ああ、なるほど。当時のMMORPGの難度を思い出します。

川南プレイヤー側が慣れてくると、だんだんパーティー人数を削って、ひとり当たりのうまみを増やしていく風潮もありましたね。最終的には、後衛のウィザードと前衛の私の、ふたりで回っていました。「ほかのドロップは全部きみにやるから、武器の素材だけはこちらにくれ!」と(笑)。

――ペア狩りですね。これまた懐かしい。

川南なお、以前お伝えしましたが、レジェンド武器の強化システムの変更と、両手剣のレジェンド武器“ドラゴンスレイヤー”が“真冥王の執行剣”に統一されるアップデートも、ラスタバド実装のタイミングで行なわれます。
 両手剣以外のカテゴリは、ラスタバド系統のレジェンド武器と、“忘れられた島”系統のレジェンド武器で、武器種は被っていない状態です。ラスタバドのレジェンド武器は、両手剣、杖、ダガー、デュアルブレードの4種類になります。

※参考記事
『リネージュ』に満を持して四竜が集結! 最新アップデート“VALAKAS”の魅力をプロデューサーに訊く

――そういえば、ラスタバドのレジェンド武器はマップ閉鎖中でも製作は可能だったわけですよね。

川南作れはしましたが、ものすごく難しかったんですよ。その製作のチャンスが、ようやく復活します。
 いままでは“忘れられた島”にたまに出現するクロレンスが、ごくたまに素材を落とすかも、という状態でしたからね。さすがにこれで作るのは、夢物語に過ぎるといった感じでした。

――しかも素材の一部は、取引不可ですしね……。

川南いままでは職業によってはほぼ不可能だった、レジェンド武器という目標が復活することもまた、新たに楽しんでいただける要素になるかと思います。

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こちらはラスタバドの重要NPC“ダンテス”。かつて、アデン征服のために異界の神ギルタスを召喚した人物だ。この神を強制送還した際の影響が、ラスタバトをアンデッドが巣食う廃墟に変えたというが……新規マップは、どのようになっているのだろうか?

――では続いて、もうひとつの大きなアップデート“支配の塔(仮)”についても、お話をうかがいたいのですが。

川南こちらは“傲慢の塔”のボス・グリムリーパーがさらに力を蓄えて、新たに建立した塔ということで、新規のマップとなります。
 韓国の仕様ではインターサーバー(※)を使用したものでして、別サーバーの人と共闘したり、あるいは競争したり先回りして邪魔したりできるマップになっています。

(※各ワールドサーバーからプレイヤーがアクセスして、ワールドの枠組みを超えていっしょにプレイできるサーバー)

――インターサーバーというと、前に実装された“テーベラス支配戦”でも使用されていましたね。

川南それに近いイメージですね。ただし、テーベラス支配戦のような規定に従って戦うイメージではなく、狩場にみんなでワイワイと行くようなイメージになっています。
 こちらのマップは、決められた時間になると各ワールドからアクセスできます。同じマップで各フロアに出現するボスをはじめとしたモンスターを狩って、ここでしか入手できないネームドレアの獲得を目指していただくことになります。

――対抗戦というよりは、先にボスを見つけて狩るという通常のフィールドの要素に、ワールドを越えてふだん接点がないプレイヤーとも出会えるという要素が加わっているわけですね。

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傲慢の塔にも登場したボスキャラクター、グリムリーパー。支配の塔を建立したのもこのグリムリーパーということで、やはりフロアボスとして登場するのだろうか。

川南ただし、このマップに入るためには準備も必要になります。“傲慢の塔コントロールアミュレット”系列のアイテムが要求されますので、支配の塔にいち早く入ってみたいなら、早めに準備しておいたほうがいいかと思います。

――傲慢の塔でもくり返し使える便利アイテムですね。

川南すでにコンプリートしている方もいるかと思いますが、いまからコンプリートを目指すなど、アップデートまでの新たな目標にしていただくのもいいですね。

――そういえば、先ほど「韓国の仕様では」と仰っていましたが、“支配の塔(仮)”の日本版では変更が入る可能性もあるのでしょうか。

川南韓国では“忘れられた島”にもインターサーバーが採用されていまして、3サーバーくらいから集まったプレイヤー同士によって、島の内部での共闘や対立がくり広げられています。
 日本ではプレイヤーの傾向を吟味して、インターサーバーは採用していないんですね。

――たしかに、日本のプレイヤーの多くは対立やPKを嫌いますからね。

川南そのような風潮もあるわけですが、いまのところ“支配の塔(仮)”は、インターサーバーを使用したものになる方向で協議が進んでいます。

――なるほど。ふたつの大きなアップデート以外にも、予定されているものはありますか?

川南細かなアップデートとしては、狩場のリニューアルやクラススキルなどの調整、86レベルと88レベルの変身の実装など、いろいろ予定されています。
 なお、これまでは韓国での実装順に合わせてアップデートされることが多かったですが、今回は相性がいいアップデートをグループ化する予定です。アップデートの回数自体も増えて、平均すると2ヵ月に1回くらいのペースで行なわれるかと。時期は変動するかと思いますが。

――順番も変わるということは、韓国では遅めの実装だった要素が、日本では先に来たりすることも?

川南そうですね。たとえば韓国では初心者ゾーン関連は後ろのほうだったのですが、日本では先に持ってきます。
 とはいえ、ひとまとめにできない場合もあります。クラス調整は、韓国ではエルフが先に実装されてほかは後から実装という形でした。日本ではひとつにまとめたいのですが、クライアントの問題もあって、韓国の実装順にならう形となります。

――初心者ゾーン“Initiation(仮)”は、なぜ先行するのでしょうか?

川南いまの初心者ゾーンはバランスが悪いんです。私のほうからも急ぎ改善してほしいと要望を出すくらい、最優先にするべきだと思っています。

――順番だけでなく、相性がいいものをまとめるというお話もありましたが、こちらにも何らかの狙いがあるのでしょうか。

川南プレイヤーの皆さんに、そのアップデートで何ができるようになるのか、何が変わるのか、わかりやすく伝えたいという意図があります。大型アップデートで一気に変わると何がどう変わったのか把握するのがたいへんですよね。それはそれで不親切なのかなと思いまして。
 たとえば、複数の狩場をまとめてリニューアルして「今回は狩場のリニューアルを行ないました」、「今回は高レベル用のコンテンツを実装しました」などと打ち出せば、プレイヤーの皆さんとっても変更点や新しい目標がわかりやすくなるかと思います。

――プレイヤーと開発側のズレを、運営が間に立って橋渡ししていく形になるわけですね。

川南韓国ではアップデートが月に何回も行なわれたり、頻度は高いのですが、方向性がバラバラになのでわかりにくいんです。ある程度パッケージングして持ってくるのがいままでの日本のアップデート方法でしたが、年に1、2回しかアップデートがないという点も問題だと指摘されていました。
 今後はわかりやすさと頻度が両立できる中間のバランスにして提供していく予定です。

2018年の運営テーマは“目的”! 具体的には?

――2018年の『リネージュ』日本運営はどうなっていくのでしょうか?

川南去年のテーマはいろいろな部分の“改善”としていました。まだ至らない部分はありますので、変わらず継続させていきます。2018年は新たに“目的”というテーマを掲げたいと思っています。

――プレイヤーに目的を与える、ということでしょうか?

川南『リネージュ』はシングルやパーティーでキャラ育成に出かけ、向かった先でほかのパーティーと協力や競争を経て、最終的にPvPや血盟戦へと参加していく、という“目的”の推移を前提としたデザインになっています。
 しかし、日本のプレイヤーの皆さんは、出かけた先でほかのプレイヤーに出会っても、邪魔されたりすることを嫌うなど、対人要素に興味を持つ段階に推移しない場合が多くなっています。

――たしかに、日本のプレイヤーにとって、『リネージュ』はハック&スラッシュを楽しむものというイメージが強いかと思います。

川南それ自体は問題ないと思いますし、私自身もアイテム集めを楽しんでいます。ただ、『リネージュ』が構造的にPvPを最終目標にしているため、対人戦が関わるエンドコンテンツが多くなり、ハック&スラッシュ系のコンテンツはなかなかアップデートできない、という状態が生まれてしまっているんです。

――対人コンテンツに関わらないと手に入らない素材もありますし、それらを避けているとキャラクター育成に限界を感じる場面もありそうですね……。

川南そうですね。ふと我に返って「何をしてるんだろう、何をすればいいんだろう」と、目的がない状態ではプレイする理由を見失うこともあるかと思います。
 対人コンテンツで得る報酬を消費させるために特定のフィールドで狩りをする、という循環の側面もあるので、そうした報酬を得ていないとフィールド狩りにも限界が来る可能性があります。さらにゲームの設計的に、対人で得られるアイテムとの総合的なバランスが考えられているため、狩りだけでは得られるアイテムが少なく感じることも多いはずです。

――続けるのがしんどくなってしまう人も出てくるでしょうね。とはいえ、対人コンテンツを遊んでくれと強制もできませんし。

川南そうした開発側と日本プレイヤー側のすれ違いには長年の課題です。狩りでもアイテムが出やすくなったり、日本独自のイベントでより報酬が多く得られたリといった調整の要望を出していきたいと考えています。

――しかし、そうなると“支配の塔(仮)”で日本でもインターサーバーを採用するのには、問題があるのでは?

川南たしかに対人やPKは嫌悪感を示す方も多いのですが、テーベラス支配戦ではPK不可のサーバーのプレイヤーの皆さんからにも、思った以上に好評だったんですよ。
 テーベラス支配戦自体が、対人とはいえ皆でわいわいと戦う形だったことも影響していたかと思います。PvPが嫌いな人には、1vs1の場面で突然ものすごく強い人に斬りかかられて、なすすべもなく倒されるといった形を嫌う、という方が多いようです。

――PvPコンテンツとPK行為を混同して嫌う風潮は確かに強いですね。

川南PKは嫌いだけどPvPは楽しめるかもしれないというプレイヤーは少なくないと思います。さらにぶっちゃけてしまうと、インターサーバーでしたら、別サーバーのプレイヤーを倒し倒されたとしても、その後ゲームの中でねちねち言われたりする心配もないですからね(笑)。
 PvPコンテンツをプレイしていない人でも、「これだったらいけるかな?」と思っていただける選択肢のひとつとして、そしてPvPへの入門用としても、試してみていただければと思っています。こうした形でも、皆さんに新たな目的を示していきたいところです。

――需要が高いハック&スラッシュでの供給を増やしつつも、元来のゲーム構造に沿って、PvPへの最終誘導も進めていきたいというわけですね。

川南私も昔からの『リネージュ』プレイヤーですから、ハック&スラッシュの楽しさ、狩りで素材を集めつつレベルを上げていく楽しみも、ものすごくわかるんですよ。その部分をアップデートから斬り捨てることは絶対にしたくはありません。「こういう楽しさもあるし、こっちもやってみたら楽しいかも知れないよ?」というような誘導ができれば、と考えています。
 目的が1種類しかない状態よりは2種類あるほうが、確実にゲームは楽しめるかと思いますので!

――“支配の塔(仮)”はモンスター狩りがメインのようですし、対人を気にせず純粋に狩り目的で行くこともできそうですしね。

川南“支配の塔(仮)”では各フロアにボスが用意されていますので、ハクスラもPvPも自分がやりたいぶんだけ楽しめます。ぜひ、お好きなように楽しんでみてください。

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支配の塔の外観イメージ画像。“支配の塔(仮)”では新フロアボスなどの狩りを大人数で楽しめるのに加えて、別サーバーのプレイヤーとの出会いやボスの奪い合いなど、スパイスとしての対人要素が楽しめるようだ。

――2018年もいろいろと進化していきそうですね。

川南16年続く『リネージュ』ですが、最近はスマホタイトルにこの単語が入っているところを見かける方も多いかと思います。昔よりもこの『リネージュ』という単語を知る機会が増え、『リネージュ』とは何ぞや? と思われる方も多いのではないでしょうか。
 そうして興味を持っていただいた方に、2月7日に実装される“Initiation(仮)”以降の本作は、軽い気持ちで予習していただく意味でも最適かと思います。ぜひ今後に期待を高めつつ、先駆けてアデンの世界に触れていただければと!

――2月からは初心者ゾーンの改善だけでなく、各種サポートも増えるわけですしね。基本無料でプレイできますし。

川南そして現役プレイヤーの皆さんにも、2018年にはさらなるハイレベルコンテンツの実装が多く予定されていますので、楽しみにしてほしいです。
 レベルがもう少し足りない、という方へのレベルアップのお力添えも、ゲームイベントなどを通じて日本運営側からもさせていただければと考えておりますので、17年目の『リネージュ』にも変わらぬご愛顧をいただけますよう、よろしくお願い申し上げます。

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昨年の段階的に解放されるドラゴンレイドなど、ロングランを続けながらもまだまだ独自の進化を、開発、運営ともに目指している『リネージュ』。プレイヤー視点をいまなお持ち続ける川南氏を筆頭とした運営陣に、2018年もユーザーフレンドリーなアップデートに期待したい。